郡和子の発言 (法務委員会)

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○郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。朝からの質問になりました。
 まず、冒頭でございますけれども、きょう、最高裁で、昨年末の衆議院の選挙における一票の格差の問題で判決が出されることになっております。御承知のように、さまざまないきさつがあったわけでございますけれども、そのいきさつも含めて重く受けとめなければならないというふうに思っております。まず、冒頭、このことを申し上げさせていただきます。
 最高裁の違憲判断以降ですけれども、婚外子の当事者の方々を傷つけたり、あるいはまた最高裁を誹謗する発言が国会議員の中から出ていること、私自身はとても残念なことだと思っております。
 婚外子の相続分規定については、一部の家族法学者や憲法学者から、かねてから憲法違反ではないかというふうなことが指摘をされてまいりました。法令が憲法に適合するかどうかというのは、裁判所が具体的事件の解決に必要な限度で審査する、いわゆる付随的審査制をとっているために、今回の違憲判断も、原告の方々が最高裁まで闘ったからこそ導き出されたもの、そういうふうに思います。また、住民票や戸籍の続柄記載については、これまで行われてきたさまざまな裁判を契機に、通達や省令によって差別が少しずつ解消されてまいりました。差別撤廃のために原告となってこの裁判を闘ってこられた方々に私は心から敬意を表したいと思います。
 昨日のこの委員会の中でも、国際人権規約について、また、最高裁も間違えることがあるんだ、さらには、男女平等についても、これを否定する趣旨の御発言が委員の中から飛び出したことに驚きを禁じ得ませんでした。
 なぜ違憲決定が導き出されたのかということについて、私たちは真摯に受けとめなければならないんだというふうに思っています。本来であれば、唯一の立法機関であるこの国会が、司法からこれは違憲だというふうに判断される前に法改正をしなければならなかった規定でございます。最高裁大法廷が全員一致で違憲と判断したことは大変重く、私たち国会議員が長期の不作為を厳しく問われているのだ、そういうふうに私自身は思い、質問をさせていただきたいと思います。
 婚外子の相続分規定の改正反対の理由に、伝統的な家族制度を崩壊させるというような御意見がございますけれども、何をもって伝統的なと言うのかは疑問であります。
 婚外子の相続分規定を嫡出子の二分の一と定めたのは一八九一年に制定された明治民法ですけれども、この民法制定過程において、婚外子の相続権を婚内子と同等にしていた時期がございました。一八八八年の民法総覧では、婚外子の相続分差別は、婚姻道徳の観点から、父母の不道徳、不行跡を戒めるためにあるが、子は父母の関係性にいかなるかかわりも持たないのだから、父母の不行跡の責任を罪なき婚外子に転嫁することは合理的な理由はないというふうにしていたものでございます。これを受けて、一八九〇年に公布された旧民法では遺産相続で婚外子差別はございませんでした。しかし、その後、反対意見が出されたために編さんをし直し、差別規定が盛り込まれたという経緯がございます。夫婦同姓についても、明治民法について規定されたものであって、古い伝統ということではございません。そもそも国民の全てに氏、名字があったわけではございませんでした。
 私自身、法律婚の尊重を否定するものではございませんけれども、内縁や事実婚というのも古くから日本では一定程度定着してきた家族の形であったというふうに言えると思います。十五日のこの委員会で、谷垣大臣も、明治民法の施行後も婚姻届の必要性自体が認識されていなかったことについて言及されました。
 一九二五年の政府調査では、内縁夫婦の割合というのが一六%から一七%と高かったことがわかります。特に、工場労働者の男子の二割、女子の三割、鉱山労働者では男子の三割、それから女子の四割が内縁夫婦でございました。事実上の夫婦共同生活としての側面を重視し、内縁の法的性質を婚姻に準ずる関係として類推適用による法的解決が考えられてきて、最高裁も、一九五〇年代後半になって、内縁を婚姻に準ずる関係と捉えて、内縁の妻の病気療養費用を婚姻費用として内縁の夫に分担をさせております。
 一九八〇年代の後半から婚姻届を出さずに共同生活を選択する、いわゆる事実婚カップルも少なくございません。選択的夫婦別姓が認められないために、法律婚か名前かの二者択一を迫られて、やむなく事実婚にするカップルもいらっしゃいます。事実婚であっても、法律婚と同様に、さまざまな行政サービスが受けられるようになっています。先日、この委員会で私たちが賛成して衆議院を通過させました裁判官の海外同行、この法律も事実婚を認めているわけでございます。
 ほかにも幾つか例を御紹介させていただきますと、別居中の法律上の妻と、そして長年同居している事実婚の妻のどちらに遺族共済年金の受給資格があるか、これが争われた裁判がございました。最高裁の第一小法廷は、二〇〇五年の四月二十一日、法律上の妻と男性の婚姻関係は実体を失って形骸化しており、内縁の妻は事実上婚姻関係と同様の事情にあるといたしまして、事実婚の妻に年金受給権を認めました。重婚的な関係にあっても、法律婚よりも事実婚の夫婦の共同生活というこの実体を重く見ているということ、これがわかると思います。
 次に、内縁の夫婦が共有の不動産に居住して共同事業を営んでいた場合は、相続人との共有関係が解消されるまでは、残された内縁配偶者に共有不動産を単独で使用する旨の合意が成立したものと推認し、相続人からの不当利得返還請求、これが否定をされました。
 家族の形というのは、本当に多様化をしているんだと思います。二〇一二年の人口動態統計を見ますと、婚姻件数は六十六万八千八百六十九件で、離婚件数は二十三万五千四百六件でございました。夫、妻ともに、あるいは一方が再婚だったカップルは十七万四千百二十組、二六%でございます。四組に一組以上が再婚カップルの時代になっている。高齢での再婚も少なくありません。つまり、財産形成に全く関与しなかった女性が後の妻となって晩年を過ごすケースなどなど、本当にさまざまなケースが存在をしているわけでございます。
 さて、法制審議会の五年にわたる慎重な審議を経て、九六年に民法改正案の要綱が答申をされました。最高裁大法廷で九五年の合憲の判断がされたわけですけれども、この合憲の判断は、まさに、法制審で審議を続けていて改正案の要綱をつくっていた、間もなく立法化されるであろうという中での判断だったわけでございます。
 これまでの間の最高裁の判断では、きょう資料をお配りいたしております、資料の二をごらんいただきたいと思うんですけれども、たびたび立法府に対しての立法を促しております。
 九五年の大法廷、合憲とされましたが、国会における立法作業によるべきであるという補足意見がつけられ、二〇〇〇年では、合憲とされましたけれども、明確な適用基準時を決めて法改正を行うことが最も望ましい。二〇〇三年の場合は、極めて違憲の疑いが濃い、立法府の裁量の問題として看過し得ない非合理的規定である。そして二〇〇九年の小法廷決定は、合憲三名、違憲一名でございましたけれども、違憲の意見では、大法廷決定当時は、法制審議会における審理が行われ改正が見込まれていた、答申以来十数年が経過したが法改正は行われておらず、もはや立法を待つことは許されない時期に至っているというふうに、二〇〇九年の段階でも言われていたわけでございます。
 たびたび立法府に対して立法を促されてきたわけでございますけれども、ことしの九月四日、最高裁大法廷の違憲決定が下される今日までこの法改正をできなかった、法務大臣としてどのように受けとめておられるでしょうか。

発言情報

speech_id: 118505206X00920131120_004

発言者: 郡和子

speaker_id: 26173

日付: 2013-11-20

院: 衆議院

会議名: 法務委員会