寺西笑子の発言 (厚生労働委員会)

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○参考人(寺西笑子君) 全国過労死を考える家族の会代表世話人の寺西笑子でございます。
 この度は、参議院厚生労働委員会採決に当たり意見陳述の機会を与えてくださったことに、石井みどり委員長始め厚生労働委員会の皆様に厚く御礼申し上げます。
 私たちは、愛する家族をある日突然に、長時間過重労働やパワーハラスメントで命を奪われました。夫や妻、娘や息子など、かけがえのない大切な家族を失った遺族が悲しみを乗り越え、励まし合って支え合う家族の会をつくろうと声を上げたことから、一九八九年十一月に過労死を考える家族の会が誕生しました。以来、毎年十一月に、国へ過労死防止対策を求めて要請行動を行い、過労死のない社会を願って活動しています。
 私は、平成八年に四十九歳だった夫を過労自死で亡くしました。飲食店の店長をしていた夫は、会社の利益を守るために、サポート体制がない中、通常の店長業務に加え、他店の仕入れ管理や未経験の営業活動が加わり、年間四千時間以上の長時間過重労働を強いられたことが原因してうつ病を発症し、飛び降り自殺を図りました。会社は過労死を出した反省をしなかったため、労災認定と民事訴訟を通して、夫を自死に追い込んだ真相解明に十年以上掛かりました。私は、経験者として、過労死、過労自死の相談に応じています。
 しかし、多くの遺族は圧倒的に泣き寝入りしているのが実態です。その理由は、申請者側に立証責任があるからです。遺族は家庭内のことしか分からず、職場で何が起こっているのか知らされないため、立証が困難なのです。さらに、家族を亡くしたことによる経済的問題と労災認定基準の高い壁の問題があります。労災申請や裁判をするために必要となる時間と労力と経済力、さらに長期の精神力を持ち続けなければならないことに耐えられないのです。ある日突然に、働き過ぎで大切な家族の命を奪われ、深い悲しみと喪失感にさいなまれ、混乱状態にある遺族にとって労災申請と向かい合う負担はとても大きなものです。たとえ労災認定されたとしても、一番の望みである被災者が生き返ってくることはないために、最後には、なぜ救えなかったのかと自分を責めていることから抜け出せず、これらが立ちはだかって労災申請や裁判を諦めてしまうからです。
 国が公表する労災申請数や労災認定数は過労死の氷山の一角であります。過労死は今もなお増え続けており、相談者は絶えることはありません。運輸関係、IT業界、製造業、外食産業、公務員、医師、看護師、福祉、介護など、職場は違っていても、その背景には、真面目で責任感が強い優秀な人が長時間過重労働で心身の健康を損ない、過労に陥り、命を奪われている極めて理不尽な実態があります。
 近年、入社数か月でうつ病になり、息子さんが自死された親御さんや幼い子供を抱えた妻が悲壮な状態で相談に来られています。懸命に育てた息子や娘を亡くした親は親自身の人生までもが奪われ、乳飲み子を抱えた妻は明日からの生きていくすべさえ奪われるのです。ましてや、これからという人生を奪われた本人の無念は、いかばかりでしょうか。
 これからの日本社会を背負っていく若者が過酷な労働環境に追いやられ、優秀な人材を亡くすことは日本の未来をなくすことであります。
 私たちは、繰り返される過労死をなくしたいとの切実な思いから、過労死をなくすための対策を国にお願いしたいと切望するようになりました。この国の過労死をなくす法案を参議院厚生労働委員会全会一致で本会議に送っていただきますように心からお願い申し上げます。この日本に初めて過労死という文言の入った法律を作り、国を挙げて過労死を防ぐ対策を進めてくださるよう切にお願い申し上げます。
 また、私たちの願いを受け止めてくださった馳浩議員連盟世話人代表を始め泉健太事務局長及び超党派議員連盟の先生方にお世話になりましたことを心より感謝申し上げます。
 四半世紀続いた過労死をなくし、明日にでも過労死するかもしれない命を一人でも多く救うために、過労死防止月間を今年十一月から実施できますように、来年度よりは更に本格的な施行ができますように、この法案を今国会で必ず成立させていただきたいと切に願います。
 過労死防止法案成立後も私たちも努力する所存でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

発言情報

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発言者: 寺西笑子

speaker_id: 32881

日付: 2014-06-19

院: 参議院

会議名: 厚生労働委員会