森田哲夫の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(森田哲夫君) よろしくお願いをいたします。全国商工会連合会副会長を務めております森田でございます。
 本日は、私どもの意見を聞いていただく場を設けていただきまして、厚く御礼を申し上げます。私からは、中小・小規模事業者の立場から意見を述べさせていただきます。
 我々商工会は、全国の中小商工業者の集まりでありまして、その八八%が小規模企業であります。御承知のとおり、小規模企業を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。人口減少あるいは高齢化、需要の低迷、空洞化等々に直面し、現在の中小企業の数は三百八十五万社、この二十年間で百三十五万社の大幅な減少となっております。特に、直近の三年間では三十五万社も減少し、その減少幅は実に八・三%に達し、大変危機感を持っております。そして、最大の問題は、その減少のほとんどが二十人以下の小規模企業ということであります。
 申し上げるまでもありませんが、小規模企業は自営業者が極めて多いわけでありますが、我が国経済発展の原動力であり、また地域の防犯、消防団活動、また子育て・高齢者支援、祭り等伝統文化の継承など、地域社会の担い手でもございます。小規模企業の減退は、即地域コミュニティーの崩壊、我が国経済の衰退に直結をいたします。
 特に、商工会の活動エリアの多くは中山間地域でありまして、いわゆる田舎と言われるような地域であります。こうした地域では、人口流出やあるいは過疎化、高齢化が進みまして、一部の地域では買物難民とかあるいは限界集落など、既にコミュニティーが崩壊をしているところも現れてきております。小規模企業の振興と地域の発展は密接不可分、表裏一体の関係にあります。この視点は、小規模企業政策の展開の上で絶えず念頭に置くべきと考えております。
 私どもは、日本経済を再生させ、地域社会、コミュニティーの衰退に歯止めを掛けるために、中小企業の中でも約九割と、その大宗を占める小規模企業が将来に希望が持てますよう、国や地方自治体が小規模企業に対し政策の大きな光を当てていただくことが不可欠であると考えまして、組織を挙げて小規模企業基本法制定運動を展開してまいりました。昨年、全国の商工会で基本法制定署名活動を実施いたしましたところ、十一月、十二月の僅か二か月間で百万を超える署名が集まりました。これも、全国の小規模企業がいかに基本法に期待をしているか、期待の大きさの表れかと存じております。
 こうした中、昨年九月に中小企業政策審議会の中に小規模企業基本政策小委員会が設置され、本会の石澤会長が委員長を仰せ付かり、今年一月には小規模企業振興を図るための施策の在り方について報告書を取りまとめ、茂木経済産業大臣に答申をさせていただいております。こうした議論を踏まえ、小規模企業振興策を抜本的に強化するため基本法が国会に提出され、ここに御審議をいただいているところでありますが、これは全国の小規模企業にとって画期的なことであり、私どもは、いよいよ小規模企業に光が当たり始め、流れが変わりつつあるという大いに期待をしているところであります。
 基本法制定に当たり、中でも重要と考えていることを二点申し上げます。
 第一点は、中長期的な視野から政策を着実かつ効果的に実施するための基本計画の策定とその実施状況の評価が重要であります。小規模企業政策の計画、実施、検証、改善のいわゆるPDCAをしっかり回す仕組みをつくり、政策の継続性、一貫性を担保することが必要であります。
 第二は、国及び都道府県や市町村など、地方自治体の小規模企業振興についての必要な財源確保を含めた施策の一層の充実であります。
 平成十一年の中小企業基本法改定以来、小規模企業部の廃止など、国の中小企業政策の中でも小規模企業政策が後退してきた感がございます。地方自治体においても、小規模企業政策についての力の入れ具合にばらつきがあります。こうしたこれまでの政策の転換が必要であります。特に地方自治体の役割は重要であります。国が基本法を制定した後には、地方自治体においても、小規模企業に特化した振興条例の制定など小規模企業振興の実効性を高める新たな仕組みをつくることも必要と考えます。今後の国、地方自治体を挙げた取組強化を期待をいたしております。
 参考資料一ページを御覧ください。商工会は、昭和三十五年の商工会法制定以来、小規模企業を中心とした経営支援機関として、それぞれの地域において小規模企業振興や地域経済活性化のための活動を五十年間以上続けてまいりました。
 我々商工会は、全国津々浦々で常に小規模企業のそばに寄り添って支援をする非営利の団体であります。全国に約千七百の商工会があり、一商工会当たりの職員数は六・四人と決して大きな組織ではありませんが、「商工会は行きます 聞きます 提案します」をスローガンにして、全国約四千二百名の経営指導員が、専門家とも連携しつつ、徹底的かつきめ細かな巡回活動に継続的に取り組んでおります。
 商工会の会員数は全国で八十五万であり、経営指導員一人当たり二百事業者を支援をしております。経営革新や税務、金融、労働などの経営支援の実績は年間三百四万件、経営指導員一人当たり七百十六件の経営相談を行っております。こうした経営相談など直接的な経営支援だけでなく、後継者等の鍛錬の場である青年部や商業部会、工業部会など業種別に事業者が構成する部会活動や各種の町おこし事業の推進役など、様々な活動を行っております。
 今回御審議いただいている小規模事業者支援促進法では、改めて、商工会が取り組んでいる小規模企業の経営改善普及事業の一層の充実と地域活性化につながる面的支援への取組強化が求められております。商工会としてもその期待にしっかり応えるよう最大限の努力を行う所存でございます。
 また、今回、このような貴重な機会をいただいたところでありますので、若干のお時間をいただき、地域の小規模企業が抱える課題を踏まえ、率直な意見を申し上げたいと存じます。
 世間ではアベノミクス効果により景気が回復基調と言われておりますが、地方では依然として厳しい状況にあり、景気回復の実感がないのが現状であります。私どもの小規模企業景気動向調査でも、地域経済は依然として停滞ぎみで、過疎化、高齢化進行と相まって、アベノミクス効果は全く感じられないとか、仕入れコストは増加し売上げは減少傾向、何とか現状維持を目指すだけで精いっぱいなどなど、厳しい声が上がっております。それでも小規模企業は、商圏が小さく経営資源が乏しい中、絶え間ない努力を積み重ね、事業の維持、継続に必死に取り組んでいるところであります。
 今回の基本法制定は、こうした小規模企業の振興に本腰を入れて取り組むための基礎づくり、土台づくりであり、大変高く評価をしているところであります。と同時に、私は、この基本法制定は小規模企業に光を当てるスタートラインにやっと立てたとの思いでありまして、小規模企業振興策の抜本強化の出発点であるとの認識であります。
 実は、小規模企業振興基本法が議論される中で、商工会の会員から私に、会長、小規模企業の基本法ができることは大いに結構だが、法律ができて私たちの商売、経営はどう良くなるのかね、また、何かこれまでと違う新しい政策が生まれるのでしょうかねというような、素朴な率直な質問が寄せられております。こうした声にしっかりと応えることが何より必要だと思っております。
 今後、国におかれましては、多くの小規模企業が直面する課題を解決するため、日々歯を食いしばって頑張っている小規模企業が本当に基本法ができてよかったと実感できる新たな具体的な政策を是非早急に御検討をいただきたいと思っております。
 以下、具体的に何点か申し上げます。参考資料二ページを御覧ください。
 第一点は、非常に信用力が乏しい小規模企業にとりましては、日々の運転資金の確保、事業の拡大とともに増加する設備資金の手当てが大きな課題であります。今回、政策支援の対象とした経営の持続性を支援する新たな貸付制度の創設等、資金繰り支援の一層の充実が求められます。
 第二点は、小規模企業の廃業が進む中、その約半数は後継者不足によるものとされております。新たな後継者を発掘、育成するための事業承継支援への取組の強化が必要であります。
 第三点は、小規模企業の課題は、良いものがつくれてもなかなか売れない、すなわち販売力、市場開発力が弱いのが実情であります。例えば、地域共同販売拠点整備のような思い切った販路開拓支援が必要であります。
 第四点は、人口減少、高齢化等により地域経済の疲弊、地域コミュニティーの崩壊が進んでおります。地域経済活性化、地域コミュニティー維持のためには、地域課題解決型ビジネスの推進が効果的であり、その立ち上げ時支援等を期待をしております。
 第五点は、小規模企業者にとっては、現在の税、社会保障に関する負担感が大きいのが実情であります。現在、新成長戦略の目玉として法人税の実効税率引下げが議論をされておりますが、小規模企業に対する負担軽減等の特段の配慮が必要であります。
 本日は、非常に厳しい状況にある地域の中小・小規模企業の立場で意見を述べさせていただきました。日本の企業の九割近くを占める小規模企業の振興なくして日本経済そして地域社会は成り立ちません。中小・小規模企業が厳しい経営環境に耐えかねて廃業等が相次げば、我が国の経済、社会の基盤は壊れ、結果的に経済活動を沈滞させるとともに、地域コミュニティーの更なる崩壊につながってしまうのではないかと強く懸念をいたしております。
 最後に、繰り返しになりますが、今後の小規模企業振興基本法制定についての小規模企業者三百三十四万社の期待は極めて大きいものであります。安倍総理は、今回の施政方針演説におきまして、小規模事業者がどんどん活躍できる環境をつくるための基本法を制定し、小規模事業者支援に本腰を入れて乗り出しますと宣言をされました。どうか先生方には、小規模企業の現状と重要性をよく御理解をいただき、一日でも早い法案の制定、思い切った施策の新展開を再度お願いを申し上げまして、私の意見陳述を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。

発言情報

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発言者: 森田哲夫

speaker_id: 18258

日付: 2014-06-17

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会