太田昭宏の発言 (国土交通委員会)
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○国務大臣(太田昭宏君) ボーイング787型機のバッテリー事案への国土交通省の対応について御説明申し上げます。
ボーイング787型機については、米国時間一月七日にボストン空港において補助動力装置用バッテリーの発火事案が発生したのに続き、一月十六日に高松空港においてメーンバッテリーに関する重大インシデントが発生しました。一月十七日には、米国連邦航空局、FAAの耐空性改善命令の発行を受け、国土交通省も同内容の耐空性改善通報を発行し、同型機の運航を停止するよう航空会社に指示しました。
本件は、航空運航の安全を確保する上で極めて深刻な事態であるとの認識の下、事案発生後直ちに私をヘッドとする省内連絡会議を設置し、運輸安全委員会の航空事故調査官及び航空局調査チームを現地に派遣するなど、原因究明及び再発防止策の検討を開始しました。
運輸安全委員会は、米国国家運輸安全委員会、NTSBと緊密に連携し、バッテリーや周辺機器の詳細調査や飛行記録の解析などの調査を進めてきました。また、航空局調査チームは、FAAと緊密に連携し、バッテリー製造会社やバッテリー監視装置製造者に対し立入検査を行うとともに、再発防止策の在り方などについての検討を行ってきました。
一方、ボーイング社は、バッテリー事案に対する是正措置の検討を進め、米国時間二月二十二日にはFAAに対し是正措置案を提出すると同時に、航空局に対し情報提供がありました。また、二月二十八日には、ボーイング社民間航空機部門社長から国土交通省に対し直接の説明がありました。
米国時間三月十二日には、FAAが、ボーイング社の是正措置案についての安全基準への適合性を証明するための方法等を定めた証明計画を承認しました。三月十二日以降、ボーイング社は、当該証明計画に基づき、順次、試験及び解析を実施し、FAA及び国土交通省に対してその報告書や解析書を提出しました。
FAAは、これらの試験の報告書や解析書の内容について審査を進めた結果、米国時間四月十九日、ボーイング787型機の製造に第一義的に責任を有する政府として、ボーイング787型機のバッテリーの改修に関する設計変更を承認しました。
国土交通省としても、FAAと緊密に連携し、分析及び評価を行ってきました。具体的には、二月三日から米国シアトルに航空局調査チームの職員を派遣し、飛行試験を始めとするボーイング社の試験への立会いやFAAと連携した審査などを行いました。
また、国内においても、FAAと頻繁に電話会議を行うとともに、リチウムイオンバッテリーや航空機安全に関する外部有識者の知見も活用しつつ、航空局内に設置した調査チームにおいてボーイング社の報告書等の内容の分析及び評価を行ってまいりました。また、省内連絡会議も合計二十五回開催し、ボーイング社の是正措置の妥当性を評価してきたところです。
次に、ボーイング社の是正措置の内容及びそれに対するFAA及び当省の考え方について御説明いたします。
ボーイング社は、運輸安全委員会やNTSBの調査で判明した事実や社外の専門家から得られた意見を基に、約百項目の想定される原因を洗い出しました。次に、約百項目の原因について、専門家の意見等も踏まえつつ、更なる対策の検討の必要のない項目を除外することにより、約八十項目に絞り込みました。約八十項目は、原因や対策の類似性から四グループに分類できます。四グループとは、電極ナットの不適切な締め付け、外部短絡や電圧変化による電解液の負荷、セルの過放電による化学変化、製造時における異物等の混入です。
その上で、ボーイング社は、これら全ての原因に対応できる是正措置案として、四グループ約八十項目の原因に対するバッテリーセルの過熱への直接的な対策、バッテリーセルに過熱が発生した場合に他のバッテリーセルへの熱の伝播への対策、万一バッテリーセル間で熱が伝播した場合の火災等の防止の三段階の対策を策定いたしました。
これは次の考え方に基づいております。
まずは、想定される原因に対する直接的な対策を講じることにより、四分類の原因によるバッテリーセルの過熱を防ぐことが可能となります。さらに、仮に原因に対する対策にかかわらずバッテリーセルの過熱が発生した場合でも、他のセルへの熱の伝播を低減することが可能となります。万が一、バッテリーセル間で熱の伝播が発生した場合でも、バッテリー内に過熱等を閉じ込めること等により火災等の発生を防止するための措置を講じております。航空機全体の設計は何重もの防御措置が講じられていますが、今回のボーイング社の是正措置はバッテリーの不具合に対し更に三重の対策を講ずる内容となっています。
国土交通省としても、ただいま御説明しましたとおり、FAAと緊密に連携しつつ、精力的に評価及び分析を行ってきた結果、ボーイング社の是正措置は妥当なものであるとの判断に至りました。
また、米国時間四月二十三日及び二十四日にはNTSBの公聴会が開催されました。公聴会におきましては、FAA、ボーイング社に加え、フランスのタレス社及び日本のジーエス・ユアサ社がリチウムイオンバッテリーの設計や認証について発言を行いましたが、是正措置の妥当性に疑念をもたらす新たな事実はありませんでした。
以上を踏まえ、日米の航空当局において、是正措置に関する改修を行ったボーイング787型機については運航再開を認めるとの判断に至りました。
具体的には、FAAにおいて、米国時間四月二十六日に、米国の航空会社に対し運航再開を認める耐空性改善命令を発行しました。これを受け、国土交通省も、同日、我が国の航空会社に対し同内容の耐空性改善通報を発行したところです。
また、これに合わせて、航空会社に対し、運航の安全を確保することはもちろんのこと、利用者の安心を確保するため、機材の点検整備、運航乗務員の能力の確保等に万全の措置を講ずるとともに、利用者等に対する適切な情報開示を実施するよう要請しました。これを受け、航空会社は、順次、改修後の確認飛行、運航乗務員の慣熟訓練等を行っており、有償運航の再開後も、バッテリーの安全性に関する確認や利用者に対する情報開示を行うこととなっております。
昨日までに十六機の機体で改修作業が完了し、そのうち十一機について確認飛行が完了しております。また、確認飛行が完了した航空機を使用して百十二便の慣熟飛行を実施しております。今後、必要な準備が整い次第、有償運航の再開となる予定です。
国土交通省としては、ボーイング787型機の安全確保に万全を期すとともに、航空利用者の安心を確保するため、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
委員の皆様方の御指導を引き続きお願いし、報告とさせていただきます。