武田丈夫の発言 (少子高齢化・共生社会に関する調査会)
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○参考人(武田丈夫君) 和歌山県古座川町長の武田丈夫と申します。どうぞよろしくお願いいたします。(資料映写)
古座川町は、和歌山県三十市町村のうちで二番目に人口が少ない町です。そしてまた、二番目に高齢化率の高い町になっています。少子高齢化が進む中で、集落の維持を保っていくための取組、U・Iターン者の受入れと、それから小学校と地域をつなぐ取組について、その事例の一部を報告させていただきます。
古座川町は、和歌山県南東部に位置し、二百九十五平方キロメートルを有する山村の町でございます。九六%が森林で占められ、林業を主要産業として栄えてきましたが、現在はユズ、センリョウ、この生産拡大に取り組んでおります。特に、ユズはジュースなどの加工品も数多く作られ、銀座のめざマルシェや有楽町の交通会館地階の和歌山県物産販売所喜集館で販売されております。また、司馬遼太郎の「街道をゆく」で紹介された清流古座川と森林の緑が織りなす自然豊かな風景は、他に類を見ない景勝地が数多くあります。
昭和三十年の人口は一万百八名でしたが、平成二十一年には三千三百二十一名、三十年当時の三二・九%に減少しております。一世帯当たりの人口も四・五人から二・二人に減少している、こういった状態でございます。
六十五歳以上の人口も、七・三%であったのが四五・八%、県下で高齢化率が二番目に高い町となってしまいました。今、一年間に生まれてくる子供は約二十名足らず、亡くなっている方は七十名、単純計算で年間五十名の人口が減少しているといった町でございます。集落の構成ですけれども、四十四集落のうち二十集落が高齢化率五〇%を超えるいわゆる限界集落という集落でございます。このブルーとグリーンのところが五〇%を超える集落でございます。
また、小中学校の数は、合併当初の昭和三十一年二十一校あったのが、今では小学校三校、中学校二校の五校に減少し、小学校児童数も千三百九十八名から百十七名に減っております。中学校生徒数は四百七十一名から七十一名、こういった減りの具合でございます。
産業別就業者数でございますけれども、第一次産業の就業者数は二千六百九十八人、産業別に見ますと、第一次産業が五六・二%であったのが平成十七年百六十二人、構成比としまして一次産業が一二・六%、その減少率が九四%に及んでおります。
過疎、高齢化と人口減少に歯止めを掛けるには定住対策が求められます。安定した収入・地場産業の振興、子育ての環境整備、医療、この三つの環境が整ったときに集落が維持できると考えられます。しかし、高齢者対策、定住・移住施設、U・Iターン者の受入れの住宅、これも必要不可欠な施設の一つです。
このうち、古座川町が取り組んでいる地域の担い手確保とその活動について事例を紹介します。
産業振興委員会は、地域の団体などで構成する、農林業振興と後継者育成、U・Iターン者の定住促進を目的としています。そこで、定住に関するアンケートを取りました。実施件数と回収率は御覧のとおり、千百五十二件、六六・二%でございます。
その結果、お住まいの集落に都会や他の地域からの転入者を積極的に受け入れていくべきだと思いますかという問いに対して、受け入れていくべきだという答えが七五・二%、お住まいの集落の人口が減少していることについてどう思いますかという問いに対しまして、何らかの対策をする必要があるという答えが八〇・四%、どのような対策をする必要があるかという問いに対しまして、一番高かったのは産業の振興、次に医療の充実、三番目は定住者の受入れというふうな結果になりました。
そこで、U・Iターン者の受入れのためには住宅が必要です。町内の空き家調査を行いました。町内にある空き家は二百八十軒、そのうち利用可能と思われる百八十軒を調査し、所有者に問い合わせたところ、貸してもよいという空き家は十三軒、そのうち手入れをすることなく入居できるのは三軒程度で、大半は修繕を必要とする家屋でした。
空き屋を貸してくれない理由には、正月や盆に家族が里帰りする、家財道具、仏壇などを置いている、相続が決定していない、貸したくないなどが主な理由です。
定住者が事前学習と地域情報を得るため、現地で滞在し、実情を知ってもらうための短期滞在住宅を二棟用意し、滞在しながら事前学習ができるようにしております。平成二十年度の短期滞在住宅利用状況は、滞在日数四日までの利用者が二十三件、五日から十日までの利用者が三件、十一日から十四日の利用者が二件、十五日から二十日の利用者が五件というふうになっております。
次に、Uターン・Iターン者を受け入れる研修は和歌山県ふるさとセンターで体験学習と交流事業を行っております。平成二十年度には、山村体験研修八十名、田舎暮らし定住サポート研修三百九名の研修生を受け入れ、農業体験や田舎暮らしの研修を行いました。
平成十八年度から二十年度のU・Iターン者の定住状況でございます。二十年度を例に取ってみますと、相談件数が八十九件、そのうち現地へ出向いてきてその希望者を案内した件数が三十九件、定住した世帯が七世帯、定住した家族数が十一人というふうな形になっております。
また、定住者と産業振興委員会のメンバーは、夏と冬の二回交流会を持ち、情報交換や地域づくりのワークショップを行うなど共に活動を行っています。この風景は、今年一月に行われました地域づくりのためのワークショップの風景です。
定住者を受け入れる体制といたしまして、地域の風俗、習慣、行事を正しく理解してもらい地域に溶け込んでもらう、音楽や工芸、物づくりなどの特殊技術や知識を生かした地域づくり、地域おこしを求める、農業、林業等地域住民が持つ技術や田舎暮らしのノウハウを教え、安定した田舎暮らしと地域に溶け込める生活のサポートを地域ぐるみで行うなどの受入れ体制を行っております。
地元で求めているものは地場産業としての担い手です。緑の雇用による山村の労働力や農業の労働力による産業の担い手として、少子高齢化する地域を支えるリーダーとしての役割が求められています。新たな地場産業の掘り起こしや起業による地域の活性化などにより、過疎、高齢化する集落に若者が定住できる仕組みづくり、地域と一体となった人材の確保によってコミュニティーの維持を図っていきたいと考えています。
次に、少子高齢化する地域における教育と地域のかかわりですが、小学校の児童数の減少により、学校行事には地域の協力が必要となってきました。これは町内にある三つの小学校、二つの中学校の生徒数でございます。このうち明神小学校それから高池小学校の取組について一部を御紹介させていただきます。
元々、古座川町は、この住民は学校教育には協力を惜しまない土地柄で、大きな学校行事は育友会、地域住民が協力して合同で作業を行っています。明神小学校が平成二十一年度に取り組んだ校庭の芝生化は学校、育友会、地域住民が協力して行いました。これは校庭に芝生を植えた後の集合写真です。
運動会は明神小、明神中学校と地域住民が合同で行う明神運動会という名称で長年続いていますが、二十一年度は芝生化成ったグラウンドで行われました。また、地域にある老人福祉施設を児童全員が訪問し、お年寄りとの合同運動会や学習発表会により交流を図っています。
高池小学校では、地元の農家の協力を得て米作り体験を学習する米米クラブを結成し、田植えから収穫までの稲作の一連の作業を体験しております。米作りや農業体験などは、古座川町内のどの集落でも少し前までは日常生活の中で体験できましたが、今ではこのような特別な機会を設けないと体験できないのが現状です。少子高齢化する地域にあって地域の営みを子供に伝えていくためには、児童生徒と地域住民が共に作業を行い、子供を育てるコミュニティーづくりに取り組んでいかなければならないと考えているところです。
以上、古座川町での取組の一部を紹介いたしました。
この写真は、昨年十一月、豊岡市で放されたコウノトリが清流古座川にやってきて、おいしい天然アユを食べていました。ところが、自分が捕ろうとしたアユをサギに横取りされたところの写真です。ハトではございません。
以上で報告を終わらせていただきます。ありがとうございました。