藤川大祐の発言 (青少年問題に関する特別委員会)

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○藤川参考人 おはようございます。千葉大学教育学部の藤川と申します。
 本日は、よろしくお願いいたします。
 お手元に、パワーポイントで作成した資料を配付していただいております。基本的に、その資料に沿ってお話を申し上げさせていただきます。
 私は、教育学の研究者でございます。教育方法学という、具体的な教育の方法を研究する研究者でございまして、いじめの問題でありますとか、メディアと教育にかかわる問題ですとか、そういった問題について研究をしております。
 特に、子どもとインターネット、あるいは子どもと携帯電話、こういった問題について、余り教育学者で研究している人が多くない中で、私は十数年ずっと研究をしておりまして、現在は、安心ネットづくり促進協議会という、民間で、青少年のインターネット利用環境をよくしていこうという多くの関係企業、有識者などが入っている団体でかかわらせていただくなど、各地で、PTAの会であるとか、あるいは教員研修であるとか、そういったところに伺いましてお話をしたりする活動をやらせていただいております。
 きょうは、そうした、一応この問題にかかわる有識者という立場から、特に法的な問題を中心に意見を申し述べさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 資料の二枚目でございますが、まず、青少年インターネット環境整備法について意見を述べさせていただきます。
 この法律は、二〇〇九年四月に施行されておりまして、現在の青少年とインターネットをめぐる問題についてさまざまな活動、取り組みを進めていく上での基本となっている法律でございます。
 まず、この法律は五年たっているんですが、基本理念であるところの、例えば、青少年が適切にインターネットを使えるような能力を育てることが大事だということであるとか、フィルタリングという有害環境に触れさせない仕組みを普及させることが重要であるとか、あるいは、民間における自主的かつ主体的な取り組みが大きな役割を担うのだというところ、こうした基本理念につきましては、その重要性は五年たった今でも変わらないということを申し上げておきたいと思います。
 私は、安心ネットづくり促進協議会というところで、さまざまなネット関係の企業の方々と意見を闘わせながら活動しておりますけれども、民間で自由闊達に議論をする中で、さまざまなアイデアが生まれ、いい教材をつくり、各地の啓発につなげる、そういう活動がかなり進んできたというふうに実感しております。恐らくこうしたことの成果は大きいものでありますので、この法律の理念というのは非常に重要であるということが、今でも申し上げられるのではないかと考えております。
 他方で、五年間というのは、インターネットにかかわる問題としては比較的長い期間でございまして、状況の変化もございます。幾つか、この法律では明記されていない課題が出てきているというふうにも感じております。
 まず、長時間のネット利用であるとかネット依存と言われる問題が、特に、昨今のスマートフォンの急速な普及によりまして、深刻化していると考えられます。各種調査を見ましても、従来型の携帯電話と比較いたしまして、スマートフォンの利用時間というのは非常に長いということがわかっております。
 こういったことが子どもたちの生活にどういう影響を与えるのかということは、インターネット環境整備法では明記されていませんけれども、検討していかなくてはいけない課題であろうというふうに考えております。
 また、フィルタリングに関してでございますが、この法律では、携帯電話のサービスにのみ提供義務が課されております。しかし、子どもたちは、ゲーム機であるとかタブレット端末であるとか音楽プレーヤーでもインターネットを使えるものがございますが、こういった端末を利用しているケースが多くなっております。
 これについては、ともすると、子どもがお小遣いでお店に行って購入して、親の知らない間に使うということもできてしまう状況がございます。保護者にしっかり監督してもらわなくてはいけないという観点からいたしますと、こうした携帯電話以外の機器について、保護者の知らない間に子どもが購入し利用できるという状況がよいのかどうかということについては、議論の必要があるのかなということを考えております。
 次に、スマートフォンの普及に関してなのですが、スマートフォンにおけるフィルタリングが何を指すのかというのがやや曖昧でございまして、携帯電話の回線を使わないで無線LANと言われる回線から利用できる場合、あるいは、アプリと言われますが、アプリケーションソフトウエアをインストールして利用する場合、こういった場合のフィルタリングが法的に義務なのかどうかが曖昧であるという課題もございます。
 もう一つ、サーバーの管理者にさまざまな義務が課されているのですが、アプリを利用してのコミュニケーションというものができておりまして、この場合、いわゆるサイトを利用しませんので、サーバーの管理者の義務というものがどこまで課されるのかがわからないといった課題がございます。
 こうしたところは、法の改正が必要かどうかについて私が意見を申し上げるものではございませんが、検討の必要があるところではないかということを申し上げたいと思います。
 次に、次の紙に参りまして、学校教育に関して、ネットいじめ等がございますので、私なりの意見を述べさせていただきたいと思います。
 まず前提として、学習指導要領におきまして、現行の学習指導要領では、小学校、中学校、高等学校、全ての段階で情報モラル教育を重視するということが定められております。各地の学校でお話を伺っても、何らかの指導をしているという学校が大半でございまして、こうしたことは進んでいるということが前提です。
 また、いじめ防止対策推進法が昨年度成立いたしまして、各学校で、今、基本方針を立て、組織を設けていじめ防止対策に努めておりますが、その中でもネットいじめの対策が必要となっておりまして、これは法律に明記されておりますので、今後、各学校でのいじめ対策としてのネットの課題への対応が進んでいくだろうということが考えられます。
 このように、学校では対策が進んでいるのですが、他方で、状況の変化が非常に速いということがございまして、教材の普及が追いついていないということに若干懸念を抱いております。よい教材が、適切に、全国の教員の使いやすい形で普及する体制というものが今後さらに充実されていくことを期待しております。
 また、ネットいじめ対策については、学校のいじめ防止基本方針などに盛り込まれることが求められておりますが、まだこれは現状動いているところでございまして、十分な対策がとられているかどうかについては今後チェックをしていく必要があるというふうに考えております。
 なお、最近、アプリなどによるコミュニケーションで、仲間外れ、悪口といったいじめが起きていることが問題になっておりますが、こうしたことは、フィルタリングをかけるとか監視をするといった対応では防止が難しいということがございます。
 こういうものにつきましては、学校での予防的な教育、そして何かがあった場合の相談窓口の充実、こういったもので対応するしかないというふうに考えられます。特に、予防の教育の充実が今後さらに進む必要があるというふうに考えられます。
 また、長時間利用の問題につきましては、学校では十年以上前から「早寝早起き朝ごはん」運動というものが進んでおりまして、これがかなり効果を上げていて、子どもたちの生活時間の改善であるとか、朝食抜きの子どもが減るとかという成果が出ております。
 こういった取り組みの実績がございますので、こうした取り組みの成果を生かして、今後も子どもたちの生活習慣の改善に努めていくことが求められるということになろうかと思います。
 続きまして、福祉犯対策について意見を申し上げたいと思います。次の資料でございます。
 福祉犯と申しますのは、児童の福祉を害する犯罪ということでございまして、特に、インターネットの文脈におきましては、児童買春、淫行あるいは児童ポルノといった事柄に関する犯罪が福祉犯ということになります。
 こうした犯罪にインターネットが使われる、インターネットがきっかけとなって犯罪が起こるということがこの間ずっと問題になっておりまして、各府省庁の会議であるとかあるいは安心ネットづくり促進協議会において、こうした被害をどのように抑止するかということが、ずっと大きな課題でございました。
 そして、数年前までは、被害者数がかなり減る傾向が生じておりました。これは、フィルタリングの普及であるとか、各サイトでの監視、パトロールの充実であるとか、あるいは教育の充実、こういったものの成果が出てきたというふうに考えられます。
 しかしながら、昨今、スマートフォンが急速に普及しまして、新しい被害発生のルートが生じております。これは、特に通信アプリのID、IDというのは利用者を識別する記号でございますが、IDを交換する掲示板があたかも通信アプリ公式の掲示板であるかのようにして登場しておりまして、そうしたところでIDを交換することによって、不特定の異性が出会い、犯罪が生じるということが起きております。
 これは、実質的には出会い系サイトというふうに考えてもよいと思われます。つまり、児童買春等を喚起するような発言がたくさんなされていて削除もされないような掲示板がこうした犯罪につながっているわけですが、出会い系サイトの定義には一応当たらないということになっておりまして、規制ができておりません。いわば、脱法サイトというふうに申し上げていいのかなと思います。
 こうしたサイトに対する何らかの抑止というんでしょうか規制というんでしょうかができればいいのですが、出会い系サイトに実質なっているものについて何らかの注意喚起を行う、警告を行うといった仕組みがとれないものかということを、私としては考えたいところでございます。
 もう一つ、違う観点から申し上げますと、被害児童の側、これは児童買春の被害者とか淫行の被害者でございますが、こうした子どもたちというのは、みずから進んで加害者と出会っておりまして、被害者ではあるのですが、その犯罪を起こすきっかけをつくっている側でもあるわけです。
 こういった子どもたちの側には、貧困とか非行とか、そういったものがかなり色濃くございまして、家出中という方も多いんですね。ということは、ネットだけの問題ではなくて、非行対策とか児童福祉対策とか、そういった観点からの検討も必要ではないか、こういったことについてもっともっと幅広い視野での検討が必要ではないかということを考えております。
 次に、フィルタリングに関してなんですが、この福祉犯対策におきまして、フィルタリングは、スマートフォンの普及以降も非常に有効でございます。問題ある脱法サイトのようなものにつきましては、フィルタリングをかければアクセスができませんので、こうした犯罪を抑止することができます。
 実際に犯罪被害に遭った方の状況を見ても、九十数%が、フィルタリングなしで携帯電話を使っております。実際使っているお子さんというのは半分ぐらいはいますので、被害者の中でのフィルタリングの非使用率は非常に高いということがわかるかと思います。
 フィルタリングの推進を今後も図っていく必要がございます。
 また、今後、ゲーム機あるいはスマートフォンのアプリといった、新しい手段でもってこうした犯罪が生じてくる可能性が懸念されます。こうしたことについても、関係の企業等と連携をして予防に努めなくてはいけないということを申し上げておきます。
 最後に、リベンジポルノ対策について意見を申し上げておきます。
 リベンジポルノという問題に関しては、昨今、大変問題になっているところでございます。これは、当然ながら、異性との交遊などをする中で、容易に写真が撮れるということがございますし、そういったものを広く発信することも容易であるという環境の変化がもたらしたものだというふうに考えられます。当然、これは大きな問題でございますので、何らかの対応が必要であろうと考えられます。
 ただ、基本的には、現行の法律でもかなりの対応はできるというふうに考えられますので、問題が生じた場合には現行の法律での対応、そして予防的には教育をするということになるのかと思います。
 しかしながら、若干問題もございまして、例えば、写真が広がるなんということについて、最初に撮影した者はともかく、二次的に広げた者、二次的に利用した者については、それを抑止することは非常に難しいということがございます。ですので、そういったものについて抑止する何らかの仕組みというものも検討されていいのではないかと考えられます。
 こういったことを考えまして、例えばリベンジポルノ規制法というような法律がつくられることの意義はどうかということを考えてみました。
 これにつきましては、ストーカー規制法というのが非常に大きな参考になるかなと考えております。リベンジポルノ規制法のような法律が仮にできましたら、そのアナウンス効果というんでしょうか、そういう法律ができたということでこの問題についての関心が高まり、抑止に努めるとか、あるいは被害が起きても早く相談するとか、そういった動きにつながっていくことが期待できます。
 法律的にリベンジポルノをどう定義するかというのは難しいのですが、資料に書かせていただきましたように、一定の目的、行為の目的を定めて、復讐のような目的で写真等を公開するというようなことで定めれば、対応は可能ではないかというふうに考えられます。
 その他、公開されたときに早目に削除ができるような仕組みをつくるなどということも、検討の余地はあるのかなというふうに考えられます。
 なお、海外のサーバー等もございますので、諸外国と連携した対応も当然求められるということも申し添えておきたいと思います。
 このように、現行法でもある程度の対応ができる問題が多いのですが、さらにこういった問題について議論を重ねて、さまざまな知恵を出し合って対策を進めていくことが重要であるというふうに考えております。
 とりあえず、私の意見は以上でございます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 藤川大祐

speaker_id: 8236

日付: 2014-05-22

院: 衆議院

会議名: 青少年問題に関する特別委員会