海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別委員会

2011-08-23 衆議院 全114発言

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会議録情報#0
平成二十三年八月二十三日(火曜日)
    午後二時三分開議
 出席委員
   委員長 松原  仁君
   理事 岡島 一正君 理事 楠田 大蔵君
   理事 首藤 信彦君 理事 武正 公一君
   理事 中野  譲君 理事 武田 良太君
   理事 中谷  元君 理事 赤松 正雄君
      稲富 修二君    小原  舞君
      緒方林太郎君    奥野総一郎君
      加藤  学君   菊池長右ェ門君
      小林 正枝君    斉木 武志君
      坂口 岳洋君    玉木雄一郎君
      中塚 一宏君    中野渡詔子君
      中林美恵子君    長島 一由君
      浜本  宏君    早川久美子君
      藤田 大助君    藤田 憲彦君
      三村 和也君    水野 智彦君
      宮島 大典君    森山 浩行君
      渡辺浩一郎君    稲田 朋美君
      岩屋  毅君    江渡 聡徳君
      谷川 弥一君    徳田  毅君
      西村 康稔君    浜田 靖一君
      松浪 健太君    望月 義夫君
      石井 啓一君    赤嶺 政賢君
      服部 良一君    山内 康一君
    …………………………………
   参考人
   (日本郵船株式会社代表取締役・専務経営委員)   諸岡 正道君
   参考人
   (社団法人日本船主協会会長)           芦田 昭充君
   参考人
   (社団法人日本船長協会会長)           小島  茂君
   参考人
   (全日本海員組合組合長) 藤澤 洋二君
   参考人
   (獨協大学外国語学部教授)            竹田いさみ君
   衆議院調査局海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する特別調査室長           湯澤  勉君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件
     ————◇—————
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松原仁#1
○松原委員長 これより会議を開きます。
 海賊行為への対処並びに国際テロリズムの防止及び我が国の協力支援活動等に関する件について調査を進めます。
 本日は、本件調査のため、参考人として、日本郵船株式会社代表取締役・専務経営委員諸岡正道君、社団法人日本船主協会会長芦田昭充君、社団法人日本船長協会会長小島茂君、全日本海員組合組合長藤澤洋二君及び獨協大学外国語学部教授竹田いさみ君、以上五名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 最初に、諸岡参考人、芦田参考人、小島参考人、藤澤参考人、竹田参考人の順に、お一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言の際は委員長の許可を得ることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。
 それでは、まず諸岡参考人、お願いいたします。
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諸岡正道#2
○諸岡参考人 日本郵船株式会社代表取締役の諸岡でございます。
 このたびは、我が国経済を支えるアジアと中東、欧州、アフリカとを結ぶ大通商路を崩壊させかねないリスクのあるソマリア・アデン湾並びにインド洋における海賊問題に関しまして、弊社の意見、要望を述べさせていただく機会をいただき、まことにありがとうございます。
 初めに、二〇〇九年の海賊対処法により、ソマリア・アデン湾に海上自衛隊の護衛艦や哨戒機を派遣していただき、海賊対処活動に御尽力をいただいております日本国政府並びに国会議員の皆様、関係者の皆様に対しまして、厚く御礼を申し上げます。
 しかし、海賊問題の現状に目を向けますと、我が国を初めとした各国の懸命な対策にもかかわらず、残念ながら、身の代金目的の人質事件など、海賊による被害はますます急増、凶悪化し、また、発生海域も広域化しており、今後さらなる海賊・テロ対策が強く求められている状況でございます。
 本日は、日本船主協会より芦田会長が御出席されておりますので、ソマリア・アデン湾並びにインド洋における昨今の海賊事件の概要説明と、海運業界における海賊対策の現状並びに要望につきましては、後ほど芦田会長よりお話しいただくことになろうかと存じます。
 よって、私からは、実際昨年十月にハイジャックをされました、私ども日本郵船の完全子会社であります日之出郵船株式会社が運航していました貨物船イズミの事例を御紹介させていただき、あわせて弊社の要望を述べさせていただきたいと思います。
 本船イズミは、フェアフィールドシッピングという会社が所有している船舶で、日之出郵船がフェアフィールド社から同船を借り受け、運航を行っておりました。
 同船の概要につきましては、お配りした資料に記載されておりますように、総トン数一万四千百六十二トン、全長百四十七メートル、乗組員は全員フィリピン人で、二十名が乗船しておりました。
 同船は、日本と東アフリカの間を三カ月間で一巡する定期航路に従事しており、事件が発生した航海では、昨二〇一〇年八月三十一日に神戸、九月十二日に君津で鉄鋼製品や雑貨一万七千四十トンを積み、九月二十二日にシンガポールで燃料油を積んだ後、ケニアのモンバサ向けに航海を開始しました。
 モンバサに至るまでの航路は、海賊の出没が多数報告されている海域を通る直行航路を避け、安全だと言われていたマダガスカル島の南端からアフリカ諸国の領海内を通過する迂回航路を選定しておりました。航路の概要は、お配りした資料に記載しております。
 また、インド洋を航行中から、万一海賊に襲撃された場合でも容易に乗り込むことができないよう、船体の周囲に有刺鉄線を張りめぐらし、さらに、操舵室の見張り員を増員しておりました。航行速力は全速力の約十三ノット、時速に換算すると約二十四キロで、同船の安否に関しては、船長からの報告とともに、弊社の船舶動静管理システムでも毎日確認しておりました。
 モンバサには現地時間の十月十日十一時に到着予定でしたが、到着の約二時間前、八時五十三分に、同船が異常を知らせる船舶警報通報装置を作動させました。その後、フェアフィールドシッピング社、日之出郵船並びに弊社の安全運航を担当する部署が同船に連絡をとりましたが、いずれも連絡をとることはできませんでした。
 その後、同船の付近を航行していたEU軍のデンマーク艦船がハイジャックされていることを確認し、その事実が国土交通省経由、日之出郵船に連絡された次第です。ハイジャックされた地点は、タンザニア領ペンバ島東方沖約十五キロの海域です。
 その後、同船はソマリア沖に拘束され、本年二月二十五日に解放されました。遺憾ながら、拘束されている間、海賊の母船として使われていた模様です。
 人質となった船員や本船の被害に関しましては、同船の備品や乗組員の貴重品、現金などが盗難に遭い、船室のドアや床が損傷を受けましたが、乗組員に危害が加えられた様子はありませんでした。
 日之出郵船は、今回の事件以降、安全な航海を確保する有効な手段がないという理由で、東アフリカ航路を中断しております。同社は欧州航路も運営しておりますが、海賊行為がアデン湾のみならず、インド洋北西部、紅海南部で多発し危険なことから、スエズ運河を通過せず、アフリカ南端の喜望峰を迂回する航路を選定せざるを得ない状況でございます。
 ペルシャ湾方面への配船は、最短航路をとらず、インド沿岸を航行する迂回措置をとっております。日之出郵船のみならず弊社の他のグループ会社でも、航路の休止や迂回による燃料費の増大など大きな影響を受けております。
 また、一九九六年以来、十五年連続して運航している弊社客船飛鳥の世界一周クルーズも、昨年、ことしと二年連続して、スエズ運河通航から引き続き地中海クルーズを断念したため、一部乗客の予約取り消し等、客船運航面においても経済的なダメージを受けております。
 以上、本船イズミのハイジャック事件を御紹介いたしましたが、同船以外にも数隻の弊社関係船が海賊の被害を受けております。特に、二〇〇八年四月に、原油を満載しましたタンカー高山がアデン湾で襲撃された事件は日本でも大きく報道されました。その他の事件に関しましては、お手元の資料に記載してあるとおりでございます。
 仮に、このまま凶悪化する海賊行為への対処を放置した場合、私どもが危惧いたしますことは、現在、四百人前後の船員を海賊に拘留されているわけですが、フィリピンやインド等の船員供出国が、適切な海賊対処を行わない国が運航する商船への乗船を拒否する事態でございます。
 我が国の海運会社が運航する外航商船の船員のうち、外国人船員は約九五%を占めていると言われております。これらの船員が乗船拒否するような事態が発生することとなれば、我が国の商船の運航は全く成り立たず、石油、LNGなどのエネルギー、食料、鉄鉱石の輸入も、また自動車、機械などの輸出も途絶えてしまいかねません。
 ペルシャ湾の出入り口に当たるホルムズ海峡は、我が国の原油輸入量の約八八%、一億六千万トン、LNG輸入量の約二六%、千六百万トンが通過する資源エネルギーの最大通商路です。また、紅海、アデン湾は、欧州、アフリカ諸国との工業品、消費財、エネルギーの重要な通商路です。
 これらの地理的なリスクに加え、船員供出国の乗船拒否リスクもあわせると、冒頭で申し上げましたとおり、ソマリア・アデン湾並びにインド洋における海賊問題は、我が国経済を支えるアジアと中東、欧州、アフリカを結ぶ大通商路を崩壊させかねないリスクであると御理解いただけるものと思います。
 ますます広域化、凶暴化する海賊行為に対処する有効手段としては、後ほど日本船主協会より、海上自衛隊の護衛艦または補給艦の追加派遣や日本籍船への武装警備員の乗船を可能にする措置など、具体的な要望が挙げられます。
 特に、国際的には、武装警備員を乗船させてハイジャック対策を施している傾向が見られますため、弊社も、これら具体策の実現、実施に向けた御検討を強くお願いするところでございます。
 また、ソマリアにおける海賊問題の抜本的な解決策として、海賊行為はおいしいビジネスではないということを認識させ、海賊行為を抑止する施策を重ねていくことが重要であるかと思います。
 具体的には、海賊を厳正に処罰するための国際法、裁判システムの整備、周辺国の海上警戒態勢整備への積極的援助、さらには、疲弊するソマリア社会への人道、治安維持、インフラ整備のための支援や協力について、国連や国際海事機構など、国際的な機構、枠組みの中で、我が国が今後とも積極的に取り組んでいただきたいと思います。
 これこそ、三月の大震災で各国から多大な支援を受けた我が国の、世界各国に向けた返礼の一部になるものだと信じております。
 国会議員の皆様方の強力なリーダーシップをお願い申し上げます。
 私からの意見、要望は以上でございます。どうもありがとうございました。拍手
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松原仁#3
○松原委員長 ありがとうございました。
 次に、芦田参考人、お願いいたします。
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芦田昭充#4
○芦田参考人 日本船主協会会長の芦田でございます。
 本日は、海賊問題に関する当協会の意見、要望を述べさせていただく機会をいただき、まことにありがとうございます。
 また、二〇〇九年三月よりアデン湾において実施していただいています海賊対処活動により、これまで二千隻を超える商船が海賊の襲撃を受けることもなく安全に航海することができました。日本国政府、並びに国会議員の皆様を初めとして海賊問題に関係されているすべての皆様の御尽力に対しまして、厚くお礼申し上げます。
 七月に行われましたジブチにおける航空隊拠点の開所式典には、私以下十一名の当協会メンバーが参加させていただきましたが、実際に現地を訪問いたしまして、酷暑の中で海賊対処活動に従事されている自衛隊、海上保安庁、さらには現地大使館の皆様の御苦労の一端に触れまして、心から感謝申し上げると同時に、大変お礼を申し上げてまいりました。
 ところで、本日は、せっかくの機会でございますので、ソマリア・アデン湾における海賊事件の概況、海運業界における海賊対策の現状、さらには海運業界としての要望について簡単に述べさせていただきます。
 まず初めに、ソマリア・アデン湾における海賊事件の概況についてですが、二〇〇七年以降にふえ始めた海賊事件発生数は、二〇〇七年の百二十件から、二〇〇八年には百八十九件、二〇〇九年には二百六十四件へと急増しています。昨年の二〇一〇年も二百五十九件とほぼ横ばいながら高い水準で推移いたしましたが、本年に入ってからの海賊事件発生件数は昨年を上回る勢いで増加しており、八月十二日現在で百七十九件の事件が発生しています。
 また、発生海域で見ますと、各国軍が展開しているアデン湾での発生件数が減少傾向にあるのに対して、ソマリア東方沖、特にオマーン沖のアラビア海での海賊事件数が急増しています。EU軍の調べによれば、八月十五日現在、十七隻の船舶が拘束され、三百七十八名もの船員が人質として捕らえられています。
 海賊事件の発生数もさることながら、最も懸念されるのは、海賊の襲撃海域が、アデン湾及びソマリア東方沖から、より北方のオマーン沖、さらにはより東方のインド沿岸に近いアラビア海全域にまで拡大し、日本経済の生命線とも言えるペルシャ湾と我が国、極東を結ぶ航路までが海賊の脅威にさらされているという現状にあります。
 ことしに入ってから五隻の日本関連船舶が海賊の襲撃を受けました。資料の中で一から五の数字で示しています。五隻のうち四隻がアラビア海で、残る一隻が紅海において襲撃されました。
 このうち、数字の「1」で示したものがペルシャ湾に就航していた船舶です。この海域には、油タンカーやLNG、これは液化天然ガスでございますけれども、LNG運搬船などの危険物積載船を中心として、年間約三千四百隻の船舶が就航しています。
 この船舶は、本年二月、原油約三十万トンを満載し、ペルシャ湾より極東に向けて航行中、二隻の小型ボートに分乗し、RPG、これはロケット砲でございますけれども、それと自動小銃で武装した海賊によって約二十分にわたり発砲を受けましたが、現場付近を哨戒中の外国軍艦艇が駆けつけたことによって海賊の攻撃から逃れることができました。
 また、本年三月には、燃料油十万トンを満載した当協会関係会社の運航するタンカーも海賊の襲撃を受け、一たんはハイジャックされながらも、現場に急行した米軍により解放されるという事件が発生いたしました。数字の「3」で示された事件です。この船舶はペルシャ湾に就航する船ではありませんでしたが、ペルシャ湾への航路付近で発生した事件であります。
 このように、ペルシャ湾に就航する船舶の安全が脅かされるのは、我々海運業界にとっても極めて深刻かつ懸念される事態であります。
 海運各社は、国連や各国軍の監修による海賊対策指針を遵守し、関係先への位置通報、海賊の襲撃に備えた準備や対策に努めるのは当然のこと、危険なアデン湾海域を避けるために、相当な遠回りを覚悟して喜望峰経由で欧州に向かう迂回航路を採用する、あるいは、ペルシャ湾就航船についても、最短航路ではなく、より安全なインド沿岸寄りの航路を航行するなどして、海賊による襲撃のリスクを軽減するよう努めています。
 船舶における具体的な対策としては、有刺鉄線やレーザーワイヤ、放水銃、防弾ヘルメットやチョッキ、夜間用の暗視装置、窓ガラスの飛散防止フィルムといった対策を採用して海賊の襲撃に備えています。最近は世界的な傾向として、シタデル、これは海賊に襲撃された際に船内の特定場所に籠城するための設備であります、このシステムの採用、あるいは、非武装または武装した保安要員を船舶に乗船させる事例が増加しています。また、日本関係船社におきましても、各社の判断により、こうした籠城設備や保安要員を採用する会社がふえる状況にあります。
 このうち、武装した保安要員の乗船につきましては、旗国の、旗国と申しますのは船舶の籍を置いている国であります、旗国の法律が適用されるため、これまでは民間人が船内に武器を持ち込むことを禁止する国が数多く存在していました。しかしながら、海賊事件の発生海域が各国艦艇による護衛や哨戒活動が及ばない海域にまで拡大していることから、これまで船内への武器持ち込みには慎重な立場をとってきた欧州諸国の多くもこれを認める方向にかじを切っています。
 具体的には、自国の軍隊を武装ガードとして乗船させる、あるいは民間の武装ガードが自国籍船に乗船できるよう所要の法改正を実施していると認識しています。
 なお、我が国においては、民間人による船内への武器の持ち込み、すなわち民間の武装ガードを日本籍船に乗船させることは認められていません。
 以上、簡単に、ソマリア・アデン湾における海賊事件の概況、海運業界における海賊対策の現状について説明させていただきました。
 海運各社としましても、海賊事件の増加、凶悪化に対抗するため、できる限りの海賊対策を実施しているところではありますが、船舶における自衛措置にはおのずと限界があります。
 特に、ペルシャ湾に就航する船舶の安全が危惧される状況にあることから、スリランカ南端からペルシャ湾、ホルムズ海峡に至る航路を含むインド洋及びアラビア海の全海域において、有効な海賊対処行動が実施できるよう行動海域を拡大することが必要との観点から、三点要望させていただきたいと思います。
 お配りしている資料、要望事項にありますとおり、一点目は、護衛艦または補給艦の追加派遣であります。
 二点目は、日本籍船への武器持ち込みが認められていない現状から、日本籍船への公的武装ガード、自衛隊員、海上保安官等でございますけれども、この乗船、これが不可能な場合は、民間武装ガードの乗船を可能とする措置の実現であります。
 最後に、中長期的な課題となりますが、海賊事件の根本的な解決を図るために、ソマリア国の安定化に向けた国際的な支援が必要不可欠となることから、我が国としても積極的な支援をお願いしたいと思います。
 また、当面は、各国による海賊対処活動、艦艇、哨戒機等の派遣でございますけれども、この継続、強化及び国連や国際海事機関における取り組みなど、海賊問題に対する国際的な取り組みの強化に関しましても、引き続き我が国のリーダーシップに期待したいと思います。
 以上、当協会の要望を申し上げました。実現に向けて御検討いただきますようお願い申し上げます。
 ありがとうございました。拍手
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松原仁#5
○松原委員長 ありがとうございました。
 次に、小島参考人、お願いいたします。
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小島茂#6
○小島参考人 日本船長協会会長小島茂です。よろしくお願いいたします。
 本日は、こういう場に呼んでいただきまして、発言できることを非常に感謝しております。こういうところに来たのは初めてで、船長になって初めて船に乗っていったときと同じように非常に緊張しておりますので、よろしくお願いいたします。
 きょうは、私、船で、現場で働いている船長、乗り組みの代弁ということで発言したいと思います。
 まず、アデン湾に派遣していただいています護衛艦に乗船している自衛官の方、それから海上保安庁の保安官の方、それとジブチの基地で働かれている隊員の方及び関係者に深く感謝を申し上げます。
 さて、船長は船では最高責任者です。安全運航、それから貨物の安全管理の責任及び乗り組み全員の安全を守る大きな責任を持っております。乗り組みは船では家族と一緒で、またその乗組員たちも一人一人、国に家族がいます。
 今、芦田会長も述べられたように、海賊の活動域が最近非常に広くなってきております。それと、悪質、辛らつ、武器も高度化していると聞いております。
 現在、アラビア海は、西風の強い、それからうねりが高くなって、モンスーンシーズンです。これが十月ごろまで続きます。だいたい六月ごろから十月ごろまでなんです。うねりも五メートルから六メートルぐらい立つんです。
 普通ですと、漁船とか小型船は沿岸から遠くまではちょっと行けない状況なんですが、海賊の件数がふえております。減っておりません。これは、先ほども話されたように、母船が、大きな船が捕まって、母船からということで、海賊の行為が減らないと私は思っております。その中には、先ほどのように、やむを得ず、不本意ながら、人質になって、おどされて運航作業をさせられているというのも現実です。
 このモンスーンシーズンが十月に終わった後、また海賊行為がふえるのではないかと非常に危惧しております。
 それで、海賊行為の増加、それから広域範囲に広がっているということで、より効率的に監視、追撃ができるように、そして多くの船を守っていただくために、ぜひとも自衛艦追加派遣、または補給艦の追加派遣をお願いしたいと思います。
 日本人船員含めて乗組員みんな頼もしく思うし、国に残してきている家族の心配も和らぐのではないかと思います。ぜひともお願いしたいと思います。
 実際に襲撃を受けている船からのVHF、これは船舶電話なんですけれども、護衛艦に助けを求めている悲痛な声が頻繁になっているということを聞いております。
 私も、船をおりてからもう十一年になるんですけれども、現役のときに、スリランカ・コロンボ港の沖で沖待ちをしているときに、同じように、私はそのとき、いかりを入れずにエンジンをとめて潮に流していたんですけれども、この地域はかなり襲撃が多いという警告は受けていました。ちょうどインド系のタミール人のゲリラが多かったときなんですけれども、本船はライトをたくさんつけて、それから見張りを増して、定期的な巡見をしておりました。
 そして、ミッドナイトごろに、近くにいた船から、VHFでポートオーソリティーに、今、武装した賊が乗り込んできた、助けてほしいという連絡をしているのが聞こえてきました。ポートオーソリティーは、そのままいろ、今からスリランカの海軍が向かうから、ただし抵抗はするなよということを言って、その後応答がなくなりました。その後どうなったか、ちょっと確認はしていませんでした。
 それからまた、先日、ある情報ソースから、ソマリアの海賊に人質になっているデンマークの船の船長、機関長、一等航海士それから甲板長が機関銃を突きつけられて、囲まれて、悲痛な、悲壮な訴えかけをしている映像がありました。
 その船は、ことしの一月から捕らわれている、非常に暑くて食事もとれない、衛生環境が非常に悪い、それから、精神的に参っています、家族とも一度も連絡をとれていない、お願いですから身の代金を払ってください、自由にしてください、助けてください、お願いですという映像でした。非常に卑劣な行為でした。
 武器もかなり強力化してきておりまして、聞くところによりますと、イスラム原理主義者への上納金と引きかえに武器を手に入れているということも聞いております。
 本船の方も、先ほど芦田会長が言われたようにいろいろなことをやっております。見張りは十分にやっておりますし、サーチライト、夜間暗視装置。それから、レーザーワイヤ、先ほども言いましたが、普通の有刺鉄線よりもっと、さわるとすぐ手が切れちゃう、ひげそりの刃のようなものを船の周りにずっと回しております。それから、高水圧の放水機、消防の放水のああいうものですね、高圧でやります。それから、弾が当たったときガラスが飛散しないような飛散防止のテープもガラスに張っております。防弾チョッキ、それから防弾ヘルメットも用意しております。
 それと、先ほど言ったシタデルという、エンジンルームそれから操舵機室、この辺に囲いをしっかりつくって内側からロックできるようにする。賊に侵入されたときに全員がそこに立てこもる。大体三日間ぐらいをめどにそこで立てこもって、通信装置もしっかり設置して、護衛艦の到着を待って、それから交戦の間はそこに隠れているということで、かなりの効果があらわれている船も何隻かあります。
 操船の方については、スピードのある船は逃げられるんですけれども、余りないような船についても、とにかく増速、できる限りスピードアップしたり、それからジグザグ走行して振り切るということもトライしているそうです。
 それから、現在、あのエリアは漁船もかなり出るんですけれども、ただ、漁船が、その中に突如として海賊に早変わりする船が紛れていたりするそうです。
 このアラビア海は、私もペルシャ湾に何度も行ったんですけれども、ペルシャ湾の暑い中で積み荷をして、ホルムズ海峡をやっとこ出てきて、アラビア海を航行するんですが、このあたりからスリランカの沖ぐらいまでは一息入れるエリアなんです。その後また、マラッカ、シンガポールと難所が待っているんですけれども、この本当に一番ほっとする海域。
 それから、ヨーロッパからのコンテナ船も、スエズ運河を抜けて、紅海を抜けましてアデン湾、それからソコトラ島という島があるんですけれども、そこを過ぎると本当はほっとするエリアなんですが、現実はそこが一番注意しなくちゃいけないエリアになってしまいまして、船も非常に大変な状況になっております。とにかく小さな船を見ると、漁船なのに海賊船、すぐそういうことでストレスがたまっていくということです。
 それから、週刊タイム八月第一週号に、タイムの記者がソマリアの海賊のリーダー、親分と会って話を聞き出したという記事がありました。
 ソマリアの海賊、とにかく今、何人捕まえても、次から次にソマリアの若いジェネレーションの人たちは海賊になりたいということで控えているということです。
 このリーダーは、我々はどんなことをされても海賊行為はやめないぞということを言っているということです。
 もう皆さん御存じかと思うんですが、ソマリアの沖でほかの国の漁船が魚を乱獲したり、産業廃棄物、ごみをどんどん捨てまくった、これは非道な、大きな罪だということを言っておったということです。それから、母船として捕まえた場合は、乗り組みに、命をとられるか命令に従うかどっちだ、抵抗する場合はすぐ殺すぞとおどしているそうです。
 ソマリアという国をこれから本当の国らしくしていくにはどうしたらいいかということは悩ましいことです。それから、先ほどもあれなんですけれども、日本の経済は船なしでは成り立ちません。その船を安全に運航するのは我々船乗りです。
 ロケットランチャーをいとも簡単に発射したり、凶暴化している海賊は、現場の船長、乗り組みにとっては非常に脅威です。彼らの命を守るためにも、ほとんどの船長の意見、要望は、自衛をできる装備を持ったガードの乗船です。
 乗り組みの毎日のストレスは非常に大変です。ぜひ、日本籍船への武装ガードを乗せられるようにお願いしたいと思います。
 この場合、いろいろ法律の整備、改定が必要になるかと思いますが、早急な対応をお願いしたいと思います。
 外国人船員の中には、ソマリア沖へ行く船には乗りたくないと、他の国の会社に転じていく船乗りもかなり多いです。
 ソマリアの海賊行為の根本的原因は、貧困と打ち続く部族間の内戦、統一政府の確立が進まないことにあると思います。自助努力もありますが、国連を通して一日も早く国際的な取り組みの強化を進めていただきたく思います。
 あと、日本船長協会は、平成十二年から、船長母校に帰るということで、子供たちに海と船を語るという活動を進めてきました。ことしで十一年目になります。
 全国の小学校、中学校を訪問しまして、生徒に海と船のことを話してまいりました。海と船に興味を持ってもらう活動です。既に全国で九十五校を回り、約一万九千人の生徒に聞いてもらいました。
 その講義の後、質疑応答をするんですが、必ず、今でも海賊はいるんですかという質問があります。それの答えは、残念ながらいますという答えになります。しかし、君たちが船に乗るころには海賊はいなくなっているよ、だから安心して勉強してくださいという答えにしています。これは本当に実現させないといけないと思います。これは我々の役目だと思います。
 最後に、もう一度要望を申し上げたいのは、まず、海賊襲撃エリアの拡大に対応して、護衛艦の追加派遣、または補給艦の派遣をお願いしたいと思います。それと、日本籍船への武装ガードの乗船の実現化。それから三番目に、国際的に、海賊問題の根本解決へ向けて、IMO、国際連合を通して活動を積極的に進めていっていただきたく思います。
 以上です。ありがとうございました。拍手
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松原仁#7
○松原委員長 ありがとうございました。
 次に、藤澤参考人、お願いいたします。
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藤澤洋二#8
○藤澤参考人 全日本海員組合組合長の藤澤と申します。
 私も、かつてこのエリアを航海士として就航した経験を持っております。本日は、現在このエリアに就航している船員、海上から寄せられた意見、要望を中心にお願いをしたいと思います。
 海洋貿易立国である我が国は、その経済安全保障を国家間の通商にゆだね、日本商船隊、日本人船員は大きな貢献を果たしてまいりました。
 しかしながら、日本商船隊、そして日本人船員は、国家間の戦争状態から海賊行為、海事テロリズムまでの幅広い危険事象を含めて想定した国家対応を求める現実に置かれているのでございます。
 国家の究極的な存在理由は、国民の安全保障にあり、国益は、突き詰めると、国民の生命と財産を守ることにあると考えております。
 国家的見地に立った、船舶の運航における海上輸送のリスクは、ホルムズ海峡、マラッカ海峡、ボスポラス海峡、スエズ運河、パナマ運河等の通航リスク、そして海賊行為、海事テロリズムに対するリスク、海峡封鎖リスクに大きく分類されると思います。
 海洋貿易立国として、これらのリスクを処理するためにとり得る手段といたしましては、国家による防衛、沿岸警備隊や海上保安庁など海上法執行機関による直接対処方法が想定されます。
 我が国においては、海上保安庁による警察権の発動が、邦船、邦人を守るベクトルとして最有力と考えます。政府は、一刻も早く、海上保安庁における大型巡視船の追加的保有に努めるべきであります。
 ソマリア・アデン湾、インド洋、そしてアラビア海に北上する海賊略奪行為につきましては、国際運輸労連、ITFの船員部会、七十二万四千人構成でございますけれども、この国際会議におきましても、ハイリスクエリアへの船舶就航、就労拒否を主張する国が増大しています。
 日本商船隊の安全運航に従事する日本人船員からも多くの声が寄せられました。
 その多くは、アデン湾の海賊対策については一定の成果を上げており、感謝します。海賊略奪行為は、現在においてはインド洋において、最近はアラビア海、そしてホルムズ海峡近郊に北上していますし、インド西岸域にも進出しています。このような現状におきましては、インド洋域にも多国籍軍による護衛を望みます。
 去年の秋ごろから、アラビア海全海域に海賊が出没し、現状では一日に三から五件の襲撃事件が発生しています。一方、アデン湾は安全回廊があり、海賊被害は減りました。しかし、母船方式による新たな海賊略奪行為が横行し始めました。母船となる船は補油や食料の積み込みをするはずであり、まず母船を拿捕し、海賊の行動範囲を縮小させるべきです。特に、日本経済へ重大な損害を及ぼすペルシャ湾航路就航船につきましては、国の対応として重点護衛対処をお願いします。
 航行警報によれば、セキュリティーチームが乗船していることで海賊行為を回避できたとの事例もありました。セキュリティーチーム等も検討すべきと思うし、それができないのであれば、危険海域航行中は警察権を有する人間、警察官、海上保安官等に武器を携行させて乗船させてはいかがでしょうか。
 欧州—極東航路就航船からは、現在の海賊活動範囲は安全回廊を大きく越えています。本船はコンテナ船特有の速い足で駆け抜けることができますが、被弾する可能性などはリスクとして変わりません。昨今の被弾事件にかんがみ、鉄板にてポールドを防護するぐらいしかできなく、恐怖を感じながらの航行です。
 本船は一カ月に一回のペースでアラビア海を航行していますが、海賊襲撃に対して本船でできる具体的な手段は放水ぐらいしかありません。ほとんど丸腰であり、乗り込まれたら手の打ちようがありません。
 海賊危険エリアは保険等においても明確化されており、危険と認定されているのですから、それなりの対策が政府や関係機関でとられるべきです。結果が何も出ず、海上において不安な日々を過ごしております。
 これは、現場の海上から上げられてきた意見、要望でございます。
 ここで、諸先生方に訴えたいのは、かつての海賊略奪行為といたしましては、東南アジア、特にインドネシア・スマトラ島とマレー半島に挟まれるマラッカ海峡を中心に頻繁に出没し、多数の船が被害を受けました。積み荷のほかに乗組員の現金が奪われましたが、海賊は、元来マシンガンやロケットランチャーなど近代兵器を備えているのが特徴でございます。国際シンジケート、それに準ずるものが、沿岸国の政情不安に乗じて、沿岸の貧困漁民による船舶の襲撃と金品の略奪行為を激化させたと言われております。
 実例といたしまして、一九九七年、タイのバーツ切り下げとともに、アジア金融危機を契機に年々増加の一途をたどり、海賊は組織化、凶悪化、ビジネス化した経験を持っております。ソマリアの無政府状態のもとで生じている海賊問題と重ね合わせることができると思います。
 我が国は、東南アジア各国へ海上警察組織の立ち上げを支援し、海上保安庁による合同訓練を行い、現実に海賊は減少しておりますが、これは高度な当時の政府判断、賢明な行政指導によるものと思います。
 現在のソマリア海賊につきましては、二〇〇七年十月、日本のケミカルタンカーが乗っ取られ、二〇〇八年、先ほど御案内のように、大型タンカーがロケット弾による攻撃を受け被弾しました。この時期、国連決議に基づき、アメリカ、ロシア、EUが共同して駆逐艦を派遣し、海賊掃討を目指しています。
 日本も、海上自衛隊を派遣し、日本商船隊を護衛しています。護衛手段は、威嚇射撃とLRADによる警告音などです。また、我が国は、国際的な情報共有や連絡体制の整備の必要性について言及しています。
 海上自衛隊は極めて高い評価を受けていますが、それは、直接護衛方式の採用、護衛スケジュールの正確性、そして護衛船団に対する海賊行為が皆無であるという点で、各国からも高く評価されております。
 ソマリア海賊対処における問題は、海賊行為は国際犯罪であり、旗国主義の適用による保護を受けず、その処罰は、公海上で海賊船舶を拿捕した国家にゆだねられます。拿捕を行った者の国籍及び海賊船舶の船籍にかかわらず、すべての国が取り締まりや処罰を行うことができますが、ここが問題でございまして、各国におきましては、拿捕した者の裁判、身柄の勾留が非常に困難ということで、解放している国もある次第でございます。こういったことから、ソマリアにおける刑務所の増設が急がれております。
 最後に、政府そして国会議員の先生方に要望いたします。
 護衛頻度を増加するなど、護衛活動をより効果的に実施していただきたい。中長期的には、国際機関と連携し、沿岸諸国の連携した海上警備活動の確立、強化、同時に、海賊を発生させている地域の民生の安定と治安体制の確立に貢献していただきたい。マラッカ海峡の海賊対策においては、近隣諸国の協力と、特に日本からの警備艇の供与とその教育訓練などが大きな成果を上げていることに留意していただきたいと思います。
 日本商船隊は、日本から、南シナ海、バシー海峡、シンガポール海峡、マラッカ海峡、そしてホルムズ海峡、アデン湾を往来します。
 海上保安体制の確立のもとで、これらの船舶の就航航路の選択、確保に政府もかかわっていただきたいし、就航船に対する安全保障に貢献していただきたいと思います。そして、ソマリア治安の維持に向けた内政干渉、食料の安全性確保、感染症の予防、沿岸漁民の生活権確保などによる海賊撲滅に日本が中心的役割を果たしていただきたいと思います。
 どうか、よろしくお願いいたします。拍手
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松原仁#9
○松原委員長 ありがとうございました。
 次に、竹田参考人、お願いいたします。
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竹田いさみ#10
○竹田参考人 獨協大学の竹田いさみでございます。
 およそ十年前から、海賊問題に関して研究を重ねてまいりました。マラッカ海峡の海賊研究を手始めに、ソマリア沖の海賊に関心を広げ、ここ数年はイギリス海賊の世界史に取り組んでまいりました。
 このたびは、衆議院の海賊・テロ特別委員会に参考人として出席させていただく機会をちょうだいし、まことにありがとうございます。日本や世界の経済活動を脅かし、船長や船員の命を脅かす海賊問題に光を当て、本委員会を招集してくださった委員長初め理事の先生方に御礼を申し上げたいと思います。
 既に参考人として御登壇された関係者の御尽力によって、海賊の脅威に直面しつつも商船を運航されていることに、一人の国民として感謝を申し上げるとともに、深い敬意を表したいと思います。
 また、現場で汗を流して、二十四時間体制で護衛任務についておられる海上自衛隊員や海上保安官に感謝しつつ、日本の取り組みについて意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず第一に、ソマリア沖の海賊をめぐる国際情勢についてお話しさせていただきます。
 リビア、エジプト、シリア、また北アフリカ、中東情勢が不安定化するに伴い、欧米諸国の海軍は、地中海を重点警備するため、アデン湾から海軍艦艇を移動させております。その結果、ソマリア沖の海賊対策が手薄になるという状況が生まれました。
 加えて、ソマリア本土では、大干ばつによる食料危機が発生しており、日本を初め国際社会による食料支援が行われておりますが、食料の輸送船を護衛する必要がふえ、そのため、ソマリア沖の海賊対策を強化できないというジレンマに陥っています。
 その中で、日本の対応を見ますと、諸外国と異なる点があります。三・一一東日本大震災が発生し、また、東シナ海での領海警備の問題が起きましても、日本は、アデン湾での護衛作戦を縮小したり中止することもなく、安定的に継続しています。
 それでは、護衛の日本モデルについて触れさせていただきます。
 先ほど藤澤組合長の方から御指摘がございましたように、日本の海上自衛隊と海上保安庁が護衛するアデン湾では、海賊によるハイジャック事件が減少しています。アデン湾の東西九百キロから千百キロを、護衛艦二隻、哨戒ヘリコプターで護衛し、さらにP3C哨戒機二機で情報収集、さらに監視飛行をしています。護衛艦には約四百名の自衛隊員が乗り込んでおり、警察権を行使するために海上保安官八名が同乗しています。
 本年七月には、ジブチにP3Cの活動拠点が開設され、より安定的な哨戒飛行も可能となりました。
 私が日本モデルと呼ぶ護衛作戦は、海上自衛隊による高い護衛能力、綿密な計画と持続性、海上保安官による高度な法執行能力によって遂行されている護衛方式です。このため、日本の護衛船団が海賊から襲撃されたことは一度もありません。中国や韓国の護衛作戦では海賊からの襲撃があったことを考えますと、いかに日本モデルがすぐれているかが理解できるかと存じます。
 しかし一方で、ソマリア沖の海賊事件数は増加しているという、極めて皮肉にも事態の悪化があります。ソマリア沖の海賊は、アデン湾を避け、それ以外の海域での海賊行為に拍車をかけています。
 ソマリア沖の海賊の特色ですが、現象面でとらえれば、広域化と悪質化です。活動する海域は、アデン湾からソマリア沖の西インド洋、セーシェル海域、アラビア海へと拡大の一途をたどっております。また、洋上で商船が海賊から銃撃され、ハイジャックされた商船の船員が殺害の危険に直面する事態も発生しています。
 ソマリア沖の海賊は、自動小銃やロケットランチャーなどで武装し、漁船やダウ船を母船として利用し、海賊行為に加担しています。母船に積み込んだ二隻から三隻の小型ボートに乗り込み、洋上で商船を襲撃、ハイジャック、さらに、商船をソマリア本土沿岸に移動させ、船長や船員を人質にとり、高額な身の代金を要求するというのが一般的な手口です。
 最近では、ハイジャックされた商船を母船として悪用するなど、悪質化が目立つようになりました。海賊事件は、季節風が吹く時期は減少するのが一般的な傾向ですが、商船など大型船を母船に悪用すれば、季節風に左右されなくなる可能性も生まれ、海賊事件が今後さらに増加することも懸念されます。
 では、日本の取り組みを取り上げたいと思います。
 第一に、商船の護衛があります。これは先ほど触れましたように、海上自衛隊の護衛艦、それからP3C哨戒機、海上保安官らでの護衛作戦です。
 第二に、外務省が中心に行っている対ソマリア人道支援、治安向上に向けた支援があります。これは、国際機関と連携して、小型兵器の回収、大干ばつによる食料危機への支援、国境管理を強化するプログラムなどへの支援で、人道と治安が柱となっています。
 第三に、今後ますます重要になるのが、ソマリア沿岸国や周辺国への支援だと思います。具体的には、ジブチ、オマーン、イエメン、ケニア、ナイジェリア、セーシェルなどへの支援を強化、向上させ、ソマリア沖の海賊を域内で対処する仕組みを整備することだと思います。
 一言で表現すれば、法執行能力の育成、強化、向上で、キャパシティービルディングと呼ばれる支援枠組みです。人材を育てるプログラムですから、即効性は期待できませんが、中長期的には大きな成果が期待できます。海上保安庁がJICAと連携し、日本国内で実施している海上犯罪取り締まり研修などはその一例だと思います。
 また、中長期的には、沿岸国への巡視艇などの機材供与も視野に入ると思います。人材を育てても、巡視艇などの機材がなければ、海賊の制圧は期待できません。しかし、むやみに機材を供与すればよいのではなく、沿岸国の能力を総合的に向上させることが不可欠となります。そのために、沿岸国のキャパシティーやニーズに関する調査と情報収集が大切です。
 次に、民間財団の活動に触れさせていただきます。
 日本財団と海洋政策研究財団は、海洋の安全航行、安全保障に関して、長期的な視点から、持続的で総合的な支援活動を展開しています。専門家の人的交流、研修プログラムの実施、国際セミナーの開催、奨学金の提供、また海洋安全保障情報週報の発行など、世界的な視野で海賊対策を推し進めるためのインフラを整備されておられます。敬意を表したいと思います。
 しかし、ソマリア沖の海賊をめぐって、新たな課題も浮上してきています。それを触れたいと思います。
 例えば、国際的な法執行体制の整備、ソマリア本土での産業育成、海賊資金フローの遮断、民間武装警備員の乗船などがあります。ここでは、法執行体制の整備とソマリア本土での産業育成に絞って触れたいと思います。これは要望にもつながります。
 第一は、法執行体制の整備です。
 ソマリア沖の海賊を逮捕し、裁判手続を行い、有罪であれば収監する点に関して、現在、国際的な法執行体制の整備が求められています。いずれの国でも、特殊言語であるソマリア語の通訳の確保が難しく、裁判そのものをスムーズに進めることが難しいという現状があります。
 一つの解決策としては、ソマリア沖の海賊が活動するインド洋沿岸国で裁判を行い、ソマリア本土で収監することです。例えばセーシェルなどでは、海外から法律の専門家を招き、裁判を行い、有罪の判決が下った海賊をソマリランドやプントランドなどソマリア北部や北東部に移送し、刑に服させるという手法が考案されるようになりました。
 中央政府が存在しないソマリアですが、地方に複数の自治政府があり、こうした地方政府と連携することで特定の自治政府を立て直す機会にもなります。
 次に、産業育成です。
 ソマリア沖の海賊問題で、最終的な解決策は、海賊が発生するメカニズムを崩壊させることに尽きます。ソマリア本土で青少年が海賊組織にリクルートされ、海賊はふえ続けています。これらの仕組み、雇用を生み出すことによって、青少年が海賊組織にリクルートされない仕組みをつくることが肝要かと思います。
 それでは、最後に四つの要望を申し上げて、発言を終わりたいと思います。
 一、日本の護衛作戦を少なくとも現行レベルで継続していただきたい、二、ソマリア周辺国支援の強化、三、国際的な法執行の整備、そして第四にソマリア本土での産業育成への支援です。以上四点です。
 ありがとうございました。拍手
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松原仁#11
○松原委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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松原仁#12
○松原委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島一由君。
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長島一由#13
○長島(一)委員 お疲れさまです。民主党の長島一由です。
 きょうは、参考人の皆様、貴重な御意見を聞かせていただきましてありがとうございます。
 私も、ちょうど昨年の九月一日だったんですけれども、このテロ対策特別委員会で五人のメンバーで調査団を組んで、現地視察をさせていただきました。
 中谷先生、武田先生、それから公明党から佐藤先生、それから民主党は当時の石田委員長と私と五人で行ってきました。当時、ちょうど五十度以上気温もあって大変暑い中、まだ基地も開設していませんで、米軍の基地の一画を借りて自衛隊の方も活動されて、本当に頭が下がる思いであったんです。
 それから一年たって、今、参考人の御意見の中でもいろいろ御説明がありました。この一年間で、ちょうど一年前ぐらいからも言われていましたけれども、海賊の活動範囲が拡散している。特に、私自身も皆さんもそうだと思うんですけれども、一番懸念しているのが、活動範囲がペルシャ湾岸に広がっている。特に、東日本大震災以降、原発から石油のウエートが高くなって、ここが脅かされるとなると本当に国益に直結する大事な話だと思っております。
 そこで、先ほど、船関係の四人の参考人の方が特に言われていまして、その御要望というのが、恐らく、芦田参考人の海賊問題に関する要望事項にある程度集約されるのであろうと思っております。
 そこで、護衛艦または補給艦の追加派遣、それから二つ目の日本籍船への公的武装ガード、それからソマリア国の安定化に向けた国際的な支援及び海賊問題に対する国際的な取り組みの強化ということで三点御要望をいただいているんですが、簡潔にお答えいただきたいんですけれども、もう少しく具体的に教えていただきたいんです。
 例えば、護衛艦あるいは補給艦であれば、どの地域にどれぐらいの数が必要なのかとか、それから、公的武装ガードということでいうと、一つの船に何名ぐらい、どんな武器を持った人間を乗せればいいのか、もしおわかりになりましたら、まず教えていただきたいと思います。簡潔にお願いします。
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芦田昭充#14
○芦田参考人 お答えします。
 まず、現在、護衛していただいています海域というのは、アデン湾、千百キロでございます。この間は、海賊の襲撃は大変減っております。ところが、ソマリアの東方の方に海賊が張り出してきたということでございますので、千百キロプラスあともう千キロぐらい延ばすとか、そういうことをやっていただく、そのためには護衛艦の数がさらに必要であるということ。
 あるいは、同じ護衛艦が行く場合も、現在は千百キロ行ってまた折り返ししているわけなんですけれども、そのまま二千キロぐらいずっと行く、そのためには補給艦が必要ではないのかな、こういうふうに考えております。
 それから、武装ガード、何名必要かということなんでございますけれども、現在は三名ぐらいが乗る、配乗するということがどうも一般的なようでございます。
 以上、御回答申し上げました。
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長島一由#15
○長島(一)委員 あと、一般論としての武器は、どんな武器を持っていると抑止力になるんでしょうか、もしおわかりになったら教えていただきたいんですけれども。
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芦田昭充#16
○芦田参考人 お答えします。
 ちょっと私、武器の専門家じゃございませんので。
 ブローニングオートマチックライフル、ライフルですね。それから、HK417アソールトライフル、これもライフルでございますね。それから、御承知のようなAK47、ロシア製の、これもライフルだと思います。種類は違いますけれども、大体ライフルでございますね。
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長島一由#17
○長島(一)委員 ライフルということで、バズーカ砲とかそういうものではないんですね。
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芦田昭充#18
○芦田参考人 ではございません。
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長島一由#19
○長島(一)委員 それと、竹田先生に少しお伺いしたいんですけれども、竹田先生が、昨年の八月ですか、中央公論に「勢力を増すソマリア海賊と身代金還流闇ルート」という論文を出されています。
 これもぜひ、ちょっと参考までにお聞きしたいんですが、この論文の中で、海賊の一番の目的は今、身の代金になっている。それが金額も高騰しているということで、この昨年八月の論文では、人質解放の相場が二百万ドル前後だったということなんですけれども、それが七百万ドルまでに達するというゆゆしき事態であると先生の論文に書いてあるんですが、一年たって、何か現状の新しい情報とか最近の動向とか把握していたら教えていただきたいと思います。
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竹田いさみ#20
○竹田参考人 身の代金の金額ですが、これは推定値ですが、今、一千万ドル台まで上昇しているということを聞いております。
 以上です。
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長島一由#21
○長島(一)委員 ありがとうございます。
 それから、この論文には、身の代金を軸にいろいろな事件が起きているので、マネーロンダリングとかを抑止する必要性があるんじゃないかということを先生は論文で訴えられていらっしゃいますけれども、それについてもう少し、論文からはわからないところもあるので、時間が限られていますけれども、簡単に御説明いただけるとありがたいんですが。
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竹田いさみ#22
○竹田参考人 身の代金の流れ、海賊マネーのフロー、それからマネーロンダリング、資金洗浄、これをトレースするのは非常に難しいんですね。これはテロ資金をトレースするのが難しいのと同じように、やみの資金ですから、通常の銀行送金で捕捉できない、アンダーグラウンドのお金の流れですので。
 これはどうするかというと、まず、国連のフレームワーク、国際機関のフレームワークで、世界的に銀行、金融機関がタイアップして、大手の銀行での資金をモニターする。実際、九・一一の後の国際テロ対策で同じようなことがあったわけですね。それを今回のソマリア海賊の資金還流、資金フローに関しても応用していけばいいのではないかというふうに私は思っております。
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長島一由#23
○長島(一)委員 それから、少し話が戻るんですが、船関係の方から、国際的な取り組み強化ということで、これは船長協会の小島参考人だったかもしれませんけれども、たしかマラッカ海峡の事案をちょっとお話しいただいたのかなと思ったのですが、違いましたか。
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松原仁#24
○松原委員長 藤澤さんですね。
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長島一由#25
○長島(一)委員 失礼しました。藤澤参考人だったということですけれども、マラッカ海峡と同じような、周辺国の協力による警備強化ということがここのソマリアのところで成立するのかどうかということについて、何かおわかりになれば教えていただきたいと思うんです。
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藤澤洋二#26
○藤澤参考人 全くの私見でございますけれども、あそこのマラッカ海峡は非常に沿岸国がしっかりしております。それに日本がやはりコーストガードの延長でいろいろな支援をいたしましたし、現在もやっております。それから研修もやっております。
 これは、アデン湾、ソマリア沖、インド洋と拡大している中では非常に難しいし、また、インド洋の沿岸国に非常に憂慮すべき国がたくさん出てまいっておりますので、なかなかそれが当てはまるような状況ではないというふうに私的には思っております。
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長島一由#27
○長島(一)委員 時間も限られているので余り質問ができないんですが、今回の皆さんの意見を参考にさせていただきながら、私も一議員として、何らかの形でこういった環境整備に取り組んでまいりたいと思います。
 ありがとうございます。
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松原仁#28
○松原委員長 次に、森山浩行君。
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森山浩行#29
○森山(浩)委員 民主党の森山でございます。
 本日は、委員会までお越しいただきまして、御意見をいただきまして、ありがとうございます。
 また、自衛隊、また海上保安庁の皆さんも含めて、現場で頑張っていただいているということにも感謝を申し上げながら、質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどの中で、小島参考人の方から現場の話をいろいろいただきました。見張り、レーザーワイヤ、放水機など、今の状況についての話でしたけれども、籠城するというような話がありました。
 相手がロケットランチャーを持っている中で、籠城するというようなことで、うまくいっている例があるんだというお話でしたけれども、これは具体的にどんな形でされているのかというのを教えていただければと思います。
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