鈴木準の発言 (国民生活・経済・社会保障に関する調査会)

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○参考人(鈴木準君) 大和総研の鈴木でございます。本日はこのような貴重な機会をいただきまして大変光栄でございます。よろしくお願いいたします。
 私からは、持続可能な経済社会を確立するための社会保障と財政という観点から何点かお話しさせていただきます。(資料映写)
 スライドを使わせていただきます。一ページ目を御覧ください。三本の折れ線がございますが、この赤い線、四角いマーカーの一番下の線ですが、これ財政収支でございます。GDP比で見ておりますけれども、二〇一三年度で九%のマイナス、四十四兆円の赤字の見込みです。ここから利払いを引いた今度白抜きの丸の青いライン、これが基礎的財政収支、プライマリーバランスでございます。プライマリーバランスを均衡させれば、これは金利負担分だけが財政赤字になりますので、詳細は省略いたしますが、金利と成長率の関係を見ながらプライマリーバランスをコントロールすると債務残高GDP比をコントロールできるという、こういう財政の節度を取れるという、そういう指標でございます。
 現状、このプライマリーバランスは、リーマン・ショックの前のところでは、二〇〇七年度に一度一・一%の赤字まで縮小しておりますが、直近二〇一三年度で六・九%の赤字、三十四兆円の赤字でございます。これは現状コントロールできているかといえば、そうではないということだろうと思います。
 もちろん、安倍内閣では、民主党政権当時からのプライマリーバランス赤字を一〇年度対比で一五年度までに半減させる、それから二〇二〇年度までに黒字化させるという目標を継承されているということでございますが、今度の消費税二回の引上げを見込んでも、なかなか赤字半減の目標も達成できない可能性が今出てきている、非常に目標が遠ざかっているということでございます。
 更に申し上げると、実はこれ、リーマン・ショック前、麻生内閣でそもそもはこの目標はつくられたわけでございまして、リーマン・ショック前は二〇一一年度にプライマリーバランス黒字を達成するということを大きな目標に掲げていたはずでございまして、そういう意味ではかなり遠のいてしまっている、非常にそういう意味では危機感を持たざるを得ない状況かと思います。
 二枚目にお進みいただきたいと思いますけれども、これ結論は先ほど白川さんがおっしゃったことと同じなんでございますが、この表はどういうふうに見ていただくかといいますと、左側に八〇年度から九〇年度というところで、下から二番目の⑦のところで七%ポイントという単位でございまして、これは財政収支が七%ポイント改善したという意味でございます。
 改善どうしてしたのかというと、税収①で三・二ポイント改善し、あと、ほか歳出もろもろですね、〇・六社会保障費が減るとか公共投資が一・一減るとか歳出の方は減って、それで合計で七%ポイント改善したと、こういうふうに御覧いただくものでございます。
 九〇年から二〇〇〇年で御覧いただきますと、今度はまるで逆でございまして、七・四ポイント財政収支がGDP比で見て悪化したということでございまして、これは税収も減りましたしほかの歳出も増えてしまったということで、全部三角が利払い以外のところには付いてございます。
 ここで第一として申し上げたいことは、八〇年代、歳出削減といいますと、社会保障とか公共投資とか公務員人件費という話がすぐ出てきますけれども、⑤のその他の移転的支出、これで一・二ポイントのこれは歳出が減ったという意味でございます。これは例えば特殊法人等への補助金ですとか、上の②、③、④に該当しないものでございまして、八〇年代というのはやっぱり行革の時代でございました。そういう意味では行革をやればきちっとこういったところにも数字は出てくる。そういう意味では、民主党政権でやられた事業仕分みたいな取組というのは、私は非常に工夫は要ると思いますが、重要だというふうに思います。一見地味な改革を積み重ねることが歳出削減としてやっぱり意味を持ってくる、そういうことではないかと思います。
 そして、一番右側、二〇〇〇年度から二〇一一年度、二〇〇〇年代になってからでございますが、九〇年代に思いっ切り悪化したところから更に一・五ポイント、⑦のところで更に悪化していると。
 中身を御覧いただくと、公共投資なんかは二・四ポイントプラスでございますから、公共投資は減って財政収支改善に寄与しておりますが、何しろやっぱり一番大きいのは社会保障費、これは三・六ポイントということで非常に大きな赤字になっている、ここがその財政収支悪化の一番の要因であるということでございます。
 では、社会保障費、次のページでございます。
 ここにはマネーフローを書いてございます。ここに御覧いただくとおりでございます。五十六兆の保険料を取って、それから公費で三十二兆円、これで九十四兆円の給付をやっているというのが今社会保障でございます。
 今御覧いただいた社会保障で財政赤字になっているというのはこの三十二兆の部分を御覧いただいたわけでございますけれども、一体改革、昨年、一旦の区切りを付けていただいたわけでございますが、私はやっぱりここは改めて賦課方式でこれは財政的に全部やっているということを、基本的には賦課方式でやっているということを改めて認識すべきではないかと思っております。つまり、少子高齢化に非常に脆弱な仕組みだということですね。
 私は、社会保障は政府がやる以上はこれは賦課方式でいいんだと思いますけれども、予想されている少子高齢化にふさわしいような賦課方式にしなければいけないと、こういうふうに考えます。そういう意味では、これまでの日本の社会保障というのは引退世代の給付水準をどんどん高めることに腐心してきたところがございまして、若者ですとかあるいは働き盛り、子育て世代、こういったところへの目配りというのは非常に少なかった。
 そういう意味では、社会保障、ここにちょっと下に書かせていただきましたけれども、一体改革大綱でこういう記述があったわけでございます。そういう意味では、私は、高齢世代向けの給付を少し控えめにしていただかないと現役世代の負担が相当重くなっていってしまいますし、あるいは、現役世代にむしろ給付をシフトさせて現役世代をエンカレッジした方がパイも増えて負担もしていける、その方が制度全体が破綻しない。こういう意味では引退世代にとってもそれが得策だというふうに思うんですけれども、なかなかそういうダイナミックな考え方での改革には必ずしもなっていなかったと。若者の琴線に触れるような一体改革だったかというと、必ずしもそうではなかったのではないかというのが現時点での私の見方でございます。
 例えば、給付を充実させるという説明の中に、普通社会保障を充実させるといえば、これは給付を充実させるということだというふうにイメージするわけですが、実際は保険料を消費税を使って割り引くというような内容が多いわけですね。これはマクロ的に見れば保険料を消費税に付け替えているにすぎませんし、ある方の負担をある方の負担に付け替えているにすぎない。
 それから、給付の効率化というところも、これは例えば公費の負担を減らすことを効率化というふうに言ったりしています。これは別な負担をまた民間部門に求めるということだったりしますので、なかなか、その中身をつぶさに見たときに、将来心配ないと、特に若い世代に向かって言えるような改革だったかというと、現時点ではまだなっていない。もちろんこれから一体改革の仕上げをしていただくという段階ではございますが、現時点の社会保障一体改革の評価というのは私はそういうふうに考えております。
 次のページに更にお進みいただきたいと思うんですけれども、必要な給付を行うためにもちろん負担増を行うというオプションもございます。
 スライド四ページ目に少し低所得者対策への傾倒ということを書かせていただいたんですけれども、賦課方式財政ゆえにこれは負担は主に現役世代に求められています。しかし、超高齢化で支え手が少なくなる、しかも、現役世代の中には今、就職氷河期で就職ができないとか、あるいは不本意な形で非正規雇用で働いているとか、現役世代の中にも非常に負担能力が低い人も増えてきている。つまり、一部の現役世代で負担していくというやり方はもはや限界がある。そこで、オールジャパンでやろうということで消費税ということだというふうに私は理解しているわけです。消費税というのは非常に課税ベースの広い税で、財源調達能力の高い税でございますので、恐らくふさわしいと。
 ところが、その社会保障を消費税で立て直す。社会保障というのはそもそも、病気とかけがとか長生きとか失業とか、そういうリスクが顕在化したそういう人に、つまり弱者に対して給付をする、そういうものなわけでございますけれども、それが更にもっと強化していくと。これはもちろん、やれることはやった方がいいというものはたくさん財源さえあればあるわけでございますけれども、非常に低所得者対策を強化しようという内容になっています。それから、消費税をその財源として増税すると、それに伴って、やっぱりこれはこれでまた弱者対策が必要という話になっていると。
 私は、一般論として低所得者対策ということは必要だというふうに思いますし、それはきちんと綻びは直していくべきだというふうに思いますけれども、例えば、消費税を上げた際に大部分の年金受給者が消費税の増税の負担を負わなくていいような形に何かしらの形でするということになると、これはそもそもの出発点が、一部の現役だけの負担ではもうやっていけないのでオールジャパンでやりましょうという話のまたスタート地点へ戻ってしまう。そうすると、何のために消費増税をやっているのかだんだん分からなくなってくる、こういう状況に下手をすると陥りかねないのではないかというふうに思うわけです。しかも制度がどんどん複雑化すると。
 ここに、非常にちょっと細かい字で恐縮でございますが、結論が出たかどうかは別としましても、年金生活者支援給付金もありますし、国民年金保険、市町村国保の国保保険料ですね、これを軽減するとか、介護一号保険料も公費で軽減するとか、高額療養費制度も充実させるとか、簡素な給付措置もあるし、場合によっては軽減税率も導入しますということですと、非常に現役世代に対する請求書が山積みになっているような状況になってしまう。私は、ここはもう少し整理をしていただいて、本当の弱者がどこにいるのかということで整理を付けていただくという必要がもう一段階のところであるのではないかというふうに思う次第でございます。
 次に、消費税の議論でございます。
 なぜ消費税かということについては、今少し申し上げたように、一部の現役だけの負担では難しいということでございますので、衆参両院とも八割の賛成票で消費増税法案を通していただいたというのは、私は非常に歴史に残ることだと思いますし、立法府の御判断として大きな一歩だというふうに思っているわけでございます。消費税はやっぱりほかの税と比べて経済活動に対して中立的でございますし、それから、先ほど白川さんもおっしゃった世代間不公平を少しでも是正するという意味では、消費税でやっていくということが私は非常に現実的なことだと思います。
 それから、ほかの国と比べても、負担増の余地という意味では消費税というのはまだある。日本の財政というのはこんなに悪くても財政信認は失われていない。これはやっぱりいざとなれば増税ができるということが一つの理由だと思うんです。消費税、いざとなれば財政破綻して国民生活水準どんと落とすことと、増税をして何とかやっていく、どちらを選択するかといったら恐らく増税を選択するだろうと。でも、もしその増税がいざとなってもできないということになると、これは本当に危ない状況になるということでございます。世代間不公平を是正するという意味でも消費税は優れているということでございます。
 ここのスライドで、下のところに二つ、極めて重要な二次的効果ということを書かせていただきました。
 一点目は、消費税を、これは使途を社会保障に限定したということでございます。これはやっぱり、今後社会保障費が増えていく中で、それをいかに効率化するか、それから、誰でも増税は嫌ですし、社会保障の削減は嫌でございますから、そこを比較考量する。つまり、フリーランチはなくて、きちんと受益と負担と比較考量しながらバランスを取った議論ができる、ある意味ではプラットホーム、それが今回の一体改革でできたという評価はできるのではないかというのが一点目でございます。
 二点目は、ややテクニカルでございますが、消費税を上げますと、これは世の中の物価が上がります、CPIが上がります。そうすると、そのとき給付をどういうふうにスライドするかという問題ですね。これは年金が特にそうですけれども、医療、介護含めて、物価が上がったときに給付を消費税増税ほど上げない、消費税増税による物価上昇ほどは上げないということを今後の消費税増税の中でもしやっていければ、これは実質で給付を削減していくことになりますので、今後消費税を上げていく中でもしそれができれば、これはかなり財政のサステナビリティー回復に寄与するというふうに見込んでおります。ここは非常に、ややテクニカルですが、重要なところかと思います。
 そういう意味で、次のページ、私は着実に消費税増税を実施していただく必要があると考えておりますが、いわゆる弾力条項、これは左側にそのまま書かせていただきましたけれども、附則の十八条の一項で経済状況好転を条件にするということが書いてある。二項で成長戦略なんかに資金を配分するということが書いてある。三項で増税の前には景気を点検するということが書いてある。ここでやっぱり、景気を点検するというところで、具体的にどういうタイミングでどういう内容の点検をされるのか、どういう組織でされるのか、ここはできるだけ無用の混乱がないように今後していただきたい。これは政府の仕事だと思いますけれども、無用の混乱がないようにしていただきたいと思うところであります。
 つまり、民間はもう今、消費税が上がることを前提に様々な経済取引を行っておりますし、システム対応なんかも今しているわけでございます。政策が透明で制度改正がきちんと周知されて、そういう無用のコストが発生しないような形で増税を実施していただく必要がある。そういう意味では、デフレがどうなるかというのが非常に大きな問題かもしれません。
 私は、デフレがどんどん深まるような状況であれば、これは増税の棚上げということも検討すべき余地が当然出てくると思いますけれども、足下の実績が仮にデフレであっても、近い将来そこの脱却が見通せているというような状況がある程度あれば、私はこれは税率引上げをちゅうちょすべきではないと思います。幸い、安倍内閣というのはデフレ脱却ということを一番の経済政策の柱に据えておられますし、成長戦略もこれから打たれるということなので、そこはそういう形で増税を着実に実施していただく必要があろうかと思います。
 七ページは、軽減税率の試算でございます。
 軽減税率というのは非常に分かりやすいというメリットがございますけれども、一方で事業者の事務負担は大きくなりますし、何を軽減するかというのは、これは政治コスト相当大きくなると思いますし、それから、これだけ多様化した時代に法律とか規則で、これは必需品、これは必需品じゃないということをなかなか決められない、そこには結構無理があるのかなと。そういうことを考慮しても軽減税率導入すべきかどうかという視点で試算をしたものでございまして、結論を申し上げますと、これは緑の三角のマーカーが現在の負担、それで青いラインが一〇%になったときの負担、それで赤い白抜きの丸が、これが外食とかお酒を除く食品と住宅取得に八%のままの軽減税率を適用した場合でございます。
 御覧いただくとこのぐらいの違いでございまして、横軸は、所得の低い方から第一分位、第二分位、第三分位、第五分位まで二割ずつ分けたグループでございますけれども、非常にいわゆる逆進性の緩和効果というのは低いわけでございます。これは率にして、年間収入比で、第一分位のところで〇・四から〇・五ぐらい、金額にしてまあ年間七千八百円ぐらいという、こういう試算でございます。
 これはやっぱり軽減範囲をよほど広くしないと軽減の効果は出てこないということがございますし、それからやはり軽減税率というのは高い所得の人にも恩恵が及んでしまうということで、私はやっぱり給付付き税額控除等の方が逆進性対策という意味では意味があると思いますし、仮にもし軽減税率を導入するということであれば、これはその分財源がなくなりますので、標準税率をどれぐらい上げなきゃいけないかという話を同時にしていただく必要があるのかなというふうに考えております。
 それから最後に、八ページ目で、今給付の方と税の負担の方と申し上げましたけれども、じゃ最終的にどれぐらい減らしてどれぐらい増税すればいいのかという、ちょっと細かい字で恐縮でございますが、この八ページの図で、一番上に二〇一一年度実績とございますけれども、社会保障給付の中で六十五歳以上向けというのが七十七兆ございます。これ一人当たりで二百六十一万円。一方、家計所得二百五十七兆円とございます。これがサラリーマンの給与ですとか自営業の方の所得でございますが、生産年齢人口一人当たりで三百十六万円。これ比率で見ると八二・四%でございます。
 これは賦課方式でやっている制度でございますので、賃金、現役のサラリーで実質化したベースでどういうふうに減らすかという問題でございます。つまり、これは成長率が高いとか低いとかで財政破綻するのではなくて、この比率をどんどん上げていくとか、あるいは高いまま無理やり維持するとか、これをやると財政破綻するという問題でございまして、一番その給付を今後も増やし続けるケースというのはこの八二・四を維持するケースでございまして、これ御覧いただくと、二〇五〇年でプライマリーバランスを均衡させる消費税率というのが左下の方にございますが二五%ぐらい、それから国民負担率で七〇%ぐらいということでございまして、現在国民負担率というのは四〇%ぐらいでしょうか、そういう意味では非常に高い。そういう国家像を目指すのか。
 それとも、右側が代替率三割削減ケースということでございますけれども、これは給付を賃金に対する率で見て下げていく、三割ぐらい下げていくと。これは今後二十年間で下げるという計算をしているんですけれども、二〇三一年で五七・七まで下げて、そこから横ばいというふうにやった場合には、最後、二〇五〇年でPBを均衡させる消費税率が一八%台、それから国民負担率も六〇%までは行かないと、こういうちょっと機械的な計算でございますけれども、しております。
 次のページがそのまとめでございますけれども、これは、つまり給付をどれぐらい下げるかによって国民の負担あるいは政府の大きさというものが相当大きく変わってくる。三割削減といっても、じゃ具体的に何をやるのか、それは支給開始年齢引上げだとか、医療費の患者自己負担割合をどれぐらい上げればいいかとか、様々いろんな改革を組み合わせる必要がありますので、その辺は私どもも今後いろいろ研究を深めて提言をしていきたいと思っておりますけれども、大きな形で考えると、給付をどれぐらい減らすかによって相当その負担の方も変わってくる、消費税も必要な分が変わってくる。
 これは二〇二〇年でPB均衡化すればそれでいいという問題ではなくて、むしろ二〇年代、三〇年代に破綻しないような構造を二〇二〇年までにつくらなきゃいけない、そういう問題だというふうに思いますので、今後もこの分野、研究を深めて、様々な提言をさせていただきたいというふうにも思っております。
 私からは以上でございます。大変ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 鈴木準

speaker_id: 16867

日付: 2013-03-13

院: 参議院

会議名: 国民生活・経済・社会保障に関する調査会