西川太一郎の発言 (災害対策特別委員会)
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○西川参考人 ただいま御紹介をいただきました、荒川区長を務めております、そして二十三区特別区長会の会長を務めております西川でございます。
本日は、このような貴重な機会をいただきまして、まことに感謝にたえない次第でございます。
このたび、議員の皆様が、防災・減災等に資する国土強靱化基本法案、東南海・南海地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案及び私どもが大変心配をいたしております首都直下地震対策特別措置法案を議員立法によって上程していただきましたことに、心から敬意を表する次第でございます。
私は、特に首都直下地震対策特別措置法案につきまして、基礎自治体の長の立場から幾つか発言をさせていただきたいと存じます。
東日本大震災の発生後、関東地方でも地震活動が活発化いたしております。三十年以内に七〇%の確率で起きると言われている、ただいま林教授からお話がありました、首都直下地震の発生の可能性が一層高まっているように感じられ、また、いつ発生してもおかしくない、待ったなしの状況にございます。
このたび東京都が発表いたしました被害想定で、ワースト百の中に私の区は十七カ所も含まれておりまして、しかも、一番、二番が本区でありまして、マスコミの集中的な取材があり、また、自由民主党の議員の先生方に、二階先生を先頭に直接御視察をいただき、ここが東京かというようなお声も聞けるような細街路を見ていただいたりいたしました。
私たち、今心配しておりますのは、この首都直下地震が発生した場合の被害の特徴は、他地域とは比較にならない膨大な人的、物的被害が発生する、東京の、政治、行政、経済の枢要を担っている首都中枢機能に障害が生じ、我が国全体の国民生活、経済活動に支障が生じるほか、海外へもその影響が波及することが想定できるということを大変心配いたしております。
一都四県が同時に被災し、被災者は二千五百万人以上、日本の人口の五分の一にも当たるわけであります。中央防災会議が平成十七年に示した、死者一万一千人、避難者七百万人、帰宅困難者六百五十万人、建物の全壊棟数が八十五万棟、災害廃棄物が九千六百万トン、経済被害額は百十二兆円という膨大な被害が発生をいたしますことは、決して大げさではなく、我が国の存亡にかかわるものだと存じております。
特に、東京湾には、石油コンビナートを中心とした、エネルギー産業や素材産業等が集積しております。
地震、津波、地盤の液状化等により、被災し、爆発、火災等が発生すれば、日本経済に与える影響ははかり知れません。石油コンビナートの地震対策は全国共通の課題でございまして、喫緊の対策が必要であると私どもも考えております。
本件につきましては、既に十四の道府県の知事の皆様で構成されております全国石油コンビナート立地道府県協議会から問題提起がなされておりますが、同会の副会長であります広瀬大分県知事から、本日、委員会の前に直接お話がございましたので、東京とは若干離れますが、この問題の重要性に鑑みて、貴重なお時間を賜りましたので触れさせていただいた次第であります。東京も、近接の首都圏の各県も、この問題について、他人事とは思えない重要なことだと存じております。
さて、東京に絞って被害を考えてみましても、平成二十四年に都が示しました東京の被害想定は、最大で死者九千七百人、負傷者十四万七千人、避難者数三百三十九万人、帰宅困難者五百十七万人、建物被害は三十万四千棟となっております。
これらに耐震化という有効な対策を講じ、首都東京をまさに強靱化することが喫緊の課題であると考えているところでございます。
次に、基礎自治体の視点に立った対策についてのお願いを申し上げたいと存じます。
本日、せっかくの機会をいただきましたので、特別区長会会長といたしまして、基礎自治体の視点から、大きく三点をお願い申し上げたいと考えてまいりました。
第一に、木造住宅密集地域への対策でございます。
本日、お手元にお配りしてございます「迫り来る東京直下地震に備えて」という、簡単な印刷物で恐縮でございますが、ここに記載をいたしましたので、後ほどごらんいただければと存じます。
東京の特別区には、山手線外周部から環状七号線沿いを中心に、約一万六千ヘクタールに及ぶ木造住宅密集地域が広域に分布いたしております。
首都直下地震が発生した場合には、東日本大震災を超える大きな被害が予想されまして、都市機能を失うおそれが十分ございます。
東京都の防災性の向上を図るためには、この木造住宅密集地域の解消を国家事業として取り組んでいただく必要があると考えております。
お配りしました印刷物にもございますとおり、「防災都市・東京の街づくり」展開イメージ図がございます。
木造住宅密集地域の整備のためには、まず、危険な空き家等の除却を進めることができるように、法律により私ども基礎自治体に必要な権限を付与していただきたいというお願いであります。
未耐震かつ耐火性に乏しい木造家屋、老朽化した空き家、空きビル等は、火災発生時に倒壊し、火災延焼拡大を招くおそれがございますし、また、消防自動車の通行を阻害したり、いろいろな意味で大きな災害につながる要因がございます。
こうした危険家屋が多い私ども下町の特徴で申し上げますと、まず、都内全体のことで、空き家の総数は七十五万戸も実はございます。そのうち賃貸用が四十九万二千戸もございまして、その中の八万五千戸が既に腐り、朽ち、そして破損が甚大となっております。
そして、このような危険を未然に防ぐための仕組みが必要でございますが、例えば、私が区長をさせていただいております荒川区では、危険な老朽建物を区が除却する仕組みづくりを進めております。
現状は、法律の枠外で区独自の努力をいたしておりますが、広域的な視点で考えますと、ぜひ、先生方のお力で法律を制定していただきまして、私どもを御信頼いただき、除却等についての権限を規定していただき、付与していただければというふうに考えております。
そして、この特徴は、危険家屋にお住まいの方、所有していらっしゃる方は、さまざまなインセンティブを付与しても除却に応じてもらえない場合が多うございます。さらに強いアプローチが必要であると考えております。
憲法上の問題もあろうかとは存じますが、一定期間除却に応じていただけない場合には収用が行えるようにする必要性を、私ども強く感じておりますので、衆議院議員の先生方にもこのことについてぜひお考えを願えればというふうにお願いを申し上げる次第であります。
また、木造住宅密集地域の整備に当たっては、法による強制だけではなくて、人、心を動かす仕掛けが必要であると日常の経験から感じております。
家屋の除却、再建に関して思い切ったインセンティブを設けたらどうかということでございますが、特に税制面での負担の軽減拡大は、ぜひ必要な手だてというふうに存じております。
例えば、住宅用地における固定資産税、都市計画税の優遇措置は、家屋等を取り壊して更地にした場合にも適用できるように改正をしていただければと思います。建てかえ工事時に生ずる消費税等についても同じように御考慮いただければと存じます。
建物を取り壊しますと固定資産税や都市計画税は六倍や三倍になるのでございまして、これでは、私どもが幾らお願いしても地主や建物の持ち主が除却に応じてくれないことになっております。
既に東京都では、木造住宅密集地域不燃化十年プロジェクトというものを特区制度におきまして実施いたしております。固定資産税や都市計画税の税制の優遇といった支援策が実施されてはおります。
また、あわせて、こうしたところにお住まいの方は御高齢者が多く、また小規模権利者も多く、こういう方々に従前の生活を担保できるような共同住宅の供給など、保障制度を創設することも必要だと考えております。そのために必要な財源措置も御検討願えればありがたいというふうに存じます。
第二に、学校を中心として、地域防災力の一層の向上を図る必要があると存じます。
子供さんたち、特に中学生の諸君は、地域防災の大きな担い手になってもらえます。私ども、十校の中学を持っておりますが、そこで防災についてのいろいろな努力を、子供さんたちにも協力をしてもらっております。特に避難所は学校を当てにしてございますので、こういう点につきましても、ぜひそのように努力をいたしますが、法律のバックアップをお願いしたいと存じます。
行政、学校、住民が一体となりまして避難所の運営ができますように、本法案の地域防災組織の認定等につきましても、区市町村の意思をしっかり聞いていただいて、そのようにできますようにお願いしたいと思います。
委員長、もう時間でしょうか。