犬飼重仁の発言 (予算委員会公聴会)
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○犬飼公述人 御質問、大変ありがとうございます。
今、金融ビッグバンと今回の新成長戦略との対比をというようなお話であったと思うんですけれども、私の認識では、金融ビッグバンは、大変に志はすばらしいものがあったというふうに思っております。そして、実際に取り組まれたことも方向として極めて正しいものであったというふうに思っております。ただ、いろいろな当時の環境がビッグバンの完成を許さなかったということがあるのではないかというふうに思っております。
それで、大変恐縮なんですけれども、金融というものは、与党、野党のお考えだからどうなんだというようなこととは別の部分で動いているというか、そういうものと非常に一線を画したところで動いている部分が実はあります。
先ほど、金融は決め事の世界であるということを申し上げましたので、そういう意味では、非常に政策決定の重要性というものは関連するわけでございますけれども、金融の流れというものは、着々と取り組んでいく必要がある分野であろうというふうに思います。そういう意味からしますと、自民党政権時代からここに至るまで、基本的な流れは底流で続いているものと思います。
例えば、二〇〇七年の安倍政権下のアジア・ゲートウェイ構想の金融で御指摘をいただき、提言をされた内容は、私の理解では、今回の新成長戦略の底流と極めてつながっているというふうに理解をしておるところでございます。そのときそのときに、市場実務家の方々でありますとか各省庁の方々の英知を集めてつくられたものが、綿々と引き継がれて現在のこの新成長戦略の金融部分に至っているもの、そういう理解をさせていただいているところであります。
それで、今、世界三極のお話がございました。三極についての東京の役割というものは非常に重要でございますけれども、私の認識を若干申し述べさせていただきますと、アジアでは、香港やシンガポールに金融の面で負けるのではないかということがよく言われております。そしてもう一つは、近い将来、中国にアジアの金融拠点がすべて移ってしまうのではないか、そういう懸念がしばしば表明されているかと思いますが、それについての見解を申し述べさせていただきたいと思います。
私は、何回もそういうアジアの諸国を回っておりまして、実感として理解しているつもりでございますけれども、例えば香港は、もちろん中国の後背地である、あるいは人民元建て取引、今、中国の国内ではできない債券取引等が一部できるようになっている、そういうメリットはございますけれども、基本的には、中国は株の世界でございます。それで、言ってみれば、ニッチの分野を目指して外と外の取引を仲介する、そういうことに専念をしている金融センターであるというふうに思います。
シンガポールの場合は、香港が株取引を中心とするのに対して、どちらかといえば、デリバティブであり、あるいは為替であり、あるいは投信であり、そういったものに特化して仲介取引を伸ばしていく、そういうことに専心をしているということが言えます。
したがって、外と外とをつなぐという意味においては、香港もシンガポールもよく似ているわけですけれども、では、日本とどう違うのかというと、先ほどから申し上げておりますように、日本の場合には、巨大な金融資産を抱えているということです。香港もシンガポールもそれを持っておりません。という意味では、日本に大変な優位性が潜在的にあるということであります。
そういう意味でいうと、やはり中国が問題ではないかというふうに言われるかもしれません。確かにそうです。中国は、大変な外貨準備高を抱えておりますし、また、債券や株式市場の残高は非常に大きくなっております。
ただ、中国は、アジアの国際的な金融のセンターとなるにはふさわしいとは考えておりません。それは、民主主義の国ではないというような言い方も言われておりますけれども、もう少し専門的に申し上げますと……