法務委員会

2013-11-20 衆議院 全98発言

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会議録情報#0
平成二十五年十一月二十日(水曜日)
    午前八時五十五分開議
 出席委員
   委員長 江崎 鐵磨君
   理事 大塚  拓君 理事 土屋 正忠君
   理事 ふくだ峰之君 理事 盛山 正仁君
   理事 吉野 正芳君 理事 階   猛君
   理事 西田  譲君 理事 遠山 清彦君
      安藤  裕君    池田 道孝君
      小田原 潔君    大見  正君
      門  博文君    神山 佐市君
      菅家 一郎君    黄川田仁志君
      小島 敏文君    古賀  篤君
      今野 智博君    末吉 光徳君
      橋本  岳君    鳩山 邦夫君
      平口  洋君    三ッ林裕巳君
      宮澤 博行君    奥野総一郎君
      郡  和子君    田嶋  要君
      横路 孝弘君    高橋 みほ君
      林原 由佳君    中野 洋昌君
      椎名  毅君    鈴木 貴子君
      西村 眞悟君
    …………………………………
   法務大臣         谷垣 禎一君
   法務副大臣        奥野 信亮君
   法務大臣政務官      平口  洋君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    深山 卓也君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    西田  博君
   政府参考人
   (法務省保護局長)    齊藤 雄彦君
   政府参考人
   (法務省人権擁護局長)  萩原 秀紀君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 新美  潤君
   政府参考人
   (厚生労働省大臣官房審議官)           鈴木 俊彦君
   法務委員会専門員     矢部 明宏君
    —————————————
委員の異動
十一月二十日
 辞任         補欠選任
  田嶋  要君     奥野総一郎君
  大口 善徳君     中野 洋昌君
同日
 辞任         補欠選任
  奥野総一郎君     田嶋  要君
  中野 洋昌君     大口 善徳君
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 民法の一部を改正する法律案(内閣提出第二〇号)
     ————◇—————
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江崎鐵磨#1
○江崎委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、民法の一部を改正する法律案及びこれに対する階猛君外一名提出の修正案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案及び修正案審査のため、本日、政府参考人として法務省民事局長深山卓也君、法務省矯正局長西田博君、法務省保護局長齊藤雄彦君、法務省人権擁護局長萩原秀紀君、外務省大臣官房審議官新美潤君及び厚生労働省大臣官房審議官鈴木俊彦君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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江崎鐵磨#2
○江崎委員長 御異議なしと認めます。そのように決しました。
    —————————————
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江崎鐵磨#3
○江崎委員長 これより原案及び修正案を一括して質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。郡和子さん。
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郡和子#4
○郡委員 おはようございます。民主党の郡和子です。朝からの質問になりました。
 まず、冒頭でございますけれども、きょう、最高裁で、昨年末の衆議院の選挙における一票の格差の問題で判決が出されることになっております。御承知のように、さまざまないきさつがあったわけでございますけれども、そのいきさつも含めて重く受けとめなければならないというふうに思っております。まず、冒頭、このことを申し上げさせていただきます。
 最高裁の違憲判断以降ですけれども、婚外子の当事者の方々を傷つけたり、あるいはまた最高裁を誹謗する発言が国会議員の中から出ていること、私自身はとても残念なことだと思っております。
 婚外子の相続分規定については、一部の家族法学者や憲法学者から、かねてから憲法違反ではないかというふうなことが指摘をされてまいりました。法令が憲法に適合するかどうかというのは、裁判所が具体的事件の解決に必要な限度で審査する、いわゆる付随的審査制をとっているために、今回の違憲判断も、原告の方々が最高裁まで闘ったからこそ導き出されたもの、そういうふうに思います。また、住民票や戸籍の続柄記載については、これまで行われてきたさまざまな裁判を契機に、通達や省令によって差別が少しずつ解消されてまいりました。差別撤廃のために原告となってこの裁判を闘ってこられた方々に私は心から敬意を表したいと思います。
 昨日のこの委員会の中でも、国際人権規約について、また、最高裁も間違えることがあるんだ、さらには、男女平等についても、これを否定する趣旨の御発言が委員の中から飛び出したことに驚きを禁じ得ませんでした。
 なぜ違憲決定が導き出されたのかということについて、私たちは真摯に受けとめなければならないんだというふうに思っています。本来であれば、唯一の立法機関であるこの国会が、司法からこれは違憲だというふうに判断される前に法改正をしなければならなかった規定でございます。最高裁大法廷が全員一致で違憲と判断したことは大変重く、私たち国会議員が長期の不作為を厳しく問われているのだ、そういうふうに私自身は思い、質問をさせていただきたいと思います。
 婚外子の相続分規定の改正反対の理由に、伝統的な家族制度を崩壊させるというような御意見がございますけれども、何をもって伝統的なと言うのかは疑問であります。
 婚外子の相続分規定を嫡出子の二分の一と定めたのは一八九一年に制定された明治民法ですけれども、この民法制定過程において、婚外子の相続権を婚内子と同等にしていた時期がございました。一八八八年の民法総覧では、婚外子の相続分差別は、婚姻道徳の観点から、父母の不道徳、不行跡を戒めるためにあるが、子は父母の関係性にいかなるかかわりも持たないのだから、父母の不行跡の責任を罪なき婚外子に転嫁することは合理的な理由はないというふうにしていたものでございます。これを受けて、一八九〇年に公布された旧民法では遺産相続で婚外子差別はございませんでした。しかし、その後、反対意見が出されたために編さんをし直し、差別規定が盛り込まれたという経緯がございます。夫婦同姓についても、明治民法について規定されたものであって、古い伝統ということではございません。そもそも国民の全てに氏、名字があったわけではございませんでした。
 私自身、法律婚の尊重を否定するものではございませんけれども、内縁や事実婚というのも古くから日本では一定程度定着してきた家族の形であったというふうに言えると思います。十五日のこの委員会で、谷垣大臣も、明治民法の施行後も婚姻届の必要性自体が認識されていなかったことについて言及されました。
 一九二五年の政府調査では、内縁夫婦の割合というのが一六%から一七%と高かったことがわかります。特に、工場労働者の男子の二割、女子の三割、鉱山労働者では男子の三割、それから女子の四割が内縁夫婦でございました。事実上の夫婦共同生活としての側面を重視し、内縁の法的性質を婚姻に準ずる関係として類推適用による法的解決が考えられてきて、最高裁も、一九五〇年代後半になって、内縁を婚姻に準ずる関係と捉えて、内縁の妻の病気療養費用を婚姻費用として内縁の夫に分担をさせております。
 一九八〇年代の後半から婚姻届を出さずに共同生活を選択する、いわゆる事実婚カップルも少なくございません。選択的夫婦別姓が認められないために、法律婚か名前かの二者択一を迫られて、やむなく事実婚にするカップルもいらっしゃいます。事実婚であっても、法律婚と同様に、さまざまな行政サービスが受けられるようになっています。先日、この委員会で私たちが賛成して衆議院を通過させました裁判官の海外同行、この法律も事実婚を認めているわけでございます。
 ほかにも幾つか例を御紹介させていただきますと、別居中の法律上の妻と、そして長年同居している事実婚の妻のどちらに遺族共済年金の受給資格があるか、これが争われた裁判がございました。最高裁の第一小法廷は、二〇〇五年の四月二十一日、法律上の妻と男性の婚姻関係は実体を失って形骸化しており、内縁の妻は事実上婚姻関係と同様の事情にあるといたしまして、事実婚の妻に年金受給権を認めました。重婚的な関係にあっても、法律婚よりも事実婚の夫婦の共同生活というこの実体を重く見ているということ、これがわかると思います。
 次に、内縁の夫婦が共有の不動産に居住して共同事業を営んでいた場合は、相続人との共有関係が解消されるまでは、残された内縁配偶者に共有不動産を単独で使用する旨の合意が成立したものと推認し、相続人からの不当利得返還請求、これが否定をされました。
 家族の形というのは、本当に多様化をしているんだと思います。二〇一二年の人口動態統計を見ますと、婚姻件数は六十六万八千八百六十九件で、離婚件数は二十三万五千四百六件でございました。夫、妻ともに、あるいは一方が再婚だったカップルは十七万四千百二十組、二六%でございます。四組に一組以上が再婚カップルの時代になっている。高齢での再婚も少なくありません。つまり、財産形成に全く関与しなかった女性が後の妻となって晩年を過ごすケースなどなど、本当にさまざまなケースが存在をしているわけでございます。
 さて、法制審議会の五年にわたる慎重な審議を経て、九六年に民法改正案の要綱が答申をされました。最高裁大法廷で九五年の合憲の判断がされたわけですけれども、この合憲の判断は、まさに、法制審で審議を続けていて改正案の要綱をつくっていた、間もなく立法化されるであろうという中での判断だったわけでございます。
 これまでの間の最高裁の判断では、きょう資料をお配りいたしております、資料の二をごらんいただきたいと思うんですけれども、たびたび立法府に対しての立法を促しております。
 九五年の大法廷、合憲とされましたが、国会における立法作業によるべきであるという補足意見がつけられ、二〇〇〇年では、合憲とされましたけれども、明確な適用基準時を決めて法改正を行うことが最も望ましい。二〇〇三年の場合は、極めて違憲の疑いが濃い、立法府の裁量の問題として看過し得ない非合理的規定である。そして二〇〇九年の小法廷決定は、合憲三名、違憲一名でございましたけれども、違憲の意見では、大法廷決定当時は、法制審議会における審理が行われ改正が見込まれていた、答申以来十数年が経過したが法改正は行われておらず、もはや立法を待つことは許されない時期に至っているというふうに、二〇〇九年の段階でも言われていたわけでございます。
 たびたび立法府に対して立法を促されてきたわけでございますけれども、ことしの九月四日、最高裁大法廷の違憲決定が下される今日までこの法改正をできなかった、法務大臣としてどのように受けとめておられるでしょうか。
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谷垣禎一#5
○谷垣国務大臣 今おっしゃったのは、最高裁が、司法部がいろいろ御意見をおっしゃったけれども、それに返ってこなかったということの御質問ですか。
 これは、最高裁はいろいろな御意見があったと思いますが、こういう家族に関してはさまざまな意見がございます。
 私どもも、確かに、私、どうも元号であれする癖がありますので、先ほど何年とおっしゃいましたか、平成八年、翻訳すると一九九六年ですか、法制審の答申をいただきまして、その中でいろいろなものがございましたけれども、この嫡出子、非嫡出子の相続分についても御意見を賜って、その後、これは自民党政権時代でございましたが、法案を提出いたしました。それから、平成二十二年ですから、これは民主党政権のときだろうと思いますが、法案が出ております。
 しかし、それにもかかわらずできなかったのは、やはり多様な意見があったからだと思います。私はそういう認識をしております。
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郡和子#6
○郡委員 今、多様な意見があったからであるという大臣の御答弁でした。
 人権擁護をつかさどる法務大臣の立場で、その多様な意見というのをどう受けとめるかということもやはりあるんだろうというふうに思います。(谷垣国務大臣「ちょっと訂正させていただいてよろしいですか」と呼ぶ)
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谷垣禎一#7
○谷垣国務大臣 私、先ほど、平成八年と二十二年に法案を提出したと申しましたけれども、それぞれ準備をしただけで、法案提出には至らなかった。それには多様な意見があって、なかなかまとまらなかったということであろうと思います。
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郡和子#8
○郡委員 そのとおりです。ですから、その多様な意見をまとめ切れず、法案を準備しながら出せなかったわけでありますが、先ほども申し上げましたように、法務大臣の立場というのは人権擁護をしていくトップでありますので、その多様な意見というのがどこにあるのかということをしっかり見ていただきたいなというふうに思っています。
 今回出された最高裁の大法廷の決定では、民法九百条の四号ただし書きが憲法十四条一項、法のもとの平等に違反するというふうにした根拠の一つとして、注目すべきだというふうに私自身は思いますけれども、「我が国が批准した条約の内容とこれに基づき設置された委員会からの指摘、」というのが挙げられています。
 一九九三年の国際人権規約自由権規約委員会の勧告以降現在まで、婚外子に対して、今件の規定及びその他の法について、国連人権機関から日本が批准した条約違反として勧告された内容はどういうものがあったでしょうか、お答えいただきたい。
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深山卓也#9
○深山政府参考人 嫡出でない子の法的取り扱いにつきまして、我が国も締約している国際人権諸条約に基づいて国連に設置された委員会において、平成五年以降、十回にわたって、フォローアップのものも入れると十二回になりますけれども、法制度の改正を求める勧告がされております。
 勧告においては、抽象的に差別的な規定を除去することや差別を是正するための立法措置をとることを求めるものも多いのですけれども、具体的な法制度の改正を指摘するものもございます。
 今回問題になっている相続分に関する改正のほかにも、非嫡出子という用語を法律及び規制から撤廃すること、あるいは、日本人である父から認知されても、父母が婚姻していなければ日本国籍の取得を認めていなかったかつての国籍法三条を改正すること、これは既に改正をされておりますが、また、出生届に嫡出であるか否かを記載しなければならないとする戸籍法四十九条二項一号を改正することなどが指摘されているものと承知しております。
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郡和子#10
○郡委員 ありがとうございます。
 今、深山参考人からお話しいただきましたけれども、資料の一に、国連人権委員会から日本政府に婚外子への差別撤廃の勧告ということでまとめたものを出させていただきました。
 婚外子に対する差別として特に改正が求められている法制度は、民法のこの相続規定とあわせて、戸籍法の出生届の記載の改正でございます。
 出生届の用紙に、嫡出子である、あるいは嫡出子でないという記載を義務づける問題でありますけれども、これについて、今回できていないということ、法改正がなされず、きのう、私どもの党を初め、共同で修正案を出させていただいたわけですけれども、もう一度、政府として準備できなかった理由をお尋ねします。
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深山卓也#11
○深山政府参考人 人権B規約委員会等の国際機関から、民法九百条四号ただし書き前半部分の規定とともに、今委員の御指摘のあったとおり、嫡出子または嫡出でない子の別を出生届の記載事項としている戸籍法の規定の撤廃を勧告されていることは承知しております。
 政府においては、民法九百条四号ただし書き前半部分を削除する旨の民法改正案とともに、出生届の記載事項から嫡出子または嫡出でない子の別を削除する戸籍法改正案を検討していたことは事実でございます。
 しかしながら、与党内の審査におきまして、戸籍法につきましては、違憲判断を受けたわけではないので、民法と同時に改正するほどの緊急性に乏しいものと判断されたことを踏まえまして、政府においても、戸籍法改正案については今国会への提出を見送ったところでございまして、現在は民法の改正法案を提出して、その成立を図るべく全力で努力をしているというところでございます。
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郡和子#12
○郡委員 出生届の用紙に嫡出、嫡出でない子の記載を義務づける戸籍法四十九条ですけれども、これの合憲か違憲かを問う裁判で、最高裁は、九月二十六日、規定は合憲というふうに判断をしたわけです。しかし、裁判長は、嫡出子か婚外子かはほかの方法でも知り得るために、出生届の記載は不可欠ではないと判示しました。補足意見でも、出生届の記載をめぐる戸籍法の規定についての見直しの検討が望まれるというふうに指摘をされているわけです。
 政府は、この民法の相続分規定とともに、戸籍法の改正を先ほど御説明があったように検討されていたわけですけれども、違憲判断されていないことを理由に自民党内の合意が得られなかったので法改正を見送ったという御説明であったかと思います。この規定も、婚外子相続分規定とともに、法制審から改正が答申されていたものでございます。谷垣大臣も違憲決定直後の会見で法改正に言及されていました。当然、最高裁も立法解決されると期待されているのだというふうに私は認識をいたします。
 先ほど御紹介いたしましたが、相続規定について、裁判所は、立法府の政策判断に敬意を表して、これまで違憲宣言をしないで、反対意見、補足意見等で国会に、立法府に法改正を促してきたわけです。それを立法府は受けとめることができませんでした。合憲判断を理由に法改正しないのであれば、婚外子相続規定で問われた立法不作為の同じ轍を踏んでしまうんじゃないかと懸念をいたします。谷垣大臣の見解をお聞かせください。
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谷垣禎一#13
○谷垣国務大臣 今の御趣旨、私、十分理解できなかったんですが、今の御趣旨は、私なりに解釈いたしますと、やがてまたこれについても違憲判決が出るぞ、そういう御趣旨でしょうか。もしそうだとすれば、最高裁判所がどういう判断をするか、法務大臣としては事前に予測は差し控えたいと思います。
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郡和子#14
○郡委員 私が申し上げているのは、立法府としての、そしてまた人権擁護をつかさどる大臣として、また私たち国会議員も、足らざるところ、ちゃんと法律をつくっていかねばならないという立場に立たねばいけないということです。
 この間、さまざまなところで声を上げられ、そして裁判をされ、苦しんでおられる当事者の方々がいる、その方々の人権なり気持ちに寄り添うということが国会にも求められているということだろうというふうに私自身は思っているところです。
 十一月五日の参議院法務委員会の質問に対して、大臣は、戸籍法の出生届の記載から嫡出子か嫡出でない子かを削除するよう現在準備しているというふうに回答されました。何度も何度もしつこいようで申しわけありませんけれども、見送った理由についてお聞かせください。
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谷垣禎一#15
○谷垣国務大臣 今おっしゃったように、十一月五日の参議院法務委員会で、私は、糸数参議院議員の御質問に対しまして、今準備中である、戸籍法の点についても準備中であるという御答弁を申し上げたことは、御指摘のとおりでございます。
 それで、答弁しましたその十一月五日の法務委員会の時点では、政府におきまして準備を事実進めていたわけですが、何度も御答弁を申し上げているように、答弁後の与党内の審査で、民法第九百条第四号ただし書き前半部分については、違憲判断を受けて早期に是正する必要があるのに対して、戸籍法四十九条第二項第一号後半部分については、違憲判断を受けたわけではないので、民法と同時に改正するほどの緊急性に乏しいという判断がございました。これを踏まえまして、政府としても戸籍法改正案については国会への提出を見送ったという経緯でございます。
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郡和子#16
○郡委員 与党の承認を得られなければ国会に提出するのは難しいということで、それは当然、まあ、当然という声が上がりましたけれども、そういうことではありましょうが、しかし、そこで、私自身は、自民党内の意見がどういうようなものであったかは新聞報道でしか知る由もございませんけれども、大臣がたびたび口にされている大方の世論といいましょうか、大方の意見、合意というようなものについて言及されていますが、それを判断するときの判断の尺度といいましょうか、これについてもしっかりと対応していただかなくちゃいけないんだろうと思います。
 サイレントマジョリティーのこともある。反対をする方々の声は大きいです。しかし、世論がどこにあるのか、かねてからの調査でもいろいろあらわれているんだろうというふうにも思います。
 次は、民法の条文上の「嫡出でない子」という言葉について伺いたいと思います。
 嫡出という言葉には正統という意味がありますので、国連の社会権規約委員会は二〇〇一年に嫡出概念の撤廃、また、子どもの権利委員会は二〇〇四年に嫡出でない子というこの差別用語を使用しないように求めております。諸外国を見ましても、嫡出概念や嫡出用語の撤廃というのは既に行われていることでございます。
 十一月五日の参議院法務委員会で深山政府参考人が、「嫡出という用語につきまして国連の各種人権委員会からその使用の撤廃を勧告されたことがあるというのは承知しております。 各種の人権委員会からの勧告に対しては、条約締約国として誠実に対処する必要があるのはもとよりでございますが、他方で、このような勧告は法的拘束力を有するものではないというふうにも理解しているところです。」と答弁されました。これでは、私は、法的拘束力がないので守らなくてもいいという誤ったイメージを与えることになるんじゃないかと心配をしております。
 条約には、締約国の条約実施義務が規定されております。条約に適合しないから勧告されているのだ、そういうふうに思っております。条約は法律よりも上位にございます。条約に反する法律の見直し、これは当然だというふうに考えておるところです。
 二〇〇八年の国籍法三条の違憲判決に続いて今回の違憲判決でも、国連からの勧告が違憲判断に大変大きな影響を与えたものだというふうに思っています。裁判所が国連からの勧告を取り入れるようになってきているときに、政府参考人が法的拘束力がないと言うこと自体、私自身は問題だというふうに思いますが、いかがでしょうか。
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深山卓也#17
○深山政府参考人 今御指摘ありましたとおり、十一月五日の参議院法務委員会におきまして私が答弁申し上げたとおり、国連の人権関係の各種委員会の勧告は法的拘束力を有するものではなくて、勧告を受けたことにより我が国が直ちに国内法整備の法的義務を負うものではないというふうに理解をしております。
 先日の答弁はこのような趣旨を述べたものでございまして、これまでの政府の見解に基づくものでございますが、そのときも申し上げましたけれども、もとより、国連の人権関係の各種委員会の勧告につきましては、これを尊重すべきものだとは理解をしております。
 したがって、このような勧告に対しては、条約締約国として誠実に対処する必要はございますので、引き続き、国連の人権関係の各種委員会に対しましては、我が国の立場を丁寧に説明するなど、誠実に対応してまいりたいと思っております。
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郡和子#18
○郡委員 また、深山政府参考人は、嫡出でない子という用語について、「あくまでも法律上の婚姻関係にない男女の間に出生した子を意味するものとして民法、戸籍法で用いられている法律用語でございまして、差別的な意味合いを含むものではないと思っております。 したがって、現段階でこの用語の使用を見直すための法改正をする必要まではないと思っております。」こう答弁されました、今うなずいておられますけれども。
 法改正をする必要があるかないかというのは、まさに政治のお話ではないでしょうか。日本が手本としたフランス民法は、嫡出用語や概念、これを廃止しております。嫡出でない子が差別的でないとするならば、国連の勧告というのは当たらないということになります。
 外務省にもきょう来ていただいておりますが、嫡出でない子、それから婚外子の英語表記はどのようになっているのでしょうか。また、嫡出でない子という概念というのはどうでしょうか。
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新美潤#19
○新美政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、言うまでもないことでございますが、国連の人権関係委員会等から出ている種々の勧告、これは英語が基本でございまして、英語が正文。そして、日本語でどう説明するかというのは、私ども、国民の皆様への御理解も含めて、仮訳ということで、便宜上仮訳をさせていただいている次第でございます。
 そして、今委員から御指摘がありました言葉につきましては、国連の女子差別撤廃委員会あるいは児童の権利委員会等における我が国の報告に対する審査の最終見解において、英語表記におきましては、チルドレン・ボーン・アウト・オブ・ウエドロックないしチルドレン・ボーン・アウト・オブ・マリッジという英語の表記が使用されております。
 そして、仮訳では基本的に、我が国の法律用語であります、嫡出でない子というふうに仮訳させていただいております。
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郡和子#20
○郡委員 ですから、嫡出という言葉に対して日本の持っている意味合いの中に正統という意味合いがあるわけですけれども、今の英語表記というものについてはそういうようなことはありませんでした。
 しかし、それを訳すときに当たって、きょう資料の一で出させていただいておりますけれども、例えば二〇〇一年のときには、現代社会では受け入れがたい非嫡出子という概念を立法及び慣習から取り除き、婚外子に対するあらゆる差別をなくすための立法云々云々というふうにありますし、次に、二〇〇四年も、非嫡出なる差別的用語を法律及び規制から撤廃するための法律改正を勧告するというふうになっています。今おっしゃられた英文で全ての勧告がなされたのかどうかまで確認できませんけれども、こういうふうに外務省自体は訳しているわけですね。
 戸籍法の改正を見送る場合に、改正までの間、こういう差別的な用語であって、当事者の方々が苦しんでおられる中、改正まで間があるのであれば、その間の対応は必要ではないかというふうに思っています。
 課長通知で工夫もされていますけれども、この委員会でもきのう質疑がございましたけれども、当事者にとっては苦痛を伴うものであるというふうに多くの方々から聞かせていただきました。まだまだ不十分だというふうに思います。さらなる対応を考えるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
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谷垣禎一#21
○谷垣国務大臣 今の郡委員の御発言を承っておりまして、嫡出に正統という意味があるというふうにおっしゃいました。私は、もともと法律家の出身でございますので、この言葉を、要するに法律婚から生まれた子というふうに理解しております。
 それで、今の点を全部改めろという御主張であるとすると、日本の民法の親族編の規定というのを全部見直さなければならないということにつながってくるのではないか。やや大げさな言い方かもしれませんが、基本的な立て方が、法律上の婚姻から生まれた子と生まれていない子でいろいろな扱いが変わってまいります。例えば、父親は、法律婚でない子から生まれた場合、父親を誰とするのか。それは、全く誰もが争いがない場合は簡単でございますが、争いがあるような場合は認知という手続を用意し、法律上の婚姻の場合には嫡出推定というものがあるわけでございます。そういう仕組みが前提としてございますから、これを差別的意味合いの言葉であるというふうに理解する方が誤っているのではないかというふうに実は私は思っております。
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郡和子#22
○郡委員 私はそのようには思いませんし、先ほどの英訳の中で出てまいりませんでしたけれども、レジティメートチャイルド、これが嫡出子であるということで、これは正統、レジティメートクレーム、正統な要求というようなこともあって、こういう使われ方もするわけです。
 ですから、私自身は、この言葉についても非常に皆さんたちが御苦労なさっているということもありますし、国連の関係機関から、たび重なるこの差別をやめろというふうな勧告も受けているわけですから、それは、大臣も今おっしゃった差別には当たらないというふうな、そういう御答弁は、私はとても聞き捨てならない御発言であったというふうに思います。
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谷垣禎一#23
○谷垣国務大臣 これはいろいろな、日本だけではないと思いますが、言葉に非常な、何というんでしょうか、イデオロギー的な意味合いを込めて使う場合がございます。
 私は、法律婚と事実婚、法律婚というものを立てた以上、今のような区別が出てくる、これはやむを得ないと思っております。ですから、これをそういう差別的な意味合いに理解すればまた差別が広がる、そういう悪循環もあるのではないか、このように思っております。法律婚から生まれた子と法律婚でないところから生まれた子という、いろいろな、全部、何というんでしょうか、家族法体系というものをどうしていくかということからさかのぼって考えていただく必要があるのではないか、私はそういう認識でございます。
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郡和子#24
○郡委員 であるならば、次にまた質問をさせていただきますけれども、細かいことですけれども確認をさせていただきたい。
 婚外子の戸籍の続柄欄の記載に係る更正申し出件数及び再製申し出件数及びこれらの申し出制度、これについて議論をさせていただきたいと思うんですが、まず、件数を教えてください。
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深山卓也#25
○深山政府参考人 今議員から御指摘があった続柄欄の更正の申し出の件数は、この制度が設けられた平成十六年十一月一日から平成二十五年三月三十一日までの件数ですけれども、合計三万九百三件でございます。(郡委員「再製申し出件数は」と呼ぶ)失礼しました。戸籍の再製の申し出の件数は、同じ期間内で四千六百六十四件でございます。
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郡和子#26
○郡委員 更正申し出件数が三千九百三件、それから再製申し出件数が四千六百四十九件ですか。確認をします。違うでしょう。
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深山卓也#27
○深山政府参考人 私の言い方が悪かったかもしれません。
 まず、更正の申し出の件数ですけれども、三万九百三件でございます。
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郡和子#28
○郡委員 つまり、更正申し出件数が三万九千九百三件、そして、さらに再製申し出をする数は四千六百四十九件、極端に少なくなっているわけです。
 この更正申し出と再製申し出についてちょっと触れさせていただきますけれども、これについて、戸籍の変更をさせるもので、再製戸籍にならなければ、嫡出あるいは嫡出でないということがずっと残っていってしまうわけであります。
 それで、戸籍の窓口で、嫡出、非嫡出ということについてチェックをしなさいというふうに言われる。実は、戸籍の窓口の係の方々に伺いましたけれども、嫡出か嫡出でないかというような意味がわからずにこの欄をチェックしない方々もかなりの数に上っている。また、嫡出というところにチェックする方々も多い。これについて窓口の実務としてどういうふうなことを行っているかといえば、それぞれが、届け出があった場合に本籍地に電話をして、母が婚姻中かどうかということも調べるし、母の戸籍の筆頭者もちゃんと調べる。住所地にも電話をして、世帯主なども全て調べるというような煩雑なチェックはもとよりやっておられるわけです。
 きのうの質疑の中で局長が挙げられた、嫡出である、あるいは嫡出でないというチェックというのがあるということ、これをなくすることによって事務手続が煩雑になるというような御答弁がございましたけれども、それは全く意味がないというふうに現場の皆様方が語っておられました。
 今そういうふうに更正手続をしても戸籍の記載がまだ残っている、そこで、さらに進んで再製手続をするとようやくそこで記載が外れるというふうなことであって、このことを多く求めておられる方々がおいでです。なぜこの数が少ないのかということも考え、周知を徹底するということも必要であろうというふうに思っています。
 二〇一〇年三月、嫡出でない子の出生の届け出に当たって、届け出書に父母との続柄の欄に表記がされていない場合の取り扱いについて、今お話しした通知が出されて、これは、差別記載を拒んで無戸籍となることを回避しようとする配慮があったからではないだろうかというふうにも考えます。
 昨年の七月だったと思います。衆議院の法務委員会で、井戸まさえ議員が嫡出用語を見直すように求めた質問がございましたけれども、当時の原政府参考人、深山局長の前任でいらっしゃいますけれども、「民法で現在、嫡出である子あるいは嫡出でない子という言葉が使われておりますので、この言葉を今後、法改正する場合にどうするかというのは検討事項だというふうに考えております。」こう答弁されました。
 私自身何度も申し上げております、当事者の方々もそう受けとめて大変苦しんでおられる正統でない子というものを意味する嫡出でない子、この記載について拒んで、しかし、申し出をしなければ再製ならない、そしてさらにその上の、申請をしなければならないというこの問題というのは、現場でも大変御苦労されているんだと思います。何かしらここで、こういう方法があるんですよということを知らせる等々手を施すべきではないかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
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深山卓也#29
○深山政府参考人 今御指摘のあった問題につきまして、平成十六年の十一月一日、更正の制度が始まったときですが、民事局長通達を出しておりまして、長男あるいは二男という記載を続柄欄にする旨の更正の制度を設けたときですが、その際に、父母との続柄欄の記載を改めた事実を残さないように申し出によって戸籍の再製を行うということも同時に導入された制度です。
 したがいまして、この改正がされた趣旨に鑑みますと、この二つの制度はいわば一体のもので、両方必ず使わなくちゃいけないというものではありませんけれども、続柄欄を改めたときに新戸籍の再製をするということも、当然連続して行われることが多いだろうということでございますので、その制度の趣旨について、市区町村の戸籍担当者に対して、さまざまな打ち合わせの機会や研修の機会が法務省との関係でございますので、周知を図っていかなくちゃいけないと思っております。
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