加納時男の発言 (本会議)
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○加納時男君 ただいま議題となりました地球温暖化対策基本法案について、私は自由民主党を代表して、鳩山総理並びに関係大臣に国益を考える立場から質問をいたします。
鳩山総理は、就任早々、国内的議論もないまま、国連の会合で国内の温室効果ガス排出量を二〇二〇年には一九九〇年比で二五%削減すると発表されました。その後、デンマークで開催されましたCOP15では、総理の存在感は薄く、政府が考えていたような成果は得られませんでした。産業界や労働団体を始め各方面から政府の地球温暖化対策を不安視する声が上がってきているにもかかわらず、議論を深めることもないままにこの度の法案提出となったことは極めて遺憾であります。
そもそも、この二五%という数字にどれほどの根拠があったのでしょうか。
総理は、国連演説で、科学が要請する水準に基づくものとして二五%削減と発言しておられます。その後、国会質疑等で、これはIPCCの知見を大きなよりどころにしていると言っておられます。ところで、私、読みましたIPCCのレポートには、二五%削減を要請するとはどこにも書いてありません。IPCCは、あくまでも様々な知見を集め多数のシナリオを提供する組織と理解しております。このような理解でよろしいですか。総理に伺います。
我が党が政権にあったとき、様々なモデルとシナリオを多くの審議会で、しかも公開で議論いたしました。技術開発の可能性も含めて、ぎりぎりの挑戦目標としたのが二〇二〇年に二〇〇五年に比べて一五%削減というものでありました。今回の政府案は、一九九〇年比二五%削減ですから、これを二〇〇五年比にしますと三〇%の削減となり、実に自民党の案の二倍になるものであります。そこで総理に伺います。真水分は一体そのうち幾らなんでしょうか。そして、国民の負担は幾らになりますか。
小沢環境大臣は、三月三十一日にロードマップの大臣試案を発表されました。これは、ある大学の一人の教授の作成されたモデルによって二五%削減の影響を分析したものがメーンとなっております。それによると、二五%削減しても経済や雇用にプラスになるとしています。これはおかしいのではないかということで、小沢環境大臣に伺います。
この大臣試案は、数あるシンクタンクや専門機関のモデルの中からなぜ特定のモデルを選んだのですか。都合のいい試算だったからですか。このモデルは、各省の大臣や専門家と議論、調整したものですか。環境省の中期モデルに関する専門家検討委員会がありますが、これは何回開催しましたか。また、このモデルについて、今後オープンな場で議論していくと衆議院で小沢環境大臣もこの大学教授も発言しておられますが、では伺います。今日までに具体的にどのような場で何回議論してこられましたか。そして、その結果、どのような知見や意見があり、これをどのように反映しておられますか。
総理に伺います。閣僚の中には、厳しい規制を掛けると技術も経済も進歩すると言って、マスキー法のときの対応を例示する方がおられます。あれは、公害という、現実に被害が生じ、かつ因果関係が明確になったため、世論の強力な後押しがあってあれは成功したことは私も認めます。しかし、このことと地球温暖化とは同列にならないのではありませんか。全く違うんです。日本だけが突出した厳しい目標を掲げても、世界全体で対応しないと意味がないのではありませんか。
最近、民主党の幹事長は、百四十三人もの国会議員をお連れになって中国を訪問されました。規制が技術と経済を進歩させる、盛んにそうおっしゃる方がおられます。そうお考えならば、総理は、党の代表として、米国や中国に大勢で出かけて大幅な削減目標を作るよう説得するお考えはありますか。
この二五%削減には、すべての主要国が公平で実効性ある国際枠組みや意欲的な目標などで合意できた場合との前提が付いています。前提が満たされるまでは発効せず、その前提が満たされて初めて発効するという、言わば停止条件付の珍しい法律であります。このような停止条件付の数値目標を掲げた法律はこれまで我が国にはなかったと、委員会では内閣法制局から回答がありました。
その上で総理に伺います。主要排出国である中国やアメリカは、意欲的な目標を示していますか。前提条件が成立しない場合はどうなるのですか。当然、中期目標は廃止又は訂正されるのでしょうか。この二つの前提条件はいつまでにだれが認定し、何をもって満たされたとするのでしょうか。長期目標については法案に記述があります。なぜ長期目標には前提条件が付いていないのですか。中期目標の前提条件がクリアされなくても、長期目標のために各種経済施策をやるというふうに法律に書いてありますけれど、これはおかしいんじゃありませんか。むしろ、中期目標をないがしろにするものではありませんか。
次に、個別施策について環境大臣にお尋ねをいたします。
国内排出量取引制度や地球温暖化対策税は一年以内に関連法を整備すると法案に書いてあります。これについて、環境省、経済産業省、外務省といった省庁間の意思統一は図られておりますか。特に、排出量取引では、排出の上限を総量目標にするのか、効率を重視する原単位方式も認めるかで閣僚間でも意見が対立したため、この法案には両論が併記されたと新聞では報じています。どのような議論があったんですか。具体的には、じゃどうされるのですか、伺います。
次に、再生可能エネルギーについてお伺いをします。
自然循環型で地産地消、クリーンなイメージを持って人気のある再生可能エネルギー、私はこれの熱烈な応援者のつもりであります。我が党も積極的に応援してきております。しかし、密度の薄いエネルギーであるためコストが高く、さらに自然や天候等に影響されるため稼働率が決定的に低い上に、出力変動が激しく、大規模化すると電力系統に実害を及ぼすことが世界各地で報告されております。この短所を補い長所を生かす、このためには、蓄電池の設置ですとかスマートグリッドの開発が急務だと考えられますが、どのように対処されますか。そして、その費用負担はどうするのですか。経済産業大臣に伺います。
補助したり高値で買い取ってもなお将来に向かって市場競争力の期待が薄い太陽光について、手厚い保護策は電力料金の高コスト化を招き、国民負担が巨大化するという意見があります。外国を見ても、国内産業を支援しようといった目算が狂って、外国の製品が流れ込んできて国民から非難が高まっているドイツのような国もあります。また、再生可能エネルギーの全量固定価格買取り制度は、投資するお金のない貧者から金を集め、投資できるお金持ちに所得移転をするものだという批判もあります。これについてはどう考えられますか。総理に伺います。
再生可能エネルギーについて、ドイツやデンマークが熱心で成果を上げているのに対して、日本は遅れていてとても惨めだといった新聞論調が一部に見られるのは、とても惨めなことでございます。そこで伺います。今例に挙がったドイツとデンマークでは、発電した電力量の基は何ですか。燃料別内訳を聞きます。太陽光、風力、水力、天然ガス、石炭、原子力、これだけで結構ですから、これについて、この二か国だけで結構です、ウエートの高い順に、キロワットアワーで見て何%なのか、高い順に示してください。経済産業大臣に伺います。
原子力発電の活用について伺います。
私どもは、原子力発電は二酸化炭素をほとんど出さず、今後のエネルギー安全保障と環境政策では有効な手段であると考えております。しかし、社民党は原子力推進の立場ではないと記憶しております。この度の政府案には原発の推進が盛り込まれましたが、社民党の脱原発はどうなるのでしょうか。福島党首率いる社民党は与党入りした途端に妥協が目立っています。福島大臣は、閣僚としての立場と党首としての立場をその場その場で都合の良いように使い分け、結果として何を言っているのか分かりにくい答弁が続いています。野党時代のあの歯切れの良い福島党首は一体どこに行かれたのですか。
社民党党首でもある福島大臣に伺います。この法案にある原発活用推進にあなたは賛成ですか、反対ですか。党首としては反対、閣僚としては賛成などとぬえのような答弁はせずに、イエスかノーかではっきり答えてください。
さて、衆議院での議論だけでもいかに政府案が穴だらけで実効性がないものかが見えてきました。議論はいよいよこれからだというところでの審議打切り、強行採決は極めて遺憾であります。繰り返しになりますが、政府の掲げる削減目標は、根拠が乏しい上にかなり厳しいものであると言わざるを得ません。何度政府の説明を聞いても、この数値は国民生活の多大なる犠牲の下でしか達成できないものではありませんか。
温暖化対策とは、今や次世代のエネルギーをめぐり国益を懸けた闘いでもあります。各国とも経済力、技術力、持てる力を出し切って熾烈な闘いを展開しているのが現実であります。
政府案では、我が国の国力は取り返しの付かないところまで衰退してしまうおそれがあります。現に、鳩山政権の温暖化政策に見切りを付けて国外に活路を見出す企業も出てきております。しかし、企業は国外に逃げることができても、働いている人たちは、労働者は逃げるわけにはいかないのです。このままでは日本が危ないのです。それゆえに、この質問の冒頭でも述べましたように、多くの産業団体や労働団体も、二五%という削減目標に強い不安、懸念と反対を表明しているのです。
先週、五月十四日付けの産経新聞に電子アンケートの調査結果が載っていました。それによると、二五%削減という中期目標については妥当でないが九三%、厳しい目標を掲げると経済成長につながるとは考えられないが九二%となっています。
結びに入ります。
鳩山総理、あなたには、激しい国際競争の中で経済と環境の同時実現を求めて苦悩している経済界の声、額に汗して働きながら価値を生み出すべく日夜努力している労働者の声、そして一日一日懸命に生きている国民の叫びが聞こえないのですか。雇用を増やしながら温室効果ガスを二五%も削減などという耳触りだけ良くて現実を無視したバラ色の公約を、普天間に続いて今再び国民に提示しようとしているのがこの法案です。しかし、国民は政府のそのようなやり方にはもはや決してだまされることはない、このことを申し上げて私の質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣鳩山由紀夫君登壇、拍手〕