樋口美雄の発言 (国民生活・経済・社会保障に関する調査会)
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○参考人(樋口美雄君) まず一点目の大企業、中小企業の議論の中で、大企業はいろんな雇用機会がありますから、例えばステップアップするような、そういった職に就けていくとか仕事に向けていくというようなことも可能でしょうと、ところが中小企業は難しいですねというのは、まさにおっしゃるとおりかなというふうに思います。
ただ、中小企業の中も、いつまでも中小企業ということではなく、伸びていく企業というのがあるわけであります。その伸びていく企業をいかに増やしていくかということも重要でありまして、例えばこれはグローバル化とよく議論されております。中小企業もここのところ海外進出といったものが非常に盛んになってきて、また政府としてもそれを支援しようというような流れがあります。かつて、こういう企業を支援した場合に、国内の産業が空洞化してしまうではないかと、みんな企業が海外へ逃げてしまうではないかというような議論があったかというふうに思います。
私どもいろいろ調査をしてみますと、どうも海外に出ていって、その機会、それを契機として逆に企業が発展していくといったものが平均して多いというようなことが分かってまいりました。むしろ、何もやらないで守りの姿勢を取っているような企業の方が逆に国内雇用も減っていくというようなことがございまして、そこにおいては、企業の成長といったものが働く機会も増やしていきますし、また、その働いている人たちがいろんなものに挑戦していこうといったものを広げてきているということがございますので、そういった能力のステップアップということも企業の成長とともに起こるというふうに思いますので、そういったものをいかに増やしていくか、そういう企業をいかにつくっていくかというようなことも重要なポイントになるんではないかというふうに思います。
もう一点、能力開発のところとの関連で、職場で能力開発した方がそれは効率的ではないかという、私もそう思います。そう思いますが、能力開発というのは大きく二つあるのかなと。それは、その企業の中に入ってしかできないような能力開発、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを代表とするような能力開発。もう一つは、むしろオフ・ザ・ジョブ・トレーニングというふうに言われている座学的な側面ですね。これは学校でもありますし、専修学校でもありますし、そういったところでもなされる。これが実はうまくマッチすることによって人々の能力が高まっていくんだということで、どちらかがあればいいですよというものではないということでございます。全くの素人が何も知らない状況で会社に入ってくると、かつて日本の企業はそういった若い人たちを求めるんだというようなことを言われてきましたが、やはりいろんな基礎的な学力、能力、こういったものを身に付けた上で会社に入ってくるということが非常にプラスになるというようなことが出ております。
その中で、政府の支援で、学校でありますとか専修学校、そういったものに対する支援というのもあるんですが、今度は会社のオン・ザ・ジョブ・トレーニングあるいは会社における研修というものを実は非正規労働者というのはほとんど受けられていないという問題があります。正社員については会社は一生懸命能力開発するんですが、そういった能力開発のチャンスも与えられていかない、その結果としていつになっても同じ仕事をしていますというようなことでありますが、それを支援するために、例えば雇用型教育訓練制度というようなものが使われているかというふうに思います。
就職したときには非正規かもしれない、あるいは非正規労働者を企業が受け入れる、そしてその能力開発に対する支援を政府が行い、また、それが正社員に転換するというふうになったときに給与の一部分を国の方が負担しますよというような形での支援、ここについてはかなり効果があるというようなことが今までの研究でも分かってきているかというふうに思いますので、そういった制度を活用していくと、拡大していくということが私は一つの道かなというふうに思います。そこのときに、ジョブ・カードといったものも今使われているということでありまして、その能力開発についての効果ということについても、どうも効果がありますよというようなところがいろんな実証分析の結果で今示されてきているということが言えるかと思います。