中山義隆の発言 (我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○中山参考人 石垣市長の中山義隆でございます。
 今回、我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会地方公聴会に参考人としてお呼びいただき、意見を述べさせていただきますこと、改めて感謝を申し上げます。
 まず冒頭に、六月二十三日、沖縄は慰霊の日を迎えました。私どもの石垣島におきましても、八重山の全戦没者の慰霊祭を行いました。あわせて、同日、戦時中にマラリア有病地に疎開、避難させられたためにマラリアに罹患し、犠牲になられた多くの皆様方の戦争マラリアの犠牲者の慰霊祭も行われました。八重山圏域で四千名近い方がマラリアで命を落としました。
 さらに、七月三日には尖閣諸島戦時遭難者慰霊祭も開催いたしました。これは、終戦間際、石垣島から台湾へ避難、疎開するために二隻の船に分乗して避難をした島民が、途中、米軍の機銃攻撃を受け、一隻は炎上、沈没、もう一隻は漂流して尖閣諸島の魚釣島に漂着をしました。その後、けがで亡くなられた方、さらには食料がなく餓死した方々もいらっしゃったというふうなことを聞いております。
 こういった歴史等も踏まえた中で、私は、市長という立場もありますが、決して二度とこのような悲惨な戦争は起こしていかない、また、平和をしっかりと守っていくという立場でいるということを御理解いただいた上で発言をさせていただきたいと思います。
 まずは、石垣島の紹介をさせていただきます。
 石垣市は、日本列島及び琉球弧の最南西端にありまして、那覇から四百十一キロ、東京からは千九百五十二キロに位置しております。また、隣国の台湾とは二百七十七キロと、非常に近い位置にございます。
 亜熱帯性の海洋性気候で、石垣島とその周辺の離島及び尖閣諸島で構成をされています。周辺の海には、我が国最大の石西礁湖を中心としたサンゴ礁群が広がっております。また、沖縄県内最高峰の於茂登岳に代表されます亜熱帯森林も広がっており、森林を水源とする河川を配した自然豊かな地形を形成しております。
 石垣市は、このような気候や地理的地勢を背景に、台湾を初めとしたアジアの交流拠点として、また、八重山圏域の産業、交通、経済の中心地として発展してまいりました。
 本市独自の伝統文化や食文化は、広域な経済活動や豊かな自然と多様な文化から育まれており、私たちの貴重な魅力ある島々として多くの観光客が訪れ、観光を初めとして、農業、畜産、漁業等の産業に潤いと活力をもたらしております。
 特に、平成二十五年三月の新石垣空港、南ぬ島石垣空港開港以来、おかげをもちましてますます多くの観光客に来ていただいております。観光客数は順調に伸びており、開港初年度が九十四万人、そして二年目が百十二万人、ことしは百二十万人かというふうなことも言われております。
 このような観光客の大幅な増加により、観光が他の産業を牽引するようになり、本市経済に明るい兆しが出ていることを御報告いたします。
 さて、私たちの島を取り巻く情勢の認識についてでありますが、平成二十二年九月の尖閣諸島海域での中国漁船による海上保安庁巡視船への衝突事件は、我々にとって大変大きな衝撃を受けました。その際、中国漁船船長の釈放の問題等、尖閣諸島での事件が国際的に浮上してまいりました。中国漁船によります衝突事件を契機として、本市の尖閣諸島における情勢については、市民、そして国民が多くを知るところとなっております。
 近年、石垣市の尖閣諸島周辺海域で中国公船による領海侵入が連日のように発生しているのが現状であります。特に、中国公船による領海侵入は、国による尖閣国有化前の五回から、国有化後は三年弱で既に百二十回に及んでおります。このような現状に関し、大きな不安を感じるとともに、大変危惧をしているところでございます。
 尖閣諸島周辺海域は、マチ類、カツオ類など多くの魚がとれる良好な漁場として昔から知られております。漁業者においては、不測の事態をおそれ、近年は尖閣諸島周辺での漁を控える等の影響が出ております。
 尖閣諸島の歴史を鑑みるとき、一八八五年、明治二十八年一月十四日、尖閣諸島が日本の領土に編入され、沖縄県の所管とするところが閣議決定されました。翌明治二十九年には、沖縄県から尖閣諸島の開拓許可を得た古賀辰四郎氏が尖閣諸島の開拓に着手し、アホウドリの羽毛採取など事業を展開してまいりました。一九〇二年、明治三十五年には、尖閣諸島は現在の石垣市である石垣島大浜間切登野城村に編入され、地番が確定をいたしました。現在は無人島でありますが、当時は開拓者の古賀辰四郎氏にちなみ古賀村と呼ばれ、最盛期には九十九戸、二百四十八名が生活し、漁業やかつおぶし工場などが行われていたと記録されております。
 石垣市は、明治二十八年に日本政府が尖閣諸島を我が国の領土として編入することを閣議決定した一月十四日を尖閣諸島開拓の日として、平成二十二年に条例を制定いたしました。尖閣諸島は日本固有の領土であり、石垣市の行政区域であることは紛れもない事実であります。中国政府が主張している領土問題はそもそも存在しないと考えております。
 しかしながら、中国海警局など公船による領海侵犯の頻発や尖閣諸島周辺海域での中国海軍の活動が急速に拡大、活発化しているのが現状であります。また、平成二十五年には、南西諸島の通過を伴う中国海軍艦艇の活動が計八回、沖縄南方海域での活動が計四回されたと確認しております。このような現状から、日々の環境が悪化し、現実的な脅威として懸念するところであります。
 市民、住民の生命財産を守ることは市長の最も重要な仕事の一つだと考えておりますし、私は市長として、現状に対し大変危機感を感じているところであります。
 二〇一二年、平成二十四年四月には、北朝鮮が人工衛星打ち上げと称しミサイルの発射実験を実施したことは、皆様の記憶に新しい出来事だと思います。
 北朝鮮のミサイル発射におきましては、その軌道が石垣島上空であるということから、市民を震撼させ、これまでにない大きな出来事となりました。防衛省は、万が一に備え、石垣市にPAC3を一時展開いたしました。幸いにも、平成二十四年四月の北朝鮮ミサイル発射実験は失敗になりました。
 しかしながら、安堵したのもつかの間であり、同じ年の十二月、北朝鮮は再び人工衛星と称するミサイルの発射実験を予告いたしました。ミサイルの軌道は再び本市上空と発表され、改めて緊張感が走りました。防衛省は、万が一に備え、再度、石垣市にPAC3の部隊を配備いたしました。
 本市は、これら二度にわたる北朝鮮のミサイル発射について危機管理対策本部を立ち上げ、国、県と連携し、市民の安全対策について常に情報を発信するなどの対応をしてまいりました。
 平成二十四年十二月、北朝鮮は意表をつきミサイルを発射させ、ミサイルが本市上空を通過いたしました。本市への直接的な被害はありませんでしたが、市民はこの事態に大変な不安と驚きを持ちました。このとき、北朝鮮による核弾頭搭載可能な弾道ミサイルは、まさに本市の現実的な脅威であると認識をさせられました。
 北朝鮮は現在もミサイル発射の示唆を含む挑発的な行動を繰り返しており、北朝鮮によるミサイル、核開発の進展は、日本の安全保障においても現実的な脅威であると認識をしております。
 これらのことから、政府による、厳しさを増す日本の安全保障環境の変化との情勢認識は、理解するところでございます。
 安全保障政策における政府への期待を申し上げさせていただきたいと思いますが、私は、石垣市の尖閣諸島で、現に中国が相当の領海侵犯を行っている現状に大きな不安を感じております。これ以上の状況の悪化をとめる手だてを政府にしっかりとやっていただきたいと思っております。
 当然、あらゆる外交的手段を用い、平和裏に解決されるべきだとは考えておりますが、我が国においては、島嶼部の安心、安全の確保が重要な課題となっており、政府が、力による現状変更を許容しないとの意識をしっかりと示すことが重要と考えていることは、よく理解できるところであります。
 その意味において、今般の法案は、我が国の自衛権に基づき、自衛隊が米軍とも必要に応じ連携しつつ、いかなる状況においても対応できる体制を整え、日本の平和と安全をより確かにするもの、国際社会の平和と安全により積極的に寄与できるものと承知をいたしております。
 石垣市は、日本最南端の自然文化都市を標榜し、昭和五十九年に非核平和都市宣言、平成十一年には平和港湾宣言、平成二十三年に核廃絶平和都市宣言を行い、世界に冠たる平和都市を目指しているところであります。
 私は、一九六七年、国際観光年のスローガンであります「観光は平和へのパスポート」ということを理念とし、人種や国籍、宗教の垣根を越え、多くの人々が本市を訪れていただくことにより、相互理解を深め、本市の観光発展が世界平和へつながるものと考えております。これからも、国際色豊かな経済、文化の交流拠点事業を積極的に推進していきたいと考えております。
 今般の安全保障法制への評価でございますが、平和安全法制の整備によって、我が国の存立が脅かされるような事態への対処が可能となることから、抑止力が強化されるということは大変心強いことだと思っております。
 これまで我が国が十分に対応できなかった後方支援活動については、我が国が国際社会と協力して脅威に対応しようというときには大きな力を発揮するものと認識をしております。それにより、沖縄を含む日本全体の安全保障が担保されることを期待しています。
 冒頭にも述べましたが、石垣市は日本列島の最南西端に位置する国境の島であります。連日のように、石垣市の尖閣諸島においては中国公船による領海侵犯が起こっているのが現状であります。
 政府においては、海上保安庁の巡視船の増強など対応していただき、海上保安庁職員が、昼夜を問わず、厳しい状況の中、業務を遂行されていることに対し、改めて敬意と感謝を申し上げます。
 しかしながら、現在の南沙諸島、南シナ海を初め、中国のさまざまな動きなどを見ている限り、不測の事態が起こらないとは断言できません。専守防衛の理念に基づく抑止力の強化は重要であると認識をしております。
 政府におかれましては、私たち国境離島に生活する住民の安全、安心を確保するためにも、しっかりと対応いただきますようお願い申し上げる次第であります。
 今般の平和安全法案につきましては、法律の制定により、内閣と国民の代表である国会の責任において適切な判断がなされ、我が国の平和と安全が守られていくものと思います。
 しかしながら、今法案については、現状において国民の理解が深まっているとは思いません。なぜなら、戦争法案だとか地球の裏側まで行って戦争できるとか、また昨今の、もちろん言論の弾圧等にくみするものではありませんが、報道圧力問題など、イメージだけでの議論や法案自体の本論から外れた議論が目立つからであります。
 幸いにも国会会期が延長され、まだまだ会期末まで日数があります。なぜこの法案が必要であるかという本質や、もし反対であるならば具体的にどの部分が反対であるのかを、国会議員の先生方がそれぞれの地元でしっかりと国民に伝えていただきたいと思います。また、マスコミ、メディアの皆さんも、しっかりと中身を論じ、国民世論を喚起していただきたいと思います。
 今般の平和安全法案について国民の理解が深まることを期待し、また、現在の国際情勢、我が国を取り巻く状況等、環境等を踏まえ、法案提出に一定の理解を示し、今国会での、慎重に慎重を期した議論がされ、成立がされることを求める立場で、私の意見を締めくくりたいと思います。
 ありがとうございました。(拍手)

発言情報

speech_id: 118903929X01820150708_498

発言者: 中山義隆

speaker_id: 27179

日付: 2015-07-08

院: 衆議院

会議名: 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会