中山義隆の発言 (決算行政監視委員会)

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○中山参考人 皆様こんにちは。沖縄県石垣市の市長の中山義隆でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日、このような場所で私の尖閣諸島に関する見解を述べさせていただく機会をいただきましたこと、心より感謝を申し上げます。
 御存じのように、尖閣諸島は石垣市の行政区域であり、あわせて、日本固有の領土であります。その尖閣諸島が今大変な危機に瀕していると認識しております。私どもは、石垣市として政府に対して再三上陸の申請を行ってまいりました。ただ、きょう現在、この時点において、まだそれは認められておりません。
 なぜ尖閣諸島上陸にこだわるのかということをまずお話しさせていただきたいと思います。
 御存じのように、一昨年の九月七日、中国漁船の領海侵犯による衝突事件が起こりました。その際、政府は、逮捕をするということになりましたけれども、私どもは、そのときに、ようやく日本政府も尖閣諸島に対する実効支配、そして主権を行使し始めたのではないかというふうな安心感のようなものがありました。ただ、その後、現実問題としては、その中国漁船の船長は処分保留のまま釈放され、中国に帰国するという状況に至ったわけであります。
 さらに、最近におきましては、中国の公船が領海侵犯を堂々としてくるという状況になりまして、行政区の中に尖閣諸島を預かる市長としては、自分たちの地域に堂々とそういう外国の船が入ってくるという状況は、とても許される状況ではないと認識しております。
 そして、政府に対して要請しています上陸の内容を御説明させていただきたいと思います。
 まず一点目は、固定資産税の評価のための上陸であります。
 これはかねてより申し上げておりますけれども、地方税法四百八条に基づきまして、行政権を預かる者として、固定資産税の調査のために年一回の現地の調査を、実地調査を行うことができるわけでありますが、それが今現在、認められていません。
 理由としましては、実際にこれまで調査をしないまま課税してきたので、そのままの状態でいいのではないかというような意見をいただいておりますけれども、では、これまでと状況が変わっていないというのを誰がどの時点で判断しているのか。政府の関係機関が上陸して調査して、現状、変更ないということを判断しているのかどうかということすら回答をいただいておりません。
 私どもは、我が国の領土である尖閣諸島において、その地方の行政区域の長が、もしくは市の職員が上陸することは何ら問題のないことだと考えておりますので、政府に対しては、固定資産税の調査のための上陸については早急に認めるべきだと考えております。
 そしてもう一点が、自然環境の調査であります。
 これは、先ほどの参考人の方からもお話もありましたように、かつて尖閣諸島に放たれたヤギが野生化して繁殖し、島の生態系を壊しているという状況になっております。尖閣諸島には、御存じのように固有の種が非常にたくさん残っておりますし、世界的に見ても、この保全、保持は必要だと考えております。ただ、そのために被害を及ぼしているヤギを駆除することは、当然、環境を守る意味で大変重要なことだと考えております。それらのことを踏まえて、自然環境調査のための上陸を行うべきではないかと思っております。
 実際に、沖縄県が、復帰前ではありますけれども、尖閣諸島に対して調査をしておりました。これは琉球大学の高良教授を中心とした高良学術調査団という名目になっておりますが、一九五〇年、そして一九五二年、五三年、六三年、六八年と五次にわたる調査団で、それぞれの専門家、例えば鳥類の専門家、地質学の専門家、それらの専門家の皆様方が入れかわり立ちかわり調査に入っておりました。しかし、六八年以降、我が国は公式な形での調査は行っていないというふうに認識しております。
 なぜ、六八年以降、調査しなくなったのでしょうか。国連のECAFEによります海洋調査の中で、尖閣諸島周辺に海底資源があるのではないかというような話が出て、近隣の台湾そして中国が自分たちの領土だと主張し始めて、それからこのような状況になっているのではないかと認識しております。
 しかしながら、我が国の領土であるということは常々政府が述べてきているわけでありますので、早急に学術調査等の名目で上陸することは、当然、国際的に見ても何ら問題ないことだと思っております。この点についても、ぜひ上陸調査をすべきだと考えております。
 もう一点、これは慰霊祭での上陸を求めております。
 慰霊祭と申しますのは、終戦間際、昭和二十年の七月三日、石垣島から台湾に避難するための疎開船ですが、二隻の疎開船、島の住民約百八十人を乗せた船が出港しました。途中で米軍機の機銃掃射を受けまして、一隻、第五千早丸が爆発炎上し沈没、その時点で約七十名近い方が負傷し、または溺死する等、死亡しております。
 もう一隻の船もエンジン停止等により漂流し、尖閣諸島の魚釣島に漂着いたしました。当然、そのときには魚釣島は戦時中でありますので、かつて行われていたカツオ工場とかそういった生活の基盤がないところに漂着したわけでありまして、当時の方々は、水の十分に得られない状況、食料を十分に得られない状況で餓死者が出たと聞いております。
 その後、その島から決死隊が組まれ、いかだを組み、石垣島の方を目指して出発し、その方々が石垣島に着いたことで、尖閣諸島で漂流し遭難している人たちがいるということが確認され、その方々を救助に向かいました。助かった方々もいらっしゃいますけれども、多くの方々が犠牲になられました。
 そして、その犠牲になられた方々の慰霊を行うために、石垣市は昭和四十四年、当時の石垣喜興市長が尖閣諸島で初めて慰霊碑を建立し、慰霊祭を行いました。それが最初で、現時点では最後であります。それ以降、尖閣諸島への上陸はかなわず、尖閣諸島での慰霊祭も行われておりません。
 当時の遭難された方々の遺族の方々は、今現時点では石垣島の方で慰霊碑をつくって慰霊祭を行っている状況です。ただ、その方々も非常に御高齢になってきておりますので、何とか元気なうちに一度、肉親が亡くなられた魚釣島で、現地で慰霊祭を行いたいという希望を持っている方もたくさんいらっしゃいます。
 行政を預かる者として、かつて石垣市がつくった慰霊碑があるのであれば、石垣市として再度、市の主催で魚釣島で慰霊祭を行いたいというふうに考えております。なぜ、北方領土での墓参ができるのに、我が国の領土として明確に位置づけられている尖閣諸島で慰霊祭が行えないのか、これは非常に疑問を感じますし、ぜひ、委員の皆様方にはそのことを強く認識していただいて、慰霊祭での上陸についても御理解をいただきたいと思っております。
 この三点、私は、どれをとっても尖閣諸島に上陸する理由としては十分なものだと認識しております。
 そして、上陸する意義につきましては、行政の機関もしくは国の機関、公的な機関が尖閣諸島を実効支配するという意味においては、上陸することが一番の現実的な話ではないのかなと思っております。たとえこれが常駐する人がいなくても、数を重ねて合法的に上陸できることが、我が国の領土であるということを強く世界に知らしめることになると思っています。
 単に実効支配している、領土問題がないということを幾ら声高に唱えても、その場所での調査活動や上陸など、また周辺での経済活動が行われていなければ国際的なPRにはならないと思っておりますので、このあたりがこれからの課題じゃないかなと感じております。
 尖閣諸島に対する上陸に関しては、行政としての考え方は以上でありますけれども、実は尖閣諸島周辺は非常に優良な漁場であります。かつては、昭和五十二年の数字でありますけれども、当時で十五億程度の水揚げがあったというふうに聞いております。
 最近は、燃料の高騰等により漁に行く方が大分減っておりまして、それとあわせて、中国漁船、台湾漁船の領海侵犯、不法操業にあわせて海上保安庁の臨検が厳しい中、国内の船でさえその場所に行くときにはいろいろな調査を受ける、取り調べを受けるということで、なかなか行かない状況ではありました。
 最近は、いろいろなところからの御支援をいただきまして漁に行くことができるようになっておりますが、現実問題、石垣島から五時間も六時間もかけて漁に行って、その場所で天候が荒れた場合にはすぐ引き返してこないといけない。高い燃料費を払って、そしてまたそれに必要な餌も積んで氷も積んで漁に行って、その場所で漁ができないということですぐ返してくる。これはもう漁業者にとっては大変なリスクを負うわけであります。
 きのう、委員の皆様方、理事の皆様方、また下村先生も初め、実際に尖閣諸島の漁場調査も兼ねて行かれたということを聞いております。天候も急変したりとかして大変厳しい中で、なかなか思うような漁もできなかったと聞いていますが、それが今の尖閣諸島での現実であります。
 私どもが常々、上陸とあわせて要請していますのは、尖閣諸島の実効支配のために、そこに灯台をつくる、もしくは漁業者向けの無線施設をつくる、さらにはこういう天候が荒れたときに少しの間だけでも避難できるような、簡易な形でもいいですから避難港をつくってもらいたい。そうすれば、そこで一時的に避難をして、天候が回復すれば漁をして帰ってこられる。その安心感があれば、八重山の漁民、石垣島の漁民も尖閣諸島の豊かな漁場を求めて漁に行くことができます。
 その周辺でしっかりと漁をしてその魚を出荷しながら島の経済を整えていく、これこそが真の意味での実効支配につながると思いますので、これらもあわせて皆様方の御理解をいただきたいと考えております。
 古賀氏が当時の日本政府から島を譲り受けて経済活動を行ってきました。カツオの加工場をつくったり、また羽毛を採取したりする等、経済活動を行ってまいりました。つい百年ほど前の話であります。
 実際に、今石垣島の漁業者では、自分のおじいさんは古賀商会のカツオ工場で働いていたというようなことをお話しできる人もいますし、また、先ほどお話ししました学術調査に一緒に私も携わって島に何回も上陸したという方もいらっしゃいます。こういった方々が歴史の証人として今現在自分の口で語れるうちに、尖閣諸島をしっかりと我が国の領土としての実効支配を行わなければ、今後、これが長引けば長引くほど問題はこじれ、さらにややこしくなり、解決の糸口が見えなくなるのではないかと認識しております。
 先ほど山田先生の方からもお話ありましたように、今尖閣諸島と中国の本土の間に日中中間線があるわけですが、尖閣諸島を仮にとられた場合、尖閣諸島と石垣島、百七十キロ離れている間に日中中間線が来る。しかも、その日本の領土である尖閣諸島を自国の領土と言い張って奪いに来た国がそこに何らかの軍事施設や軍事力等を置くと、私たちの住んでいる石垣島のわずか百七十キロのところに、他国を侵略してでも領土を拡大しようという意識を持った国が押し寄せてくる。これは、四万八千の石垣市民、そして八重山郡合わせて五万五千人の住民を預かる首長として、到底認めるわけにはいきません。
 ぜひ皆様方には、この尖閣諸島の現状を御理解いただいて、そして早急に、行政機関である私ども、そしてまた国、さらには研究機関等が上陸できることを速やかに認めていただきたいと思っております。
 今、尖閣諸島については、一昨年の中国漁船の衝突事件以降、大変国民の注目を集めているところであります。さらには、きょうお越しの石原都知事の東京都での購入のお話がありまして、大変関心が高まっているところでありますが、私は、今回の購入に対しては大変ありがたいことだと思っています。
 これは、個人所有の島がいつどこで誰に買われるかわからない状況よりも、国や都や行政機関など公的機関がしっかりと管理することが今後必要だと思っておりますので、ぜひ、都知事の行動に対しては賛意を持って、ともに行動させていただきたいと考えております。
 日本の一番南の島々を抱えております私たちが住んでいることによって守られる排他的経済水域、この排他的経済水域を通って、東京都民、そして全国の都会で住んでいる皆様方のエネルギーや食料が運ばれているわけであります。尖閣諸島を含め、この小さな南の島々を仮に失うことがあれば、今普通に生活している日本国民のエネルギーや食料が危険な状態の中で運ばれてくるということを御認識いただいて、島を守るということがどれだけ大切なことか、やがては日本国民全体の命と生活を守るということになってくるということを御認識いただいて、私どもの活動に御理解をお願い申し上げたいと思います。
 以上でございます。(拍手)

発言情報

speech_id: 118004127X00520120611_006

発言者: 中山義隆

speaker_id: 27179

日付: 2012-06-11

院: 衆議院

会議名: 決算行政監視委員会