角田豊の発言 (国際・地球環境・食糧問題に関する調査会)
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○政府参考人(角田豊君) それでは、農林水産省の方から農林水産分野における国際協力について、お配りしている資料に基づいて説明させていただきます。テーマが水問題でございますので、特に食料生産に不可欠なかんがい農業に重点を置いて説明させていただきたいと思います。
まず、一ページでございますけれども、世界の食料をめぐる情勢でございます。
世界の栄養不足人口でございますけれども、徐々に改善はされておりますけれども、まだ八・七億人、世界人口の一五%が栄養不足に苦しんでいるということでございまして、ミレニアム目標におきましてもこれを一一・六%まで下げていくということで、今の状態ですとなかなか厳しいということが言えようかと思います。また、途上国の人口の六五%は農業人口ということでございますので、そういう意味でも農業分野の支援ということが非常に重要というふうに考えております。
二ページでございます。
世界人口の増大の状況でございますけれども、二〇五〇年には九十三億人に増えるという見通しでございます。しかも、そのほとんどは途上国で増加ということでございます。また一方で、世界の経済成長に伴いまして穀物需要が大幅に増大しております。そういった観点から、FAOの予測によりますと、二〇五〇年には現在より食料生産を六〇%増加させる必要があるというふうな予測も出ております。
三ページお願いいたします。
世界の農業生産でございますけれども、これまでは人口の増に対応いたしまして生産は増えてきております。
この図を御覧いただきますと、六〇年代からの収穫面積と生産量、それから単位面積当たりの収量の変化のグラフでございますが、収穫面積は余り増えていません。一割ぐらいの増加にとどまっています。一方、単収は二・六倍に増えているということで、これはまさに水、つまりかんがい、それから品種改良、それから肥料といった面の改善、緑の革命によってこうした生産量の増が図られているということでございます。
今後も人口増に対応して単収を伸ばしていく必要がありますけれども、御覧いただいた表によりますと、単収の伸びというものは今落ちてきておりまして、しかも、今後、気候変動の影響あるいは新しい水資源の開発というのが非常に困難化してきておりますので、水の面の制約というのは非常に大きくなってきていると言えようかと思います。
その観点で、四ページ、地球温暖化による農業への影響予測はこのようになっているということ。
それから、五ページを御覧いただきますと、実際、毎年のように水に関する災害が起きていると。先ほどからもお話ありましたけれども、タイにおける大洪水、それから昨年はアメリカの中西部で大干ばつがあってトウモロコシ価格が高騰したというような事例がございます。
そして、六ページをお願いいたします。
こうした状況の中で、世界的な食料需要の増大と災害による生産の不安定化によりまして、二〇〇八年以降、主要な穀物価格は非常に高止まりしているという状況でございます。二〇〇六年の比率でいうと一・九倍から三・二倍という状況でございますし、FAOの食料価格指数でいえば二・一倍ということで、非常に逼迫してきているという状況でございます。
このような状況を踏まえて、七ページでございますけれども、食料安全保障問題というのが世界的な課題になってきております。G8、G20、それからAPECといった場で、農業生産を増やしていかなければいけない、あるいは途上国に対する総合的な支援をしていかなければならないということが度重なるように指摘されております。日本におきましても、新潟でAPECの食料安全保障担当大臣会合というものを開催して、そういった問題点を国際的に発信しているところでございます。
八ページでございますけれども、農業分野のODA増やしていく必要があるわけですけれども、世界的に見ますと、なかなかその比率というのは下がってきていると、厳しい状況であるという現状でございます。
次に、九ページでございますが、こうした状況を踏まえて、農水省の国際協力の取組を御説明いたしたいと思います。ODAの大綱あるいは農水省の基本計画に基づきまして、途上国の農業生産の向上を通じた貧困削減、それから気候変動等地球的規模課題への対応を柱に展開しているところでございます。
十ページを御覧いただきますと、農水省のODAにつきましては、特に基礎的な調査、技術開発、人材育成といったところを中心に実施しておりまして、FAO等との国際機関との連携でありますとか、それから外務省、JICAと連携して二国間協力の推進に努めているところでございます。
十一ページから幾つか事例を紹介させていただきたいと思います。
まず、アフリカ支援というものは、農水省としても最重要課題の一つというふうに認識しております。十一ページでございますが、TICADですね、アフリカ開発会議、これに積極的に対応してまいっております。アフリカの米需要の増大を踏まえて、二〇〇七年から十年間で米生産倍増のプロジェクトに取り組んでいるという状況で、日本のかんがい、品種改良、普及などの技術がアフリカの米増産に大きく貢献しているという状況でございます。
十二ページは、これは、WFP、世界食糧計画と連携いたしまして、西アフリカの内戦で荒廃した水田の復旧に取り組むと。女性を始め地域住民の参画を得て、労力を提供してもらって水田を復旧していくと、その対価として食料を供給するというようなプロジェクトを実施しておりまして、これもWFPの方から高い評価を得ているという状況でございます。
十三ページは、効率的な水利用を目指す持続的なかんがい農業というのがもう一つの大きなテーマでございます。既存のかんがい施設のリハビリ、これはハードの事業になりますが、それに加えて、農民自身による水管理手法の普及、ソフト対策、これを一体で行うという農民参加型のかんがい事業を行っているところでございます。これは日本の土地改良区制度をモデルにしておりまして、農民による自主的な水管理組織の世界的な成功例ということで、非常に今、その評価が高まっているという状況でございます。
次の十四ページを御覧いただきますと、こうした農民参加型水管理のネットワークが広がってきておりまして、アフリカ、アジアそれから中南米といったところで展開しているところでございます。今、農水省の方からJICAを通じまして四十七名のかんがい専門家を派遣して、こういった農民参加型の水管理の普及に努めているところでございます。
次の十五ページに参りまして、このかんがいを基軸といたしまして、それに併せて農地の整備それから農道といったような生産基盤全般ですね、これをODAで対応する。それに加えて、農業の機械化、倉庫の建設あるいは加工施設といった民間企業による投資なども連携しまして、総合的なインフラ整備のニーズが現在高まってきております。日本の農業技術、ノウハウを生かすという観点で、こうしたODAの民間投資との連携にも取り組んでまいりたいと思っております。
最後に、林業と水産業についても若干御紹介させていただきます。
十六ページでございますけれども、焼き畑、違法伐採など、途上国の森林減少、劣化に由来します排出を削減する仕組みが重要でございます。森林資源の効率的な把握の技術でありますとか、あるいは人材育成といったところに協力をいたしております。
また、最後、十七ページでございますけれども、国際的な水産資源管理を推進していくということで、我が国の漁船の操業確保の観点から、途上国の資源管理等の漁業協力を実施しているという状況でございます。
以上、農水省からの説明でございます。ありがとうございました。