五十嵐忠悦の発言 (地方創生に関する特別委員会)
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○五十嵐参考人 おはようございます。
昨年の十月まで秋田県の横手の市長をいたしておりました五十嵐でございます。
一年たちましたけれども、ストレスレス社会にどっぷりつかっておりました。ところが、突然呼んでいただけまして、薄れ行く記憶を必死に探り当てながら本日ここに立った次第でございまして、そういう意味では、資料を準備できなかったことをまずおわび申し上げたいというふうに思います。
私は、平成九年に平成合併前の横手市長になりましてから、一貫して、働く場があれば地方は元気になれるという私の命題のもと、仕事をしてまいったところでございます。
全国的な傾向の中で、人口減少は横手も当然でございます。平成の合併は平成十七年十月でございましたけれども、そのとき、十万四千の人口がございました。八市町村で合併した市でございます。現在、九万六千を割っておりまして、毎年、千人ずつ減っておる。これは、全国的な傾向と軌を一にするわけでございます。
そしてまた、合計特殊出生率も、望ましいという数値が二・〇七と言われておりますけれども、それよりもはるかに低く、全国平均よりも低い秋田県でございますが、一・三七。さすがに東京都よりはよろしいようでありますけれども、そういう状況。
そしてまた、結婚されていない方がどのぐらいいるか、未婚率という切り口で調べたデータがございましたけれども、全国的な傾向と多分ほぼ同じかなと。いや、ちょっと進み過ぎかもしれませんけれども、二十から二十四歳までの方、もちろん、まだまだ若いですから結婚しない方もどこへ行っても多いのでありますが、この年代の未婚率が八七%でございます。そして、二十五歳から三十四歳、結婚適齢期と言っていいかなという世代でございますが、これでも結婚しない方が四六%おられます。そして、三十五歳から三十九歳の世代が未婚率二六%。四十歳から四十四歳でも、まだ二一%の方が結婚されておりません。できないということの現象がございます。
さまざまな理由は考えられるわけでありますけれども、ここではそれを深く追求するわけではなくて、雇用の創出について、過去の取り組みを少し反省を込めて申し上げ、事例とさせていただきたいと思います。
私は、平成十五年に、旧横手市の時代でございますけれども、横手市の産業戦略ビジョンというものを策定いたしました。これは、地域の宝を五つの切り口で、五つの柱を立てて、地域が元気になるためには産業振興の観点からどんな取り組みができるかということの研究、検討でありました、ビジョンでありました。
これについては、やはり地方の課題に詳しい中央省庁の方をお迎えしようということで、私は、農業地域でございますので本来であれば農水省にお邪魔すべきところでありましたが、あえて農水省ではない官庁にお邪魔して、そういう人材をぜひ迎え入れたいということでお願いして、来ていただきました。
いい人材に来てもらったなと喜んで、ビジョンをつくりました。そして、このビジョンを実践するための第三セクターをつくりました。地元の経済人、農業人からも多くの出資をいただきながら、動きました。特に注力した事業は、当時、今も健康志向の中で一定の評価をされておりますけれども、発芽玄米事業に取り組みました。そして、見事に大失敗をいたしました。
これは、全く私の監督不十分の話でありますけれども、国から迎え入れた方に社長をお願いしました。ビジョンをつくったんですから、新しい会社の社長にもなってほしいと。しかし、いろいろな事情が重なりまして、大暴走をいたしました。それをとめられなかった私の不徳のいたすところでありまして、この三セクは見事に倒産をいたしました。多くの株主の皆さん、金融機関の皆様にも多大な御迷惑をおかけしたところでございます。
このときの反省は、立派な絵を描く人はあまたいると思いますけれども、やはり、実際にそれを実践する、経営、マネジメントできる人間はなかなかいないものだなということであります。このことが大きな反省でございました。
いま一つは、平成二十五年、これは昨年でありますけれども、食と農と観光の三つをセットにいたしました未来づくり構想というものを策定いたしました。これは、秋田県がつくりました県と市町村の未来づくり協働プログラムでございました。五十億の基金で、コラボして、地域の雇用創出、元気づくりをしようということでございました。これに手を挙げようということで計画をつくったところでございます。
そして、これについては、先ほど申し上げた大失敗をした教訓をもとにいたしまして、プランニングから推進役に至るまで一人の人間を民間から招聘いたしました。将来、社長をお願いするということを念頭に置きながら進めてまいりました。これは、平たく言えば、六次化の拠点と交流人口対策の拠点をつくろうという十四億ほどの事業でございました。しかし、これは、昨年つくった構想でありましたけれども、昨年の十月の選挙戦の結果、私は落選いたしましたので、日の目を見ないでおります。そしてまた、これは、残念ながら、没になった計画ではございます。
しかし、地域の乏しい資源を生かすためには相当思い切った、尋常なことではできないんだということを身にしみて感じておりますので、何とかいい方向に生かしていただければなと思っております。
以上、二つの事例を申し上げました。平成十五年につくった産業戦略ビジョンは、大暴走の末、大失敗をいたしました。そして、今度また二十五年につくった計画も、途中で、日の目を見ないでしまいました。
ここでさまざまな教訓を得ました。
まず一つは、人材でございます。
こういう地域おこしをする人材は、産業振興に取り組むには、民間の人間でなければ絶対だめだなということを感じました。さまざまな知識経験が豊富な方はたくさんおられます。コンサルティングでよその事例をいっぱい知っている方もおられます。しかし、実際の経営をわかる方というのは、まず地元では皆無に近いということであります、横手の場合でございます。したがって、こういうよその人、よそ者の経済人を引き受けても待遇面できちっと担保できる、そういう仕組みが欠かせないだろう。
もう一つ申し上げますと、経営の責任でございます。
三セクをつくってやるにしても、あるいは民間主導でそこに市がさまざまな補助金を出すにしても、結果が伴わなければ、責任を問われるのは当然でございます。私もたくさんの結果責任を問われた経験がございますけれども、私は、今日のこういう状況の中では、結果責任を恐れる余り、多分、どこの市町村長も余り危ないことはやらないだろうと思います。議会も怖い、住民も怖い、マスコミがもっと怖い、そういう状況がございます。
私は、そういう経営のリスクを限定する異次元の対応というものがどこかになければ、これだけの厳しい雇用創出が必要とされる時代においては無理だなと思っております。そういうリスクをあえて冒す方には、それなりの対応をしなければいけないのではないかなと思います。
そしてまた、雇用創出にかかわる、あるいは人口減少にかかわるさまざまな予算というのは、各省庁から出ておりますけれども、やはり渡し切りでお願いできた方がいいんじゃないかなと。交付金としてお渡しいただかないと、とてもではないけれども地域のアイデアは生かせないだろうと思います。だから、アイデアがないところには出さないというのは当然だというふうには思います。
それから、地方分権の時代と言われて久しいわけでありますけれども、私ども、秋田県と一部機能を合体して仕事をいたしております。横手市は県の出先機関と同じテリトリーの中にございました。しかし、これは構想はよかったのでありますけれども、なかなか進みません。県の職員も、なかなか、地方分権で、基礎的自治体に対する考え方に、無理解がまだまだばっこしております。国においても、そういう側面は否めないのではないかなと思います。そういう意味では、道州制の問題だとか、一国二制度の問題には果敢に切り込まなきゃならないのではないかなというふうに思うわけでございます。
そして、もう一つ、八市町村で合併いたしました横手市でございます、合併新市の難しいマネジメント上の実態というものに多くの御理解をいただかなければならないのではないかなと思います。
いまだに、大きな声になっているところ、なっていないところがありますけれども、平成の合併を検証するということを声高に言っている方もおられます。もとに戻って何ができるかわかりませんけれども、しかし、平成の合併がもたらした負の側面というのは、いまだに、あるいはこれからもずっとあるんだろうというふうに思います。そういう意識をどうやって取り除いていくのか、また、それに対してどんな温かい手を差し伸べていただけるのかということも大事かなと思います。
そして、最後でございますけれども、これは私の私論でございます、一国二制度の中で論ずる話として適当かどうかわかりませんけれども、これから人口が減り、そして職員の数も減り、さまざまな地域の課題に迅速果敢に、タイムリーに対応するためにも、私は、地方自治体の、基礎的自治体の二元代表制というのに大いなる疑問を持っております。欧米にも一部まだ残っておりますシティーマネジャー制の導入も含めた新しい自治体経営の仕組みというものも、やはり、新しくないかもしれないけれども、今日的課題として検討するに大いに値するのではないかなと思います。
地方議会の議員の皆さんも大変苦しんでおられます。それ以上に首長は苦しんでおるわけでございます。その両方を解決する道とすれば、やはり、民意を二元代表の中に求めてやることの難しさ、そして、合併新市でありますとなおさらでございまして、そういう意味では、頑張る首長、あるいは頑張る議員の皆さんのためにも、新しい仕組みというものもぜひ御検討をいただく必要があると思います。憲法九十三条の改正というような大変な問題もありますので簡単ではないと思いますが、そういう議論も必要ではないかなと思います。
大変拙いお話でございましたけれども、御清聴、感謝申し上げます。ありがとうございます。(拍手)