岡本楢雄の発言 (経済産業委員会)

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○岡本参考人 全国中小企業団体中央会副会長であり、大阪府中小企業団体中央会会長の岡本でございます。大阪で、駿河屋という、ようかん、生菓子の製造販売業を経営いたしております。
 日ごろ先生方には、中小企業並びに中小企業組合の振興、発展に御尽力を賜り、厚くお礼を申し上げます。本日は、消費税の転嫁対策特別措置法案につきまして意見を述べる機会をいただきましたこと、心から感謝申し上げる次第であります。
 お手元に配っております資料をちょっとごらんいただきたいと思います。
 まず、一ページにありますように、全国中小企業団体中央会は、全国津々浦々に、さまざまな業種の中小企業者で組織された組合等から組織されております。全国中央会は、構成メンバーである三万ある中小企業組合の傘下に三百万の中小企業が所属しております。
 さて、政府の経済対策等により、中小企業をめぐる経営環境は、売り上げの面では改善の動きが見えるものの、円安に伴う燃料、原材料価格の値上がり等によりまして収益の改善に結びついていないなど、依然として厳しい状況にあります。
 今般の消費税の引き上げにつきましては、一つ目には、一〇%とする大幅な引き上げであること、二つ目には、二回にわたる引き上げであること、三つ目には、減税が実施されなかったこと、そして四つ目には、消費税の総額表示が義務づけされた後の初めての引き上げになることがこれまでと大きく異なっておる点であります。
 中小企業にとって、消費税の円滑かつ適正な転嫁ができるか否かが我々の最大の関心事であります。立場の弱い小規模事業者が不当な不利益をこうむらないよう、特別な規制措置が必要であると考えます。
 デフレ経済のもと、消費税が引き上げられますと、限られた市場を奪い合うため、業者間の価格競争はますます激化し、短期的に利益を削っても他社より価格競争力を維持しようとする事業者が出てまいります。従来の法律だけでは転嫁問題は解決されません。自由な価格交渉に任せることは、転嫁問題を放置することと同じことであります。
 税は支払うものであり、企業は収益の中から値引きするのが本来の姿であります。
 実のある転嫁対策として転嫁対策特別措置法案をぜひとも早期に成立させていただきますよう御要望申し上げます。
 資料の裏側、二ページの、上段にありますように、本会では、昨年十二月に、四十七都道府県中央会の会員組合等に対しまして、消費税引き上げにおける転嫁等に関する調査を実施いたしました。
 消費税八%になったときに転嫁ができると思うかを聞きましたところ、四八・七%の中小企業ができないと回答しています。消費税一〇%になったときとなりますと、五一・一%ができないと答えています。
 消費税が三%から五%に引き上げられたときのことを振り返ってみますと、当時、中小企業は、消費税増税分を転嫁できず、みずからの身を削り、結果的に国に納めるべき消費税の滞納が急増いたしました。
 この価格転嫁問題の解決なくして、中小企業の理解は得られないと言っても過言ではありません。
 とりわけ、転嫁対策特別措置法案では、価格交渉において、消費税抜きの価格を用いることの申し出を拒むことを禁止する措置、あるいは、小売業者などによる消費者への広告宣伝において、消費税は転嫁しません、消費税は当店で負担いたします等の表示の禁止、さらには、消費税率分の値引きをします、還元します等の表示の禁止が講じられています。
 これらは、資料の三ページ、裏側の下段にありますように、中小企業の実態に即した対策であると高く評価するものであります。
 一部で、売り方を規制するのはおかしい等の反対の声が聞かれますが、消費税は実質的に負担しなくてもいいものであると誤解されることを放置しておくことは好ましいことではありません。事業者は、消費者から消費税を預かり、国に納める役割を担っております。消費税の増税分は適正に転嫁されなければなりません。
 消費税とは、転嫁する側と転嫁される側がおり、大企業が中小企業から商品を仕入れる際に、転嫁拒否や安値で買いたたきのきっかけとなりやすいものであります。
 お豆腐、コンニャク等の納入業者からは悲痛な声が寄せられております。消費税還元セールと銘打ち、消費税を悪に見立てるように商売の宣伝や値引きセールが行われては、いつまでたっても消費税の理解が進まず、転嫁は浸透していきません。
 転嫁対策特別措置法案は、従来にはなかった特別な措置が講じられております。その一つに、税込み価格を表示することを要しない総額表示義務の特例があります。
 本会の調査では、消費者に販売している事業者からは外税の導入を強く求める声がございました。業種によりまして、外税の方が価格転嫁しやすい業界も確かにございます。みそ、しょうゆ等の食品産業や旅館等のサービス業の組合などから強い御要望をいただいているところであります。
 このたびの法案は、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保の観点から、現場を混乱させない範囲で我々の要望をかなえていただいたものと理解しており、深く感謝を申し上げます。
 価格転嫁に係る表示の問題は、書籍、化粧品、婦人服等の衣料品、食料品など、取り扱っている商品の販売実態等により、実にさまざまであります。
 転嫁に関する価格表示のあり方についていろいろな意見が本会に寄せられたことを踏まえますと、業種、業態ごとに、まさに現場の実態に応じた柔軟な対応ができるよう、事業者みずからが望ましいあり方をつくり上げていくことが重要であると考えます。
 一日も早くこの法案を成立していただき、中小企業が消費税に対応するための準備期間を十分に設けていただきますようお願い申し上げます。
 その際、事業者が消費税に関連するような形で、どこまでが禁止されて、どこまでが許されるのか、中小企業の経営者にわかりやすいガイドラインを早く示していただきますよう、あわせてお願いを申し上げます。
 資料、裏側の三ページの後段、二にありますように、国は、消費税は価格に転嫁されるものであることの明確なメッセージを強力に発信し、国民への周知徹底に万全を期していただくことが極めて重要であると考えます。
 消費税は価格に転嫁されるものでありながら、逆に価格が下がっているような場合を、私どもは便乗値下げと言っています。
 このような便乗値下げが起こりますと、原資を確保する必要から、人件費を削減したり、取引先にさらなる安値を強要したりすることが行われています。こんなことが横行すれば、国民にせっかく高まってきたデフレ脱却への期待が急速にしぼむこととなります。
 国等は、調査、監視を徹底し、違反行為に対しては勧告、公表を積極的に行う必要があると考えております。その意味で、転嫁Gメンの設置による転嫁状況の検査体制を強化していただきますようお願い申し上げます。
 また、消費税の転嫁及び表示の方法の決定に係るカルテル行為の実施に際しましては、申請手続等の負担が余りかからないようにしていただきたいと存じます。
 価格転嫁は極めて厳しい価格競争にさらされている中小企業の取引実態や経済状況の問題であり、事業者みずからが価格競争力の強化を図っていく必要があります。
 私は、価格転嫁のポイントは、取引先からの対応力を高めることができるかどうかであると考えております。自社の商品力をいかに磨くかが問題となります。
 私ども全国中央会は、現在、「組合 絆 ルネサンス」をスローガンに、会員組合と会員組合の間のきずなの力によって被災地の復興、日本経済の再生を図り、地域の暮らしを支えている中小企業が再び活力を取り戻せるように尽力しているところであります。
 中小企業がみずからの体力をすり減らすことなく、中小企業みずからがきずなの力を強化し、販売増、収益増となるよう、例えば、新たなセット商品の開発、インターネットを活用した新製品の開発や販売など、製品や商品の力をつけて、しっかり価格転嫁できるだけの経営力を持てるよう努力してまいります。
 最後に、国におかれましては、消費税の引き上げに伴う便乗値下げをさせないとの大キャンペーンを打っていただきますよう、改めてお願い申し上げますとともに、中小企業の自助努力、創意工夫が報われますよう、先生方の御指導、御支援をお願い申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきたいと思います。
 御清聴どうもありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 岡本楢雄

speaker_id: 15715

日付: 2013-04-26

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会