末松誠の発言 (内閣委員会)
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○末松参考人 よろしくお願いいたします。
私は、昭和五十八年に慶応の医学部を卒業いたしまして、九年間、内科学の診療に携わっておりました。その後、留学を経まして、現在の現職であります医学部の医化学、これは生化学というフィールドですけれども、そこの教授をしております。現在は、医育機関として、医療の人材育成に資するいろいろな取り組みをする立場におります。よろしくお願いいたします。
お手元の資料を一枚おめくりいただければと思います。
二ページでございますが、医学研究、その成果を国民へ還元するというところに、御存じのように、三つのステップがあるかと思いますけれども、基礎研究、それから橋渡し研究、そして臨床研究。候補医薬品・医療機器が患者さんに安全で有効であるかを検討する、既存の治療薬との比較をまた行うというようなところであります。
この研究成果の国民への還元というのは、より安全、有効で負担の少ない医療の提供を行う、あるいは国際的な医薬品、医療機器の提供を行う、こういった意味で非常に重要だと考えております。
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しかしながら、なぜこの日本の臨床研究が劣勢かということには、いろいろなファクターがございます。後ほど竹中先生等もお話しになられると思いますが、もしこの臨床研究の劣勢がこのまま続いてしまいますと、医療の質の向上のおくれ、これは国民の不利益につながる可能性が高い。基礎研究の成果が海外に流出してしまう。
わかりやすく申し上げますと、日本の基礎研究は非常に力は強くて、薬の大もとになるいろいろな開発力はあるんですけれども、つまり、生みの親にはなるんですが、それを育ての親として世界に広げていく、そこの仕組みがいまいちかなというところであります。
医学研究で、特に国民の健康と福祉に還元できる研究の体制が十分に配慮されてこなかったのではないか。すぐれた基礎研究が日本で行われても、これを患者さんの役に立つ実用研究に結びつけられなかったというところ。そこにはたくさんの問題点がありますが、一つは、従来の省庁の縦割りの仕組みがあって、これを今回大きく改めて、いい方に向けていこうという取り組みではないかというふうに考えております。
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私は、この新独法、日本医療研究開発機構の革新的医療開発のイメージということで一枚書かせていただきましたけれども、先ほどの、生みの親から育ての親、育ての親のプロセスのところは、この一番下に書いてある赤い矢印の部分です。そこにも大きな資金と的確なレフェリーシステムが必要であります。研究開発に必要なファンディングを一元化しまして、先見性のあるPD、PO、プログラムディレクター、プログラムオフィサーですが、このレフェリーシステムをどのように透明性の高いものにしていくかということが非常に重要だというふうに考えております。そして、今まで死の谷と呼ばれていたところにどういうふうにブリッジをかけていくかというところが、この新独法の大きな課題ではないかと思います。
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まだこれからのスタートということではありますけれども、私は、創薬支援ネットワークという非常に斬新な仕組みがもう既にでき上がり始めていて、そこには多くの創薬のプロの方々、非常に情熱のあるスタッフの方々が集結し、多くのシーズが集積されつつあるというふうに考えています。
そこのシーズの、最適化研究、非臨床研究、そして臨床研究、こういったプロセスをきちんとつないでいくために、この創薬支援ネットワークというのは一つのモデルになるのではないかというふうに私は考えています。ここをさらにブラッシュアップしていくということが必要なのではないかと思います。
六ページをお願いします。
もう一つ、この新しい法律によってぜひ配慮をしていただきたいと考えていますのが、難病や希少疾患に光を当てることであります。
製薬企業も御努力はされていますけれども、患者さんの数の少ないところに対する投資というのは当然小さくなります。今回の新しい独法がこういったところにきちんと光を当てて、公費でこの患者さんたち、難病・希少疾患の患者さんたちは本当に一日一日が闘いだと思います、そういったところをしっかり支える仕組みが必要ではないかと思います。
七ページをごらんください。少しビジーな資料ですけれども、そこに私が申し述べたいことがまとめてございます。
予算の問題で、ことしはそれが四割ふえたということは大変喜ばしいことですけれども、以下に示したような仕組み、これは継続的な予算の確保が必要であるということです。
それを簡単に申し上げますと、一貫した研究支援体制、それから研究テーマの選定、特に、先ほど申し上げましたアンダイアグノーズド・ペーシェント・ディジィーズの仕組み、こういったところに地道な研究を支えるような試みが必要であると考えます。
さらに、研究費の配分に関しては、いわゆるピアレビュー、いい意味での専門家、仲間同士のレビュー、経験豊富な有識者だけではなくて、現場の研究開発に携わる若手中堅クラスのたくさんの数の方がレフェリーになっていただくことが非常に重要ではないか。他者の評価をできる資質を備えた研究者を機構と大学の連携によって育成することが極めて重要であると考えます。
最後になりますけれども、参考資料、るる御説明申し上げませんが、参考資料の一は、私どもの大学、私学で貴重な私学助成をいただいておりますけれども、そのサポートは国立の大きな大学に比べて非常に小そうございます。恐らく、これは地方の国立大学も状況は同じではないかと思います。
我々が今最もエネルギーを注入しておりますのは、大学そのものの診療形態、これも縦割りになっております。そこに横串を刺して、最初は特定の診療科から出身した若手でも、全体の診療科に目配りをできるような人材を大学がきちんと出していくということが極めて重要であるというふうに考えております。この詳細については、もし何か御質問がありましたらお答えいたしますので、よろしくお願いいたします。
以上をもって、私の発表にかえさせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)