臼杵博の発言 (郵政改革に関する特別委員会)
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○臼杵参考人 おはようございます。日本郵政グループ労働組合の臼杵でございます。
本日は、このような場で私どもの意見を申し述べる機会をお与えいただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。また、これまで郵政事業のあり方について精力的に御論議をいただき、このたび一定の方向にまとめられた各党各会派並びに関係する先生方の御努力に改めて敬意を表する次第であります。
さて、郵政事業は、明治期の創業以来、郵便、貯金、保険の三事業を通しまして全国津々浦々に張りめぐらされた郵便局ネットワークは、地域コミュニティーの拠点として、国民生活そして地域社会を支えてまいりました。
そして、あの三・一一、郵政事業に働く社員は、被災直後から、みずからが被災者でありながらも、ユニバーサルサービスを提供する使命感と誇りを持って業務を遂行し、懸命に被災地や被災された方々を支えてまいりました。
郵便物の配達につきましては、震災から三日後の三月十四日から可能な地域での配達を再開いたしました。また、避難者情報の把握に努め、配達も行ってきたところであります。それまで不自由なく使用されていた電気通信手段が大きなダメージを受ける中、家族、親族の安否を手紙やはがきで確認をすることができたお客様もいらっしゃったことなどは、改めて通信インフラとしての郵便事業の重要性が示されたものと思っております。
また、貯金、保険の金融サービスにつきましても、移動郵便車などを通じ、即時払いや簡易な方法による貯金払い戻しなど、被災地の緊急的な金融ニーズにも応えてきたところでございます。
さて、郵政事業の民営・分社化から五年。私どもは、この間、何とか民営郵政会社を発展させよう、お客様の利便向上につなげていこうと必死に頑張ってまいりました。しかし結果は、分社化に伴う分割ロスや制度的な限界により、残念ながら経営基盤は弱体化し、現状も業績悪化に歯どめのかからない状況にあります。
分社化で一体的サービスが提供できなくなったことによる利便性の低下、会社ごとに間接部門が置かれたことによる分割ロスの発生、指揮命令系統の複線化による郵便局フロントラインの混乱、会社間調整に時間を要することによる意思決定のおくれなどなど、多くの問題が顕在化しております。もちろん経営サイドの改善、工夫で克服できることも多くございます。しかし、どうしても根っこのところでは法制度の手直しが必要になっている課題もあるところであります。
このままでは、郵便局における三事業のサービスはますます劣化し、組合員、社員の士気も低下していくばかりであります。郵政事業は、民営化以前も含めたこの十年間で見れば、郵政省から郵政事業庁、郵政公社、そして民営化と目まぐるしく経営形態が変更されてきました。それゆえ、腰を据えた成長に向けた中長期の経営計画も立てられず、その都度業務も混乱し、そして組合員、社員の努力もむなしく事業は規模縮小の一途をたどっております。
私どもの思いは、もうこれ以上の事業の停滞は許されないということであります。事業の経営体力は限界に近づいておりますし、組合員、社員の気力、忍耐力も同様であります。何としてもこの時間帯で民営化の見直しを実現し、経営の立て直しを図らなくてはならないと考えているところであります。
私どもは、昨年、ことしと二年続きで春闘において苦渋の決断をいたしました。それまでの正社員年間一時金を一・三カ月カットする内容で会社側と妥結することを決断したわけであります。
理由は、特に、郵便事業会社における収支悪化を早期に解消し、何としても黒字基調に回復させるためであります。経営の危機を労働者の賃金削減で乗り越えなければならないという決断を労働組合が行ったわけであります。
私どもは、日本郵政グループの労使の責任において経営を立て直し、お客様のニーズに合った商品とサービスを提供し、ユニバーサルサービスというミッションを担う社会的企業として日本郵政グループを成長、発展させていきたいと思っております。そして、日本郵政を真に日本を代表する企業グループとして成長させることを通して、日本経済の発展、雇用の確保、地域経済の活性化につなげていくことを願っております。これこそが郵政民営化の本来の目指すべきところであると確信しているところであります。
一方、これまでの郵政民営化に至る論議は、郵政事業の発展ではなく、日本郵政の規制強化ばかりが論点になっているような気がしてなりません。他の事業者との公正な競争条件を確保するために一定の配慮が必要であるということはわかりますが、ユニバーサルサービスを担う企業として、どう持続発展させていくのか、そして日本経済全体の活性化、国民の暮らしの安心、安定にどうつなげていくかという視点での御議論もお願いをしたいと思います。
特に強調しておきたいことは、民間企業として当たり前の経営の自由度の確保が民営化を成功させるためには不可欠だということでございます。
御承知のとおり、民営化された金融二社につきましては、既に政府保証はなく、他の民間金融機関等と同様に税金や預金保険料等を支払うなど、競争条件としては有利なところはなくなっております。むしろ、限度額や新規業務の規制など、他の民間金融機関にない上乗せ規制により、経営の自由度が制約されているのが実情でございます。
国の間接的な出資があることが競争上有利に働いているとの御主張もありますけれども、近年のゆうちょやかんぽ生命の残高や保有契約の減少の状況を見ていただければ、現実はそうではないということがおわかりいただけるのではないかと思います。
経営の自由度なくして、日々変化していくお客様のニーズに的確に対応し、事業を発展させていくことはできません。事業展開が滞れば、お客様ニーズに対応できず、経営基盤も弱体化し、将来的に郵便局ネットワークを維持することが難しくなってしまいます。お客様の利便性を向上させるため、そして事業を発展させるため、ぜひとも、郵貯、簡保を含めた三事業を一体的に提供できる法的担保とともに、さまざまなサービス展開等の取り組みを行わせていただければと思います。
なお、政府が保有する持ち株会社の株式をできるだけ高く売却し、復興債の償還財源の確保につなげるためにも、こうしたことはぜひ必要なことだと思います。そのための法的裏づけとして、金融のユニバーサルサービスを確保し、三事業一体でサービスが提供できる株式保有の仕組みづくりも含め、民営・分社化の見直しをぜひともお願いする次第であります。
最後に、今国会での真摯な御議論の上、今回提出されました郵政民営化法の一部を改正する等の法律案の早期成立を切にお願い申し上げ、日本郵政グループに働く全ての組合員、社員を代表しての意見とさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
ありがとうございました。(拍手)