国民生活・経済・社会保障に関する調査会

2013-02-27 参議院 全73発言

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会議録情報#0
平成二十五年二月二十七日(水曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月六日
    辞任         補欠選任
     藤本 祐司君     蓮   舫君
 二月七日
    辞任         補欠選任
     舟山 康江君     行田 邦子君
 二月二十六日
    辞任         補欠選任
     小林 正夫君     柳田  稔君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                石橋 通宏君
                斎藤 嘉隆君
                藤井 基之君
               三原じゅん子君
                山本 博司君
                寺田 典城君
    委 員
                大久保 勉君
                金子 洋一君
                芝  博一君
                田城  郁君
                徳永 エリ君
                林 久美子君
                柳田  稔君
                蓮   舫君
                中原 八一君
                福岡 資麿君
                松村 祥史君
                魚住裕一郎君
                谷  亮子君
                行田 邦子君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        近藤 俊之君
   参考人
       日本放送協会解
       説委員      後藤 千恵君
       慶應義塾大学商
       学部教授     樋口 美雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済・社会保障に関する調査
 (「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」
 のうち、雇用とセーフティネットの現状と課題
 について)
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鴻池祥肇#1
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活・経済・社会保障に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日までに、藤本祐司君、舟山康江君及び小林正夫君が委員を辞任され、その補欠として蓮舫君、行田邦子君及び柳田稔君が選任されました。
    ─────────────
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鴻池祥肇#2
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活・経済・社会保障に関する調査を議題とし、「持続可能な経済社会と社会保障の在り方」のうち、雇用とセーフティネットの現状と課題について参考人の方々から御意見を聴取いたします。
 本日は、日本放送協会解説委員後藤千恵君及び慶應義塾大学商学部教授樋口美雄君に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶を申し上げます。
 御多用のところ御出席をいただき、誠にありがとうございます。
 本日は、皆様方から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の調査の参考にさせていただきたいと存じておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。ありがとうございます。ヤジ
 議事の進め方でございますが、まず後藤参考人、樋口参考人の順にお一人二十分程度で御意見をお述べいただきたいと思います。その後、各委員からの質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。ヤジ
 いましばらく休憩をいたします。
   午後一時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時二分開会
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鴻池祥肇#3
○会長(鴻池祥肇君) 定数は足りておりますので、継続をいたします。
 それでは、まず後藤参考人にお願いいたします。ヤジ
 後藤参考人、よろしくお願い申し上げます。
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後藤千恵#4
○参考人(後藤千恵君) ただいま御紹介にあずかりましたNHK解説委員の後藤千恵と申します。(資料映写)
 今日は、雇用とセーフティーネットの問題につきまして、これまでの取材を通じて、感じ、考えてまいりましたことを個人の意見として述べさせていただきます。
 私が今最も深刻だと考えていますのは、現役世代の中に、働いても食べていけない、働きたくても働けない人たちが増えているということです。働いても食べていけない、これは、非正規雇用の広がりなど、いわゆる雇用の劣化によるものです。この問題につきましては、樋口先生が後ほど詳しくお話しくださるかと存じます。
 今日、私は、こちらの、働きたくても働けない人たち、いわゆる就労困難者をめぐる問題にポイントを絞ってお話をさせていただきたいと思います。
 働きたい。働けないのではない、働けるのに働かないんじゃないか、そんな意見も聞かれます。中にはそういう人もいます。でも、私のこれまでの取材実感では、圧倒的に多くは働きたいのに働けない人たちです。そうした人たち、実際にどのくらいいるのでしょうか。
 生活保護を受けている世帯のうち、支援があれば働ける可能性のある人は、厚生労働省の推計で三十万人とされています。数は重なりますが、一年以上の長期にわたって仕事を探し続けている長期失業者、百二十万人です。ニート、引きこもりの人、七十万人に上ります。
 例えば、この長期失業者百二十万人、このうち、二十代、三十代の若者が半数以上を占めます。そして、その六割は正社員の仕事を求め続けている人です。企業が正社員の採用を控え、抑え、非正規雇用を増やそうとする一方で、正社員の仕事を求める人は増え、こうして失業が長期化しているんです。
 ニート、引きこもり、実は不登校から引きこもりになった人は一割ほどです。一方で、職場になじめなかった、就職活動がうまくいかなかったという人が四四%、半数近くの人は実は仕事がきっかけで引きこもりになっている。四人に一人は三十代で引きこもりになっています。引きこもりだから働けないんではない、働けないから引きこもっている人たちが少なくないんです。大学を出た新卒の人たちでも就職は難しい現状です。こうした人たちが安定した仕事に就くにはかなり高いハードルがあるんです。
 このまま行くとどうなるんでしょうか。結婚したくても経済的な理由でできないという人が増えて、少子化は更に進みます。二〇三〇年には生涯未婚率が男性で三〇%、女性で二三%になるという推計があります。貧困の連鎖も心配されています。既に日本の子供の六人に一人が貧困状態にあるとされています。子供を産み育てることが当たり前ではなくなっているんです。社会保障費、誰が担っていくんでしょうか。
 自殺者が急増した九〇年代後半、中高年の男性の自殺が多かったんです。でも、二〇〇〇年代後半から増えているのは三十代の男性です。内閣府は、長期失業など失業要因による影響が大きいと分析しています。三十代前半までの若者で死因の第一位が自殺となっている国、先進七か国で日本だけです。現役世代の多くが病み、働けずにいる社会が力を持ち続けることができるのでしょうか。就労困難者を放置したツケはこの社会全体、私たち一人一人が負うことになります。
 では、実際に働きたくても働けない就労困難者をどうやって支えていけばいいのでしょうか。政府は、生活保護に至る前の支援、第二のセーフティーネットの重要性を訴えています。しかし、十分に機能しているとは言えません。
 例えば、その政策の柱とされる求職者支援制度です。この制度は、御存じのように、失業手当を受けられない失業者が月十万円の生活費を受け取りながら無料の職業訓練を受けられる制度です。期待を集めた制度ではありますが、実績は余り上がっていません。制度が始まった二〇一一年度は、予算ベースでは十五万人の利用を見込んでいました。しかし、利用者は五万一千人。一二年度は、二十四万人の見込みに対して去年十一月の時点で六万八千人です。来年度は十四万人分の予算しか確保されていません。
 背景の一つは、まず、利用者にとって、無断欠席が許されないなど要件が厳しく受講のハードルが高いことです。そして、訓練機関にとって、就職率が低くなると次の年に認定を受けられない仕組みになっておりますので、就職につながりそうな人を選別してしまっているということがあると見られています。働くことに困難を抱えている人たちを支える制度なのに、そうした人たちが最初から排除されてしまっているという厳しい指摘もあります。
 一方、就職率、およそ七〇%と公表されています。しかし、正社員などの無期雇用に就いた人はおよそ半数です。問題は、その仕事をどのくらい継続できているのか、定着率についての調査は行われていません。就職後のフォローをする制度もありません。就労が困難な人たちを、働いて自立につなげ、第二のセーフティーネットとして機能させるのであれば、就職率という短期の目標ではなく、その後の定着率を含めた長期にわたる検証が必要です。また、採用企業と連携して質のいい就労につながる訓練の在り方を模索するなど、制度の再構築が必要だと思います。
 実は今、各自治体も、生活保護を受けている人たちの就労支援に力を入れています。でも、なかなかうまくいっていません。そんな中で、一つ、例えば川崎市が去年から面白い取組を始めています。人材派遣会社と連携してコミュニケーションのスキルを高めるための講座を始めたんですが、ポイントはグループをつくって受講することです。何かといいますと、生活保護を受けていらっしゃる方というのは、やっぱり地縁、血縁、社縁がなくて社会から孤立しがちなんですね。そうした受給者の仲間づくりをする、そこに力を入れようということなんですね。
 すると、採用試験に失敗しても、やはり失敗することは多いんです、ここに戻ってきて仲間に話をします。そうか、今度は頑張ろうと声を掛け合える。そんな仲間ができたことで働く意欲が高まってきた。実際に就職につながる人も出てきています。この講座は午前九時半から始まるんですけれども、午前八時半から、一時間も早く集まってくる受給者が何人もいるそうです。
 とはいえ、こうして職業訓練を受けて力を付けましても、実際に働く場がなければ解決にはなりません。特に今、コミュニケーションが苦手な若者が増えています。人間関係うまくつくれないんです。一方で、企業は即戦力となる人材を求めます。働く人を守り育てていく余裕がなくなってきている。少しでも能力が欠けると安定した仕事にはなかなか就けない。働く場を見付けられない人は増える一方です。
 では、どうすればいいのでしょうか。
 ここで、社会の課題に果敢に挑戦する新しい企業群の事例を紹介します。これまでとは逆の発想で、従業員を大切にすることで収益を上げようとしている二つの事例です。
 一つは、東京赤坂に本社のあるISFネットグループ、IT関連の仕事を主体とする企業です。従業員は二千五百人なんですが、そのうちおよそ千人が就労困難者とされた人たちです。元ニート、フリーター、七百人です。知的、精神、発達障害などの障害者、三百人です。
 この企業の採用方針、とてもユニークです。履歴書は参考にしません。募集要項にありますのは、無知識、未経験、そして意欲のある人という言葉です。そして、こちらに書いています二十の要因、ニート、フリーター、引きこもり、障害、いろいろな要因ありますが、こうした二十の要因、通常であれば、こういう要因があるから就職ができにくい。だけれども、ここでは、就職に当たってこの二十の要因について、あえて採用、不採用の理由にしないということを宣言しています。
 あるとき、精神に障害のある人が面接に来て、人事担当者がその人が気にしている言葉を言ってしまった。その人はかっとなって、目の前にあった筆箱を担当者に投げ付けたそうです。その人はどうなったか。採用です。頑張って働きたいという意欲があったからです。筆箱を投げ付けたのは、精神障害からくる一種の病気の症状です。だから、採用の判断材料とはしなかったというんですね。
 では、実際にこうした人たち、どんな仕事をしているのでしょうか。
 私が先週取材させていただいた職場は、日本で最先端の仕事の現場でした。町中のお店や駅など人の集まる場所につくる無線LANのスポット、そのWiFi基地局に設置する機械の設定とこん包の仕事です。知的障害のある方、精神障害のある方、元引きこもりの方、生活保護を受けている方、いろんな人たちがここで一緒に仕事をしていました。皆さん研修を受けた上で、やり方を細かく書いた手順書に沿って作業を進めています。一つの作業が終わるごとにグループのリーダーにチェックしてもらいます。そして、納品の段階でも最終チェック、二重のチェック体制ですので、安心して働ける仕組みになっています。ノルマはありません。自分のペースで仕事ができます。多めに人を配置していますので、急な休みにも対応できます。
 ここで、生活保護を受けて三年、五十社近く応募したけれど、どこにも採用されなかったという男性も働いていました。四十八歳、お話ししますと大変しっかりした方なんですけれども、採用のときにはもう年齢だけではねられてしまったそうです。会社としては、彼にリーダーの仕事を任せたいと考えていると言っていました。この職場には、精神、知的の障害者が多いので、実は生活保護の受給者は何度も就職試験に失敗して自信を失っている人が多いんですけれども、ここで自信を取り戻すきっかけになるというんですね。
 この企業では、ハンディのある人のために支援者を増やすのではなく、ハンディのある人自身をリーダーとして育てていく方針を取っています。就労困難者自身がリーダーになっていくことで、特別に支援員を配置する必要もなくなってくるんですね。全盲の二十代のNさん、今は関連団体の事務局長として活躍しています。三十二歳までフリーターをしていたHさん、入社六年目で二百五十人の部下を束ねる中部エリアの責任者になりました。
 会社設立から十二年、十一期連続で黒字を続けています。渡邉社長は、社員の雇用を守り抜く、切らずにいると会社は固く結ばれる、就業困難者の雇用を成長につなげるんだと話していました。
 なぜ就労困難者を雇って黒字経営ができるんでしょうか、それが成長につながるんでしょうか。ポイントをまとめました。まず、就労困難者を戦力にしていることです。いろんな仕事を切り出して細分化して、就労困難者でもできる仕事にしています。さらに、ステップアップの仕組みをつくってリーダーを育てていく。できないところはみんなでカバーし合って、できるところを伸ばしていきます。次に、新しい仕事を次々につくり出すということです。IT関連の仕事にこだわらず、障害者が働けるカフェをつくったり、地域のクリーニング店や飲食店など、働く人が集められずに経営難に陥っている零細事業者と組んで、そこを就労困難者の働く場として復活させています。また、就労困難な人を雇っているということを知った取引業者がわざわざ仕事を回してくれるようになってきている、もう自然と仕事の依頼が増えているというんですね。そして、最後、何があっても雇用を守る、辞めさせない。雇い続けてくれる安心が社員のやる気につながり、生産性を高めているというんですね。
 次に、もう一つ民間の取組の事例を紹介します。
 働きたいけど働けない、いろんな事情を抱えた人たちの雇用の受皿として今注目されているものの一つにコミュニティービジネスがあります。これは、食の問題、エネルギーの問題、高齢者、子育て、教育の問題、そうした地域の課題を解決することをボランティアではなくビジネスにしていくというもので、今各地に広がりつつあります。
 例えば、藤沢市にあるNPO法人ぐるーぷ藤、七年前、総工費五億円を掛けて自前の福祉施設を建設しました。地域住民からも一億円近い出資を受けています。この建物の中には、高齢者住宅、通いの介護施設、精神障害者のグループホーム、地域住民の相談窓口にもなっている地域レストランや幼児の施設まであります。地域の課題を全部解決しようというんですね。
 運営は全てスタッフの意見を反映しています。新たな事業展開からボーナスの査定まで全てスタッフの話合いで決めます。働きたくても働けないいろんな事情を抱えた人が来ます。どうすれば働けるようになるのか、みんなで考えます。考える中からいろんな多様な働き方を生み出してきました。
 例えば、大学時代から三年間、家に引きこもっていた男性。昼夜が逆転していましたので、最初は週に一回の夜勤、夜は得意ですから、夜勤から始めました。そうして徐々に仕事を増やし、一年掛けて昼の生活に戻しました。ヘルパーの資格も取って、今お年寄りに人気の介護士となっています。イケメンなんですね。
 生活保護を受けていた六十代の女性。ここで働きながらホームヘルパーの資格を取って、一年後に生活保護から抜け出すことができました。
 障害のある子供さんのいるシングルマザーの女性。夜勤を中心にしたシフトを組んで、非常勤ですけれども、月に二十万円を超える収入を得て家計を支えています。
 子育て中のお母さんも好きな時間帯に好きな時間だけ働けます。学校が休みのときには子供と一緒に仕事ができるように、子供たちにはその近くでお年寄りのボランティアをしてもらう、それを制度としてつくりました。
 高齢者もここでは貴重な戦力です。常勤、非常勤スタッフ百四十五人、このうち六十代、七十代が五十一人です。ここで働くにはホームヘルパー二級の資格が必要なんですが、七十二歳のときに資格を取って生き生きと働いている女性もいました。
 このNPOでは、常勤、非常勤のスタッフに均等待遇を保障しています。一時金は非常勤の人を含めて年三回。非常勤の人にも有給休暇を必ず取らせます。毎年ベースアップも続いています。
 理事長の鷲尾さん、こう言っています。スタッフが笑顔でいられるように常に考える。スタッフが笑顔でいられるとサービスの質の向上につながる。利用者が増え、収益が増える。スタッフの報酬を上げられる。いい循環につながるんだと、このように話していました。
 コミュニティービジネスは、いろんな事情を抱えている人たちがこのように柔軟に働くことのできる地域の雇用の受皿になっていく可能性があると思います。ただ、経営がうまくいっているところばかりではありません。中には、行政の下請のような仕事を担ったり、経営がうまくいっていないところもあります。地域に根差したこうしたビジネスをどう広げていくのか、課題です。
 政府は、生活困窮者の就労支援の一環として、来年度から中間的就労と呼ばれる働き方を促進する事業に取り組みます。まさに今御紹介した二つの事例のように、一般の企業ではすぐに就労の難しい方に対して訓練を兼ねた温かい就労の場を提供していく、そんな事業者を増やそうというんです。そのために、事業者の認定制度を設けた上で税制優遇措置をとったり、事務所の経費など立ち上げに掛かる費用を支援する方向で今検討を進めています。こうした取組、重要だと思います。ただ、事業者の自由度を損なわないような形での支援が必要だと思います。目指すところは良くても、制度になると使い勝手が悪くなってしまう、そんな事例多いんです。
 例えば、地域で高齢者ケアなどを行うためのNPOなどを立ち上げる際の費用を助成する厚生労働省の地域支え合い体制づくり事業というものがあります。ニーズはあるんですけれども、使われていません。余り使われていません。二百億円の事業費、今年度末まで期間を一年延長したんですが、それでもなお半分の自治体が使い残しています。自治体のチェックが厳しくてたくさんの書類を整えなければならず、すごく使いづらいんだという声を聞きます。例えば、自治体から直に交付するんではなく、中間支援団体を通じて交付するなど使いやすい制度にしていけるかどうか、そこがポイントだと思います。
 これまで、働きたくても働けない人たちが働けるようにする、その受皿づくりの重要性をお伝えしてきました。ただ、同時に欠かせないのは、雇用対策と社会保障政策に車の両輪として取り組んで安心して働ける環境づくりを進めていくことです。こちらにつきましては樋口先生からお話があると思いますけれども、雇用対策としましては、多様な正社員を広げていく、非正規から正社員への転換を促す制度、そして将来的には、同じ仕事をした人には同じ待遇を保障する同一価値労働同一賃金の実現に向けて一歩を踏み出すということが大事です。
 さらに、働いて得た収入では生活できないという人たちのために給付付き税額控除、また困窮している人たちに住宅を提供していく。住まいさえ何とかなれば生活できるという人が実に多いんです。これらはいずれも長く必要性が言われ続けてきたことです。重要なのは、政労使の合意で実現に向けた一歩を踏み出すこと、本気の取組です。
 私たちは今、時代の大きな転換期にいるんだと思います。グローバル化、人口減少、超高齢社会の到来、この避けて通れない大きな課題を乗り越えていくためにどんな新たな社会像を描くのか、まだはっきりとした答えは見えていません。参考になるのは、EUの二〇二〇年を目標年度とする新しい成長戦略です。
 この中でEUは、経済成長率を直接の目標とはせず、多面的な三つの成長を目標に掲げています。知的な成長、持続可能な成長、そして注目されるのが包摂的な成長です。就業率を上げ、人々の技能を高め、貧困を克服することによる成長です。具体的な数値目標も掲げています。就業率を今の六九%から七五%に高める、貧困ライン以下で生活する人の数を二五%減らして二千万人を貧困から脱却させることなどです。
 日本でも今求められているのは、単にGDPの拡大を目指すことではなく、グローバル化や高齢化がもたらす経済や社会の変化によって排除されやすい人たちを再び社会に包み込む、それを成長への原動力としていく、そうした戦略ではないでしょうか。グローバル競争に勝ち抜くと同時に、誰もが安心して働ける多様な働く場を広げることで内需を高め、成長につなげていけるかどうか、それが問われているように思います。
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鴻池祥肇#5
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、樋口参考人にお願いをいたします。
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樋口美雄#6
○参考人(樋口美雄君) 慶應大学の樋口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私の専門は労働経済学というものをやっておりますので、その経済学の視点から、この雇用問題あるいはセーフティーネットの問題ということについてお話をさせていただきたいというふうに思います。
 ただいま後藤委員の方からお話ありましたように、非常に日本社会、いろんなところで問題を抱えているということでございますが、その問題の現象の背景に一体どういうことがあるのか、そしてそれに対する対策をどうしたらいいのかということについてお話をできればというふうに思っております。(資料映写)
 今、日本の失業率というものがこちらのスクリーンに出ておりますが、皆様のお手元にもこちらの画面は配付しておりますので、それを御覧いただければというふうに思います。
 日本の失業率、上の方にございますグラフの一番下のところに黒い線が引かれているものがあります。これを見ますと、現在四・二%の失業率だということで、かつては二%台の失業率でございましたので失業率上がったなというような印象は拭い切れないわけでありますが、ただし、ほかの国と比べたらどうなんだろうかということを見ますと、明らかに、アメリカに比べましても、あるいは好調だというふうに言われているドイツに比べても、依然としてこの失業率は低いというようなことがございます。
 ただ、この失業率見て御案内のとおり、例えば一九九八年、ここから失業率というものが大きく変化するようになってきたというような特徴がございます。労働経済学ではこの九八年が労働市場のどうも大きな転換点であったんではないかというふうに言われるわけでございまして、九八年といいますと、タイのバーツの問題ということで言われましたような国際的な、特にアジアの通貨危機といったもの、ここからグローバル化の進展、特に資金面における、金融面におけるグローバル化といったものが進展する中において、日本の企業行動も大きく変わり、また国民生活も大きく変わってきたというふうに思います。その状況の中においても依然として低い失業率を維持することができているという、これは看過することができない点ではないかというふうに思います。
 ただし、その背景において、失業率を低く抑えるためにいろんなところで犠牲が逆に払われているわけでございまして、その点についてセーフティーネットをどう考えていくのかというような問題があるんではないかということであります。
 このまず大きな要因、構造的要因というふうに私ども言っておりますが、そこで考えなければいけないのは、今、後藤委員からもお話ありました、一つは少子高齢化の問題。この少子高齢化の下において持続可能な経済社会と社会保障、これをどう考えていくのかというような問題。そして二番目に、単に人口が減少するとかあるいは高齢者が増えるというだけではなく、一方においてグローバル競争といったものが存在する。これが同時に起こっていくという中においてその問題が起こっているんではないかというふうに思います。
 しかし、では、グローバル化を止めればいいかというと、決してそんなことはございません。グローバル化の活用の仕方によっては逆に日本にも大きなプラスになるということでございますので、そういったものを国民の豊かさにどうつなげていくのかといった視点が重要かなというふうに思います。
 まず最初、少子高齢化のところでございますが、将来に向かって、今いる一億二千万強の人口が二〇六〇年になりますと九千万人を割りますということですから、相当の数減少します。同時に、今度は高齢者が増えて若者が減るというようなことになる。人口構造も変わるんだということでありますが、ある意味ではもう既にそういったことは起こっていると。
 では、その起こっているところで何が起こっているんだろうかということでございますが、過去十年間振り返ってみますと、日本の生産年齢人口というふうに言われています十五歳から六十四歳の年齢層、ここのところが五百三十四万人既に減っているというような事実でございます。誰が生産年齢人口というふうに呼んだのかと、六十五歳を過ぎたって働くことはできるじゃないかというふうに多くの方は思っておりますが、一応、国連の方でこういうふうに定義しておりますので、ここでは使いますが、六十五歳を過ぎても働くことができるということであれば、これは生産に貢献するということでございますので、少子高齢化の影響を少しでも和らげることができるというふうに思います。
 一方、労働力人口、これは十五歳から六十四歳の中でも働こうというふうに思っていない人もいます。例えば学生、高校生あるいは大学生というのは、これは多くの者が非労働力人口というふうになりますので、今申し上げます労働可能でありあるいは働こうという意欲、意思を持っているというような人から除かれていく。あるいは専業主婦といった人たちも、働いていないわけでありますから、ここから除かれていくということで、労働力人口に限定して見ますと、この十年間でそれが二百五十六万人減っていますということであります。
 かつてに比べて、この二百五十六万人分、実は失業が減っているんですというような見方もできます。もしかつてのような人口の伸びといったものがあれば、これだけGDPが低い水準がずっと続いている中においても低い失業率に抑制している要因、その一つがなくなってしまうという可能性がございますので、今後の経済の運営の仕方によっては、やはり少子高齢化によって人手不足といったものも起こってくる可能性があるんだというのは念頭に置かなければいけないんではないかというふうに思います。
 しかし、その一方で、足下を見ますと、人手不足どころか、こんなに労働力人口が減少したのに就職難ですというようなことで、逆に、ある意味では企業の採用意欲の方も減ってしまっている。これも、もしかしたら少子高齢化等へ関連しているかもしれない。要は、現役世代、給与所得者でありますから、その人たちが減少することによって、たとえ年金による高齢者が増えても消費は減ってしまうというような、結果的に内需が減少してしまうということになりますから、供給の方も減り、なおかつ需要の方も減りますというような、いわゆる縮小均衡に陥ってしまう日本経済の可能性もあるんだと。これをどういうふうに回避していくのかというのが私どもに課せられた大きな課題ではないかというふうに思います。
 要は、働きたいという人たち、その人たちがやっぱり意欲、能力を発揮できるような社会、しかもそれをまた雇い続けることができるような、そういった社会といったものをまさに持続可能というような社会というふうに私は定義できるんではないかというように思います。
 その中で、では、グローバル化で何が起こってきているのか。特に、先ほど申し上げました九八年以降において起こっているものというのは、国際競争力の維持、このために費用を削減しなければならない、あるいは人件費を抑制しなければならないというようなことが実態として起こっております。
 そこの結果として、賃金の引下げあるいは価格の低下というような、雇用は何とか守りながらもそういった給与面の調整ということによって競争力を維持してきたんだと。その結果、たとえ競争力が維持できたとしても、今度はほかの国に比べてまだ日本は競争力が高いですよというようなことになると、結果的に円高が更に進展します。円高になってくればまた費用の削減の要請が強まるという、いわゆるデフレスパイラルといったものが、これは金融面だけではなく実物面、労働市場においても起こっているということでございまして、こういったもの、賃金の調整というのが一見いいように思うわけですが、実はそれは消費の源なんです、給与所得なんですというようなことを考えますと、賃金が低ければ雇用が守られるというだけではなく、その結果として需要も減ってしまいますよ、消費需要が減ってしまいますよというようなことが起こるわけでありまして、これをどういうふうにすれば脱却できるのかということについて考えていかなければならないということだと思います。
 これはもう人に頼るしかない。やはり日本は人材の国であります。人々の能力を高め、そしてほかの国と価格の引下げ競争ではなく、付加価値を高められるような製品といったものを作っていく、サービスを提供していくというような、そういう人材に頼るような、人材の能力を高め、そして意欲を高めるというようなことが必要だろうというふうに思ってございます。
 その点、よく使う言葉が、殻の保護より翼の補強へという言葉を使います。殻というのはシェルターであります。そのシェルターさえ強くなっていて、そこに入っていれば安心ですよというような、これでは持続可能を維持できないということでありまして、まさに翼を補強する、自分で意欲を持って働こうと。そして、その人たちを支援して、働ける状況、能力開発というのもそうでしょうし、職業紹介というようなこともそうだろうと思います、就業支援をいかに進めていくかというのもそうだと思いますが、そういったことがやはり社会保障の在り方としましても必要になってくるのかなというふうに思っております。
 まず、その給与、賃金といったものが、実は構造的な変化、少子高齢化ですとか、あるいはグローバル化の変化と同時に、大きな景気のショックが発生したときに日本ではどう対応してきたのかというものを見ておりますのがこちらに出ております二枚目の図であります。図表二といったものであります。
 左側の図、これが常用雇用の雇用者数の推移というものでありまして、過去三回の景気ショックが発生した場合に起こったもの、九七年、二〇〇〇年、そして前回のリーマン・ショック以降、右側に、横軸になっておりますのが、そのショックが発生してから何か月が経過したかというものによってどう推移してきていますかということを示しております。
 確かに、これにありますように、リーマン・ショックといったのは過去二回のショックに比べて非常に大きかったということから、大きく右下がりになっているということは間違いない。間違いないんですが、注目しなければならないのは、〇・〇という水平線よりは上に来ているということでございます。実は雇用は減っていない。むしろ、これを見る限り、リーマン・ショックが起こって十五か月以内においてはプラスでありますということで、雇用は削減されたというよりも、ここの段階ではプラスですよということが起こっています。しかし、後で述べますように、その雇用の増加というのは、実は正社員は減らされながら非正規が増えていくという形での雇用の増加ですということに注目しなければならないと思います。
 では、人件費の削減どこで行われたのかということでありますが、マイナスのこの赤い線は大きなVの字を描いています。まず、日本では、ショックが起こりますと、労働時間、特に残業時間のカットという形で行われ、そして景気が戻ってくるに従ってこの部分が増えていく。要は、雇用者数の方は調整しないんですが、労働時間の方で調整していきますよというのが日本の特徴であります。アメリカに比べて特にこの点が強いということで、結果的に、失業については、何とかそれを最低、少ない状況において対処することができるというようなことになっております。
 そして、右端のグラフが、これが決まって支給する給与であります。給与を見ますと、リーマン・ショック以降、やはり大きく減少しているなと。マイナスというふうになっておりますので、この残業のカットと、それと給与の削減という形で実はそこで起こってきた。
 日本の雇用の特徴として、実は賃金といったものが非常に柔軟に調整されるというような特徴があり、ここについては、それぞれの企業経営者、それと組合との関係において、個別企業で決められていくというような特徴がありますということです。ヨーロッパのような職種別の労働市場ですと、地域とかあるいは国で、ある職種については統一した賃金が決定されるということで、個別企業のその業績に応じて給与調整というものが行われるわけじゃありません。ところが、日本の場合は、ボーナスも含めて賃金が柔軟に調整されるという特徴があるということは確認しておかなければならないことだと思います。
 その結果、じゃ何が起こってきたのかということでありますが、次の図表の三というものを見ますと、これは二人以上の世帯、特に勤労世帯ですから、主に世帯主である夫が働いているような世帯と、そこにおいて世帯主の勤労収入がどう調整されてきたかということであります。
 これを見ましても、九七年がピークであったということがよくお分かりになるかと思います。その後、むしろ右下がりですということでありますから、年々、世帯主勤労収入は減少、削減されてきたということで、ピークのときが五百八十五万円でした。それが今五百万円ということですから、この期間に八十五万円、率にして一六%ほどその世帯主の給与が下がったというような、この雇用は守られながら賃金で調整されていくという特徴がここには表れてきていますということであります。
 同時に、グローバル化、人口の少子高齢化の状況の中において産業構造が大きく変わりました。どう変わったかを示していますのがこの図表の四でございますが、例えば産業計では一九九八年から二〇〇八年にかけまして増えております。増えておりますが、その中身、建設業が百十一万人ほど削減され、そして製造業が百八十一万人ということで、もう既に一千万人を製造業は割ってしまっているというような形になります。
 この二つの産業は実は地方の雇用を支えてきたというところでありまして、ここでの大幅な減少というのが、大都市圏よりはむしろ地方の雇用情勢を厳しくしていくというような流れで起こってきております。しかも、この二つの産業というのは日本では特に男性比率の高い産業ですということでありまして、建設業におきましては男性が八五%を占めております。女性が一五%。あるいは製造業におきましても、七〇%が男性、女性が三〇%。ここで大きくこの雇用者数が減少した。その分だけ男性の雇用が減っているということが言えます。
 逆に増えたのはどこかということで見ますと、医療・福祉という介護を含めたところでありまして、ここでは九十六万人の増加、あるいはその後、二〇〇八年から二〇一〇年でも五十五万人でありますので、合わせて百五十万人ほど増えましたというような、製造業にはまだ追い付きませんが、建設業を超えるような従業者の数になっているというようなことが言えるかと思います。そして、医療・福祉というのは女性の比率の高い産業であります。八〇%が女性という、看護師さんとかあるいは介護士さん、こういったところに女性が多いということですから、女性の雇用は産業構造の転換によって大きく増加するというような特徴があるんだということでございます。
 それを示していますのが次の図表の五であります。図表の五は男女別の、そしてまた、それぞれについて常用雇用とそれと合計したものというふうに分けてあります。
 一番上のところにありますブルーの線、これが男性の雇用者数でありまして、先ほどの九七年、八年、これがピークでありまして、むしろここは減少している。特にブルーの点線で示されております男性常用雇用者、要は無期契約の労働者とかあるいは一年以上の契約期間の労働者、こういった人についての大幅な減少、約二百万人ほどここが減ってきているということがあります。特にリーマン・ショックの後については、製造と建設といったものが大きく後退するということによって、男性の雇用危機というふうに言われているほどのこの減り方だったわけでございます。
 一方、女性はどうかということで見ますと、この上のオレンジの線を見れば、これは右肩上がりで増えています。あるいは赤い線、これは女性の常用雇用でありますが、これも増えております。要は男性の雇用が減って女性の雇用が増えていくというような、こういった産業構造の転換、グローバル化の流れの中で起こってきているんだということであります。
 要は、男性は、例えば世帯主、男性世帯主だけが働いて、そして雇用を守っていく、そしてまた所得を稼いでいくというような、そういった時代がかつてありました。女性の方は、むしろ専業主婦ということで家庭を守っていくという性別役割分担が日本でははっきりしていたわけでありますが、こういった世帯の守り方というのが、こういう産業構造の転換の中で好むと好まざるとにかかわらずやはり大きな危機的な状況になってきている。男女共に働き、共に稼いで、共に家庭を守っていくんだというようなことが必要ですというような時代になっております。
 これは、実はアメリカで言いますと、一九八〇年代に起こった女性の社会参加、労働市場への参加といったものが叫ばれました。当時、社会学者、心温かい社会学者が言ったのは、女性の働く権利を確保したんだというふうに言っております。それに対して経済学者は、むしろ女性が稼がなければならない義務が強まっているというような、共に働くことによって初めて家庭を維持することができるというような、そういう状況が出てきたということを言っておりますが、日本はまさにそういう状況が今生まれてきているというようなことになるんだろうと思います。
 それと同時に起こってきておりますのが、いわゆる非正規労働者の増加であります。この図表の六というブルーの線が正規の職員・従業者数の推移であります。これを見ましても、この九七、八年までは三千八百万人ほどいました。それが現在三千三百万人ということで、五百万人ほど正社員が減ったということになります。一方、赤い線が非正規の職員・従業者ということで、これについては、右側の目盛りを見ますと明らかに増加しているというようなことになります。
 特に、この非正規労働者の中でも増加しているのはどういう人たちかということで見ますと、こちらにあるグラフであります。この赤い点線というのは、臨時あるいは日雇の非正規労働者、要は雇用期間の短い労働者ということでありますが、その人たちは横ばいですよと。むしろ増えているのは常雇の非正規労働者、要は長期間継続して非正規にとどまっているというような人たち、すなわち非正規の長期化あるいは固定化といったものが起こってきているんだということでございます。
 よくヨーロッパにおきましてもテンポラリーワーカー、有期労働者というようなことが議論されますが、そのときには、まず働くときには有期かもしれない、しかし働いているうちに本人の努力によって無期契約の方にシフトできるというような仕組みをつくってきております。本人の努力次第によって、日本でいえば正規の方に転換できるんだということでありますが、日本の現状としてはそれが非常に難しいと。言葉が適切かどうか分かりませんが、ヨーロッパでは非正規あるいは有期労働者というのはステッピングストーンですということを言います。ステッピングストーンというのは踏み石であります。正規への、安定した雇用への踏み石なんだということでありますが、日本ではむしろデッドエンドではないかと、行き止まりではないかというような表現で語られるわけでありまして、ここをどういうふうに本人の努力によって、そしてまた就業支援によって正規の方に転換していくことができるような、そういった国にしていくのかということであります。
 これはある国際調査で、各国民の意識調査というのが五年に一遍あります。人生の成功は何によって起こるかというような調査がございまして、一つは本人の努力、これが人生の成功へ導く、もう一つは運、コネ、これが人生にとって重要だということでありますが、日本でも一九九〇年代は、この運、コネの方が大切だという人たちは三〇%を切っておりました。それが今は五〇%ぐらいまで増えてくるということでありまして、本人の努力を引き出すような社会にしなければ、そしてそれがまた成功につながるような社会にしていかないと活力がないと。そのためには何をしたらいいんだろうかというのを掲げてあります。この(1)から(6)というのが資料で配付されておりますので、これを御覧いただければというふうに思います。
 要は、本人の努力によってやはり成功へ導くような、それがあってこそ持続可能な経済社会になりますし、さらには、社会保障についても、殻の保護よりむしろ本人の翼の補強へというものを社会として整えていかなければならないというふうに思います。
 以上でございます。
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鴻池祥肇#7
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 それでは、これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑及び答弁の際は、挙手の上、会長の指名を待って着席のまま御発言くださるようにお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会を得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるよう御協力をお願いをいたします。
 それでは、質疑のある方の挙手を願います。
 徳永エリ君。
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徳永エリ#8
○徳永エリ君 民主党・新緑風会の徳永エリでございます。
 後藤参考人、そして樋口参考人、今日は貴重なお話をどうもありがとうございました。
 まず、後藤参考人にお伺いしたいと思いますけれども、今日お話しいただいた中で、ISFネットグループさんの取組、久々に暗い話題ばかりの中で気持ちが温かくなるような取組だなと思って、大変に参考になりました。
 感心なんですけれども、どうしてこのISFネットグループの社長さんがこういった支援をやろうと思ったのか、そのきっかけと、それと、どうしたらこういう取組がもっと広がっていくのか、後藤さんのお考えをお聞かせいただきたいと思います。
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後藤千恵#9
○参考人(後藤千恵君) 渡邉社長がこうした雇用を始めたきっかけは、会社を設立したのが二〇〇〇年、今から十二年前です。そのころSE、エンジニアは、もう超売手市場といいますか、なかなか集められない状況だったらしいんですね。それで、技術者の人を募集しても、技術の高い人は来ても、何かちょっと人柄に問題があったり横柄だったりやる気がなかったり、どうもいい人が集まらない。そういう中で、素人さんを雇ってみたら、これが頑張る。そこで、経験や知識がなくてもすごい頑張りでいい成果を上げるということが分かって、当初、渡邉社長さんたち四人で始めた企業なんですが、もしかしたら、自分たちの雇用の仕方、やっぱり変えるべきではないかというふうにそこで思い当たったらしいんですね。
 障害のある人たちも、実際に雇ってみたら本当に一生懸命頑張ってくれる。一生懸命頑張る人を育てる、それによって力になってもらおうというふうに考えを変えて、どんどんそういう人たちを積極的に採るようになったそうです。先ほどお話ししたみたいに、そうした雇用を成長につなげているということですね。
 もう一点、どうすれば広がっていくかということですけれども、基本的には、やっぱり志の高い方々だなという感じはいたします。
 志の高いといいますか、やっぱり今どうしてもグローバル化が進んで、厳しい競争の中で特に株式会社などは短期的な利益を上げなければいけない、株主の方を見なければいけない、そういうことに迫られるわけですけれども、やっぱりちょっと発想を変えて働く人を大事にするということが、このISFネットのように、生産性を高め、企業の収益を高め、その企業を成長させていくことにつながる、ひいては経済を成長させていくことにつながるんだというふうにやっぱり発想を変えていくということが大事だと思います。
 そういうふうに発想を変えていった企業に対して、社会がやっぱりきちんと認めていく。そして、例えばそういう企業の売っているものを買うことによって、消費者が行動することによって評価をしていくとか、社会全体でそういう企業が増えていくような環境を広げていくということも大事になってくると思います。
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徳永エリ#10
○徳永エリ君 ありがとうございます。まずは機会をつくっていただいて、雇用の中でその人の能力や可能性を企業が伸ばしていく、すごく大事なことだと思います。
 ちょっと話変わりますけれども、私、実は地元で、生活保護受給世帯の若い母子の方々にたまに会ってお話をさせていただいているんですが、二十代の前半の方々が、仕事がしたくてもなかなかできない、仕事ができるのにできない、面接に行っても受からないということで、結局、生活保護を受けざるを得ない。そういう方の親も、やはり生活保護を受給していたということなんです。こういう方すごく多くて、いろんな今支援を、就労支援という形や先ほどの中間的就労という取組も検討されているわけですけれども、やっぱり働ける機会がないというのはすごく大変なことだと思うんですね。
 あともう一方で、その生活保護の母子家庭にお邪魔をさせていただいて、結構長い時間一緒にいさせていただいている経験を何度かさせていただいているんですけれども、世帯によっては、お母さんが朝起きることができないので、ごみも出しに行けない、ごみステーションに。家の中がもうごみ袋だらけで、歩くところもごみ袋をかき分けてつくらなきゃいけない。座るところもつくらなきゃいけない。
 この子供の部屋をちょっとのぞくと、脱いだ服が敷きっ放しの布団の上に山積みのようになっていて、その上にちょこんと猫が座っていて、衣類がもう猫の毛だらけみたいな状況で、そこからほろって子供が学校に着替えて行くというような生活があったり、食事の状況を見せていただいても、ホットプレートがぼんとテーブルの上に置いてあって、そこに、御飯だけ炊いて、御飯とジュースを持ってきて、スーパーから買ってきたもやしとお肉をパックからそのままひっくり返して、お箸でホットプレートの上で交ぜて焼いて、それを焼き肉のたれで食べるというような、とても食事とは言えない。食事の環境とかマナーとか、そういったものが身に付かないなというような風景をたくさん見てきました。
 今、そういう子供たちが社会的なリテラシーを身に付けるために、雇用にもつながっていく自立をするために、いろんな支援を特に中学校を卒業して高校に行くころぐらいからやっていると思うんですけれども、私はその基本的な育ちというのはもっと早くやらなければ駄目なんじゃないのかなといつも思っているんですね。
 子供たちに対する支援とか若者たちに対する支援というのはあるんですけれども、このお母さんたちの教育というのをやった方がいいのではないかなと思っていて、特に母子世帯の方々は孤立しがちですから、どこかにお母さんたちが集まって情報を共有したりとか、あるいは親としての意識をお互いに持つようにいろいろな会話をしたりとか、安い材料でも簡単においしく作れるようなお料理教室をやってみたりとか、そういうことが子供の心の育ち、体の育ちにつながっていって、結局は家庭の中から社会的リテラシーを身に付けていってきちんと雇用機会に巡り合えるということになっていくんではないかなと思っているんですが、これなかなか、実際にやろうと思うとすごくハードルが高いと思うんですね。
 後藤さんも恐らく取材の中でそういう場面を多々見ておられてお考えになっていることがあるんではないかなと思うんですが、何かアイデアといいますか、こういう取組をしたらもしかしたらできるんじゃないだろうかということがあったらお聞かせいただきたいと思います。
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後藤千恵#11
○参考人(後藤千恵君) 本当に大変な状況にある方、すごく多いんですね。今言われた、いわゆるごみ屋敷という言葉があるように、ごみの中で生活する、普通の人から見ればあり得ないかもしれないんですが、そういう生活しかできずにいる人たちがやっぱりいらっしゃいます。そうした人たちというのは、本当に困っている人ほど自らSOSが出せないんですよね。ですから、なかなか行政の手も届きにくい。そうした本当に困っていて自らSOSを出せない人たちをどうしていくのか、それ本当にこれからの日本社会で大きな課題だと思います。
 ただ、実際に進んだ取組をやっているところもあります。例えば、大阪府豊中市の社会福祉協議会。ごみ屋敷、勝部って、勝部麗子さんという女性がいるんですが、勝部麗子というふうにインターネットで入れるとごみ屋敷と出てくるぐらいに、ごみ屋敷の問題をもうたくさん解決してこられた方です。
 ポイントは、まず住民の方々に地域のことに目を配ってもらう。住民の人にまず気付いてもらう。そして、気付いて、でも住民の方だけでは解決ができないというときに、専門家、社協の皆さん、勝部さんたちが出ていって、住民の人たちと一緒にそのごみ屋敷に住んでおられる方にアプローチをし、まずは寄り添うんですね。教育というふうに言うと、ちょっとまだそこまではいかないかもしれない。でも、共感し、寄り添い、実際に片付けも一緒にしてさしあげる。そういう形で、本当に自分のことを分かってくれるんだと安心して心を開いてくれたら、そういう本当に大変な状況にある方も一歩一歩やっぱり前に進まれるんです。例えば、豊中ではごみ屋敷に住んでいらした方が今カフェで生き生きと働いていらっしゃる。
 私は、やっぱり人間というのは、生活保護を受けて経済的には何とかやっていけるようになるかもしれない。でも、本当に生きがいとか生きていて良かったと思えるのは、やっぱり人の役に立てるとか、何か自分で本当に誰かに喜んでもらえるとか、そんな経験ができたときにやっぱり良かったと、本当に生きがいを感じられる日々になっていくと思うんですね。
 ですから、生活保護を受けてお金があるからいいだろうではなく、更に一歩、そうした人たちがこの社会の中で役割、よく出番と言われますけれども、そういう出番をみんなでつくり出していく、専門の行政だけではなく、地域の人たちも交えて一緒に取り組んでいく。実際にやれているところもあります。こうした取組を全国に広げていけば、そういう本当に困った人たちも何とかなっていくのではないかと私は思います。
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徳永エリ#12
○徳永エリ君 もう時間がないので、樋口参考人にはちょっと別のことを本当はお伺いしたかったんですけれども、今のお話を聞かれておられまして、やはり社会とのつながりというのが第一歩になっていくと思うんですけれども、何か御意見がありましたらお伺いしたいと思います。
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樋口美雄#13
○参考人(樋口美雄君) 私もこの問題は非常に関心強く持っていまして、海外でのいろんな実態調査を行っております。その中で、多くの国々、グローバル化の中で、特に資本主義の国で株式会社によらない新たな企業というのをつくろうというような動きがいろんなところで見て取れるかと思います。
 例えばイギリスを見ますと、ソーシャルエンタープライズというふうに言われています社会的企業といったものがそれになるかというふうに思います。その一つの例がロンドンのダブルデッカーのバスがあります。あのバスを運営している、委託を受けているのは株式会社だけではなく、今のソーシャルエンタープライズといったところもやっております。
 そこは長期失業者をまず最初に受け入れて、そして、そこでいろんな一年間掛けて訓練をやっていきます。訓練といっても、まず最初は朝起きることの大切さ、そしてしつけの重要さ、そういったところからスタートして、そして一年を掛けて運転手にしていきますというところですね。運転手にした後、今度はそこで雇用する。要するにダブルデッカーの運転手さんになってもらうという雇用機会をつくるということです。要は能力開発と、それとその後の雇用とが一体になっていくということであります。
 株式会社とどこが違うのかということでありますが、株式会社はやっぱり利益が出ればそれを株主に配当するというのが目的ですが、そうではなく社会に還元するといったものが目的だということでありまして、その資金提供者に直接必ずしも配当を行うわけではないというような点が大きく違っております。また、それを国あるいは地域が第三セクターという形で、日本の第三セクターとは違うんですが、そういったものを育てようというような施策がいろんなところで使われている。
 これは、イギリスは一つの例ですが、ほかのところでも多くの国で、こういう仕組みによって、社会から排除されてしまった人たち、そういった人たちをむしろ頑張れば何とかなるんだというような状況まで、意欲がある人ということじゃない、意欲を高めながらそれを就業につなげていくというような取組をいろんなところがやっている。アメリカでもそうですし、イタリアでもそうですし、そして、そこでは国と同時に地方の自治体、こういったものがサポートしていくというような仕組みをつくっているということで、これは参考になるんではないかというふうに思います。
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徳永エリ#14
○徳永エリ君 どうもありがとうございました。
 時間でございますので、終わります。ありがとうございました。
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鴻池祥肇#15
○会長(鴻池祥肇君) 中原八一君。
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中原八一#16
○中原八一君 自由民主党の中原八一でございます。
 本日は、後藤参考人、樋口参考人、貴重な御講演をいただきまして大変ありがとうございました。
 私も、今お話がありました後藤参考人の十五ページ、ISFネットグループのところに大変関心を持ちました。就労困難者の雇用を成長につなげるということで、一、二、三とポイントがあるわけでありますけれども、「就労困難者を戦力に」、「新しい仕事を次々に作り出す」、「何があっても雇用を守る」ということで、就労困難者という方々は、いろいろな支援を差し伸べてもなかなか就労させることが困難であるからこそ就労困難者と言うわけですけれども、そうした今までの発想からこのお話を聞いて大幅に考え方が変わって、こういうグループが広がっていけば、雇用問題の一面も改善していくんだろうなというふうに思ったところでございます。厚労省の中間的就労にもこのことが非常に参考になりますし、寄与していくんだろうと思います。
 そこで、このグループで働く人たちの、就労する人の給与あるいは労働時間、それからマネジメントを誰がやるのか、それから採算面とか、先ほどから社員の皆さんのやる気が大変あるように伺っているんですけれども、そういうやる気ということを、元々、失礼な言い方かもしれませんけれども、やる気という点が、意欲という点が非常に難しいのが就労困難者の皆さんであるわけですから、そうした意欲というものをどのように引き出していく工夫をされているのか、この辺りのところをお聞かせ願いたいと思います。
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後藤千恵#17
○参考人(後藤千恵君) ありがとうございます。
 賃金、給与については本当に人それぞれで決まっています。基本的には全員正社員です。ですけれども、本当に重い障害の方を含め障害のある方が三百人という状況ですから、それぞれの賃金は、例えば時間幾らという形でそれぞれの能力に応じて決めています。最低賃金の方もいらっしゃいます。ただ、そういう方というのは、それまで福祉作業所で仕事をしていて一か月に数千円という手取りしかなかった方が、こちらに来て最低賃金で働いている、もうそれだけでも御家族の方は本当に喜んでおられますけれども、そういう給与から、実際の本当にばりばりと健常者の方でリーダーとしてやっていらっしゃる方は一般の企業並みの給与を得ておられます。
 労働時間も、これはもう本当に柔軟に働くことができる職場だからこそみんな続けられるんだと思います。特に精神障害の方とか、とってもいいときはいいんですけど、急に来れなくなったり、昨日まで元気だった方が突然休んだり、もう本当にそういうことがとても多いそうです。だけれども、それはもう認めてあげる、そして短い時間しか働けない方は短い時間で、そういう形で労働時間も極めて柔軟にやっておられます。
 採算面は十一期連続で黒字ということで、ただ、その利益を内部留保しているわけではなくて、どんどん投資に回しているんですね。本当に新しい仕事を次々につくり出していますので、そちらに回しているという形でどんどん大きくなっている会社ですね。
 やる気をどう引き出しているかという、とても大事なところだと思います。二つポイントあると思います。一つは、その人のできないことには目を向けない、できることに目を向ける、そのできることを伸ばしていく、そこですね。
 本当に就労が難しい、特に例えば障害のある方とかもとても多いんですけれども、文字は読めないけれども数式、計算にはもう物すごくたけているというような方もいらっしゃいます。文字書けないと一般の企業はもう書類面接、書類で落とされます。だけれども、ここはまず採用し、その数式に対する能力が極めて秀でているところに目を向け、帳簿の作業とかやってもらっているんですね。二次関数で計算をして、健常者よりもすごい能力で生産性を高めてやっていらっしゃる、そういう形でいいところに目を向ける、いいところを引き出すということがまず第一弾。
 もう一つは、最初、能力は一般の人に比べては低いかもしれないですけれども、必ずステップアップしていく仕組みがつくられているところです。その人が少しでも上がっていくと、それに応じた仕事にまた変われるようになっていて、どんどん頑張れば頑張った分だけ、その分報酬も上がりますし、リーダーになっていったり、いろいろな形で見返りがある、だからもっともっと頑張ろうと思えるということなんですね。
 作業所などの仕事って、ずっと同じ仕事、クッキーを作るならクッキーを作るでずっと同じなんですが、ここは本当にいろんな仕事をやっているということもあり、いろんな仕事を従業員の方が選べるんですね。そういう中で、仕事も楽しみながらステップアップもしてと、そういう形でやる気を引き出していると思います。
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中原八一#18
○中原八一君 ありがとうございました。
 もう一点お願いします。
 いただいた参考資料に孤独死を防ぐためにはというところがありまして、困っているかどうかということが、それを見付けることが一つのやっぱり課題であるわけなんですけれども、地域包括センターだとか保健師の見回り事業だとか、いろいろ実施をして孤独死を防止しようという取組がなされているんですけれども、拒否する人が男性が多いと。こういうふうに聞いていて、その理由は、現役時代ばりばり仕事を働いているだとかプライドが高いだとか、こういう点指摘がなされているんですけれども、となると、なかなかその辺りを解決するのが難しいのかなと思うんですけれども、何か先生の方でいいアイデアがあったら少し教えていただきたいんですけれども。
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後藤千恵#19
○参考人(後藤千恵君) 本当に男性の方が難しいというのは、もういろんな活動をしておられる方から聞きます。だけれども、成功しているところでは、やっぱりなかなか外に出てこられない、心を開かれない男性に対して、例えばピンポン鳴らして一緒に食事会やりましょうと言っても無理ですと。
 例えば、川崎市ですずの会というグループあるんですけれども、そこでは、こちらから積極的に声を掛けるともっと拒否をされてしまう。でも時々近くで会うことはあるわけです。そういうところで、まず挨拶から始める、そういう形で時々声を掛けていく。そんな形で何となくなじみの関係になって、そして、いずれあるときには、もしよかったらあなたのうちでちょっと皆さん集まらせてくれませんか、お願いをするというのがやり方としてとってもいいと言われていました。出てきてください、何かしてあげましょうではなく、お願いしますと。例えば車を出してくださいとか困っているおばあちゃんを一緒に連れていってください。支えられる側ではなくて支える側に回ってもらう、そういう支援というのが一番いいらしいんですね。
 例えば、日本福祉大学の近藤克則先生がそういう調査をされていまして、人間というのは支えられるだけではなく支える側になったときに本当に健康が保てて状況が良くなるという、そういう調査結果もあるぐらいで、やっぱりそういう男性に何とか役割を持ってもらう。先ほどのお話とも共通しますけれども、何とかしてその方の力を引き出していく、それがポイントのようです。
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中原八一#20
○中原八一君 ありがとうございました。
 樋口参考人にお聞きします。
 非正規労働者が経済的に自立するためには、その処遇の改善をすることとキャリア形成の支援が不可欠であるというふうにされているんですけれども、企業において能力開発への取組を行う場合、大手企業の場合は、企業として正規社員にもかなりの役割を期待していて、そして仕事の幅も広いものですから、会社の内部でスキルアップのような機会をつくっていると思うんです。ところが、中小企業なんかは人件費削減のために非正規社員を雇って単純な仕事をさせていることが多いんではないかと思うんですけれども、こういう企業にインセンティブをどういうふうに持たせていくのか。
 それから、政府による支援の仕組みという場合、基本的な能力開発はできると思うんですけれども、専門的なものというのは、やはり様々な会社の職種がありますから、会社の中でやる方がより適切だというのは当たり前なんですけれども、そういう政府の支援の仕組みとして具体的にどのようなことが考えられるのか、教えていただきたいと思います。
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樋口美雄#21
○参考人(樋口美雄君) まず一点目の大企業、中小企業の議論の中で、大企業はいろんな雇用機会がありますから、例えばステップアップするような、そういった職に就けていくとか仕事に向けていくというようなことも可能でしょうと、ところが中小企業は難しいですねというのは、まさにおっしゃるとおりかなというふうに思います。
 ただ、中小企業の中も、いつまでも中小企業ということではなく、伸びていく企業というのがあるわけであります。その伸びていく企業をいかに増やしていくかということも重要でありまして、例えばこれはグローバル化とよく議論されております。中小企業もここのところ海外進出といったものが非常に盛んになってきて、また政府としてもそれを支援しようというような流れがあります。かつて、こういう企業を支援した場合に、国内の産業が空洞化してしまうではないかと、みんな企業が海外へ逃げてしまうではないかというような議論があったかというふうに思います。
 私どもいろいろ調査をしてみますと、どうも海外に出ていって、その機会、それを契機として逆に企業が発展していくといったものが平均して多いというようなことが分かってまいりました。むしろ、何もやらないで守りの姿勢を取っているような企業の方が逆に国内雇用も減っていくというようなことがございまして、そこにおいては、企業の成長といったものが働く機会も増やしていきますし、また、その働いている人たちがいろんなものに挑戦していこうといったものを広げてきているということがございますので、そういった能力のステップアップということも企業の成長とともに起こるというふうに思いますので、そういったものをいかに増やしていくか、そういう企業をいかにつくっていくかというようなことも重要なポイントになるんではないかというふうに思います。
 もう一点、能力開発のところとの関連で、職場で能力開発した方がそれは効率的ではないかという、私もそう思います。そう思いますが、能力開発というのは大きく二つあるのかなと。それは、その企業の中に入ってしかできないような能力開発、オン・ザ・ジョブ・トレーニングを代表とするような能力開発。もう一つは、むしろオフ・ザ・ジョブ・トレーニングというふうに言われている座学的な側面ですね。これは学校でもありますし、専修学校でもありますし、そういったところでもなされる。これが実はうまくマッチすることによって人々の能力が高まっていくんだということで、どちらかがあればいいですよというものではないということでございます。全くの素人が何も知らない状況で会社に入ってくると、かつて日本の企業はそういった若い人たちを求めるんだというようなことを言われてきましたが、やはりいろんな基礎的な学力、能力、こういったものを身に付けた上で会社に入ってくるということが非常にプラスになるというようなことが出ております。
 その中で、政府の支援で、学校でありますとか専修学校、そういったものに対する支援というのもあるんですが、今度は会社のオン・ザ・ジョブ・トレーニングあるいは会社における研修というものを実は非正規労働者というのはほとんど受けられていないという問題があります。正社員については会社は一生懸命能力開発するんですが、そういった能力開発のチャンスも与えられていかない、その結果としていつになっても同じ仕事をしていますというようなことでありますが、それを支援するために、例えば雇用型教育訓練制度というようなものが使われているかというふうに思います。
 就職したときには非正規かもしれない、あるいは非正規労働者を企業が受け入れる、そしてその能力開発に対する支援を政府が行い、また、それが正社員に転換するというふうになったときに給与の一部分を国の方が負担しますよというような形での支援、ここについてはかなり効果があるというようなことが今までの研究でも分かってきているかというふうに思いますので、そういった制度を活用していくと、拡大していくということが私は一つの道かなというふうに思います。そこのときに、ジョブ・カードといったものも今使われているということでありまして、その能力開発についての効果ということについても、どうも効果がありますよというようなところがいろんな実証分析の結果で今示されてきているということが言えるかと思います。
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中原八一#22
○中原八一君 ありがとうございました。
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鴻池祥肇#23
○会長(鴻池祥肇君) 山本博司君。
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山本博司#24
○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 今日は、後藤参考人、また樋口参考人、本当にありがとうございました。大変貴重な内容で、本当に参考になりました。
 まず、後藤参考人にお聞きしたいと思います。
 私もこの生活困窮者を含めた中間就労ということは大変大きなテーマであると思います。ちょうど公明党も二年前に、社会保障を各分野ごとに推進をしていくということで、この貧困と格差の問題とか、また引きこもりとか、そういう問題に対してプロジェクトチームを組んで、新しい福祉社会ビジョンという提言をさせていただきました。そういう中に、やはりこうした方々に対しての支援というのは今の社会保障の中では外されてしまっているといいますか、十分ではないという、そういう中で、そういう社会的包摂といいますか、ソーシャルインクルージョンという分野での支援をやらないといけないという形での取組がありました。そういう中で、私たちも、釧路であるとか埼玉の教育支援とか、又は中間就労の現場とか、引きこもりとか障害者の方々のこういう先ほどのようなお話も聞かさせていただきまして、そのとおりだと思います。
 ただ、やはり現状、NPOの方々は大変苦しい状況でございまして、やはりこういう中間就労的な形のものを支援していくためにも新しい法整備が必要であると思いますし、当然そのための財源というのは、恒久的な法律つくることによって、単年度ではなくて支援するためにも法律が必要であると思います。
 そのことに関してどうお考えかという点と、それともう一つは、やはりNPOの方々、大変御苦労されているわけです。現実的に、今の法整備の中で、NPOの支援の法整備ができておりますけれども、まだまだ今の現状であれば厳しいのが実態でございまして、こういう地域で核になる方々の支援という意味では、法整備であるとか、もっと更にそういう点が必要ではないかと思いますけれども、この点、いかがでございましょうか。
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後藤千恵#25
○参考人(後藤千恵君) 私もそのように思います。NPOなど、先ほどのコミュニティービジネスを始め、本当に今、地域の中で地域のために活動していく、そうした団体を本当に増やしていくということが今すごく求められていると思います。
 ただ、実際に運営をうまくやっていく、経営を成り立たせていくというのは本当に難しくて、先ほども申し上げたような行政の下請みたいになってしまったり、独自に本当にやりたいことをやるときに、それがビジネスといいますか、やっぱり収益につながりにくいというのがどうしてもありますので、大変厳しい現状があると思います。そうしたものを支援していくときに、おっしゃられたように、何らかの法律、私も必要ではないかと思っております。例えばコミュニティー活動基本法というようなことを言われているところもございますけれども、やっぱりある法律をベースにしっかりと支援していく必要性は私もあると思います。
 ただ、支援していくときにとても気を付けなければならないと思いますのは、これまでもいろいろな緊急雇用創出事業などで一時的に人件費を補ったり、そういう運営費を出したり、そういう形での支援ということになりますと、そのお金がなくなってその年度が終わったところで事業も終わりということがこれまでずっと続いてきました。半年、一年、まあ大体一年とか二年の事業でとても地域のためにいいことをやろうとしているのに、運営費に頼ってやっていたがために、それが切れたときに、金の切れ目がで終わってしまうというケースが間々あります。やっぱりそこは何とか自立して食べていけるような形態を維持しつつ、その応援の仕方としては、やはり立ち上げの支援、設立のときの支援、事務所の経費とかパソコンとか、そういった立ち上げ支援というのはとても重要だと思います。その後、運営をどう成り立たせていくか、これは社会全体のやっぱり支援が必要になってくると思います。例えば、イギリスでは、そうした団体が、NPOに類似した団体は十七万団体あって、六十万人以上が有給で働いています。やっぱり社会でそういうニーズがあって、そこにお金が回る仕組みができている。寄附金だけでも年間一兆円に上るような国ですけれども、やっぱりそういったところでやっているところにお金を出していく、社会でそういう経営を支えていくということが重要になってくるんではないかと思います。
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山本博司#26
○山本博司君 ありがとうございます。
 それともう一つ、先ほどの渡邉社長のような事例ということで、すばらしい事例がやられているということで、ほかにも様々そういった取組をされている企業とかNPO法人もございます。でも、こうした今精神障害の方々とか、そういう大変意欲があっても働けない。環境をつくっていくためには、やはり今の雇用制度の中の法定雇用率の制度の問題とか、またそういう障害者の方々の配慮のそういう様々な部分の法整備とか、こういうことも併せてやっていかないといけないのではないかなと思います。
 ちょうど今国会ではこうした精神障害者の方々の雇用の問題ということが話し合われるわけですけれども、そういう全体的な中でどう進めていくかということに関して、この点はいかがでございましょうか。
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後藤千恵#27
○参考人(後藤千恵君) その必要性は感じます。ただ、やっぱり法定雇用率などで定めて、本当にそういう人たちを育てて抱えて頑張っていこうという意欲がない企業に無理やり押し付ける形になってしまいますと、罰金を払えばいいじゃないかぐらいの感じで、なかなか本当は進みにくいかもしれません。
 ISFネットさんがなぜしっかりと続けていられるか。それは、先ほど申し上げたように、そういう人たちを戦力とし、本当にそれを企業の成長につなげていけているからだと思うんです。そういう人たちをお荷物だと感じ、法定雇用率があるから特別の部屋で特別の仕事をさせていればいいんだというような考えの企業がもしもそういう人たちを雇い入れたとしても、そこで働く人たちは幸せになれないと思うんですね。
 やっぱり制度があって無理やりではなく、本当に企業のインセンティブを高めていく、本当に企業はそういう人たちを力にしていくんだという、そういう意欲を持ってもらう。そういう企業のやっぱり受皿を増やしていく。そういう意味では、ISFネットさんは今物すごくセミナーとかたくさん開いていて、年間二千人以上の方が見に来られています。やっぱりしっかりとやればやれるんだということを多くの方に知っていただきたい。そうやって、本当の意味で質のいい雇用を広げていく、無理やりではなく、じわじわと本当にやりたいという企業を増やしていく、そういう取組が必要なんではないかと同時に思います。
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山本博司#28
○山本博司君 ありがとうございます。本当にそのとおりだと思いますので、そうした点を含めて国会の方で議論しないといけないと思います。
 樋口参考人に、今、非正規が一千七百万人で実際常雇用が九百九十万人ということで、この方々の雇用改善、またその対策ということのお話をいただきました。そういう中で、先ほども触れられましたけれども、教育訓練支援機関のジョブ・カード、この制度の定着は非常に大事だというお話でございました。
 二〇一〇年に行政刷新会議で、これは廃止ということが閣議決定された場合がございました。これはすぐ撤回をされた形でございますけれども、こういう一つの背景の中にまだ課題も多い、でも非常に大変大事な制度であるという、こういう点を含めてどのように認識されていらっしゃるかという点をお聞きしたいと思います。
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樋口美雄#29
○参考人(樋口美雄君) ジョブ・カードの制度そのものといいますか、そのものと、それをどう使っていくかというような運用上の点というのは、やっぱり分けて考えていく必要があるのかなというふうに思います。その使い方によって効果もあれば効果もないというようなことになりますので、その運用が重要だろうというふうに思います。
 今まで割と概念的に、これは有効だとか、これは無駄だというようなことが議論されてきた。その点については、むしろやっぱりエビデンス・ベース・ポリシーというふうに言われている客観的事実に基づいてそういったものの有効性というのを見極めていかなければならないだろう。最初のころは例えばそれが価値がないというものであっても、運用の仕方を変えることによって実はすごく有効なものになっていくというようなことがございますので、そういった点を考えるべきではないか。要は、証拠に基づいてその都度その都度その評価をしていくべきだろうというふうに思います。これはほかの施策についても全部同じように言えるんではないかというふうに思います。
 もう一点、先ほどの後藤委員に対する御質問もちょっと触れてよろしいでしょうか。
 どういったものがNPOの支援で必要かということでありますが、やっぱりNPOをやる人たちというのはすごい熱い思いがあります。その熱意たるやすごいということでございますが、そのなかなか熱意が実態の運営、運用にうまくいっているかというと、そこがつながっていないところがあって、例えば開始したものの一、二年でやめてしまいますという実態があるだろうと。
 であるとするならば、そのNPOを運営していく人たちをいかに能力開発していくかというようなものが必要でありまして、これはよく言われています中間組織というものになるかというふうに思います。そこの運用の能力開発でありますとか、あるいは会計制度、こういったものも思いだけではうまくいかないわけでありまして、そういったものをどう会計制度を整えていくかということをこれは実際の教育を行っていく。あるいは経営力の点ですね、こういったものをその中間組織の中においてしていくといったものが必要なのかなと。日本はまだ、一部政府によるサポートもありますが、そこのところが弱いというような印象を持っているということでありまして、そこをやっぱりやっていくことによってこの持続可能な組織にしていくことができるんではないかというふうに思います。
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