2011-08-23
衆議院
藤澤洋二
海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会
藤澤洋二の発言 (海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会)
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○藤澤参考人 全日本海員組合組合長の藤澤と申します。
私も、かつてこのエリアを航海士として就航した経験を持っております。本日は、現在このエリアに就航している船員、海上から寄せられた意見、要望を中心にお願いをしたいと思います。
海洋貿易立国である我が国は、その経済安全保障を国家間の通商にゆだね、日本商船隊、日本人船員は大きな貢献を果たしてまいりました。
しかしながら、日本商船隊、そして日本人船員は、国家間の戦争状態から海賊行為、海事テロリズムまでの幅広い危険事象を含めて想定した国家対応を求める現実に置かれているのでございます。
国家の究極的な存在理由は、国民の安全保障にあり、国益は、突き詰めると、国民の生命と財産を守ることにあると考えております。
国家的見地に立った、船舶の運航における海上輸送のリスクは、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、ボスポラス海峡、スエズ運河、パナマ運河等の通航リスク、そして海賊行為、海事テロリズムに対するリスク、海峡封鎖リスクに大きく分類されると思います。
海洋貿易立国として、これらのリスクを処理するためにとり得る手段といたしましては、国家による防衛、沿岸警備隊や海上保安庁など海上法執行機関による直接対処方法が想定されます。
我が国においては、海上保安庁による警察権の発動が、邦船、邦人を守るベクトルとして最有力と考えます。政府は、一刻も早く、海上保安庁における大型巡視船の追加的保有に努めるべきであります。
ソマリア・アデン湾、インド洋、そしてアラビア海に北上する海賊略奪行為につきましては、国際運輸労連、ITFの船員部会、七十二万四千人構成でございますけれども、この国際会議におきましても、ハイリスクエリアへの船舶就航、就労拒否を主張する国が増大しています。
日本商船隊の安全運航に従事する日本人船員からも多くの声が寄せられました。
その多くは、アデン湾の海賊対策については一定の成果を上げており、感謝します。海賊略奪行為は、現在においてはインド洋において、最近はアラビア海、そしてホルムズ海峡近郊に北上していますし、インド西岸域にも進出しています。このような現状におきましては、インド洋域にも多国籍軍による護衛を望みます。
去年の秋ごろから、アラビア海全海域に海賊が出没し、現状では一日に三から五件の襲撃事件が発生しています。一方、アデン湾は安全回廊があり、海賊被害は減りました。しかし、母船方式による新たな海賊略奪行為が横行し始めました。母船となる船は補油や食料の積み込みをするはずであり、まず母船を拿捕し、海賊の行動範囲を縮小させるべきです。特に、日本経済へ重大な損害を及ぼすペルシャ湾航路就航船につきましては、国の対応として重点護衛対処をお願いします。
航行警報によれば、セキュリティーチームが乗船していることで海賊行為を回避できたとの事例もありました。セキュリティーチーム等も検討すべきと思うし、それができないのであれば、危険海域航行中は警察権を有する人間、警察官、海上保安官等に武器を携行させて乗船させてはいかがでしょうか。
欧州—極東航路就航船からは、現在の海賊活動範囲は安全回廊を大きく越えています。本船はコンテナ船特有の速い足で駆け抜けることができますが、被弾する可能性などはリスクとして変わりません。昨今の被弾事件にかんがみ、鉄板にてポールドを防護するぐらいしかできなく、恐怖を感じながらの航行です。
本船は一カ月に一回のペースでアラビア海を航行していますが、海賊襲撃に対して本船でできる具体的な手段は放水ぐらいしかありません。ほとんど丸腰であり、乗り込まれたら手の打ちようがありません。
海賊危険エリアは保険等においても明確化されており、危険と認定されているのですから、それなりの対策が政府や関係機関でとられるべきです。結果が何も出ず、海上において不安な日々を過ごしております。
これは、現場の海上から上げられてきた意見、要望でございます。
ここで、諸先生方に訴えたいのは、かつての海賊略奪行為といたしましては、東南アジア、特にインドネシア・スマトラ島とマレー半島に挟まれるマラッカ海峡を中心に頻繁に出没し、多数の船が被害を受けました。積み荷のほかに乗組員の現金が奪われましたが、海賊は、元来マシンガンやロケットランチャーなど近代兵器を備えているのが特徴でございます。国際シンジケート、それに準ずるものが、沿岸国の政情不安に乗じて、沿岸の貧困漁民による船舶の襲撃と金品の略奪行為を激化させたと言われております。
実例といたしまして、一九九七年、タイのバーツ切り下げとともに、アジア金融危機を契機に年々増加の一途をたどり、海賊は組織化、凶悪化、ビジネス化した経験を持っております。ソマリアの無政府状態のもとで生じている海賊問題と重ね合わせることができると思います。
我が国は、東南アジア各国へ海上警察組織の立ち上げを支援し、海上保安庁による合同訓練を行い、現実に海賊は減少しておりますが、これは高度な当時の政府判断、賢明な行政指導によるものと思います。
現在のソマリア海賊につきましては、二〇〇七年十月、日本のケミカルタンカーが乗っ取られ、二〇〇八年、先ほど御案内のように、大型タンカーがロケット弾による攻撃を受け被弾しました。この時期、国連決議に基づき、アメリカ、ロシア、EUが共同して駆逐艦を派遣し、海賊掃討を目指しています。
日本も、海上自衛隊を派遣し、日本商船隊を護衛しています。護衛手段は、威嚇射撃とLRADによる警告音などです。また、我が国は、国際的な情報共有や連絡体制の整備の必要性について言及しています。
海上自衛隊は極めて高い評価を受けていますが、それは、直接護衛方式の採用、護衛スケジュールの正確性、そして護衛船団に対する海賊行為が皆無であるという点で、各国からも高く評価されております。
ソマリア海賊対処における問題は、海賊行為は国際犯罪であり、旗国主義の適用による保護を受けず、その処罰は、公海上で海賊船舶を拿捕した国家にゆだねられます。拿捕を行った者の国籍及び海賊船舶の船籍にかかわらず、すべての国が取り締まりや処罰を行うことができますが、ここが問題でございまして、各国におきましては、拿捕した者の裁判、身柄の勾留が非常に困難ということで、解放している国もある次第でございます。こういったことから、ソマリアにおける刑務所の増設が急がれております。
最後に、政府そして国会議員の先生方に要望いたします。
護衛頻度を増加するなど、護衛活動をより効果的に実施していただきたい。中長期的には、国際機関と連携し、沿岸諸国の連携した海上警備活動の確立、強化、同時に、海賊を発生させている地域の民生の安定と治安体制の確立に貢献していただきたい。マラッカ海峡の海賊対策においては、近隣諸国の協力と、特に日本からの警備艇の供与とその教育訓練などが大きな成果を上げていることに留意していただきたいと思います。
日本商船隊は、日本から、南シナ海、バシー海峡、シンガポール海峡、マラッカ海峡、そしてホルムズ海峡、アデン湾を往来します。
海上保安体制の確立のもとで、これらの船舶の就航航路の選択、確保に政府もかかわっていただきたいし、就航船に対する安全保障に貢献していただきたいと思います。そして、ソマリア治安の維持に向けた内政干渉、食料の安全性確保、感染症の予防、沿岸漁民の生活権確保などによる海賊撲滅に日本が中心的役割を果たしていただきたいと思います。
どうか、よろしくお願いいたします。(拍手)