予算委員会公聴会

2011-02-22 衆議院 全174発言

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会議録情報#0
平成二十三年二月二十二日(火曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 中井  洽君
   理事 泉  健太君 理事 城井  崇君
   理事 武正 公一君 理事 手塚 仁雄君
   理事 中川 正春君 理事 若泉 征三君
   理事 塩崎 恭久君 理事 武部  勤君
   理事 富田 茂之君
      石毛 えい子君    磯谷香代子君
      稲見 哲男君    打越あかし君
      生方 幸夫君    小川 淳也君
      小原  舞君    緒方林太郎君
      大西 健介君    勝又恒一郎君
      金森  正君    金子 健一君
      川口  博君    川村秀三郎君
      吉良 州司君    郡  和子君
      佐々木隆博君   斎藤やすのり君
      柴橋 正直君    白石 洋一君
      杉本かずみ君    平  智之君
      高井 美穂君    高邑  勉君
      竹田 光明君    玉木 朝子君
      玉城デニー君    津村 啓介君
      中根 康浩君    中野渡詔子君
      中林美恵子君    仲野 博子君
      仁木 博文君    花咲 宏基君
      浜本  宏君    福田衣里子君
      本多 平直君    松岡 広隆君
      水野 智彦君    宮崎 岳志君
      宮島 大典君    向山 好一君
      村越 祐民君    森本 和義君
      森本 哲生君    森山 浩行君
      矢崎 公二君    山尾志桜里君
      山岡 達丸君    山口  壯君
      山崎  誠君    山田 良司君
      渡部 恒三君    秋葉 賢也君
      小里 泰弘君    金子 一義君
      金田 勝年君    小泉進次郎君
      佐田玄一郎君    齋藤  健君
      菅原 一秀君    長島 忠美君
      野田  毅君    馳   浩君
      宮腰 光寛君    山本 幸三君
      坂口  力君    遠山 清彦君
      笠井  亮君    宮本 岳志君
      阿部 知子君    柿澤 未途君
      山内 康一君    田中 康夫君
    …………………………………
   公述人
   (早稲田大学法学学術院教授)           犬飼 重仁君
   公述人
   (岡本アソシエイツ代表) 岡本 行夫君
   公述人
   (株式会社野村総合研究所主任エコノミスト)    佐々木雅也君
   公述人
   (上智大学名誉教授)   堀  勝洋君
   公述人
   (日本労働組合総連合会副事務局長)        逢見 直人君
   公述人
   (全国農業協同組合中央会専務理事)        冨士 重夫君
   公述人
   (慶應義塾大学経済学部教授)           駒村 康平君
   公述人
   (全国労働組合総連合事務局長)          小田川義和君
   予算委員会専門員     春日  昇君
    —————————————
委員の異動
二月二十二日
 辞任         補欠選任
  稲見 哲男君     松岡 広隆君
  打越あかし君     大西 健介君
  小川 淳也君     勝又恒一郎君
  大串 博志君     森山 浩行君
  川村秀三郎君     川口  博君
  吉良 州司君     花咲 宏基君
  佐々木隆博君     玉城デニー君
  城島 光力君     浜本  宏君
  竹田 光明君     山尾志桜里君
  仲野 博子君     山岡 達丸君
  三谷 光男君     緒方林太郎君
  水野 智彦君     金子 健一君
  村越 祐民君     仁木 博文君
  渡部 恒三君     山田 良司君
  小里 泰弘君     秋葉 賢也君
  馳   浩君     宮腰 光寛君
  遠山 清彦君     坂口  力君
  笠井  亮君     宮本 岳志君
  山内 康一君     柿澤 未途君
  下地 幹郎君     田中 康夫君
同日
 辞任         補欠選任
  緒方林太郎君     山崎  誠君
  大西 健介君     打越あかし君
  勝又恒一郎君     平  智之君
  金子 健一君     水野 智彦君
  川口  博君     杉本かずみ君
  玉城デニー君     斎藤やすのり君
  仁木 博文君     村越 祐民君
  花咲 宏基君     吉良 州司君
  浜本  宏君     中林美恵子君
  松岡 広隆君     玉木 朝子君
  森山 浩行君     福田衣里子君
  山尾志桜里君     竹田 光明君
  山岡 達丸君     仲野 博子君
  山田 良司君     渡部 恒三君
  秋葉 賢也君     長島 忠美君
  宮腰 光寛君     馳   浩君
  坂口  力君     遠山 清彦君
  宮本 岳志君     笠井  亮君
  柿澤 未途君     山内 康一君
  田中 康夫君     下地 幹郎君
同日
 辞任         補欠選任
  斎藤やすのり君    佐々木隆博君
  杉本かずみ君     川村秀三郎君
  平  智之君     白石 洋一君
  玉木 朝子君     稲見 哲男君
  中林美恵子君     森本 和義君
  福田衣里子君     中野渡詔子君
  山崎  誠君     柴橋 正直君
  長島 忠美君     小里 泰弘君
同日
 辞任         補欠選任
  柴橋 正直君     小原  舞君
  白石 洋一君     森本 哲生君
  中野渡詔子君     磯谷香代子君
  森本 和義君     向山 好一君
同日
 辞任         補欠選任
  磯谷香代子君     大串 博志君
  小原  舞君     三谷 光男君
  向山 好一君     矢崎 公二君
  森本 哲生君     宮崎 岳志君
同日
 辞任         補欠選任
  宮崎 岳志君     小川 淳也君
  矢崎 公二君     城島 光力君
    —————————————
本日の公聴会で意見を聞いた案件
 平成二十三年度一般会計予算
 平成二十三年度特別会計予算
 平成二十三年度政府関係機関予算
     ————◇—————
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中井洽#1
○中井委員長 これより会議を開きます。
 平成二十三年度一般会計予算、平成二十三年度特別会計予算、平成二十三年度政府関係機関予算、以上三案について公聴会を開きます。
 この際、公述人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
 公述人各位におかれましては、御多用中にもかかわらず御出席を賜りまして、まことにありがとうございます。平成二十三年度総予算に対する御意見を拝聴し、予算審議の参考にいたしたいと存じますので、どうか忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願い申し上げます。
 御意見を賜る順序といたしましては、まず犬飼重仁公述人、次に岡本行夫公述人、次に佐々木雅也公述人、次に堀勝洋公述人の順序で、お一人二十分程度ずつ一通り御意見をお述べいただきまして、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 それでは、犬飼公述人にお願いいたします。
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犬飼重仁#2
○犬飼公述人 早稲田大学法学学術院教授の犬飼と申します。
 貴重な機会をお与えいただきまして、まことに光栄に存じます。
 本日は、平成二十三年度予算案に位置づけられております新成長戦略に関し、金融関係を中心に、経済回復を本格軌道に乗せるための新成長戦略の必要性、我が国が成長戦略としての金融戦略を持つことの重要性という観点も含めて、私なりに少し意見を申し述べさせていただきます。
 私は、民間企業におきまして二十年、東京とロンドンの財務金融部門を経験いたしまして、二〇〇二年からは、内閣府所管の総合研究開発機構の研究員として、我が国金融資本市場を取り巻く諸制度、システムを、そこに参加する市民とユーザーの側に立ち、我が国とアジアの成長に役立つためのものに抜本的に変えていこうということで、早稲田大学との共同の研究プロジェクトを実施しました。その後も、その思いはアジアにまで拡大をし、二〇〇八年に早稲田大学教授に就任してからも、同じテーマで、グローバルCOE研究所長であります上村達男教授のもと、研究活動に従事し、現在に至っております。
 新成長戦略の金融部分には、「ユーロ市場と比肩する市場を我が国に実現する」ということがうたわれておりますけれども、このことこそ、我が国の金融戦略の核心ではないかと考えております。
 私は、民間事業会社の財務部門のロンドンの金融子会社に一九八七年の秋から六年数カ月在籍をいたしまして、ユーロ市場のダイナミズム、便利さ、プロの市場参加者みずからが積極的に市場のイノベーションを生み出していく力、産業や雇用の観点からの英国の金融業の層の厚さ、さらには、英国のみならずベネルクス三国との有機的連携のもとでロンドン中心のユーロ市場が有効に機能しているということを、直接肌で感じたということがございます。
 そして、一九九四年に日本に戻りまして、最初に国内債の発行を担当したのですけれども、ロンドンに行く前と帰ってきてからとを比べても、日本の社債市場は非常に使いにくいままで、全く変化がなかったことに、当時、驚きを禁じ得ませんでした。
 そのとき、強くみずからの心に刻んだのは、日本とアジアの金融市場を、いつの日かユーロ市場並みの自由で使い勝手のよい市場にする必要がある、そして、東京をロンドンに比肩し得るようなアジア域内金融市場の代表にする必要があるということでありました。
 私がそういう思いを抱いて帰国してから既に十七年が経過しましたが、政策立案者の皆様、関係省庁の皆様、そして市場参加者の御尽力によりまして、現在の我が国の金融資本市場インフラについて言えば、恐らく、アジア域内で最も詳細で、かなりの程度高度化され、洗練され、かつ成熟した証券決済システムなどの市場システムインフラと証券関連の規制システムを持っておりまして、安定的に運用している、そういう積極的な評価ができるのではないかと思っております。
 しかし、現在まで、国内債券市場の利用は、国債以外限定的であります。そこには、一見技術的でテクニカルに見える要因がかなりの程度かかわっておりまして、発行体や機関投資家などにとって、個別具体的に見て使いやすい市場インフラが提供されていないという問題がございます。
 また、我が国の雇用の確保の観点からは、進んだシステムインフラの上に、取引コストが合理的で、使い勝手のよい国際的金融市場を整備することで、高度なスキルを持ったサービス産業としての金融を発展させて、すそ野の広い雇用を確保するということがこれからの重要な課題であるというふうに考えております。
 金融市場では、市場は自然に成長することはできません。それを支える関連の制度システムが市場のあり方を規定します。この点は、一般の物やサービスの市場とは大きく異なる点であります。東大の神田秀樹教授の、金融市場は人為的なものであり、規制するのもしないのも当局の判断、すなわち決め事であるとの御指摘は、いつも忘れてはならないと思っております。
 例えば、一九八〇年代のユーロ債市場で発達した、債券を発行しやすくするための仕組みでありますMTN、ミディアムタームノートプログラムが、まだ日本には存在しません、中国においてさえ、既に数年前から存在しておるわけでございますけれども。
 日本の債券市場は、プロ投資家向けの発行が大宗を占めているにもかかわらず、法制度と実務慣行におきまして、個人投資家向けを含みます極めて詳細な開示内容を一律に要求するものとなっておりました。また、海外投資家の日本国内での起債意欲は高いにもかかわらず、日本語開示が障害となって発行額は伸びておりません。
 さらに、海外投資家が日本の公社債に投資する場合、過去、国債と地方債の利子にかかわる源泉税が免除されたのに、社債だけが課税されるという問題がございました。
 こうした状況を踏まえて、早稲田大学では、プロ向け債券市場創設の必要性についての提言を、二〇〇七年以来、たびたび行ってまいりました。
 このような状況を改善すべく、金融庁では、金融・資本市場競争力強化プランの一環といたしまして、二〇〇八年末に、プロ向け市場整備のための新たな開示免除証券市場の枠組みが起案され、法制化をしていただきました。これにより、新たな市場の開設が可能となったわけでございます。また、非居住者の受け取る社債利子の源泉徴収に関しても、二〇〇九年末に、政府により課税をゼロにすることを決定していただきました。
 これらの、政府の二つの政策決定は、我が国の金融資本市場の内と外を隔てていた市場の断絶を埋めるトリガーとなったわけでございます。
 これらのことは、非常にテクニカル、技術的なことに見えるようで、余りメディア等におきましても重要なこととして取り上げられませんでしたが、金融資本市場においては、一見テクニカルに見えることの中に、大変重要な、市場のあり方の根底を覆すような内容がしばしば存在いたします。
 これらの重要な政策決定をリードいただきました皆様方と各省関係者の皆様に、この場をおかりして御礼を申し上げる次第でございます。
 世界的に見て、プロ向け金融資本市場は、もともとグローバルな特質を有するものですが、日本を筆頭に、アジア域内各国の資本市場の多くでは、このような制約条件の多くが存在したために、国をまたぐユーロ市場のような国際債市場とは分断され、国際的なプロ市場のイノベーションが各国の国内市場に持ち込まれにくかったということが言えます。
 ところで、現在、我が国から欧米を経由して、欧米からの投資としてアジアに出ている資金を、直接東京からアジアに流せるようにすることも重要です。それによって、我が国の政治経済的なポジション、これを強化することも可能となります。日本の持つ金融資産は巨大ですが、海外に向かうものはほとんどが欧米経由でございます。
 英国は、自国経済が縮小する中にあって、金融市場を拡大させ、ロンドン経由で資金が世界に流れるようになっていることで、実際の国力以上の影響力を保持してまいりました。英国ほどになるのは遠い将来の話であるにせよ、なるべく東京から直接アジアに資金を流すことができるようになれば、他国から資金を呼び寄せることにもつながるわけであります。
 さて、プロ向けの債券市場について、我が国においては、二〇〇九年年末までに、今申し上げたように、法律と税制という、国内債とユーロ債等の国際債とを概念的に隔てていた二つの制約、これが取り除かれたわけでありますが、これは、我が国が欧州ユーロ市場のようなプロ市場を目指すための最低限の必要条件がまさに今整ったということを意味しております。
 そこで、この二つの制約が取り払われたそのタイミングをとらえまして、大学の主催で、市場実務家、企業の財務担当者、研究者、法律家、そして関係省庁のオブザーバー参加も得まして、二〇一〇年二月から四月まで、アジア・デットリスティング研究会を集中的に開催し、概念的な提言に詳細な新市場の設計図を加え、より具体的な新市場創設提言としての、アジア域内プロ向け国際債市場と、その日本版であります我が国プロ向けの公募債市場創設提言を、昨年四月に公表いたしました。
 このプロ向け債券市場の整備提言のエッセンスは、二〇一〇年六月公表の経済産業省の産業構造ビジョンにも採用いただき、そして、官邸の新成長戦略策定に際して、経済産業省、財務省より、プロ向け債券市場の創設を後押しすることが提案されました。金融庁からも、ユーロ市場に伍していくことを目指すプロ向け社債市場の整備が提案されました。
 これらを受けて、金融戦略を第七の柱とする新成長戦略が、六月十八日、閣議で決定、即公表をいただいたわけでございます。
 この新成長戦略の金融部分には、ユーロ市場と比肩する市場を我が国に実現するためのプロ向けの社債市場の整備、アジア域内の豊富な貯蓄をアジアの成長に向けた投資に活用することがうたわれ、金融自身も成長産業として発展できるように、市場や取引所の整備、金融法制の改革等を進め、ユーザーにとって信頼できる利便性の高い金融産業を構築することで、金融市場と金融産業の国際競争力を高めるとございます。
 実行計画、工程表の金融部分では、プロ向け社債市場の整備は二〇一〇年の早期実施事項として掲げられておりまして、アジア債券市場の構築に関しても、アジア域内の豊富な貯蓄をアジアの成長に向けた投資に活用するため、二〇一〇年にASEANプラス3の債券市場フォーラム、ABMFの設立、二〇二〇年までにアジア債券市場を育成して日系企業等の現地通貨での資金調達を円滑化することなどがうたわれております。
 我が国の新成長戦略の金融部分において、このように我が国が目指すべきビジョンとスケジュールが明確に示されたことは、極めて重要かつ意義深いものがあると考えております。
 これを受けまして、東京証券取引所グループでは、新市場の実現に向けて、二〇一〇年十一月に東京プロボンドマーケットの制度概要を発表、本年四月以降のスタートに向けて準備がなされているところであります。
 この東京プロボンドでは、プロ向け市場制度をフル活用しつつ、ユーロ債市場のような柔軟で機動的な債券の発行を実現し、国内外の発行体と投資家、さらには証券会社などの関係業界の利便性を向上させ、アジアの中核としての我が国の債券市場の発展に資することを目的にしています。
 また、海外のミディアムタームノートプログラムと同様、発行体の基礎的な情報や財務情報、当年の起債予定をプロボンドに登録、ミディアムタームノートプログラムとして上場することによって、その予定額の範囲内で、随時、債券を発行できる便利な仕組みが導入されます。
 海外発行体に対しても、高い利便性が提供されます。海外発行体が日本の国内市場で発行するいわゆるサムライ債発行については日本語開示が必要でしたが、プロボンドでは英語のみで可能になります。日本の会計基準に加え、国際会計基準、米国基準も採用し、円建て以外のさまざまな通貨やイスラム債の形式での発行も可能となります。
 次に、ただいま申し上げた官邸の金融戦略に含まれておりましたABMFの活動についても、一言触れさせていただきます。
 私も、二〇一〇年九月に設立されたABMFのサポートメンバーに加えていただいておりまして、実際、アジア開発銀行、ADBと日本の財務省国際局の御尽力もあり、ASEANプラス3、ASEAN十カ国と日中韓でございますが、これも非常にいい形で動き始めております。
 二〇一〇年九月に、域内の官民、アジア開発銀行、域内各国の当局者及び民間の金融資本市場専門家の協力を得まして、ABMFの第一回の会合が東京で行われました。そこで、取引規制や市場慣行の調和、調整のあり方についての討議を行い、域内共通のプロ向け債券市場の重要性についてビジョンを共有し、目指すべき方向性についてのコンセンサスが図られました。十二月には第二回がマニラで、そして二月、先週には第三回がクアラルンプールで開催されております。
 ASEANプラス3のチームでは、今、域内のクロスボーダー取引の障害となっている各国の規制、市場慣行等に関する情報収集を行っておりますが、二〇一一年一月二十五日の閣議決定の新成長戦略実現二〇一一の中にも、本件にかかわる報告書の作成を盛り込んでいただいております。本年中の完成に向け、私自身も、ABMFのメンバーとともに作業を続けておる次第であります。
 おかげさまで、日本のチームが率先垂範して主体的に日本市場にかかわる情報の取りまとめを行いましたので、これに続き、韓国、中国等からも、非常に質の高い情報の提出が実現しております。
 このように、ABMFでは、二〇一〇年秋以降、各国の官民合同チームが、一つの目的に向かってビジョンを共有し、きずなを強め、主体的に連携をとりつつプロジェクトを進めています。
 日本の事実上のリーダーシップのもと、中国や韓国等も含めて、このような官民一体型の柔軟な国際的連携が実際に機能しているということは大変喜ばしく、そのようなあり方は、今後日本がアジアとともに進むべき一つの重要なモデルを提供しているのではないかとも感じております。
 そして、その大前提として、今回、我が国の新成長戦略の中にプロ向け社債市場の整備とアジア債券市場の構築を盛り込んでいただいたことは、政府によるサポートのあかしとして極めて重要な意味を持っていたと感じておるところであります。
 最後に、域内のプロ向け市場インフラが順調に整備されていったとしても、今後に重要な課題が残されております。
 市場参加者の質の高さ、ルールの公正さ、市場の信頼を担保可能な自己規律の存在、そして市場としての使いやすさといったことが重要であります。域内各国における法規制の存在だけではなく、プロの市場を規律するため、自主ルールと実務慣行の確立が必要になると考えられます。
 ここでも、特に日本が優位性を持っておりますのは、新市場の自主ルール等の制度や慣行の構築に際して、金融商品取引法に先進的な目的規定を持っていることに象徴されるように、プロの市場参加者も市場における公正な価格形成や高質な資本市場の機能確保に対する責務を負っているとの位置づけを、他のアジア域内の諸国や取引所などに先行、率先して示すことができる点にあると思われます。
 その意味におきましても、また我が国成長戦略の基盤としても、金融資本市場法制そして会社法制のさらに一歩先んじた確立が不可欠と存じます。
 したがいまして、今後、日本のかじ取りによって、アジア域内の新市場の市場参加者の自主ルール等、市場制度、市場慣行の策定、確立が期待されていると言ってよいと思います。
 ちなみに、香港やシンガポールでは、厳密な当局による規制が前提でございまして、自主ルールの概念すら存在しておりません。日本のリーダーシップによって、日本とアジア一体の、世界に開かれた信頼される域内金融資本市場新時代が一日も早く到来することを切に願ってやみません。
 最後に、そのような官民連携による努力を通じまして、我が国の企業グループと金融機関こそがアジアの成長とともにあり、日本の企業の発行する証券への投資が成長するアジア投資への最も効率的、効果的かつ安全な方法であるという、新たな国際常識が一日も早く確立されることを望みたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。拍手
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中井洽#3
○中井委員長 ありがとうございました。
 次に、岡本公述人にお願いいたします。
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岡本行夫#4
○岡本公述人 岡本行夫と申します。
 このような場で意見を陳述する機会を与えていただき、大変感謝しております。
 二〇〇一年から始まった二十一世紀の最初の十年が昨年終わりました。我々は、今、二〇二〇年まで続く二十一世紀の第二の十年間の劈頭に立っております。
 そこで、私は、まず十年ごとの総括をしてみたいと思います。
 復興の一九五〇年代、高度成長の六〇年代の後、日本は七〇年代も石油危機を乗り越えてたくましく成長いたしました。一九七五年に始まった先進国サミットを初め、国際社会へ本格的に参入したのもその十年間のことでした。
 八〇年代は、今から振り返れば、日本の絶頂期でした。世界最大の金融資産を持つ国として、経済的にはスーパーパワー、安全保障面でも責任を持って世界に貢献していける国とみずからを意識していました。
 ところが、九〇年代に入って、バブルは崩壊し、日本は大きくつまずきました。安全保障面でも、九〇年からの湾岸戦争で、金以外には何の貢献もできない国であったことが露呈されてしまいました。
 そして、二十一世紀に入ってから昨年までの十年間。経済的には、一時期、規制緩和と改革によって勢いを取り戻したものの、格差反対の声に押しつぶされて反転上昇はならず、結局、九〇年代と合わせて失われた二十年となってしまいました。
 さらに深刻なのは、国際社会との関係です。
 日本が昨年まで十年間に対外的に失ったものは、失われた十年間よりさらに大きかったものと思います。今や、日本は、政治、安全保障の面で世界の主要舞台から外れてしまった感すらあります。
 日本の存在感の希薄化は覆いようがありません。私はいろいろな国際会議に出席いたしますが、日本の名前が言及されることがめっきり減りました。アジアといえば、中国、インドそして韓国の発展の話になってしまいます。
 日本のGDPが世界に占める割合は、ピークだった九四年の半分以下になりました。ODAも九〇年代から四割以上減りました。そうした日本に対する世界の関心も、大幅に後退しています。我々は欧米とアジアのかけ橋になるなどとよく言ってきましたが、今や空疎なレトリックでしかありません。
 日本としても、特にここ一、二年、グローバルな関心が薄れたように思います。日本の外交フロンティアは縮小し、隣国との状況対応型の外交のみになっています。例えば、ここ一カ月に中東で起こっている激動に対して、政治は余り関心を払っているようには見えません。最近では反政府運動にイスラム原理主義者たちのかかわりも指摘され、長期的な中東情勢とエネルギー供給の安定性を損なう事態に発展するかもしれない事態であるのにです。
 さらに深刻なことがあります。
 日本の安全保障が、近隣諸国、特に中国との関係で脆弱になりつつあることです。驚異的な軍事膨張を続ける中国が眼前にいるのに、政府は、安全保障の最後のとりでであるアメリカとの関係さえ不安定化させてしまいました。
 予算委員会の場でございますので、本日は、予算に直接絡む防衛費と経済協力費に限って申し上げます。
 最大の問題は、このままいけば、今から十年後に、世界の中での日本の安全はどうなってしまうかということであります。
 成長の勢いは失われましたが、我々日本人は、今極めて居心地のいい社会に住んでいます。
 昨年八月、米国のニューズウィーク誌が、世界で最も心地よい国のランキングを発表いたしました。一位はフィンランドでしたが、人口の大きな国について見れば、日本がアメリカや西欧主要国を抑えて世界第一位とされました。今の日本社会の快適さ、安全さ、清潔さ、便利さ、世界一もむべなるかなと思います。
 しかし、今の日本社会の心地よさは、次世代の子供たちが享受すべき幸福を我々が無責任にも先食いしているからであります。
 既にある高福祉に加えて、さらに防衛予算総額を上回る子ども手当制度をつくるなどの高額支出を伴う施策を新たにとる一方、消費税率は先進国の中でほとんど例を見ない低水準に抑えたまま、所得税の免税点も高いままです。
 言われなくてもわかっているとおっしゃるでしょうが、来年度の税収見通しは四十一兆円です。この税収は、ほぼ全額が、地方交付税十六兆円、国債費二十二兆円で、消える計算になります。つまり、五十四兆円の一般歳出は、基本的にすべて借金で賄わなければならないのです。前代未聞の予算編成であります。
 この財政状況の中で防衛費とODAの拡充を望むことは、ない物ねだりととられるかもしれません。それでもあえて申し上げたいのは、この二つの経費は国家存立のためのコストであり、これ以上の減額は許されないのみならず、できるだけ早い機会に増加させていかなければいけないということです。国内に応援団が少ないこともあって、日本は、この二つの経費が持つ意味を軽視してきました。その結果、国家は危機のふちに近づいているということです。
 我々が次の世代に対して無責任に振る舞ってきたのは、財政面だけではありません。脆弱な国家安全保障を次の世代に残しつつあることも同様に、そして極めて深刻だと信じます。
 まず、防衛関係費について申し上げます。
 日本にとっては、北朝鮮からの脅威はもちろん大問題ですが、北朝鮮は、仮にも日本を攻撃すれば、日米安保体制のもとで米軍から重大な報復を受けることになりますから、日本への軍事攻撃の蓋然性はさほど高くないと思います。日本にとって現実かつ最大の危機は、膨張する中国の軍事力、特に海洋戦略であります。
 中国は、一九九二年の領海法によって、スプラトリー、プラタス、パラセル、マクルスフィールド、中国側は、これをそれぞれ南沙、東沙、西沙、中沙と呼んでおりますが、それに台湾、そして澎湖列島、そして尖閣諸島を中国領土に編入しました。中国は絶対に譲れない国益をみずからの核心的利益と呼んでいますが、この中にさきに挙げた島嶼群がすべて含まれることは、昨年十二月の戴秉国論文などからも明らかであります。
 中国は、九州から沖縄列島を経て台湾、フィリピンを結ぶ、いわゆる第一列島線の内側の海域を着実に支配しつつあります。中国は、この後、第一列島線を越えて、東京、伊豆七島、小笠原、サイパン、グアムを経てパプアニューギニアに至る、いわゆる第二列島線までの海域に進出することを基本戦略としています。そのため、核ミサイル搭載のものも含め、六十隻を超える潜水艦隊を保有し、かつ複数の空母機動部隊を建設しようとしております。
 アメリカ海軍は、横須賀の第七艦隊を含め、二個ないし三個の空母機動部隊が西太平洋、インド洋の広大な海域をパトロールしております。これに対し、中国海軍の場合、複数の空母機動部隊が南シナ海から日本周辺までの狭い海域に展開されることになるでしょう。このまま、あと十年もすれば、強大な中国の海軍力が、太平洋も含めて日本に近接する海域に展開されることになると思います。
 この十年間で、中国の国防予算は実に二六八%増加しました。なのに、主要国の中で、ただひとり日本だけは防衛予算を減らし続けております。苦しい財政事情の中でも予算総額は過去十年間で一一・八%増加しましたが、防衛関係費は三・六%の下落です。今や防衛費の対GDP比率からいえば、日本は世界の百四十位以下という状態なのです。
 特に問題なのは、正面装備を取得する予算額が年々減少し、今や装備の整備維持に必要な経費以下になってしまっていることです。膨張し続ける中国に対しては、何よりも正面装備の充実が必要です。周辺諸国は皆そうしています。人件糧食費が自然に増加してしまうために、本来の意味での日本の防衛力が減退してしまう、そうしたことを防ぐことが国家予算制度であると信じます。今回は間に合いませんが、二十四年度予算において、せめてあと一千億、一千億円の正面装備が増額されれば、防衛力にとってはかなりの改善になると信じます。
 次期防衛大綱は、基盤的防衛力構想から動的防衛力構想に転換いたします。変化する日本の脅威に対応するための策ではありますが、本来は、防衛構想を変えることで対応する前に、防衛費を増額して最低限の防衛体制を確保し、次世代に引き継ぐのが我々の責務のはずであります。
 日本の安全保障の基本は抑止にあります。
 抑止というのは、相手が攻めてくればこれを撃退して、手ひどい損害を相手にも与える実力をふだんから維持することによって相手の侵略意図をくじくということであります。
 私は、十年ほど前に、本院の委員会で参考人として、「抑止とは結局、周辺の諸国が日米安保体制の信頼性ということをどのように見るか、つまり、日本自身以上に周りの国々がこの安保体制をどのように認識するかという問題」であると陳述いたしました。今もそう思っております。
 憲法上、専守防衛の日本は自己完結的な抑止力を有しておらず、米国の攻撃力による相手への報復能力に頼らざるを得ません。つまり、常日ごろから日米同盟の緊密さを相手に見せつけることで初めて抑止の概念が成立するのです。
 例えば、艦載機も含めれば二兆円もする航空母艦、それに随伴艦も含めれば三兆円近い第七艦隊を首都に隣接する横須賀に配置していること、そして、沖縄の第三海兵隊遠征師団も含めた米海軍のプレゼンス全体が、アメリカの日本防衛の強い決意として周辺諸国に伝わっているのです。この意味で、米軍の日本駐留を円滑に確保するための在日米軍関係経費も日本の安全のために必須の経費であります。
 続いて、ODAについて申し上げます。
 ODAは、当初予算ベースで見れば、ピーク時の九七年の一兆一千六百八十七億円から来年度の五千七百二十七億円まで、実に四〇%以上削減されてきました。ODAの縮小により、日本は国際社会で友人を失ってきています。日本の地位低下は、ODA予算が減り続けていることもその一つの原因であります。
 感覚論ではありません。日本が大キャンペーンを張った安保理常任理事国入り、日本の悲願を可能にする国連憲章改正のためには、一定数の共同提案国が必要でした。しかし、日本のために共同提案国として名乗りを上げてくれたのは、アジアではわずかに、アフガニスタン、ブータン、モルディブ、この三カ国だけでした。
 日本は自由と民主主義を信奉する世界第二位の経済大国と決まり文句を言えば、自動的に国際社会で高い地位を与えられる時代は終わりました。グローバリゼーションによる価値の相対化が起こり、中国ですら、大規模に国連PKO活動に協力する中では、言葉でない実質的な貢献が求められています。
 これから、日本は、世界の政治や安全保障の舞台で重要な役割を果たすことができるのか。日本は、世界の安全維持に対して国の規模にふさわしい義務を果たせるのか。残念ながら、展望は明るくありません。リスクをとれない国情、日本人の人命だけは危険にさらさないという超安全主義、大胆な決断を行えない政治システムなどが立ちはだかるからです。
 しかし、日本がみずからは血を流さない国として世界で生きていくにしても、コストはかかるのです。それがODAです。それなのに、経済協力費は十二年続けて減額されています。
 政府原案のODA、五千七百二十七億円は、一般歳出五十四兆八百億円のわずか一%にすぎません。日本の危機的状況に思いをいたせば、一律削減の例外扱いにすることは可能だったはずです。ODAは、つき合いでも、人道、博愛でもありません。日本が世界で生きていくための不可欠のコストであります。
 最後に、一つ申し上げたいことがあります。
 ODAが減額され続ける中で日本の国際貢献の陣頭に立たなければならないのが、JICA関係者、海外青年協力隊員、外務省職員、NGOの人々です。
 私の脳裏を去らない言葉があります。一九九三年四月、当時二十五歳の国連ボランティアであった中田厚仁君がカンボジアでゲリラに殺され、国際平和構築にかかわった日本人として初めての犠牲者となりました。その彼が、前年、カンボジアを訪れた私に、決然とした面持ちで語った言葉です。日本が国としてカンボジア和平に人を出さないから、僕が今ここにこうして来ているんですと。
 日本は、外交官やJICA関係者や中田君のような丸腰の人々に、過重で過酷な献身を求めております。
 例えば、政府は、インド洋で、極めて安上がりの予算ながら、テロリストの交通を遮断するための貢献として各国から評価されていた洋上給油活動を中止しました。武力行使との一体化という、実態とはかけ離れた理由で国際チームから引きはがしました。そして、かわりに五十億ドルという目をむくような巨額の援助をアフガニスタンに供与することにしました。
 テロと闘っている国々の失望と財政上の損得勘定に目をつぶれば、東京ではこれで済むかもしれません。しかし、治安の悪化するアフガニスタンの現場で、この巨額援助を実際に復興支援プロジェクトに仕立てて実施していかなければならない七十名のJICA関係者の負担と危険はどうなるのか。
 ほかの国であれば、身を守る手段と訓練を受けている軍隊が出るところを、日本の場合、自衛隊は法的あるいは組織上の理由で出動できません。その部分が援助関係者や外交官の負荷となっている面があるのです。
 本来、我々はこの人たちに最大の敬意と感謝を払うべきなのに、JICAは事業仕分けの対象とされ、なぜ国家公務員並みの宿舎が必要なのか、ウイークリーマンションでもいいじゃないか、国民が期待するのはJICA全員がエコノミーで旅行することだ、なぜ外交官の八割もの手当が必要なのかなどと仕分け人に居丈高に宣告されて、予算が削減される。その結果、危険な任地に勤務するJICA職員も、疲弊しながらエコノミーで日本と往復することになりました。我々はこれで留飲を下げるのでしょうか。
 途上国に派遣された日本の援助関係者の評判には、他国の追随を許さないほど高いものがあります。仕分けによる無駄遣い探しは当然ですが、援助の本質から離れた議論によってこうした人々の士気を阻喪させるのではなく、彼らを支援してやるべきだと思います。今もなお、世界各地では、一万人のJICA関係者と海外青年協力隊の若者たちが、国の名誉をかけ、献身的に援助活動に携わっております。
 ちょうど時間ですので、終わります。ありがとうございました。拍手
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中井洽#5
○中井委員長 ありがとうございました。
 次に、佐々木公述人にお願いいたします。
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佐々木雅也#6
○佐々木公述人 ただいま御指名いただきました野村総合研究所の佐々木でございます。
 本日は、陳述の機会を賜りまして、まことにありがとうございます。
 私、金融市場あるいは実体経済を日々観察しながら、日本や世界のマクロ経済を分析するのをなりわいとしておりますけれども、マーケットの声、マーケットに携わる方々の話を聞く限り、今の日本政治の状況を極めて冷ややかに見ているという声をよく聞きます。
 市場では、昨日の月例経済報告でもございましたけれども、日本経済は緩やかながら回復を続ける、後から述べますけれども、日本国債の消化という点につきましては大きな懸念がないという見方が一般的でございます。
 むしろ、これからの日本経済、目先の大きなリスクの一つは、マーケットの方にお話を伺いますと、特例公債法案の先行きを初め、日本の政治の混乱、混迷にあるというふうにおっしゃっている方が非常に多うございます。政策の中身を正面から議論していただいた上で予算がスムーズに執行されるというのが、私の聞くなりのマーケットの声というふうになります。
 その上で、私なりに今後御議論いただきたいというふうに考えていることをこれからお話をさせていただきます。
 日本経済の大きな課題の一つ、これが財政再建であるということは明らかであります。しかし、この場面で、今この状況で財政再建に向かうべきかどうかという点については、立ちどまって考えてみる必要があると思います。
 財政再建の議論になりますと、財政赤字の大きさあるいは債務残高の大きさといった点に注目が集まります。また、その手法といった点につきましても、歳出の削減あるいは増税等を含めた歳入の拡大といった点が議論されるということになろうかと思います。
 財政の均衡を図る上では、最終的には歳入と歳出のバランスをとらなければいけないという点がありますから、この議論自体は決して間違いだろうとは思っておりません。しかし、政府という経済主体自体、日本経済全体の中では欠かせない、非常に大きな存在であるというふうに思います。
 だとすれば、財政赤字の縮小だけを追い求める余りに、日本経済全体に与える影響を無視して財政の均衡を議論するということは不可能だろうというふうに思っております。この点を、これから、日本経済のお金の流れという点から議論をさせていただきたいというふうに思います。
 お金の流れを見るという点のもう一つ重要な理由というのは、なぜ日本の財政赤字がここまで、九〇年代以降ですけれども、大きくなったのか、また、どのようなタイミング、条件がそろえば財政再建が可能であるのかといった点も含めて観察することができるというふうに考えているからであります。
 マクロ経済学の基本的な考え方の一つに、貯蓄・投資バランスというものがございます。これは、日本も含めまして、一国、国全体、経済全体のお金の流れを見るときに最も基本になる考え方でございまして、そのエッセンスですけれども、その国で集められた貯蓄の総額と、その国で行われた投資の総額、これが常に等しくなるというふうなものでございます。
 現実の経済主体という中には、民間企業や貯蓄をしている家計、このほかに、政府、海外、貿易ですけれども、そういったものが加わってまいりますので、お配りをさせていただきましたレジュメにありますように、貯蓄の総額というのは、民間の投資、財政収支、経常収支を足し合わせたものというふうになります。
 その動きを実際にお示ししたものが、お手元にあります一枚目の下の図表一の形でございます。ここに折れ線グラフが四本ございますけれども、一番上の太い点線が家計、太い実線が企業の動き、細い実線が海外、長い点線の方が政府、これは財政赤字の動きでございますけれども、この四つがございます。この四つを足し合わせれば必ずゼロ、真ん中の線に等しくなるというふうな形になっております。
 その中で、このゼロより上にあるとき、これがお金が余っている、いわゆる貯蓄をしている、海外へ行きますと貿易赤字になるわけですけれども、貯蓄をしている経済主体になり、ゼロより下にあるのが資金不足、借金をして投資を多くしているという主体になります。
 このグラフを見ていただいて、日本が非常に特異、異常であるという部分は、企業の動きでございます。
 通常、企業というのは、利益の拡大を目的としまして、得た利益、あるいは金融機関を介してお金を借り受けて投資に回すというのが普通でございますので、このグラフでいきますと、ゼロの真ん中の線よりも下に太い実線があるというのが通常の形であります。
 しかし、日本経済では、一九九〇年代以降、二度にわたって企業が大きく貯蓄をふやすというふうな、通常とは逆の動きになっていたということであります。
 一度目は、バブルが崩壊した一九九〇年度以降でございます。このときは、バブルが崩壊して、企業が、資金を調達するのではなく、借金の返済に回っていたということが大きな理由でございます。
 二度目は、二〇〇八年九月のリーマン・ショック以降でございまして、ここで急激に経済活動が縮小して、景気の先行き不透明感から、企業が手元資金をふやすというふうな行動に出ました。一般企業の現預金でございますけれども、昨年の九月末時点で二百六兆円でございました。しかし、リーマン・ショック直後の二〇〇八年九月時点では、およそ百八十九兆円でございました。このわずか二年間の間に、企業は十七兆円も貯蓄をふやしている、手元資金をふやしているというふうな計算になります。
 このように、日本の企業というのは、この二十年間、本来想定される企業の行動とは全く逆の形で、投資をふやすのではなく、借金の返済に走ったり手元資金をふやすといった形で、貯蓄をふやすというのが実態でございます。これが、日本経済あるいは今後の日本の財政再建といったものを考える上で大きなポイントになろうかというふうに考えております。
 といいますのも、先ほど貯蓄・投資バランスの話をさせていただきましたけれども、一国の貯蓄と投資、これは必ず等しくなるというふうに申し上げました。通常でありましたら、金融機関を介しまして、家計の貯蓄、これを設備投資などといった形で投資に回すのが企業部門の通常の姿でございますが、実際には、逆に、投資ではなく貯蓄をふやすというふうな形になっております。
 このため、一九九〇年代以降では、日本でお金の流れがきれいに回るようにするためには、輸出をふやすか、あるいは、政府が国債を増発して、マーケットからお金を調達して、支出をふやすというふうな二つ、どちらかしかなかったということであります。
 裏を返しますと、企業が今のように貯蓄を続けているという状況が続いている限りは、政府が国債の発行をふやしても、国債の原資になるお金というのはマーケットにあるということになりますので、国債は非常に低い金利で発行することが可能になりますし、急に財政危機が起きるというふうな状況ではないということになります。
 また、逆に、政府がこのような状況のまま財政再建を急ぐというふうなことになりますと、貯蓄・投資バランスの仕組みに逆らうような形になりますので、国内のお金の流れが滞ってしまう、景気が悪化する一方になりまして、税収が減って、逆に財政赤字をふやすというふうなことにもなりかねません。
 こうして見ますと、今の日本経済では、企業が手元資金をふやし、資金需要がふえない、きょうの日本経済新聞にもございましたけれども、企業が資金需要をふやすという状況でない以上、財政再建を急ぐという状況ではないというふうなことになります。
 一方、財政再建の声が強まった背景には、昨年の春、ギリシャで財政危機が起きたということがございます。それを見まして、日本がギリシャのようにならないためにも財政再建を急ぐべきだという声もございます。
 もちろん、日本がギリシャのように財政危機になるという状況は避けなければなりませんけれども、ここまでお話をさせていただきました貯蓄・投資バランスというものを見て、日本とギリシャの状況を比較しますと、日本とギリシャは、置かれた状況が全く違うということがお示しできるかと思います。
 お配りしましたレジュメの二枚目の下でございますけれども、日本と同じデータをギリシャでやってみるとどうなるのかということをお示ししたグラフでございます。
 先ほど触れましたけれども、日本では、リーマン・ショック以降、企業が急激に貯蓄をふやしているということが財政赤字のふえた原因だったわけですけれども、ギリシャは、もともと、グラフを見ていただいてもおわかりになりますように、一般政府、政府の財政が大きな赤字である、加えて法人部門もお金を借りている、さらに家計もさほど貯蓄をしている状況ではなかったということでございまして、お金の出どころは専ら海外でございました。
 このように、日本と比べますと、政府が国内企業の貯蓄あるいは家計の貯蓄を使って国債を発行している状態というふうになっていますけれども、ギリシャでは、専ら国内のお金、資金を海外に頼っていたという状況でありました。こうした状況の中で、ユーロの危機が叫ばれ、ギリシャの財政状態に懸念が抱かれるようになりますと、投資家は当然ギリシャから資金を引き揚げようとする。これがギリシャの財政危機の原因だったわけでございます。
 そうしますと、両国の財政のあり方という点につきましても、おのずと結論が違ってくるというふうなことになります。ですので、ギリシャの状況を見て、財政赤字の値、日本よりギリシャの方がまだましであるといった議論から日本がすぐに財政再建をすべきだというのは、やや先走っているというふうに思うわけであります。
 特に日本で言えますことは、家計に加えまして企業までもが貯蓄をふやしている、これは極めて特殊な状態であるということでございます。そのために、政府が単純に財政を均衡させようとしてもなかなかうまくいかないということになります。
 むしろ、これから、中長期的に見て財政再建を成功させたいのであれば、単純にまず財政収支を改善させようとするのではなく、企業が今より積極的に投資を行えるように、リスクをとりやすくする環境整備を行うことが極めて重要かと思います。その結果、企業が貯蓄をふやす状況といったものが改善をしていき、国内で投資をふやすというふうなことになっていけば、政府も、景気に悪影響をもたらすことなく財政赤字を縮小させるといったことができるようになるかと思います。
 先ほどの一ページ目のグラフに戻りますけれども、図表一をもう一度ごらんいただければと思います。
 日本企業、この太い実線ですけれども、二〇〇五年から二〇〇七年にかけて、設備投資などをふやしていった結果、ほぼ貯蓄がゼロというふうな状況にまで改善をした時期がございました。しかし、その後リーマン・ショックがありまして、企業が手元資金をふやすというふうなことになったわけでございます。
 この時期に政府の債務残高がどうだったかというのが、レジュメが飛びまして恐縮でございますけれども、三ページ目のグラフにございます日本の長期国債の残高の推移でございます。
 ここにある棒グラフが、日本の国債残高を名目GDP比でお示ししたものでございますが、先ほど、企業が貯蓄をふやすという状況をやめた二〇〇五年から二〇〇七年にかけましては、国債残高はGDP比で見ますと減っている、緩やかながら減っているという状況でございます。
 このように、日本では、民間企業の貯蓄動向、言いかえますと、民間企業の資金需要の動向でございますが、これと政府の財政赤字の動きというのは非常に関連性が高うございまして、民間企業の資金需要の動向、これをうまく刺激してあげるということが必要かと存じます。
 そこで、政府が取り組むべきことということで私の私見を申し上げますと、種々の規制緩和だけではございませんで、企業が積極的に設備投資、研究開発を行えるようにする投資減税が必要かと思います。具体的には、設備投資を加速度で償却する、場合によりましては、オバマ政権が昨年末の景気対策で成立させましたように、一括償却というふうなことを期限つきで認めるといったことが必要かと考えられます。
 今回の予算案では、法人税率を五%引き下げという点を挙げられておりますけれども、これは、今述べましたような企業行動の変化というものを期待して出されたものだというふうに思われます。しかし、法人税を単純に引き下げたとしても、それが企業の貯蓄に回るのか、あるいは設備投資に回るのかといった点ははっきりしません。
 ましてや、今回、法人税を引き下げるために、歳入と歳出のバランスをとるために、研究開発の減税あるいは設備投資に対する優遇を縮小するといった動きがございました。これは、むしろ、企業の積極的な行動、リスクテークといった点から見て、それを抑制させかねないという意味では、逆行しているということさえ考えられます。
 したがいまして、今後、来年度以降の予算編成、あるいは補正予算が万が一必要になった場合には、単純な法人税の減税といったものではなく、設備投資減税といった点で企業の前向きな行動を後押しするといったことが非常に重要になろうかと思っております。
 政府におかれましては、国民に大きな負担、痛みを強いることなく中長期的に財政再建を成功させるためにも、単純な財政均衡を志向するのではなく、今の日本経済の資金の流れに沿った形で、短期的には損はしますけれども、長期的に得をするといった政策を立案し、実行していただくことを希望するものであります。
 その結果、短期的には財政赤字が膨らむことがありましても、民間企業の投資、これを喚起することができましたら、中長期的には、景気後退を招くことなく財政赤字を抑えることができるようになるのではないかというふうに考えております。
 私の方からは以上であります。ありがとうございました。拍手
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中井洽#7
○中井委員長 ありがとうございました。
 次に、堀公述人にお願いいたします。
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堀勝洋#8
○堀公述人 ただいま御紹介いただきました堀でございます。よろしくお願いします。
 年金についてお話をしようと思っているんですが、年金は、社会保険料も含めてですけれども、五十兆円もの費用がかかわっております。それから、平成二十三年度の予算案で、年金制度の検討費というのも含まれております。それから、この予算委員会で年金問題についていろいろ御議論があったということで、私の専門が年金ということもありまして、年金について少し立ち入ったお話をしたいというふうに思います。
 レジュメを用意しておりますので、ごらんをいただきたいと思います。
 年金制度の問題、いろいろあるわけですけれども、二〇〇四年の年金改革で財政問題はほぼ解決したというふうに私はとらえております。ただ、基礎年金の国庫負担割合を二分の一にするための恒久財源というものが確保されていない、これが確保されなければ、二〇〇四年年金改革は完結しないのではないかというふうに思います。
 そのほか、無年金者とかあるいは低年金者といった問題がありますし、それから、一たん国会に法案が提出されましたけれども、被用者年金制度の一元化といった問題も残されているのではないかと思います。
 ただ、きょうは、こういった個別の問題に入るというよりは、年金改革について政府は検討されるようでありますので、年金制度全体について、少し研究してきた立場から意見を述べさせていただきたいと思います。
 レジュメでいいますと、第二の制度体系ということでございます。
 現在は、国民年金それから厚生年金と三つの共済年金というものが分立しております。私は、被用者年金、厚生年金と共済年金の制度統合というものが必要だと思います。これは、既に法案は提出されましたけれども、廃案となっております。
 なぜ必要かということです。
 共済年金と厚生年金の間には幾つかの格差があります。この格差は、官民格差の是正ということで何度か改正がなされてきています。ただ、給付について格差が若干残されておりますし、負担についての格差は残っているということであります。こういった給付と負担の格差を是正するというのが一つの目的です。
 それから二つ目は、年金制度を長期的に安定化するという目的であります。
 賦課方式の年金制度というのは、被保険者に対する年金受給者の割合によって財政が決まってくる。財政単位が小さいと、個別の制度は、かつての国鉄共済、JR共済のように破綻することもあり得るわけですね。年金制度についてはできる限り大きな財政単位にすることが望ましいということです。そういうねらいもあります。
 あと、国民の利便性の向上といったこともあります。
 私は、もう年金受給者でありまして、三つの制度を渡り歩きました。それぞれの制度に請求手続ということをする、住所が変わったら三つそれぞれに手続をする、そういった非常にややこしいことになっております。それから、業務処理も効率化できるのではないか。そういったことから、被用者年金制度を一元化すべきではないか、こう思います。
 民主党が提案されております被用者、サラリーマンと自営業者等の年金制度の統合あるいは一元化ということですが、これは本来望ましいというふうに思います。ただし、実現はかなりそのハードルが高いのではないかというふうに思います。これは技術的な点が絡みます。ただ、技術的な面だといって軽視すると、実行した際、いろいろな問題点が出てきて、やり直しということにもなりかねません。
 どういった点が問題になるかというと、一つは、所得概念が違うわけです。
 現在の厚生年金は、標準報酬という、これは総賃金に対して保険料を課して、それに基づいて年金額を計算しているわけですね。ところが、自営業者の所得をどう把握するか。収入だけで判断するのは、必要経費があってそれはだめだ。そうすると、自営業者については、収入から必要経費を控除する。そうすると、サラリーマンはどうするのか。サラリーマンは、税制では給料、賃金から給与所得控除をしたものが所得になっているんですが、果たしてそういった所得の違いを克服できるのか、そういう問題が一つあります。
 それから二つ目は、これはよく言われているんですが、自営業者等の所得の捕捉の問題です。
 大部分の事業者の方はまじめに申告しておられると思うんですが、そうでない方もかなりおられるというふうに聞いております。年金制度がそういった問題を克服できるならよいわけですけれども、所得を低く申告した人が年金制度で得をする、利益を得るということがないようにする仕組みが果たしてできるのかどうか、そういうことがあります。
 現在、社会保障番号あるいは納税者番号というのが検討されているようでありますが、あるいは消費税にインボイス方式を導入すればその問題は解決するかというと、必ずしもそうではないわけですね。というのは、自営業者の所得というのを大まかに言うと、収入から経費を控除したものが所得になるわけですね。経費はある程度インボイス方式なりで明確になると思いますけれども、売り上げについて果たしてインボイス方式を導入しても把握できるのか、そういった問題があります。
 三点目ですけれども、自営業者に対して厚生年金と同じような保険料率を課すと、これは相当な保険料負担になると思います。
 というのは、サラリーマンの場合には、会社、事業主が半分を負担してくれる。ところが、自営業者は、労働者分、あるいは事業主負担分を含めて二倍の保険料を払う。保険料率は一五%を超えますから、果たして負担の増加に対して自営業者の納得が得られるか、こういった問題があります。これらを詰めていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。
 それから、レジュメの第三の保障方式というものです。
 保障方式としては、社会保険方式と社会扶助方式があります。社会扶助方式は税方式と言われておりますけれども、これは混乱を招くというふうに思います。というのは、社会保険方式と社会扶助方式の違いは財源が社会保険料か税金か、そういうふうにとられかねない。しかし、基礎年金は国庫負担率が二分の一もあるんですが、これは社会保険方式なんですね。そうすると、基礎年金というのは税方式なのか社会保険方式なのか。これは、税方式と名づけたために間違っているのではと思います。これは社会扶助方式と言うべきで、欧米諸国でも、ソーシャルインシュアランスとソーシャルアシスタンスというふうに言っております。
 その違い、社会保険方式と社会扶助方式の違いは、保険の技術、これはリスク分散の技術を用いるかどうか、それから、保険料を納めた見返りとして、対価として給付を得られるか、そういった点が違うというふうに私は考えております。
 民主党が提案されている案は、二〇〇四年から若干変わっているようで、どの時点の考えをとるかによって少し違うと思いますけれども、所得比例年金と最低保障年金という組み合わせだと思いますが、所得比例年金は社会保険方式、最低保障年金が、これが社会扶助方式かどうか、あるいは社会保険方式か。
 まず、財源は税金なんですが、考え方が変わった後の民主党案では、所得比例保険料を納めなければ最低保障年金も支給しないというふうに変わった。そうすると、保険料を納めなければ支給しないということですから、これは社会保険方式になる。要するに、社会保険としての給付に所得比例年金と最低保障年金がある、こういうふうにも位置づけることができるのかなというふうに思います。
 私は、保障方式としては社会保険方式が望ましいと思います。というのは、社会保険というのは、保険料を納めて老後に備える、あるいは将来の事故に備える、そういうもので、しかも、保険料を納めた者同士で助け合い、相互扶助を行う。それに対しての社会扶助方式というのは、国家が、六十五歳になったら一方的に給付をする。果たして、こういう自助と相互扶助の仕組みの社会保険と、国家が一方的に給付を行う社会扶助とどちらがいいのか、そういった観点から、私は社会保険方式の方が望ましいというふうに考えております。
 それから、社会保障は戦後ずっと拡大されてきたんですが、それは社会保険を中心にしてきたんですね。社会保険というのは、税とは別に保険料という独自財源があるんですね。この独自財源をもとに戦後の社会保障というのは発展してきた、そういうふうに思っているわけです。介護保険も、あれは税でやっていたら現在ほど伸びていたかどうかは疑わしい。介護保険が伸びたのは、保険方式でやった、そういうことからではないかというふうに考えております。
 次に、第四の財源というところに入ります。
 社会保険方式をとれば、財源の中核は保険料ということですけれども、社会保険に税財源が投入されることは幾らでもあります。
 それからもう一つ、社会保険の保険料というのは、年金に使う、介護に使う、あるいは医療に使うということがあるわけですから、何に使われるかわからない税よりも、引き上げについての国民の同意が得やすい、そういうふうに考えております。
 それから、財源という面でいえば、基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げるための恒久的な財源が必要だと思います。平成二十三年度予算では臨時的な財源が確保されたようで、これは評価したいと思いますけれども、恒久財源をどうしても確保する、そうしなければ二〇〇四年改革の前提が崩れる、財政が安定しない、そういうことになると思います。
 それから、その財源として何を持ってくるか、あるいは民主党が提案されている最低保障年金の財源をどうするかということですが、私は、消費税を含めて、税制の抜本改革によって確保すべきであるというふうに思っております。消費税を充てる、特に年金目的消費税を充てる、あるいは社会保障目的消費税を創設する、こういった議論がありますけれども、私は、それに対して疑問というか、問題があるというふうに思っております。
 その理由の一つは、社会保障あるいは年金というのはこれからどんどんふえていくわけですが、ふえていくに当たって、消費税を頻繁に上げていくことが本当にできるのかどうかということ。実は、二〇〇四年改革では、厚生年金の保険料、国民年金の保険料は毎年毎年引き上げるように法定化されました。消費税についてそれができるのか。できるとすれば、財源は確保できるということになろうと思います。
 それから、基礎年金の財源あるいは最低保障年金の財源を消費税で賄うといった場合には、厚生年金の事業主の保険料の負担が減る、その分はサラリーマン、被用者が負担増になる、こういうことが社会保障国民会議で試算されております。こういった問題をどう考えるかということ。
 それから、年金目的消費税、社会保障目的消費税というのは、なぜ目的税にするのかという議論が欠けているように思います。それでは財政再建の財源はどうするのか、あるいはほかの財源、防衛費とか教育費とか、そういう財源はどうするのか、果たして社会保障だけに消費税を充てるという政策が本当に望ましいのかどうか、こういう問題もあります。
 それから、どういう制度を組み立てるかによって違いがありますけれども、現在、三六・五%、これを臨時の財源で二分の一にするわけですが、三六・五%から一〇〇%の税財源を確保するといった場合には、消費税率で約五%弱、これを果たして確保できるのか、そういった問題があると思います。
 それから、第五の給付体系のところに入ります。
 配付した三枚目にこういう図があります。この図をごらんいただきたいんですが、一番上の1は基礎年金ですね。現在の基礎年金に所得比例年金を上乗せする。
 それから2は、私は準基礎年金と呼んでいるんですが、所得比例年金が高い方の年金、最低保障年金あるいは準基礎年金をカットする。民主党は、これは全額税財源ということにしております。最近は、最近というのか、新聞等ではこの定額分を上の方に乗っけた案が出ておりますけれども、その違いはどうなのか、私はよくわからない。
 三つ目の3ですけれども、私は、これが本来的な意味での最低保障年金ではないかと思います。これは、実はスウェーデンでとられている型なんですが、仮に最低保障年金の横線のところを七万円とすると、所得比例年金が七万円を下回るといった場合にその分を補てんする、本来的な意味の最低保障年金だと思います。
 民主党がどの案、2の案か3の案か、どちらかよくわからない面がありますけれども、3の案では、最低保障年金を超えるところは所得比例年金だけになって、基礎年金あるいは最低保障年金はない、それは問題であるので、多分、2の定額年金をその上に乗せた案ではないか、こういうふうに思います。
 私は、その財源を社会保険料と税にするかという問題はありますけれども、現在の基礎年金と所得比例年金の形が望ましいというふうに思っています。というのは、基礎年金で基礎的な生活を保障する、それから、二階の所得比例年金、厚生年金等で従前所得、従前の生活をある程度保障する、そういう形が望ましいというふうに思っております。
 2の案は、全額税でやる。これは保険料から税にかえるわけですが、その財源が確保できるか、そういった問題があるのではないかというふうに思います。
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中井洽#9
○中井委員長 少し時間が超過していますので、おまとめをいただけたらと思います。
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堀勝洋#10
○堀公述人 わかりました。
 第六の給付水準は、マクロ経済スライドが実施されていないので、給付水準を引き下げる措置を講ずべきか。
 それから、第七は、パート労働者等の非正規労働者をどうするか、そういった問題があります。
 その他は、後でお読みいただければと思います。
 少し長くなって申しわけありませんでした。どうもありがとうございました。拍手
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中井洽#11
○中井委員長 ありがとうございました。
    —————————————
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中井洽#12
○中井委員長 これより公述人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津村啓介君。
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津村啓介#13
○津村委員 民主党の津村啓介と申します。
 本日は、この公聴会という貴重な機会に、また各界各分野の専門家の先生方に直接質問をさせていただく機会をいただきまして、皆様に感謝申し上げます。
 それでは、十五分という短い時間ですので、早速質問に入ります。
 まず、犬飼先生にお伺いさせていただきたいと思いますけれども、その前に、若干私の質問の趣旨を申し上げますと、私は、実は前職日本銀行の職員でありまして、九〇年代から二〇〇〇年代の初頭にかけて、まさに日本の国家戦略として、金融というのは非常に重要な分野ではないか、当時は、日本版金融ビッグバンというものが言われた時期でもありました。
 地球は二十四時間で自転をしているわけですし、また、ビジネスアワーというのは八時間から十時間程度だとすれば、大体三極あれば常にどこかでビジネスアワーの中心が回るのではないか。北米、南米、アメリカでは、ニューヨークがあるわけですし、ヨーロッパでは、ロンドンのシティーであるとかフランクフルトであるとかのマーケットが確立したところがあります。
 では、アジアはどうなんだというときに、東京マーケットが規模としては大きいわけですけれども、使い勝手という面で、香港であったり、上海であったり、シンガポールであったり、いろいろなライバルがいるわけですね。
 そういう意味で、地政学的に三極必要ということは、これからどれだけインターネットが発達しても交通が発達しても変わらない地政学的な条件であるわけですから、このアジアの部分で日本がしっかりと金融インフラを確立するということが、将来の国益にも資するのではないか。
 古い例ではありますけれども、例えばイギリスのシティーというのは、イギリスが十九世紀の経済大国であったときにあれだけの金融インフラを整備したことで、その後、大陸諸国に経済規模では抜かれても、いまだにイギリスというのは金融で大きなビジネスをしているということなのかな、ここから学ぶものは大きいのではないか。特に、中国の台頭著しい昨今、日本はこの一日の長をしっかり生かすべきではないか、そのようにも考えるわけでございます。
 そう考えたときに、今回の新成長戦略には、総合取引所構想であるとか、さまざまな画期的なアイデアが盛り込まれていると私感じておりますが、そうした中で、私自身は、日本版金融ビッグバンというものが、非常に高い志を持っていたにもかかわらず、必ずしも当初の成果を上げ切れなかった。金融経済環境の悪化が最大の要因とは思いますが、その金融ビッグバンの反省と、今回の新成長戦略の一番の違い、今何が日本にとって必要なのか、改めて整理させていただきたいと思います。では、お願いいたします。
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犬飼重仁#14
○犬飼公述人 御質問、大変ありがとうございます。
 今、金融ビッグバンと今回の新成長戦略との対比をというようなお話であったと思うんですけれども、私の認識では、金融ビッグバンは、大変に志はすばらしいものがあったというふうに思っております。そして、実際に取り組まれたことも方向として極めて正しいものであったというふうに思っております。ただ、いろいろな当時の環境がビッグバンの完成を許さなかったということがあるのではないかというふうに思っております。
 それで、大変恐縮なんですけれども、金融というものは、与党、野党のお考えだからどうなんだというようなこととは別の部分で動いているというか、そういうものと非常に一線を画したところで動いている部分が実はあります。
 先ほど、金融は決め事の世界であるということを申し上げましたので、そういう意味では、非常に政策決定の重要性というものは関連するわけでございますけれども、金融の流れというものは、着々と取り組んでいく必要がある分野であろうというふうに思います。そういう意味からしますと、自民党政権時代からここに至るまで、基本的な流れは底流で続いているものと思います。
 例えば、二〇〇七年の安倍政権下のアジア・ゲートウェイ構想の金融で御指摘をいただき、提言をされた内容は、私の理解では、今回の新成長戦略の底流と極めてつながっているというふうに理解をしておるところでございます。そのときそのときに、市場実務家の方々でありますとか各省庁の方々の英知を集めてつくられたものが、綿々と引き継がれて現在のこの新成長戦略の金融部分に至っているもの、そういう理解をさせていただいているところであります。
 それで、今、世界三極のお話がございました。三極についての東京の役割というものは非常に重要でございますけれども、私の認識を若干申し述べさせていただきますと、アジアでは、香港やシンガポールに金融の面で負けるのではないかということがよく言われております。そしてもう一つは、近い将来、中国にアジアの金融拠点がすべて移ってしまうのではないか、そういう懸念がしばしば表明されているかと思いますが、それについての見解を申し述べさせていただきたいと思います。
 私は、何回もそういうアジアの諸国を回っておりまして、実感として理解しているつもりでございますけれども、例えば香港は、もちろん中国の後背地である、あるいは人民元建て取引、今、中国の国内ではできない債券取引等が一部できるようになっている、そういうメリットはございますけれども、基本的には、中国は株の世界でございます。それで、言ってみれば、ニッチの分野を目指して外と外の取引を仲介する、そういうことに専念をしている金融センターであるというふうに思います。
 シンガポールの場合は、香港が株取引を中心とするのに対して、どちらかといえば、デリバティブであり、あるいは為替であり、あるいは投信であり、そういったものに特化して仲介取引を伸ばしていく、そういうことに専心をしているということが言えます。
 したがって、外と外とをつなぐという意味においては、香港もシンガポールもよく似ているわけですけれども、では、日本とどう違うのかというと、先ほどから申し上げておりますように、日本の場合には、巨大な金融資産を抱えているということです。香港もシンガポールもそれを持っておりません。という意味では、日本に大変な優位性が潜在的にあるということであります。
 そういう意味でいうと、やはり中国が問題ではないかというふうに言われるかもしれません。確かにそうです。中国は、大変な外貨準備高を抱えておりますし、また、債券や株式市場の残高は非常に大きくなっております。
 ただ、中国は、アジアの国際的な金融のセンターとなるにはふさわしいとは考えておりません。それは、民主主義の国ではないというような言い方も言われておりますけれども、もう少し専門的に申し上げますと……
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中井洽#15
○中井委員長 少し短目に。
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犬飼重仁#16
○犬飼公述人 はい。
 補完性の原則、これは地方自治の原則とも言われますけれども、それを共有していないということであります。その意味で、中国は、国際的な金融のセンターになる資格が現在のところ存在しておりません、こう私は理解しております。
 ということは、消去法で消していくと、アジアにおいて金融センターたり得る可能性を持っているのは、まず日本である、そして、共同するという意味では韓国も重要でありますけれども、まずは日本ではないか、そういうふうに理解をしております。
 以上です。
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中井洽#17
○中井委員長 公聴会の最中でありますが、ただいま部屋の後ろに、カナダ日本国会議員連盟共同議長の御一行が傍聴にお越しになっています。御紹介いたします。
 ブライアン・ウィルファート下院議員
 テレンス・ヤング下院議員
であります。
    〔起立、拍手〕
 ようこそいらっしゃいました。ありがとうございます。
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中井洽#18
○中井委員長 それでは、質疑を続けます。津村君。
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津村啓介#19
○津村委員 それでは、質問を続けます。
 犬飼先生、日本の潜在的な力、これからの可能性に改めて注目をしていける、大変勇気づけられる御答弁、ありがとうございます。
 先ほど、党派を超えてというお話もありました。私自身も、たしか九六年だったと思いますけれども、金融ビッグバンを提唱された橋本龍太郎先生、郷土の先輩でもありますけれども、党派は違いますが、大変尊敬をしておりまして、その後の金融ビッグバンが名前倒れになったのではないかということを大変残念に思っておりましたので、今回改めて、周辺環境の変化もあわせて、日本の金融戦略を再定義していただけたのかなと感謝を申し上げたいと思います。
 岡本さんに一つ御質問させてください。
 趣旨としては関連した質問で、金融というものを日本の外交戦略の中にどう位置づけていくかということにかかわることでございます。
 先ほど、防衛費やODA、あるいはJICA、青年海外協力隊の人的貢献、こういったものの意義を改めて御紹介いただきまして、大変よくわかりました。勉強になりました。また、中田厚仁さんの言葉も大変重く受けとめたいというふうに思います。
 そうした中で、私が思い出しましたのは大平総理です。大平総理のころに提唱された総合安全保障という考え方があろうかと思います。多少古い言葉になっているのかもしれませんけれども、日本の強みというものを自覚的に活用していこうという知恵だったと思います。非軍事、あるいは伝統的な狭義の外交のアプローチの枠を少し広げて、日本が今持っているものを有効に活用していこう。
 最近ではソフトパワーという言葉もありますが、これは、日本の独特の歴史を考えたときには、非常に賢い知恵なのかなというふうにも思いますし、今回の新成長戦略におきましても、科学技術であるとかイノベーションあるいは金融も含めて、こういう国際的に、特にアジアの中で日本が今現在ナンバーワンと言える分野をより有効に活用して、国際的な外交、安全保障も含めた環境の中で、少しでも一日の長を生かしていこうという知恵だと思うんですが、こうしたアプローチを先ほどのお話と結びつけて考える場合には、どう理解していけばよろしいですか。
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岡本行夫#20
○岡本公述人 日本が持っている日本としての資質、それを最大限に活用してソフトパワーとして生きていく、私はそれは基本的に賛成でございます。ただ、それだけでは済まないというのが今の国際社会の現状であります。
 テロの脅威が一層ふえ、そして核拡散の危険性も去らない、世界じゅうが危険と闘っているときに、リスクをとらない国家というものは、一つの面でいいますと、大変金銭的にコストがかかってしまう。
 先ほど、インド洋での給油活動をやめた代償として、結局、日本は五十億ドルを払う羽目になった、もちろん日本の主体的意思でありますけれども。あるいは、湾岸戦争を思い出します。結局、日本は、一隻の政府船舶、一隻の政府航空機も送らずに、その結果、百三十億ドルというとんでもない巨額のお金を、いわばこれは強引に出させられたわけであります。
 翻って、イラク戦争のときには、その趣旨にはいろいろと御意見もあろうと思いますが、日本が自衛隊の人道目的の派遣を決めた。そのために、日本が戦費を負担しろとか財政拠出をしろとか、そういう声は一切なかった。日本は、そういう面で、金を取られずに済んでいるわけでございます。
 結局、湾岸戦争のときがいい教訓になると思いますけれども、人命は地球よりも重しということで、日本はさしたる貢献が、金融面以外では、財政面以外ではできませんでした。
 人命が地球よりも重いということは、当然百三十億ドルよりも重いわけでありますから、その地球よりも重い人命を危険にさらして湾岸に、例えば、百五十人の看護婦、医師団を派遣したフィリピン、そして九十人でしたか、韓国、そういう国が結局評価も高く、そして、日本はその後、大きく国際社会の信頼を失うに至った、そのことを私は思い出すわけでございます。
 ですから、総合的な外交戦略、これは大賛成でございますが、それだけでは、ソフトな貢献だけではやはり今は足りないということを申し上げたかったわけであります。
 ありがとうございました。
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津村啓介#21
○津村委員 それでは、時間が迫ってきましたので、短く一つだけ、佐々木さんにちょっと……
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中井洽#22
○中井委員長 本当にもう質問の時間もありませんから、まとめてください。
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津村啓介#23
○津村委員 はい、わかりました。
 先ほどのお話、大変勉強になりましたし、企業のアニマルスピリットを設備投資減税等で生かしていこう、大変よくわかりましたけれども、ISバランスを考えると財政再建が困難というのは、私は少し逆なのではないかと思います。
 と申しますのは、財政赤字がまずあって、それを……
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中井洽#24
○中井委員長 津村君、長いから短くして。
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津村啓介#25
○津村委員 わかりました。
 日銀の金融緩和があるからこそ成り立っているのではないかなという感想を持ちました。
 貯蓄でおっしゃっていたもののかなりの部分は金融機関の貯蓄であって、一般法人の貯蓄ではないのではないかなというふうに思いました。
 以上です。
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中井洽#26
○中井委員長 次に、田中康夫君。
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田中康夫#27
○田中(康)委員 国民新党・新党日本の田中康夫でございます。
 まず、岡本行夫さんにお尋ね申し上げたく思います。
 岡本さんは、昨年末のインタビューで、「普天間基地を辺野古へ移設する案はもはや不可能だと思います。」というふうに週刊ダイヤモンドでお答えになっていらっしゃいます。しかし、残念ながら、その日暮らし内閣は、現在も普天間から辺野古に固執しているわけでございます。
 まず、岡本さんのこの点に関する御見解をお聞かせください。
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岡本行夫#28
○岡本公述人 昨年十二月にインタビューで申し上げました、今、田中先生が御指摘になった私の見方、それは今も変わっておりません。辺野古に日米合意案に従った形での移設を強行しようとすれば、これは沖縄県内にあって不測の事態を招きかねない。
 私は、この問題については、やはりどこかに、長期的に、たとえ長い期間がかかっても、単に普天間基地だけではありません、沖縄の海兵隊全体をコンパクトな形にして本土に移設する、そういうエレメントが含まれていない解決策というのは成り立たないと思っております。
 しかし、この日米合意案が実際に実現する可能性がますますなくなっている現在、普天間の継続使用ということが結果として起こらざるを得ないわけでありますが、これもいつまで続くのか。これも、本当に薄氷を踏む思いでの時間との闘いであります。
 私は、この点については、政府がもう一度アメリカとも話し合って、基本的に日本のこの問題に対する対応というのを再検討するということが必要だと思っております。
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田中康夫#29
○田中(康)委員 政権交代のときには、県外、国外と言ったわけでございます。現実に、グアム、テニアンという場所のハブ・アンド・スポーク化という議論もありますが、岡本さんはこの中で、「米国の言い分どおり合意せずに、「もう辺野古案の実現は不可能だから、ほかの選択肢を一緒に考えてほしい」と言うべきでした。「日米合意の実現に向けて努力を続ける」と米国に言うことは、次の市長選まで三年間、なにも解決しないと言っているのと同じです。」というふうにもおっしゃっていらっしゃいます。
 県外か国外かという点ではさまざまな御見解があろうかと思いますが、先般、前首相の鳩山由紀夫さんは、自分は、まさに県外、国外ということを、辺野古ではないということを実現するべく動く努力をしたけれども、残念ながら、防衛官僚や外務官僚、いわんや、当時のまた現在の防衛大臣、当時の外務大臣、当時の沖縄担当大臣、現在の外務大臣というものは、ありていに言えば、サボタージュをして動いてくれなかったというふうに述べています。
 また、言葉が、方便ということだけがひとり歩きをしておりますが、これは、彼が述べた、そうした中において抑止力という言葉を使った。これに対して、共同通信の記者がそれは方便ですかと述べたのに対して、そこは鳩山さんのじくじたる思いだと思いますが、明確に、いや、方便などという単語のディフィニションではない、抑止力と言わなかったことで、あなたが方便と言うならばそういう言葉もあるかもしれないが、まあ、抑止力だと言ってしまった。そこがリーダーシップの問われるところだと思います。
 こうした、いわゆる担当三官僚や閣僚というものが、少なくとも社長が言っていることを、努力をした上でできない、こうだからできないというならともかく、努力はしていなかった、少なくとも首相はそう見ていた。それに対して、首相のリーダーシップのグリップのぐあいがどうだったかということも、哲学と覚悟が大きく問われるところだと思います。
 岡本さんはこうした問題のエキスパートとして、このような問題に関して、首相でなくとも、岡本さんはさまざまな民主党の閣僚にも友人がおられようと思います、官僚にも友人がおられようと思います。こうした助言ということを求められたことがあるのか。つまり、ここでおっしゃっているようなことですね、辺野古というのは無理だということ、あるいは具体的に岡本さんから助言なりをされたということがあられるのか、この点をお聞かせください。
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