長澤健一の発言 (経済産業委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○長澤参考人 おはようございます。長澤でございます。
発表の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
手持ちの資料、先週の金曜日に出てほしいと言われたので、ちょっと雑なんですが、考えていることをお話し差し上げたいと思います。
今回の法改正の意義というふうに下に書いておりまして、これは大きく分けると二つ意義があったというふうに考えております。
一つは、原始法人帰属。発明が発生したときから帰属を選ぶことができるということが一つ非常に大きい変更だと思います。もう一つが、手続をガイドラインで決めて、その中で無用な抗争が起きないようにしようじゃないかという、この二つは、産業界が常々お願いしていたところであります。
簡単にちょっと書いていまして、後にもう少し詳しく説明しますが、日本に原始法人帰属を可能とすることの意義なんですが、大企業も中小企業も大学も、昨今はネットワークで全てがつながる時代になりましたから、一社で一つのビジネスをつくり上げるというのが非常に難しくなってまいりまして、いわゆるコラボレーションが非常に必要になりました。
そのときに、例えばキヤノン、我々の会社が選ぶ相手をどこにするかといったときに、発明とか技術の帰属が不安定であるとなかなか選べない。できれば、物流のことも考えれば、日本のベンチャー、日本の大学と組みたいというふうに思っているところ、日本から発明者もしくは技術者が営業秘密を持って外国に行くというようなことがあってはなかなか組めないわけでして、そういう意味でも、最初から発明は契約で決められて、オープンイノベーションの中で共有できるというふうな仕組みになっていただく方がありがたいと思います。
これももうちょっと後で説明しますが、必ず技術者の雇用はふえていく方向にこの改正で動くと思います。営業秘密などが流出する懸念もこの改正で減るというふうに確信しています。
それから、我々は、また弊社のことになりますが、三度ほど発明者から訴訟を受けていまして、そこに費やした人的リソース、弁護士費用は多大なものがありまして、それから、現在の対価制度ですとかなり厳密な審査を要しますので、はっきり数字は申し上げられませんが、十年間で十数億円ぐらいの費用をかけてこれに当たっているわけです。
人的リソースのこともありますので、社内でのこういうことがなくなれば、その分もっと発明を生み出せるであろう、もっと発明者に対してインセンティブを与えられるであろうというふうに考えているわけです。
次のスライドに行かせていただいて、今円安が継続しておりまして、これはやはり政策上続いていくのであろうというふうに、私なんかも経営者の一人として理解しております。
そして、今我々はアジアに多数工場を持っておりますが、円安ということと、カントリーリスクが露見している面、それから営業秘密がそこで抜かれるという面を考慮すると、国内に生産拠点を戻していこうという動きが、うちの御手洗も言っていますが、加速するであろうと思っています。
特に弊社の場合は九州、東北に数多く工場を持っていまして、そちらに生産を戻したい、そちらに生産を戻したら、次は部品の調達も近くでやりたい、もっと言えば、RアンドD拠点もできれば近くに置きたい、そういう方向に動きたいわけです。そうすることによって、スピードを上げて、グローバルな競争力がつくであろうというふうに思っています。
グローバルな競争力を考えたときに、今、日本の産業というのは、例えばアメリカのアップルとか韓国のサムスンとかにやられているというふうに言われていると思うんですが、日本がつくっているもの自体は、性能、品質の面ではやはり一番すぐれているというふうに私は自負しておりまして、それをお金につなげる仕組みを今後は考えていかなきゃいけないというふうに思っているわけです。
そうすると、だんだん、いわゆるコンシューマー向けの製品からBツーBのビジネスに緩やかに移行するであろうというふうに考えるわけです。
その中で、国内に生産拠点、部品調達拠点、RアンドDの拠点を移すには、そこでオープンイノベーションをやっていかなきゃいけない。そのときに、先ほど言った権利の帰属の安定性というのが非常に重要になってまいります。
それから、特にデバイスへの価値回帰を図るために私も非常に苦労していまして、仕組みをつくったものがお金を稼いで、ファブレスとかと呼ばれているものがお金を稼ぐ時代から、やはりデバイスに価値を回帰させないと、この国の産業は成長しないし、成長戦略もうまくいかないというふうに思っています。
いよいよ本題に入りまして、職務発明のあるべき方向性ということで次のページに書いていますが、現在、我々が子会社をつくるとかRアンドDの拠点をつくるときに、どうしても抗争が起きそうな国というのは外したくなります。例えば、中国、韓国は非常に強い職務発明規程を持っていまして、発明が生み出されると逆に危ないぞというような記載をしておるところです。
あと、権利の帰属性がしっかりしていないと、やはり組んで仕事をすることができない。ぜひ日本の大学、日本のベンチャーを有効に利用したいというふうに思っています。
これは、契約を仮にやっても安心できない状況でして、発明者が自分の頭の中で発明を生み出していても、それが紙に出てこないと、今ですと、会社がお金を払って買い取ることはできません。
ただ、その状態で、例えば、ヘッドハントに遭って、アジア諸国にその人が行っちゃうと、営業秘密も発明もそちらに移動してしまう、そこを非常に恐れていますので、私の知り合いの欧米の会社でも、やはりちょっと日本のベンチャーは選びにくいという理由の一つに、それが全てではございませんけれども、それがあることは確かでございます。
次に、抗争で失われてきた時間というのがありまして、三件の訴訟でおおよそ二千時間ぐらいの時間は、うちの知財のメンバーが費やしています。
実は、発明というのは、発明者が自分の頭の中で全てをつくり上げるわけではなくて、発明者が設計をしたもの、それを我々知財担当者が見て、ここは新しい、新規性がある、ここは技術的なアドバンテージがあるということを見定めて、これを特許として出願しましょうという行為をします。そのリソースが少なくなると発明の数が減るということになりますので、その時間が取り戻せるということは非常に大きなことです。
それから、先ほど申し上げましたように、中国、韓国を中心として、余りにも発明者に対して手厚い規程を設けていると、特に抗争が多い中国では抗争が起きるであろうということで、私も、例えば中国にRアンドDの拠点を置くときには、非常に注意をして置かなきゃいけない状況になっています。
相当の利益という言葉が問題になると思うんですが、これは我々の方で考えるのは、例えば、利益の何%、売り上げの何%、それから最低これぐらい払いましょうというような数字にしますと、逆にすごい不公平感が出てまいります。我々、数字は言えませんが、年間ウン億円を使って発明者に報奨を出していますが、自由競争の原理からいって、これを下げる理由は全くございません。ライバル会社が同じように発明報奨をしていれば、我々はそれ以上にやって、いい技術者を囲いたいというふうに思うのは当然のことです。
最後のページになりますが、今回、改正で帰属の安定性が担保されたということで、発生した時点から法人、使用者の方が所有権を得ることができるということは、先ほど申し上げましたように、産業の振興に非常に大きな意味があったのであろうと思います。
これはガイドラインでどういうふうに意思表示をするかということが示されると思うんですが、会社規程を変えるというのは結構時間がかかりますし、発明取扱規程も取締役会にかけてやることですので、できれば最初の意思表示は簡易な手続でできればありがたいというふうに思っております。もちろん、発明報奨規程は追ってちゃんと整備してやる。特に、中小企業の場合、さあ組もうよといったときに、そこでも規程をつくってねと言うと、そこからさらに二、三カ月かかってしまいますので、その間の発明の帰属が不安定になるという問題があります。
それから、今回の改正で、ガイドラインで手続を正確に定めていただければ無用な抗争が起きないと思っていまして、インセンティブの自由度がある程度認められるようなガイドラインの策定をしていただければ、ほとんどの企業は発明に対してインセンティブを与えることに対しては非常にポジティブですので、そのように動けると思います。
ちょっと大ざっぱですが、以上になります。ありがとうございました。(拍手)