八木誠の発言 (経済産業委員会)

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○八木参考人 電気事業連合会の八木でございます。
 本日はこのような機会を賜り、まことにありがとうございます。先生方におかれましては、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして多大な御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりしまして、厚く御礼を申し上げます。
 まず初めに、本年三月で東日本大震災から四年が経過いたしましたが、福島第一原子力発電所の事故により、今なお多くの皆様に多大なる御迷惑と御心配、また御負担をおかけしておりますことを、同じ電気事業に携わる者といたしまして改めておわびを申し上げたいと思います。
 福島の復興につきましては、国の方針のもと、一歩一歩取り組みが進められているところでございますが、私どもといたしましても、さらなる復興の進展を切に願うとともに、業界全体でできる限りの支援をしてまいりたいと考えております。
 それでは、今回御審議されております電気事業法等の改正法案につきまして、私どもの考えを申し上げたいと思います。
 電力システム改革につきましては三段階に分けて進められることになっておりますが、本年四月には、その第一段階である電力広域的運営推進機関が発足し、その運用が開始されたところでございます。
 本機関は、広域的な電力運用や需給逼迫時の対応、さらには送配電業務における公平性や透明性を高めていく上で中心的な役割を担うことが期待されております。今後、電力システム改革が進展していく中で、一層その役割が重要になるものと考えております。
 私どもも、これまで本機関の発足準備に積極的に協力してまいりましたが、今後は会員会社として安定供給の確保や中立性の向上といった改革の目的を達成できるよう、円滑な業務運営に貢献してまいりたいと考えております。
 また、電力システム改革の第二段階に当たる来年の小売全面自由化につきましても、お客様に真の利益となる改革となるよう、詳細制度設計に引き続き協力してまいる所存でございます。
 その上で、今回の改正法案は、電力システム改革の第三段階として、送配電部門の一層の中立化を図るため、私ども一般電気事業者の送配電部門を法的分離するとともに、小売料金の経過措置の解除、つまり料金規制の撤廃を主たる内容とするものであると理解しております。
 さらに、本改正法案は、電気事業のみならず、総合的なエネルギー市場の創設を目指し、ガス事業における小売全面自由化、導管事業の中立性確保及び電力・ガス市場の監視を行う行政組織の新設等を規定するという、エネルギー事業の枠組みを大きく変革するものであると理解しております。
 本改革によって、電力市場、ガス市場等への全面的な参入が可能となり、エネルギー市場全体における競争が活性化していくことは、お客様にとって、より最適なエネルギーを選択する機会が広がり、望ましいものと考えております。
 ただし、小売全面自由化以降、私ども一般電気事業者には小売料金規制が課せられることになっており、制度変更に伴う需要家保護策の一環としての暫定的な措置と理解しておりますが、これらの措置は私どもにとって非対称とも言える規制であります。
 今回の法改正には、この料金規制の撤廃に係る規定が盛り込まれておりますが、中立公平な競争環境の確保を狙いとする本改革の趣旨に鑑み、諸情勢を総合勘案した上で早期にこれらの措置を撤廃していただくよう、お願いしたいと思います。
 こうした電力システム改革の実施に当たり、実務を担う事業者といたしましては、お客様の真の利益につながる改革とするためには、いまだに課題や懸念が残されていると考えているところでございます。
 具体的には、安定供給の仕組み、ルールの整備、電力需給の改善及び原子力事業環境の整備という三つの課題について、その課題解消の実現度合いを検証し、必要な措置を講じつつ進めていく必要があると考えております。
 まず、課題の一点目であります安定供給の仕組み、ルールの整備について申し上げます。
 今回の電事法改正法案は、一般電気事業者の送配電部門を法的に分離する、つまり、別会社化することを義務づけるものであります。私どもは、これまで、発送電一貫体制のもとで、高品質な電気を安定的にお届けするよう全力で取り組んでまいりました。このため、今回の発送電分離によって安定供給が損なわれることのないよう、分離を補完する仕組みやルールを慎重に整備することが大変重要であると考えております。
 具体的には、電気の周波数を調整するための仕組みを確実に機能させることで電気の品質を低下させないことや、平常時はもとより、非常時に発電側と送電側が協調するためのルールを策定することが必要であります。
 さらに、小売全面自由化により競争が進展し、送配電部門の法的分離が実施される中で、将来にわたっての供給力や調整力、予備力といった機能を担う電源が確実に確保されるよう、具体的な方策等について検討を行った上で、実効性の確認を行っていくことが必要と考えております。
 加えて、再生可能エネルギーの導入が現在急速に進んでおり、今後さらに拡大することが見込まれる中、供給力確保や需給運用の点で送配電機能の一層の強化が求められているところであります。
 こうした点を踏まえ、改革に当たり、安定供給の仕組みがしっかり構築されるよう、私ども事業者も引き続き協力してまいりますので、詳細制度設計を着実に進めていただきますよう、お願いいたします。
 二点目は、電力需給状況の改善についてであります。
 電力システム改革を実効的なものとするためには、電力の安定供給が確保され、需給状況が安定していることが大前提であると考えております。しかしながら、東日本大震災以降、電力の供給力に余力がなく、夏と冬の電力需給がピークとなる時期につきましては、毎期、政府において需給見通しを検証するという状態が続いております。
 これまでのところ、各社における最大限の供給力の積み増し努力と多くの皆様からの節電の御協力によりまして、何とか安定供給を維持することができている状況にありますが、この夏につきましても、とりわけ西日本地域では厳しい需給状況が想定されているところであります。
 供給力のベースである原子力プラントの再稼働につきましては、現在、十一社二十四基のプラントが新規制基準に対する適合性審査の過程にあり、先月末より九州電力の川内一号機が使用前検査に入るなど、少しずつ前進しておりますが、いずれも再稼働に至っておらず、大変厳しい状況が続いております。
 また、こうした事態により、東日本大震災以降、火力燃料費等が大幅に増加した結果、電力各社の収支は非常に厳しい状況が続いております。そのうち電力七社が電気料金の値上げを実施し、さらには北海道電力及び関西電力では二度目となる値上げを実施あるいは申請するという、非常に心苦しい状況であります。お客様には大変な御負担をお願いしているところでございます。
 今般の電力システム改革は、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を図り、電力の安定供給の確保及び電気料金の最大限の抑制を目指すものと理解しております。
 私どもといたしましては、安全の確保を大前提として、できる限り早く原子力プラントを再稼働し、その結果、電力需給の安定が確保されるよう、引き続き最大限の努力を続けてまいる所存であります。国におかれましても、全面自由化及び法的分離の実施に当たり、それに適した需給状況にあるか慎重に見きわめていただきたいと考えております。
 最後に、三点目は、原子力事業環境の整備についてであります。
 原子力発電は、他の電源と比べて、三つのEの観点からすぐれた特性を有しており、昨年四月に閣議決定された国のエネルギー基本計画でも、「エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源」と位置づけられました。
 一方で、巨額の投資を要し、建設から運転期間中はもとより、運転終了後も、廃炉や使用済み燃料の処理、処分に至るまで、安全性を確保しつつ、長期にわたる事業を確実に遂行しなければならないという特殊性を有しております。
 これまで、私どもは、国の原子力推進政策のもと、総括原価方式等の諸制度によって、長期安定的に事業に対する一定の予見性が得られることで、こうした特殊性を有する原子力発電の活用を図ってまいりました。
 しかしながら、原子力依存度を可能な限り低減させるという政策の方向性が示されるとともに、小売全面自由化や発送電分離といった電力システム改革が進められ、今後、原子力発電の事業予見性が大きく低下することとなります。
 こうした環境変化の中にあっても、国として重要な電源と位置づけられた原子力発電を私ども民間の事業者が担っていくためには、引き続き、予見性を持って長期の事業を計画し、実行できる環境整備が不可欠だと考えております。
 この点、昨年末に政府の原子力小委員会がまとめられた中間整理においても、同様の考えが示されるところであります。
 国におかれましても、ぜひとも、民間事業者が長期にわたり原子力事業を担うことができるよう、新たな国策民営のあり方を検討していただき、小売全面自由化の実施に先駆けて、制度の方向性を示していただきたいと考えております。
 例えば、これまで原子力事業者が一体となって支えてきたバックエンド事業等の原子燃料サイクルの推進に当たっては、競争が進展していく中でも長期にわたる処理、処分のプロセスに支障を来さないよう、新たな官民の役割分担に基づく仕組みの構築などが必要と考えております。
 また、今後、原子力委員会において検討が予定されている原子力損害賠償制度につきましても、事業者の予見性を確保するという観点から、事業者負担のあり方等について適切な見直しが必要であると考えております。
 政府におかれましては、こうした原子力事業環境の整備に向け、一日も早く検討の場を立ち上げ、検討に着手していただきますよう、お願いしたいと思います。
 以上、改革を進める上での三つの課題について述べさせていただきました。
 低廉で安定した電力供給は我が国の国民生活、産業活動の基盤となるものであり、電力システム改革は決して失敗が許されるものではありません。この電力システム改革が真に国民の皆様の利益につながる改革となるため、私どもといたしましても、これらの課題や懸念を払拭できるよう最大限の取り組みを行ってまいります。
 その上で、国におかれましては、改革の各断面におきまして、取り組みの成果や課題解消の実現度合いをしっかりと確認、検証いただき、その結果に応じて必要な措置を確実に講じていただくことをお願いしたいと存じます。その際、技術的課題や需給状況、事業環境に問題が生じている場合には、スケジュールありきではなく、実施時期の見直しも含め柔軟に改革を進めていただきますようお願い申し上げます。
 最後になりますが、今回の法改正により、電気事業のみならず、ガス事業のシステム改革についても、今後、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大といった観点から、大きく進展することが期待されます。
 私ども事業者といたしましては、電力、ガスといったエネルギー種別の垣根を越えた総合エネルギー事業へと進化し、我が国エネルギー事業全体の競争力強化と発展をリードするという強い気概を持って事業に取り組んでまいりますので、今後の詳細制度設計について、ぜひ整合性のとれた形で進めていただきますようお願いしたいと思います。
 こうした私どもの考えも含め、十分な御審議を賜りますようよろしくお願い申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 八木誠

speaker_id: 7746

日付: 2015-04-28

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会