清水信次の発言 (経済産業委員会)
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○清水参考人 私は、日本チェーンストア協会会長、流通業界の日本スーパーマーケット協会と新日本スーパーマーケット協会の名誉会長、日本小売業協会の副会長、それから国民生活産業・消費者団体連合会の会長を務めております。
以上の立場から、今回の消費税転嫁問題についてお話を申し上げたいと思っておりましたけれども、転嫁問題については、今お二人の方からお話があったとおりだと思います。私は、どちらかというと流通業界の中堅あるいは大企業の組織、それと国民の生活を守り、生命を守り、平和を守る団体の会長の立場から、本件についての考え方を申し上げたいと思います。
御承知のように、私は、大平内閣のときに一般消費税導入に反対しまして、大蔵省当時の主税局長高橋元さんと担当審議官の福田幸弘審議官と御一緒に、消費税についていろいろ、世界でどういうふうに行われているかという研究をいたしました。大体、毎月二回、三回の検討会をやって、一年たってほぼ成案ができたところで衆議院選挙にぶつかって、大平総理は、地方遊説に行かれて地方の国会議員の反対を聞かれて、とてもこれでは選挙にならぬということで、地方遊説先で一般消費税導入の断念を声明されて本件は落着しました。
それから八年後、今度は第三次中曽根内閣のときに、中曽根総理は物品税の普遍的拡大、物品税という税制が戦前あって、ゴルフ道具とかじゅうたんとか、ぜいたく品の二十四品目にかけられておったのを、新しい時代にいろいろな製品が、例えば電気冷蔵庫、テレビあるいは電気掃除機、いろいろなものができてきて、これを広げようと製造業者庫出税の拡大をやろうとした。
ところが、重厚長大代表の経団連の斎藤英四郎会長、新日鉄の当時会長ですが、この方と花村仁八郎事務総長の二人が中曽根総理のところへ来られて、この製造業者庫出税をやるんだったら自民党を応援しない、政治献金も中止するという申し入れをやって、これができなくなった。
そこで、今度は売上税というものに戻って、売上税導入を指示されて、水野勝主税局長が私のところへ総理の指示で参られて、何とかこの売上税導入について協力してほしいと。もちろん私どもは反対で、それからいろいろ協議したんですけれどもなかなか進行しない。そのうちに、全国の流通十七団体、それに全繊維産業、宮崎輝旭化成会長、それから百貨店協会、三越会長の市原さんと私の三人、それに日本商工会議所会頭の五島昇さんが参加されて、売上税導入反対の全国闘争が始まる。
全国の百貨店全部に、大型間接税反対、売上税導入反対の垂れ幕が下がり、全国の百貨店、商店の新型売上税導入反対運動で全国問題になって、とうとう自民党の百十余名の国会議員の方が反対の署名をされて、中曽根さんもこれは無理だということで断念された。
それを引き継いだ、総理指名を受けた竹下登さんが、どうしても前総理の残したものをやりたいというので私どもへ相談があって、私どもも、一般消費税、売上税、今度はまた竹下消費税、この三回の反対運動の中で、全世界の消費税に関する現実の問題を勉強したり、またみずから出向いて調べた結果、世界に百九十三カ国あるんですけれども、百四十七カ国が導入しておる。しかも、最低税率五%というのは四カ国しかない。七%が二カ国、一〇%が十三カ国、一一%から一四%が二十一カ国、一五%が十二カ国、一六%から二〇%が六十一カ国。これはもうほとんど全世界で導入されておるし、税率も日本の五%は最低である。
それで、日本のような高福祉国家、日本国民は今、世界一ぜいたくな生活をしておる。冷暖房完備、水洗トイレ、ウォシュレットなんて、お湯で排せつ物を洗っているような国は世界じゅうどこにもない。こんなにもいい生活をしておって、それで世界一の長寿国ですよ。これでは、世界一低い税率の消費税が高い、反対だと言っておれないじゃないですか。
今回、野田総理から、昨年の二月、どうしても私と話したいと。二時間半話をしました。野田さんが、三党合意で何としてでもこれを実現したい、こういうお話でした。
私自身は今八十七歳ですよ。さきの大戦、日本陸軍に二年間おって、最後は九月出撃の特攻隊基地におったんです。それが、昭和天皇の、私は殺されてもいい、これ以上国民を失うことはできない、日本国が滅びたら先祖に申しわけないという御英断で、私は助かって今ここにおれる。
それはいろいろな言い分があります、大企業も中堅企業も中小零細も。だけれども、この消費税については、誇りを持ってこれを納めるんだというのが国民全体の意思であってしかるべきで、そのお手伝いを我々業界はやる。この転嫁問題で、ああだこうだとあげつらうことは私はできないと思います。
翻って考えると、日本国というのは、世界の百九十三カ国の中で領土の広さは六十何番目ですよ。さきの大戦で海外領土を全部失って、こんな小さな島で一億二千七百万人がどうして食っていくのか。みんなが力を合わせて譲り合って、この国をどうするかということを本当に真剣に考えないと、あの大戦で殺された四百万人の我々の仲間に申しわけない。
この転嫁問題は、業者、国民の良識に任せる。大企業は、仕入れ価格が違うんですよ、決済条件も違うんですよ、配送費も違うんですよ。私自身、年商五千二百億円、二百三十二店舗の大型の食品スーパーの経営者です。どちらかというと大企業の部類に入ります、従業員が三万七千人もいるんだから。だけれども、中小零細企業の方々と本当にお互いに力を合わせて、どちらかというと大は我慢して惻隠の情を持って、また中小零細の方は頑張って、この国をどうするか、自分たちの仕事をどう守るか、従業員をどう守るか、これに注力しなきゃいけない、かように思っています。
旧大蔵省、財務省が、内税、総額表示を義務づけた。これはもう大変な間違い。消費税というのは、本体価格、商品の価格、あるいはサービスの対価に何%という消費税、これは幾らだと別に書いて、いわゆる外税方式でなければ、消費税を一体幾ら国民が負担しているか、納めているかというのはわからないんです。それを、総額表示を義務づけて、内税で税金をごまかそうなんて、さもしいことを考えたのが間違いです。だから、今度は時限立法で外税を採用してもらいましたけれども、これは恒久的にやるべきだとはっきり申し上げておきたい。
税というのは、どちらかというと、暗い、重い、後ろ向き、下向きの感じで今まで来ておる。私は大正の末期に生まれたが、私が生まれ育った大正末期から昭和二十年、敗戦までの日本国民には三大義務というのがあって、教育を受ける義務、兵役の義務、納税の義務、これは国民の義務だった。だから、税金を納めることは、俺は税金を払っていると、昔の人は誇りに思っておった。また、政府も高額納税者を表彰しておった。
ところが今、戦後、アメリカの変な占領政策で、日本の家族制度は壊れ、教育は壊れ、社会も壊れた。我々が育った戦中、戦前は、他人様の業界に手を突っ込むようなことはなかった。マヨネーズはキユーピー、ケチャップはカゴメ、ソースはブルドックソース、大阪はイカリソース、余計なことはやらないんだ。今はもうめちゃくちゃですよ。もうかるとなればわあっと何でも、陸上の私企業が海上へ行く、水中へ行く、めちゃくちゃだ。
これは、アメリカのいわゆる日本弱体化政策で、日本を弱くするために、いろいろなことをマッカーサーが七年の占領の間にやったんです。これから脱却しなきゃいけない。本来の日本国民のあれを取り戻さなきゃいけない。
だから、この転嫁問題は、もう言わずもがな、大企業は大企業でみずから自粛して、少なくとも、消費税を対象にしたセール、これは私はみずから律すべきだと思います。
今、鐘が鳴りましたから終わりますけれども、どうぞ皆さん、国会議員、衆議院、参議院七百二十二名、与党、野党ないですよ、英知を絞って、この日本国を五十年、百年、二百年先どうするか、この議論をやってください。
それで、霞が関の世界一清潔で優秀な官僚に、国会の皆さんが決めた日本国のあるべき姿、グランドデザインを渡して、この実行方をやらせる、それに国民は総力を挙げて協力する。二百何十年前、インディアンを追っ払ってアメリカ合衆国をつくって、あんな寄り合い世帯で、ウォール街のギャングか詐欺師か、あんなものの支配する自由とか、あんなものは日本で通用させちゃいけないし、しちゃいけないんです。
よろしく御奮闘をお願いします。(拍手)