中西正人の発言 (文教科学委員会)
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○参考人(中西正人君) 大阪府教育長の中西でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。
公立高校授業料の無償化につきまして意見を述べる機会をちょうだいをいたしまして、心から感謝を申し上げます。
今日の深刻な経済状況の下におきまして、授業料の減免や滞納が増加をいたしますなど、高校生の就学をめぐる状況は大変厳しくなっております。こうした中で、家庭の状況にかかわらず、すべての意志のある高校生が教育を受けられるように社会全体で負担をしていくというこの公立高校の授業料無償化の意義は非常に大きなものがあると考えておりまして、大阪府といたしましてもその実現を是非お願いを申し上げる次第です。
本日、私の方からは、大阪府における授業料のこれまでの経緯、それから今回のこの法案についての大阪府における検討状況、大阪府における公立高校、私立高校の状況と今後の方向、この三点につきまして説明をさせていただきたいと思っておりますが、今回の授業料無償化への対応につきまして、恐らく全国の都道府県の中で一番悩みましたのが私ども大阪府ではないかというように思っております。
と申しますのは、現在、全国の都道府県の中で国の標準授業料を上回る授業料を徴収しておりますのは大阪府と東京都、和歌山県の三都府県でございますが、東京都と和歌山県は空調使用料部分を上乗せをいたしておりまして、授業料本体を上乗せをしておるのは私ども大阪府だけでございます。
これは平成十二年でございましたが、国の標準授業料額が十万八千円でございましたときに、三万六千円、月額にいたしまして三千円を上乗せをいたしまして十四万四千円に改定をいたしたんですが、当時大阪府は財政再建団体転落寸前という非常に厳しい財政状況にございまして、高校教育を充実をするためには生徒、保護者に応分の負担をお願いをせざるを得ないと、そういう状況の下で実施をいたしたものです。
以来、国の標準授業料の改定が三回行われました結果、平成二十一年度現在で、標準授業料と府の授業料の差額は二万五千二百円に縮小をいたしております。これに伴います増収分が平成二十一年度で約二十三億五千万円ございまして、これを高校の特色づくり、教育環境の整備、具体に申しますと、ICT教育でありましたり、英語教育、あるいは障害のある生徒へのきめ細かな支援、そういった高校教育の充実の財源として活用をしているところでございます。
それから、大阪府では、平成十六年度に府立高校のすべての普通教室に空調を設置をいたしましたが、これにつきまして、生徒から授業料とは別に年五千四百円の空調使用料を徴収をいたしております。
このような大阪府におきますこれまでの授業料をめぐる経緯を踏まえまして、昨年十月の国の概算要求以降、文部科学省から情報をいただきながら、大阪府としてこの授業料無償化にいかに対応するか検討を進めてまいりました。国から交付をされます額が標準授業料額が上限というふうに言われておりましたので、ただいま申しました府の上乗せ額と空調使用料部分をどうするべきか、これは教育委員会としても非常に悩みましたし、知事とも何度も議論を重ねてまいりました。知事の方も、全国的に無償化が実施をされる中で大阪府だけが授業料を徴収するという、そういう選択はし難いという思いは強く持っておられました。
しかし、この標準授業料を超える部分を徴収をしないということになりますと、平成二十一年度当初予算ベースで、ただいま申しましたこの二十三億五千万、これ授業料減免との相殺ですとか地方交付税で補てんされる分を考慮に入れましても約十四億円の減収ということになりますし、これに空調使用料の六億円を合わせますと約二十億円の財政負担が生じるということでございまして、現在の非常に厳しい大阪府の財政状況の下で大変苦慮をいたしたところでございます。
そうした中で、文部科学省に対しましてこれまで授業料として徴収をしてまいりました額を国から交付をしていただくように要望をしてまいりました。その結果、四年間の激変緩和措置を講じていただく方向で検討いただいたということで、大変有り難く思っております。
こうした状況も踏まえまして、最終的には、標準授業料を超えて徴収をしておりました上乗せ部分、それから空調使用料、さらには留年生や既卒者を含めましてすべて徴収をしない、完全な無償化を図るということで知事に決断をしていただきました。
そして、この二月府議会に高等学校条例の改正案を提出をいたしまして、一昨日、議会の御承認をいただきました。生徒、保護者にとりましても、学校にとりましても、望ましい形の、すっきりした形の選択ができたんではないかなというように思っております。
なお、この留年生等の扱いにつきまして少し補足をさせていただきますと、文部科学省のお考えは、標準修業年限を超過した者については、休学、海外留学、病気療養等のやむを得ない事情がある者を除いて交付金算定の対象としない、すなわち、この無償化制度の対象外ということでございますけれども、大阪府といたしましては、中退防止という教育的な観点や、対象外とされる生徒が非常に限定的、レアなケースになりますこと、また、やむを得ない事情があるかどうかを客観的、公平に判断をすることの難しさと事務の繁雑さ、加えまして、それに要するマンパワー等のコストを考えた場合の費用対効果、そういった点を総合的に判断をいたしまして、大変これ思い悩み、苦慮をいたしましたが、一律不徴収にするという結論に至ったところでございます。
ただ、この無償化に伴いまして、学籍だけを置いて形式的に在籍をすると、そういう生徒が生じないように、学校現場における教育的な指導を徹底することが必要であろうと考えております。
国におかれましても、すべての意志ある高校生等が安心して教育を受けるという、そういう趣旨を踏まえた上で、留年生等を含むすべての高校生をこの無償化制度の対象にしていただくようにお願いを申し上げたいと考えております。
次に、大阪府における公立高校と私立高校の状況でございますが、大阪では、昭和四十年代には、大阪都市圏への人口流入に伴い増加する生徒の教育需要に対応いたしまして、公立高校の新設で対応してまいりました。ただ、昭和五十年代の半ば以降、第二次ベビーブーム世代の生徒急増期には、公私立高等学校連絡協議会の合意に基づきまして、公立と私立が相協力した就学対策で対応をしてまいりました。
そして、この急増ピーク時の昭和六十二年の私学のシェア三〇%を生徒減少期においても維持をするということで、昭和六十三年以降、公私七対三の比率で生徒を受け入れ、今日に至っておりますが、公私間の切磋琢磨による教育の質の向上の観点から、新しい公立、私立の在り方について現在検討をいたしておるところでございます。
こうした中、今回、この授業料の無償化に対応いたしまして、大阪府では、私立学校につきましても、平成二十二年度は、世帯収入三百五十万円未満につきましては、国の支援金と大阪府独自の授業料軽減助成を組み合わせまして無償化を図るということにいたしました。また、知事からは、平成二十三年度以降、その対象を更に拡充をしていきたいという、そういう方向性が示されているところでございます。
今回のこの授業料の無償化を契機といたしまして、公立と私立ができるだけ同じ競争条件で教育の質を競い合い、公立、私立併せた大阪の高校教育の発展につなげていきたいというように考えております。
最後になりますが、今日の厳しい状況にあります高校生が安心して勉学に打ち込める環境づくりのためにも、この無償化の実現に向けた御審議をよろしくお願いを申し上げまして、私の説明を終わらせていただきます。
どうもありがとうございました。