経済産業委員会

2015-05-29 衆議院 全180発言

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会議録情報#0
平成二十七年五月二十九日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 江田 康幸君
   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君
   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君
   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君
   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君
      穴見 陽一君    井上 貴博君
      石川 昭政君    大見  正君
      岡下 昌平君    梶山 弘志君
      勝俣 孝明君    神山 佐市君
      神田 憲次君    黄川田仁志君
      佐々木 紀君    塩谷  立君
      白石  徹君    関  芳弘君
      武村 展英君    冨樫 博之君
      野中  厚君    福田 達夫君
      細田 健一君    堀内 詔子君
      宮崎 政久君    務台 俊介君
      若宮 健嗣君    小川 淳也君
      神山 洋介君    小宮山泰子君
      篠原  孝君    田嶋  要君
      渡辺  周君    落合 貴之君
      木下 智彦君    國重  徹君
      中川 康洋君    藤野 保史君
      真島 省三君    野間  健君
    …………………………………
   経済産業大臣       宮沢 洋一君
   経済産業副大臣      山際大志郎君
   経済産業大臣政務官    関  芳弘君
   政府参考人
   (外務省大臣官房審議官) 森  健良君
   政府参考人
   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君
   政府参考人
   (特許庁長官)      伊藤  仁君
   政府参考人
   (特許庁総務部長)    堂ノ上武夫君
   参考人
   (キヤノン株式会社取締役・知的財産法務本部長)  長澤 健一君
   参考人
   (日本労働組合総連合会総合政策局長)       川島 千裕君
   参考人
   (三鷹光器株式会社代表取締役)          中村 勝重君
   参考人
   (ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所代表弁理士) アインゼル・フェリックス=ラインハルト君
   経済産業委員会専門員   乾  敏一君
    —————————————
委員の異動
五月二十九日
 辞任         補欠選任
  大見  正君     務台 俊介君
  福田 達夫君     神田 憲次君
  細田 健一君     堀内 詔子君
  近藤 洋介君     小宮山泰子君
  渡辺  周君     小川 淳也君
  國重  徹君     中川 康洋君
同日
 辞任         補欠選任
  神田 憲次君     福田 達夫君
  堀内 詔子君     細田 健一君
  務台 俊介君     大見  正君
  小川 淳也君     渡辺  周君
  小宮山泰子君     近藤 洋介君
  中川 康洋君     國重  徹君
    —————————————
五月二十八日
 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(藤野保史君紹介)(第一二七七号)
 同(真島省三君紹介)(第一二七八号)
 原発ゼロを直ちに決断することに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第一二七九号)
 同(池内さおり君紹介)(第一二八〇号)
 同(梅村さえこ君紹介)(第一二八一号)
 同(大平喜信君紹介)(第一二八二号)
 同(笠井亮君紹介)(第一二八三号)
 同(穀田恵二君紹介)(第一二八四号)
 同(斉藤和子君紹介)(第一二八五号)
 同(志位和夫君紹介)(第一二八六号)
 同(清水忠史君紹介)(第一二八七号)
 同(塩川鉄也君紹介)(第一二八八号)
 同(島津幸広君紹介)(第一二八九号)
 同(田村貴昭君紹介)(第一二九〇号)
 同(高橋千鶴子君紹介)(第一二九一号)
 同(畑野君枝君紹介)(第一二九二号)
 同(畠山和也君紹介)(第一二九三号)
 同(藤野保史君紹介)(第一二九四号)
 同(堀内照文君紹介)(第一二九五号)
 同(真島省三君紹介)(第一二九六号)
 同(宮本岳志君紹介)(第一二九七号)
 同(宮本徹君紹介)(第一二九八号)
 同(本村伸子君紹介)(第一二九九号)
 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(藤野保史君紹介)(第一三〇〇号)
 同(真島省三君紹介)(第一三〇一号)
は本委員会に付託された。
    —————————————
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 特許法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
     ————◇—————
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江田康幸#1
○江田委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、特許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として、キヤノン株式会社取締役・知的財産法務本部長長澤健一君、日本労働組合総連合会総合政策局長川島千裕君、三鷹光器株式会社代表取締役中村勝重君、ゾンデルホフ&アインゼル法律特許事務所代表弁理士アインゼル・フェリックス=ラインハルト君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。
 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。
 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。
 それでは、まず長澤参考人にお願いいたします。
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長澤健一#2
○長澤参考人 おはようございます。長澤でございます。
 発表の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。
 手持ちの資料、先週の金曜日に出てほしいと言われたので、ちょっと雑なんですが、考えていることをお話し差し上げたいと思います。
 今回の法改正の意義というふうに下に書いておりまして、これは大きく分けると二つ意義があったというふうに考えております。
 一つは、原始法人帰属。発明が発生したときから帰属を選ぶことができるということが一つ非常に大きい変更だと思います。もう一つが、手続をガイドラインで決めて、その中で無用な抗争が起きないようにしようじゃないかという、この二つは、産業界が常々お願いしていたところであります。
 簡単にちょっと書いていまして、後にもう少し詳しく説明しますが、日本に原始法人帰属を可能とすることの意義なんですが、大企業も中小企業も大学も、昨今はネットワークで全てがつながる時代になりましたから、一社で一つのビジネスをつくり上げるというのが非常に難しくなってまいりまして、いわゆるコラボレーションが非常に必要になりました。
 そのときに、例えばキヤノン、我々の会社が選ぶ相手をどこにするかといったときに、発明とか技術の帰属が不安定であるとなかなか選べない。できれば、物流のことも考えれば、日本のベンチャー、日本の大学と組みたいというふうに思っているところ、日本から発明者もしくは技術者が営業秘密を持って外国に行くというようなことがあってはなかなか組めないわけでして、そういう意味でも、最初から発明は契約で決められて、オープンイノベーションの中で共有できるというふうな仕組みになっていただく方がありがたいと思います。
 これももうちょっと後で説明しますが、必ず技術者の雇用はふえていく方向にこの改正で動くと思います。営業秘密などが流出する懸念もこの改正で減るというふうに確信しています。
 それから、我々は、また弊社のことになりますが、三度ほど発明者から訴訟を受けていまして、そこに費やした人的リソース、弁護士費用は多大なものがありまして、それから、現在の対価制度ですとかなり厳密な審査を要しますので、はっきり数字は申し上げられませんが、十年間で十数億円ぐらいの費用をかけてこれに当たっているわけです。
 人的リソースのこともありますので、社内でのこういうことがなくなれば、その分もっと発明を生み出せるであろう、もっと発明者に対してインセンティブを与えられるであろうというふうに考えているわけです。
 次のスライドに行かせていただいて、今円安が継続しておりまして、これはやはり政策上続いていくのであろうというふうに、私なんかも経営者の一人として理解しております。
 そして、今我々はアジアに多数工場を持っておりますが、円安ということと、カントリーリスクが露見している面、それから営業秘密がそこで抜かれるという面を考慮すると、国内に生産拠点を戻していこうという動きが、うちの御手洗も言っていますが、加速するであろうと思っています。
 特に弊社の場合は九州、東北に数多く工場を持っていまして、そちらに生産を戻したい、そちらに生産を戻したら、次は部品の調達も近くでやりたい、もっと言えば、RアンドD拠点もできれば近くに置きたい、そういう方向に動きたいわけです。そうすることによって、スピードを上げて、グローバルな競争力がつくであろうというふうに思っています。
 グローバルな競争力を考えたときに、今、日本の産業というのは、例えばアメリカのアップルとか韓国のサムスンとかにやられているというふうに言われていると思うんですが、日本がつくっているもの自体は、性能、品質の面ではやはり一番すぐれているというふうに私は自負しておりまして、それをお金につなげる仕組みを今後は考えていかなきゃいけないというふうに思っているわけです。
 そうすると、だんだん、いわゆるコンシューマー向けの製品からBツーBのビジネスに緩やかに移行するであろうというふうに考えるわけです。
 その中で、国内に生産拠点、部品調達拠点、RアンドDの拠点を移すには、そこでオープンイノベーションをやっていかなきゃいけない。そのときに、先ほど言った権利の帰属の安定性というのが非常に重要になってまいります。
 それから、特にデバイスへの価値回帰を図るために私も非常に苦労していまして、仕組みをつくったものがお金を稼いで、ファブレスとかと呼ばれているものがお金を稼ぐ時代から、やはりデバイスに価値を回帰させないと、この国の産業は成長しないし、成長戦略もうまくいかないというふうに思っています。
 いよいよ本題に入りまして、職務発明のあるべき方向性ということで次のページに書いていますが、現在、我々が子会社をつくるとかRアンドDの拠点をつくるときに、どうしても抗争が起きそうな国というのは外したくなります。例えば、中国、韓国は非常に強い職務発明規程を持っていまして、発明が生み出されると逆に危ないぞというような記載をしておるところです。
 あと、権利の帰属性がしっかりしていないと、やはり組んで仕事をすることができない。ぜひ日本の大学、日本のベンチャーを有効に利用したいというふうに思っています。
 これは、契約を仮にやっても安心できない状況でして、発明者が自分の頭の中で発明を生み出していても、それが紙に出てこないと、今ですと、会社がお金を払って買い取ることはできません。
 ただ、その状態で、例えば、ヘッドハントに遭って、アジア諸国にその人が行っちゃうと、営業秘密も発明もそちらに移動してしまう、そこを非常に恐れていますので、私の知り合いの欧米の会社でも、やはりちょっと日本のベンチャーは選びにくいという理由の一つに、それが全てではございませんけれども、それがあることは確かでございます。
 次に、抗争で失われてきた時間というのがありまして、三件の訴訟でおおよそ二千時間ぐらいの時間は、うちの知財のメンバーが費やしています。
 実は、発明というのは、発明者が自分の頭の中で全てをつくり上げるわけではなくて、発明者が設計をしたもの、それを我々知財担当者が見て、ここは新しい、新規性がある、ここは技術的なアドバンテージがあるということを見定めて、これを特許として出願しましょうという行為をします。そのリソースが少なくなると発明の数が減るということになりますので、その時間が取り戻せるということは非常に大きなことです。
 それから、先ほど申し上げましたように、中国、韓国を中心として、余りにも発明者に対して手厚い規程を設けていると、特に抗争が多い中国では抗争が起きるであろうということで、私も、例えば中国にRアンドDの拠点を置くときには、非常に注意をして置かなきゃいけない状況になっています。
 相当の利益という言葉が問題になると思うんですが、これは我々の方で考えるのは、例えば、利益の何%、売り上げの何%、それから最低これぐらい払いましょうというような数字にしますと、逆にすごい不公平感が出てまいります。我々、数字は言えませんが、年間ウン億円を使って発明者に報奨を出していますが、自由競争の原理からいって、これを下げる理由は全くございません。ライバル会社が同じように発明報奨をしていれば、我々はそれ以上にやって、いい技術者を囲いたいというふうに思うのは当然のことです。
 最後のページになりますが、今回、改正で帰属の安定性が担保されたということで、発生した時点から法人、使用者の方が所有権を得ることができるということは、先ほど申し上げましたように、産業の振興に非常に大きな意味があったのであろうと思います。
 これはガイドラインでどういうふうに意思表示をするかということが示されると思うんですが、会社規程を変えるというのは結構時間がかかりますし、発明取扱規程も取締役会にかけてやることですので、できれば最初の意思表示は簡易な手続でできればありがたいというふうに思っております。もちろん、発明報奨規程は追ってちゃんと整備してやる。特に、中小企業の場合、さあ組もうよといったときに、そこでも規程をつくってねと言うと、そこからさらに二、三カ月かかってしまいますので、その間の発明の帰属が不安定になるという問題があります。
 それから、今回の改正で、ガイドラインで手続を正確に定めていただければ無用な抗争が起きないと思っていまして、インセンティブの自由度がある程度認められるようなガイドラインの策定をしていただければ、ほとんどの企業は発明に対してインセンティブを与えることに対しては非常にポジティブですので、そのように動けると思います。
 ちょっと大ざっぱですが、以上になります。ありがとうございました。拍手
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江田康幸#3
○江田委員長 ありがとうございました。
 次に、川島参考人にお願いいたします。
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川島千裕#4
○川島参考人 ただいま御指名いただきました、連合で総合政策局長を務めております川島千裕と申します。
 本日は、このような、私ども連合の意見を表明する場をいただきまして、まず感謝を申し上げます。
 本日は、特許法等の一部を改正する法律案の中の職務発明制度の見直しについて、働く者の立場から三点の意見を述べさせていただきます。
 まず一点目は、法案に対する基本的なスタンスについてであります。
 職務発明制度の見直しについては、連合も参加しました産業構造審議会のもとでの特許制度小委員会において、立場の異なる委員によりますさまざまな議論の積み重ねを経て、報告書が取りまとめられました。
 本法案は、小委員会で確認された報告書の内容を適切に反映したものであり、また、その中で連合の意見も反映をされていることから、妥当な内容であると受けとめております。
 小委員会での議論経過や報告書の趣旨が十分反映された法案となるよう、国会での審議においてこれらの趣旨が確認されることを強く求めたいと思っております。また、今回の法改正は、我が国における職務発明の促進、産業の発展につながるということが重要なことでありますので、法改正後の運用においてもしっかり調査、検証がされるようお願いしたいと思っております。
 二点目は、審議会での議論経過と連合の受けとめについて触れさせていただきたいと思っております。
 我が国が世界最高の知財立国を目指すためには、研究者による研究開発、発明活動と、また、企業における研究開発がともに促進されるような職務発明制度の確立が求められると考えております。そのためには、発明を生み出す研究者、技術者の発明意欲の向上につながるような、従業者へのインセンティブが確保されることを前提とした制度の検討が必要であると考えております。
 連合は、このような課題認識のもと、小委員会に参加をし、法改正の必要はないとの主張を当初してまいりました。といいますのも、現行の特許法第三十五条は、従業者と使用者の双方に発明のインセンティブを与えるための合理的な利害調整機能を果たしており、バランスのとれた制度であること、また、現行の特許法は、二〇〇四年に改正されて以降、改正法に関する判例の蓄積がないことによるものであります。
 さらなる法改正を行うべき立法事実が認められない以上、現行法を維持すべきである、むしろ、二〇〇四年改正法の趣旨を徹底し、社内規程の整備など労使の取り組みを浸透させていく、また、そのためのガイドライン整備を進めていくべきであることを小委員会の中で主張してまいりました。
 その上で、連合は、特許法の趣旨を踏まえ、従業者と使用者の双方の発明のインセンティブを高めるためにはどのような制度にするべきなのか、そういった立場で議論に臨んでまいりました。
 一方、今回の職務発明制度の見直しは、二〇一三年の日本再興戦略において、企業のグローバル活動を阻害しないという観点から検討がスタートしました。その流れの中で、産業界からは、特許を受ける権利を法人帰属へ転換するべき、法定対価請求権を廃止し、企業が自由なインセンティブ施策ができるようにするべきとの意見が強く出され、その意向を全面的に受け入れた方向で議論が進んでいくものと思われました。
 これに対して、連合は、従業者のインセンティブの切り下げにつながりかねないとの大きな懸念を持ち、なおさらのこと、今回の法改正の必要はない、従業者のインセンティブ確保が必要であることを主張してまいりました。
 このように、労働界と産業界との意見の隔たりは大きかったわけでありますが、議論が進む中で、有識者の方から、発明者に対するインセンティブの重要性について複数意見が出されました。また、権利の帰属が使用者、従業者のいずれであったとしても、従業者のインセンティブを確保するべきであるという意見ですとか、また、法改正によって発明者に対するインセンティブが損なわれることがないよう、法的担保が必要であるとの意見も出されました。
 その結果、小委員会の報告書には、本見直しは、インセンティブの切り下げを目的とするものではなく、企業の国際競争力、イノベーションを強化する上では、研究者の研究開発活動に対するインセンティブを確保することが大前提であるという旨の内容が盛り込まれ、小委員会全体で確認がされました。
 加えて、報告書に、従業者には、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利が保障されるということや、指針の策定に当たっては、労使代表が参加する場で検討する旨の内容が盛り込まれております。これは、私ども連合が働く者の立場に立って主張した内容でございます。
 このように、小委員会の議論経過を振り返りますと、当初の議論から軌道修正が行われまして、最終的な取りまとめとしては、従業者の発明のインセンティブ確保に対する最低限の制度的担保は設けられたものと受けとめております。
 最後に、法案の具体的な内容に対する評価、課題について、四点について申し述べたいと思います。
 一点目は、職務発明に関する権利の帰属についてであります。
 法案では、職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能としております。この法人帰属化については、マスコミでも大きく取り上げられたところでありまして、研究者の関心も高い論点であると考えております。
 法案では、法人帰属とするためには、契約、勤務規則等であらかじめ定めることを要件としております。したがって、契約、勤務規則等で法人帰属とすることを定めない会社においては、従来同様、従業者帰属のままであるというように受けとめております。
 また、現行法のもとで、大企業のほとんどは職務発明に関する規程を設け、その中の多くの企業は、規程において特許を受ける権利を従業者から承継するようにしております。
 小委員会の報告書では、法人帰属とする場合の前提条件が必ずしも明らかになっておりませんでした。したがいまして、私どもは、どのような法案になるのか、若干心配をしていたところでありますが、先ほど申し上げましたとおり、特許を受ける権利の取り扱いについての変更は、実質的には小幅にとどまるものと受けとめております。
 いずれにしましても、国会審議において、特許を受ける権利の帰属を見直すべきとした立法事実、法人帰属を可能とすることの意義、さらには、これが従業者のインセンティブ確保あるいは向上にどう寄与するのかという点について、御確認いただきたいと思っております。
 また、職務発明は全て無条件に法人帰属となるといった誤ったメッセージが伝わらないように、その点も御留意いただきたいと思っております。
 二点目は、相当の利益を受ける権利についてであります。
 従業者に対し、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を法定化することは、初めから法人帰属とした場合でも、従来の法定対価請求権に相当する従業者のインセンティブを確保するものであり、妥当と考えます。
 小委員会の報告書には、これにより、従業者には、現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利が保障されることとなる旨の記載があります。間違っても、従業者のインセンティブがそがれることのないよう、この趣旨を十分に踏まえた法律、運用となるよう確認いただきたいと思っております。
 三点目は、指針の策定についてであります。
 法改正後、相当の利益の内容を決定するための手続の指針が策定をされます。現在も特許庁において手続事例集が策定をされておりますが、今回、法により指針を定めることが明記されたことを評価しております。
 指針の具体的な中身は産業構造審議会で検討されることとなりますが、検討に当たっての留意点として三点申し上げたいと思います。
 一点目は、従業者の関与の必要性をより重視するような手続ルール、また苦情処理のあり方について指針に盛り込むという点であります。
 相当の利益の内容は、使用者と従業者の協議や意見聴取が適切に行われ、その結果を十分に踏まえたものでなくてはならないと思います。従業者にとっても使用者にとっても、双方が納得できるような内容となる必要があるということであります。
 また、社内に苦情、異議申し立ての仕組みや相談窓口、あるいは問題解決をする場を設けることも重要だと考えております。そうした場については労働者代表や研究者代表を含めた形で構成するなど、より従業者の納得性を高めるような内容が盛り込まれることが重要であると考えております。
 二点目は、相当の利益の内容に対する考え方について、指針に盛り込むべきであるという点であります。
 法案では、「相当の金銭その他の経済上の利益」と定めておりますが、金銭以外にどのようなインセンティブがふさわしいのかなど、具体的な例を示し、インセンティブの切り下げにならないことを担保する必要があると考えております。
 三点目は、現在、職務発明に関する規則がない企業に対して、規則制定の促進となる指針とすべきであるという点であります。
 特に、中小企業の規則制定を促進するための一助となるよう工夫を凝らし、わかりやすく実効性のある指針となることを求めます。
 最後、四点目ですが、法改正後の調査、検証についてであります。
 今回の法改正が今後従業者のインセンティブにどのような影響を与えるのか、正直わからないというのが実感であります。法改正前後で企業の職務発明規則が変わったのかどうか、変わったとすればどのように変わったのか、また従業者のインセンティブに変化があったのかなど、法改正後の運用に対する調査、検証が重要だと考えておりまして、そうした対応がなされるような御議論をお願いいたします。
 以上、私からの御意見とさせていただきます。御清聴ありがとうございました。拍手
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江田康幸#5
○江田委員長 ありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。
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中村勝重#6
○中村参考人 三鷹光器株式会社代表取締役、中村勝重です。よろしくお願いいたします。
 当会社はもともとアイデア会社なので、自分のやってきたことをものづくり中小企業の立場でお話ししたいと思います。
 当会社は東京は三鷹市にありまして、おやじが、麻布から三鷹に天文台を移した、今の国立天文台でありますが、そこに関与していましたので、兄と私はその隣で工場を建てた。そして、四十九年目を迎えております。来年、五十年になります。
 アイデアでものづくり五十年というのはなかなか大変です。ネットで調べたら、〇・七%しかない。そういうところでどうやって生き抜いてきたか、それをお話しするのがちょうどわかりやすいんじゃないか、そう思いますので、お話ししたいと思います。
 東京・三鷹はだんだん発展してきまして、天文学者は空が明るくなってどうにもならない。結局、ロケットで、衛星で空に飛びはねるしかありません。私はそういったところにいろいろなアイデアを駆使して出したんですけれども、特許は出しておりません。そういった衛星なんというのは特別な機関ですから、あのようにして解決してあげた、そんなことを幾ら書いても、ただそれだけのことよということであります。特許も出していいものとそうでないものがあります。
 そんなわけで、ただ、ロケットの中でいろいろやりました。皆さんの中では、南極のオゾンホールを御存じだと思うんですが、実はあれを発見した装置は当社がつくったんです。また、宇宙にブラックホールという何でも吸い込んでしまう場所がある、そこを発見した、はくちょう座X1から強烈なエックス線が来たというエックス線望遠鏡は実は当社がつくったんです。そういったようなものを特許を出して世界に知らしめるなんということは、日本の博士たちに失礼だ。ですから、そういったことは秘密にしておきます。
 衛星ですと十六プロジェクトに私は参加しました。そこで、動くようなもの、失敗がすぐわかるようなものは大手は手を出しません。そういった嫌なところを私はずっとやってきました。また、衛星、十六のプロジェクト、車でいえばカーナビ、今どこにいるんだろう、星座で見なきゃいけません。ところが、太陽という強烈な光があります。めくらで見えなくなる。だけれども、どうしてあのエックス線天文学を日本はどんどんやるんだろうと。NASAの方々は三鷹光器の装置をスペースシャトル・コロンビアに搭載することを、日本には大手メーカーがいろいろありますけれども、NASAは、三鷹の案を五分で聞いて、これはすごいということで一発で決めました。そういうことであります。
 ところが、これだけいろいろなことをやっていても、なかなか評価されません。何でアイデアが評価されないんだということで、今から三十年前、兄から、今度医療機器に参入したい、この技術をそちらに使いたいと。大体、医療機器といいますと、こういったピラミッドの頂点のところ、ここのところで手術顕微鏡は、ピーポーピーポーで生きるか死ぬかの世界であります。これぞ日本の技術が発揮できる場所だ、こういうことであります。
 中小企業が大手、また外国に勝つためにはどうしたらいいかということになります。ただ、三鷹光器なんという会社は、世界は何も知りません。ドイツのライカという会社はカメラで有名な会社であります。私は、そこと手を組もう、そう考えたわけであります。一年間、日本の市場でいろいろやりました。特許は現場にあり、設計図は現場にあり、現場の苦しみから出てきたアイデアを特許化したいわけであります。絶対いける、兄貴、これをやりたい、こういうことがあります。
 そんなようなことで、世界展開に行ったんですが、私は、特許を使って有利な契約をする、そういうことであります。一年間数百台注文してください、そして私の銀行に直接振り込んでください。
 ただ、私の弱点は何か。世界に知られていない。ライカ・ブランドはどこも知られておりますので、売った後のアフター、そういったところもできない、そこのところをカバーしてくれないか、そのかわり、私のこの特許をOEMで供給するから、我々の製造のところは紳士的にやってほしいと。ドイツは特許のそういったところは非常にしっかりした国であります。そこでいろいろやりました。
 そういったところでどんどん、その当時ライカはわずか一%しかない市場が、今現在では五〇%行っております。これは、もし特許がなかったら、そんな交渉はできなかった、私はそう思います。
 ところが、そういういいことばかりじゃありません。それを潰そうという競合が出てまいります。もっと大きな、ライカは数万人です、今度は数十万人の大きな会社は、三鷹の特許を潰せば大丈夫だ、こういうことになります。つまり、無効にしてしまう異議申し立てをして、各国からいろいろな声が審理するときに出てまいりました。ちょうど参考人で呼んでおります小野村とそういったところに出向きまして、現場に行きまして、特にミュンヘンで、ドイツで裁判を起こされているわけですけれども、たった五人ぐらいで行きまして、そして、孫子の兵法じゃないが、百戦百勝、ずっと勝ってまいりました。
 もうそれで、特許で負けたら今の私の会社はなかったと思います。それほど知財というのは大事なんです。経営者がまずこの特許というものをいかに理解するか。中小企業の社長はほとんど、まあ特許なんてと、大体そんな雰囲気がありますけれども、私はその環境を、もっと別の方向に行きたい。
 そういった意味で、食堂に、職務発明規程、そういうものをつくりまして、そして、アルバイトでもパートでも誰でもいい、案が出たら私に言いなさい、私がいなかったら小野村が特許、知財を担当しているからそっちへ言いなさい、そんなことでモチベーションを上げているわけですが、とにかく、案を出したら、文書を書かなくてもいい、ポンチ絵でいい、そういうことであります。
 これでちょっと一例をお話ししたいと思います。
 パートで入った女性がいました。ボール盤という、穴をあけるんですけれども、ばんと私に物が飛んできた。そして、しばらくしたら、ポンチ絵で、社長、あのカバーが、一部が透明で中が見えたら私はあんなことをしなかったかもしれないと。我々男は、そういうのをやっていて、そんな不便を全然感じていなかった。パートで働く場は日本全国にいっぱいあります。こういったことがいろいろあるんだな、ああ、女性だから出たアイデア、これはおもしろい、小野村、これをすぐ文書とセットにして出しなさい、そういうことがあります。
 ところが、発明して一万円、それが通って二万円、実績を上げたらそれに対する報酬、そういうふうに考えてはいるんですけれども、部屋の中でこっそり渡しても何ら意味はありません。私は、一年間の間に忘年会をやります。そのときに呼びます。今は三十人から百人近くあるんですが、大抵三百人ぐらい呼びます。これはアルバイトやパートであっても、トイレの掃除屋さんも全部呼びまして、もちろん社員は全員呼ぶんですが、あと協力会社、ものづくり、結構いろいろなアイデアを出す社長もいますので、そういった人も呼んで、それから、大事な私の取引銀行、支店長も全部呼びます。
 何が言いたいか。特許というのは何が有利で、それをやると世の中にどれほど貢献するか、そこが言いたいわけでありますから、それに興味がないという銀行の支店長は、その銀行は取引中止、私はそのくらいの勢いでやっております。また、この忘年会に出席していなかったら、もうこれはしようがありません、だったらもう即ほかの会社に行きなさいという勢いでやっております。
 そのときに、知財部長にちょっと出して、呼んで、私から、何子さん、来てください、あなたはことし、こんなこと、こんなことを考えたよね、そして、発明報奨金として渡すわけであります。みんなの前で渡すんです。そうすると、あれっと、そういうふうにわかります。そうやってモチベーションを持ち上げる。
 中小企業は経営者と社員が密接な関係にあります。そこが大事であります。特に今回、会社帰属、特許は会社が権利を持つんだ、私はそのようにやってきた。それはどうしてかといいますと、これは私の会社だからということはあるかもしれませんけれども、現場の声として言いたい。社長、実はこういった特許を持っているんだけれども、それがもし社員の権利だとしたら、おまえ、これは仕事中考えたのか、そういうことになります。だから、非常に言いにくい話です。
 また、特許を持っていても、そこで社長とバッティングしたらもうやめるしかない。社長の方も、せっかく考えてくれたというのがあっても。ところが、今度、会社が権利を持っているとなると、社員も言いやすい、そういうことであります。
 ただ、そのルールというかガイドライン、それが問題です。
 社長、こんなことを考えた、きょう営業で行ったんだけれどもこんなことを言われた、それを改善するとこれだけよくなるんだけれども、よし、それでいこう。そういうことがあります。顕微鏡とスタンドを開発するのに、顕微鏡一億五千、スタンド一億五千、三億円も投資するのに、その権利が社員にあったとしたら、私は誰とサインするんだ、契約するんだ、そういうことになります。
 そういったようなところで、社員のモチベーションを上げながら、その気持ちも共有できるような、そういう環境が必要だと私は思います。
 また、不正競争防止法。
 昨今、先ほどの手術顕微鏡ですけれども、大きな装置は左か右に置くんですが、これは邪魔なので、私は、背後から、上から来るような方式の特許を出したわけであります。そうしたら、特許は取ったはいいんですけれども、ある限界があります。それの似通った、あの雰囲気でつくれば売れるんだなと、OH3は、それをまねたもの、模造品が出てまいります。これを停止させるには、不正競争防止法しかありません。そういうわけであります。
 最後でありますけれども、中小企業が大企業または他の国に勝つためには、特許と不正競争防止法、これが、中小企業が大手、他国に勝つ唯一の武器であります。
 これから日本が海外に進出していくのに、価値観でいくしかありません。私がこのピラミッドの頂点を狙ったのは、中小企業は数はたくさんつくれません。下を狙うと、すぐ大手さんは安く大量につくってしまいますから、そういったようなところと競う時代はもう終わったんじゃないだろうか。
 日本の技術を世界に展開というのは、どうしてもこの二つの法律は大事であります。ぜひ皆さん、その辺のところを考えていただきたいと思います。
 以上であります。拍手
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江田康幸#7
○江田委員長 ありがとうございました。
 次に、アインゼル参考人にお願いいたします。
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アインゼル・フェリックス=ラインハルト#8
○アインゼル参考人 皆さん、よろしくお願いいたします。
 何でここに外人が出てきたのかと多分皆さん疑問に思われているかもしれないですが、別に僕は外圧をかけに来たわけではないので、そこら辺のことは御了承いただけたらなというふうに思っています。
 うちは明治時代からある法律特許事務所でして、主として欧米のクライアントをずっと代理してきた経緯があるんですね。その中で、百十年以上なぜこうやってやってこられたのかというふうに考えたときに、やはり、何か彼らにとっての大きな文化的なメリットとかそういうものがあったんだろう。
 きょうは、僕は外国人の立場として、今回の法改正というよりは、今後日本が法改正をするに当たってどういうところの視点で考えていけばよろしいのか、一つの提言みたいなものをちょっとしたいなというふうに考えています。
 その提言はどういうところからくるかというと、これは別に僕の意見だけではなくて、大体僕は年に二、三回、ここ二十年間ずっと欧米企業を回ってきて、いろいろなインタビューをしてきたわけなんですね。そのときにそれをまとめたもの、日本の制度に対してこういうふうに考えていますとまとめたものとして考えていただければなというふうに思います。
 日本の産業財産権制度の今後の課題なんですけれども、これは釈迦に説法になってしまうんですけれども、そもそもよい産業財産権制度というのは何なのか。これは当然、自国の産業を発達させ、外国からの投資を呼び込む制度ということになるかと思います。そのためには、まずは投資の回収が図れる、すなわち投資以上のリターンがあることが重要であろう。
 あともう一つは、予見可能性の存在ですよね。例えば裁判所はどう判断するんだろう、特許庁はどう判断するんだろうといって、ある程度の予見可能性があって、それに対するリスク判断が企業ができること、これが非常に重要になってくるのではないかなというふうに考えております。
 一般論としては、産業の発達を図るために、皆さん御存じだと思うんですけれども、発明の保護と利用という両方の側面があるわけです。保護が強ければ当然利用が弱くなる、利用が強くなれば保護が弱くなるという関係にあると思うんですけれども、一般的に、先進国は保護に重きを置いて、発展途上国は利用に重きを置く、そういう関係があるわけですね。
 その中で、どうしても日本の特許制度に対して、先進国の中では、保護がまだまだ弱いんじゃないのかというイメージが特に欧米の中にある、そういう現実が今あります。
 ただ、ここ二十年間の特許庁さんの取り組みというのは、僕は本当に見事だなというふうに実は思っております。小泉首相のもとでのプロパテント政策もそうですけれども、それにのっとって、ここ二十年間で相当なまでに発明の保護というものに重きを置くようになってきて、審査期間についても、今、十カ月とか十一カ月、非常に短くなってきて、非常にいい制度になってきているんじゃないのかというふうに考えています。
 その中で、投資の回収が図れること、これは発明の保護の側面の強化なんですけれども、審査段階で今後ちょっと考えてもいいのかなというふうに思うのが、補正におけるいわゆる主位的請求、予備的請求の導入。これは多分、特許庁さんはすごく嫌がると思うんです。何でかというと、審査官の仕事がふえるからです。
 要するに、我々、一番最初、発明というのはある程度広く出すわけです。そこから取れるところに落とし込んでいくんですね。その落とし込みの過程において、補正というのは、要するに減縮していくわけです。減縮というのは、一つしか提出できないんです。
 それを、例えばヨーロッパ特許庁とかドイツなんかでもそうなんですけれども、幾つでも、これがだめだったらこれ、これがだめだったらこれというふうに、徐々にこうやって減縮していくという制度があるんですね。
 そういうものは、当然これは特許庁の審査官の負担にはなるんですけれども、要するに、なるべく広い範囲で取るためには、その一つの提案だけでは、ここだったら拒絶されるかもしれないからもうちょっと減縮しようかな、どうしてもそういう方向に出願人の考えが働いてしまう、そういうことをさせないためには、そういう制度というのは僕は非常にいいんじゃないのかなというふうに考えています。
 あとは、補正です。要するに、審査をやっている間に、補正の時期的制限というのが日本は実は非常に厳しいんですね。審判請求の段階から、その後はもうほとんど補正ができない、基本的には補正ができないという方向性となっているので、そういうところを、審査に係属中ないしは審判に係属中の間は、やはり補正の機会というのはずっと認めてもいいのかな。補正というのは、さっき言ったような減縮です。要するに、クレームをいじるということです。
 あとは、補正の内容的制限の緩和です。二つ目の、最後の拒絶理由通知が出た後に、いわゆる我々の業界で限定的減縮というふうに言うんですけれども、要するに、上位概念を基本的に下位概念に変えるしかなくなるんですよ。そういう補正ではなくて、もうちょっと幅を持たせた形の補正というのは認めてもいいんじゃないのか。
 何でそういう限定的減縮をさせるかというと、要するに、例えばこの範囲からこの範囲に変えたときに、もう一回先行技術の調査が必要になってくるんです、特許庁にとっても。だから、手続的な負担がすごくふえるわけです。それをしないためにそういう縛りをかけているんですね。そういうことは果たしていいのかなというところはちょっと疑問があるところです。
 あとは、分割出願の時期的制限の緩和。これは補正と同じような感じで考えてもいいんですけれども、Aという親出願があって、そこから分割ができる制度。要するに、もう一回最初からやり直そうよという制度があるんですね。それを日本では、時期的制限、やはりその審判請求段階から後は認めない。そうすると、補正もできない、分割もできないという状況があって、非常に出願人にとっては厳しい制度かなと。
 あと、もう一つは特実。これは、実用新案という制度を皆さん御存じかと思うんですけれども、特許で実用新案というのがあって、特許はいわゆる大きな発明、実用新案というのは小発明というふうに言われていますけれども、同じ発明を同日に出願して、それで両方で登録を得られるという制度がある国がヨーロッパではあるんですね。
 これはなぜいいかというと、実用新案というのは無審査で登録されるんですよ。要するに、出願から二カ月ぐらいでぽんと登録されて、とりあえず自分のコンペティターにプレッシャーをかけられる。特許出願を、そのようにコンペティターの製品に合わせるような形で後から変えていく。早期の保護と、あとは合わせるような保護、これも特許権者の保護に資する制度だというふうに考えています。
 あとは、投資の回収が図れることで、これは権利行使の段階。残念ながら、裁判所は、ここ二十年、知財高裁ができたりとかいろいろプラスの側面はあったんですけれども、思ったほど改革が進んでいないかなというのが僕の個人的な意見です。
 例えば、よくあるケースなんですけれども、企業さんというのは展示会で自分の製品を一番最初に出すわけです。その展示会で出したときに、そこに、例えば自分の特許の侵害品が他社さんからいきなり展示された。それを早急にとめたい。当たり前ですが、展示会が終わってしまったら、それは全部世の中へ出るわけです。世の中に出る前にとめたいといったときに、仮処分という手法があるんですけれども、その仮処分で、残念ながら、日本は、債務者審尋とかいろいろそういうことをやることによって、下手すると、特許の場合、七カ月、八カ月、九カ月とかかってくる。そうすると、もうそもそもそのダメージというものは回復不能になってしまっているんじゃないか。
 特に、日本みたいに中小企業が多くて大企業が少ない産業構造を持っているところというのは、そういう一つの製品、それを侵害されたものによるダメージというのは、僕は非常に大きいんじゃないのかなと。
 そういうことを考えたときに、債務者審尋をしないでも、本当は、二、三日で仮処分決定を出すようなもの、そのかわり、それが間違った判断であった場合は、ちゃんと、間違った判断であったのだから、その損害賠償義務を負いなさいよ、仮処分決定を出した方、債権者の方がと。そういう制度を持ってくれば、余り問題がないのかなというふうに僕は考えています。
 それ以外にも、敗訴者負担の原則。要するに、負けた方が勝った方の例えば弁護士費用だとか弁理士費用を払ってあげるべきじゃないか。損害賠償額が低い訴訟だと、やはり何だかんだ言いながら、特許侵害訴訟というのは何千万とするわけです、弁護士費用、弁理士費用だけで。それよりも損害賠償額が低かったときに、余りやる意味がなくなるということがよく起こる。それが、やはり日本において、出願件数は非常に多いんだけれども、特許の侵害訴訟の件数が百件とか百五十件にとどまっている一つの原因になってしまっているんじゃないのかなというふうには感じています。
 あと、予見可能性で、審査段階なんですけれども、請求主義などの原理原則の不存在。日本はドイツ法を継受しているんですけれども、これはおもしろいんですが、条文は継受しているんですけれども、原理原則というのはほとんどすっ飛ばしたんですね、当時。それがいまだに続いている状況なんです。
 原理原則というのは何のためにいいかというと、例えば、法律が全くないときに、原理原則にのっとって、今回裁判所や特許庁はどういう方向性に判断をするかというリスク管理ができるんです。そういうものが残念ながら今の法律にはない。
 あとは、進歩性判断です。進歩性というのは、特許が、発明が取得可能かどうかというところの一番の要件になるんですけれども、これは、基本的に客観的な判断というのはなかなか難しいんです。何でかというと、結局は価値判断だから。それを、ある程度、事実に基づく主張、立証というものを認めていってもいいのかなと。例えば、引例の数が物すごく多かったとか、長らく未解決であった課題、八十年間みんなこぞって研究していたのにできなかった、その発明をした、その事実をもって進歩性を認定するという、もうちょっと、価値判断だけじゃなくて、事実に基づく主張、立証というのもいいんじゃないのかというような気もします。
 それと、一番最後に、これは日本の産業界にとって、今、ASEAN諸国や東南アジア、中国を含めて、いろいろな企業が出ていって、そこで特許を取って、かつ、そこでいろいろなRアンドDをやる、開発をやって売るということをやっているわけですが、そのときに、いいパートナー、いい特許事務所、法律事務所がそこの地元で必要なわけですよね。
 そういうときに、何らかの国際的な取り決めをやって、日本の特許事務所が、外国の特許事務所、特に東南アジアにおいてオーナーになれるような制度というのを今後設けていく意味というのは、僕はあるんじゃないのかなと。そのことによって、例えば、国際的な特許事務所、法律事務所が日本においてもできるようになって、それで総合的に産業というものをバックアップしていけるんじゃないのかな、そういうことを今後考えてもいいのかなというふうに思っております。
 ありがとうございました。拍手
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江田康幸#9
○江田委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    —————————————
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江田康幸#10
○江田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。黄川田仁志君。
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黄川田仁志#11
○黄川田(仁)委員 自由民主党の黄川田仁志と申します。
 本日は、四人の先生方におかれましては、御多用中のところ参考人質疑に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 質問の時間が限られておりますので、早速質問したいと思います。
 先ほど参考人のお話を聞いて、労使双方は今回の改正案について、特に三十五条改正について、おおむね賛成の立場であるということで、少し安心をしております。私も、この原始使用者主義を可能にするということについては、企業間の国際競争の激化と情報漏えいの防止の観点からも、時代の流れだというふうに思っております。
 今回の改正で、職務発明規程などで特許を企業に帰属させるということで、企業の知財戦略を後押しすることとなりましたが、そのかわり、指針に沿って従業者の相当な利益を保護するということで、従業者の発明意欲にも十分配慮しようというものでございます。
 これによって、労使双方、開発に対する意欲を出させるウイン・ウインの関係になればというふうに思っておりますが、それでも私はどうしても心配をしてしまうわけでありまして、指針があっても、企業に所属している従業員がしっかり権利を主張できるかどうか。過去の大きな訴訟の例を見てみても、会社に在籍しているときは黙っていて、退職してから訴訟を起こしております。
 そのあたりの見解について、まず、企業の立場から長澤参考人と中村参考人に、そのあたりの感触といいますか、教えていただきたいと思います。
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長澤健一#12
○長澤参考人 長澤です。ただいまの質問にお答えいたします。
 我々、訴訟は三件ですが、それ以外にもかなり苦情とかそういうものを受けます。
 キヤノンの発明取扱規程の中には、出願時に固定額、発明が生まれたときにインセンティブ用の固定額、さらに、登録したらまた固定額、それプラス、一定期間に評価をしまして、六級から特級という評価を、三十人の部長が点数をつけて評価するシステムを持っています。
 それで、いろいろな面から見ると、こういう面から見ると不公平、こういう面から見ると公平ということが非常に起こりやすくなっております。例えば、キヤノンの場合は、一番利益を稼いでいるものはプリンターとカメラになりますが、それ以外の事業にかかわっている発明者は、どうしても収入というかもらいが少なくなる。ただ、発明としては俺の方が全然立派なんだということが出てまいりますので、我々の場合は四つぐらい項目を設けています。
 一つは、経営に対する貢献、これがいわゆる日本の対価制度の基本になっているところだと思うんですが、それ以外に、技術の基本性というもの、どれだけ技術が大きくイノベーションを生み出したかということを別途評価しよう、さらに、それがどれぐらい今後活用できるかという将来性のようなものという四項目ぐらいを、部長以上が点数をつけて評価して、その平均点をとって、それを私なり知財の幹部が見て、それでお金を払っています。一応、上限はありません。
 ただ、そういうふうにいたしましても、いやいや、俺の発明は大発明なんだ、成功していないのは会社が悪いんだという意見が出てまいりますので、それに対しては苦情相談室のようなものがあって、場合によっては私に直接電話がかかってくることもございます。
 その中の一部の方が今訴訟を起こしたりしているわけなんですが、これはちょっと我田引水的になってしまうかもしれませんが、その方々は、現役のときに共同発明者との間で、あなたの寄与はゼロで、私の寄与は十だというふうな話をされていたような方でした。
 逆に、日本人の発明者というのは非常に勤勉で、余りそういう主張もされない方の方が圧倒的に多いんですが、結局、その方々が不利益をこうむっている場面もあります。
 ただ、やはり、大発明だと思って、それがこういう形で使えるんだという話は、会社側で聞く耳をちゃんと持って、話を聞くようにしています。ただ、その話を聞いたときに、わかりました、では、あなたにもうこれだけ払いましょうとやると、今度はほかの従業員の不満がやはり出てまいりまして、そのバランスをとりながら判断するというのが非常に大事なことだというふうに思っています。
 それともう一つ、我々は、発明者だけではなくて、その発明を生み出すために貢献した方々にも、対価とは別に、発明表彰制度を設けまして、お金も払っています。お金を払ったり、それから、社長と握手をして、実は、金メダルをもらってみんなの前で褒めてもらうということをやって、社長賞とかという賞をもらいますと、実際に社長と話ができて、会食ができたりとか、懇親会があったりとかという費用を会社が出すというようなインセンティブも別途やっています。
 発明は発明者が生み出すものなんですが、実は、それを生み出す前には、シミュレーターがソフトウエアで物理的特性を全て解析して、ここが足りないということを指摘するので、発明というのは生まれます。それで、その生まれたものを設計する人がいます。それを今度は発明として権利化をしようとする。これは全て従業員、エンジニアたちです。その人たちにもやはり貢献の度合いがあるわけでして、発明者だけを余りにも優遇すると、今度はそういう方々から苦情が出る。その全てのバランスをとってやれば、できる限り、無用な抗争といいますかが起きないのではないかと思っています。
 今回、法改正があって、その手続の面がガイドラインに記載されると思いますけれども、その手続を恐らくほとんどの大企業は守ると思いますし、我々も恐らく、守る以上に、従業員に気を使ったことをやると思います。ただ、そういう事件が今後も起きないかというと、やはり苦情というものは続くように考えております。
 回答になっていないかもしれませんが、ありがとうございました。
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中村勝重#13
○中村参考人 お答えします。
 私はこう考えております。アイデアというのをどんどん言いやすい環境、果たしてそれは、権利があるからやれるか。
 これは非常に大きな問題で、先ほどじゃありませんけれども、発明が社員でありますと、これはいつ考えたんだ、では、誰かとどこかでやるつもりなのか、もうそこで衝突が始まってしまいます。そういう環境で、なかなか中小の中で発明というのがたくさん、日本経済は九十何%が中小企業といっているんですけれども、そこからどんどんアイデアを生み出す環境をつくってあげることが私は大事かと考えておるんですね。
 私の会社はそうやりましたけれども、いろいろな会社がありますので、今回の法改正で、その立場立場でルールをどうつくるか。ガイドラインですかね、そこを非常に上手につくらないといけないのではないかと私は思います。
 これは一例になるかわかりませんが、私の会社に、定年間近い大手さんが、実は私はこういう特許を持っているんだけれどもという方が結構来ます。結局、自分の特許をやっていても、これはどうせ会社のためになるのなら自分でやるんだ、隠してしまう、そういった方もあり得る話であります。
 大手さんでさえそんな環境ですが、中小の場合はどうだろう。
 経営者と社員はいつも顔を合わせ、身近な立場にいます。だとしたら、どういうルールでやればどうなるのか、経営者と社員でじっくり話をする。
 一番の問題になるのはこういうことであります。例えば、五十人でしたら、発明者は一人いるかいないか、そんな感じです。よく発明するのは大体決まっております。ところが、我々がいたから、我々があれをつくって、どこどこに行ってあれを発見して、あれだけが何でいい思いをするんだと。
 結局、発明のできない社員、また、ひたすら生産で頑張っている社員、そこも報いられなきゃ何にもなりません。そこが一番大事であります。それは、薬関係をつくっている、物をつくる、会社の内容でいろいろ変わってきますので、そこのルールづくりが一番のキーであると私は思っております。
 ですけれども、アイデアは現場の苦しみから出るところで、それを生かすわけですから、それが世界に出ていくわけなので、そこのところをどうするか、そこが一番の問題でありまして、経営者と社員がじっくり話をして、ルールづくりをし、反映させていくのが一番だと私は考えております。
 これはまだスタートした段階なので、一、二年、どうなるか。法改正がいい方向に動くように、経営者も考えなきゃいけませんし、社員の方も、発明しない社員も浮かばれるような、そういうルールづくりが必要だと私は考えております。
 以上です。
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黄川田仁志#14
○黄川田(仁)委員 各企業、いろいろ苦労して、発明を促すためにいろいろ工夫を凝らしているんだなというのはよくわかりました。
 特に、私は中小企業が心配なんです。
 知財は大事だということで先ほどお話をされていましたが、実際、現在、八〇%の中小企業、あと大学が六〇%、職務発明規程を持っていないということで、発明者に特許が帰属するわけで、特許の流出、知識、知財の流出という観点からも、この法改正をしても、心配なところがまだまだ残っているというところでございます。
 そこで、中村参考人に再度お聞きしますが、中小企業における知財管理の苦労というのと、あと、国は何をよりサポートしていかなければ、先ほど、ちゃんとしたガイドラインをつくってほしいということもありますが、またそれに加えて国は何をしていけば知財管理を中小企業がよりよくやっていただけるのか、御意見があればよろしくお願いいたします。
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中村勝重#15
○中村参考人 おっしゃるとおりでありまして、中小企業の経営者が、特許とは何だということをまだまだよく理解しておりません。私の場合は、特許は武器だと言っているんです。そういった集まりに行きまして、よく言われます、社長のところは小さいながらも大手と同じような内容の仕事をやっている、そんなようなことが多いわけでありますけれども。
 特に、会社帰属というふうに、私がちょっと言われますのは、最近、少子高齢化というか、若い社員がいないので、特許を持って実は国に帰らなきゃいけないというようなところが出てきたときに、中小企業は、お金に余裕があれば、それなりの買い取りもできるかもしれませんが、そういうことは、そのときそのときによっては非常に難しい場合もあります。そういったようなところで、技術継承といったようなときにどういうことをとなると、ある程度限界があるかもしれない。
 そんなような意味で、私はいつも、さっきの忘年会に銀行の方も呼ぶというのはそういった意味なんですけれども、銀行は、知財とかそういったものに対して、これは資産としてはどうのこうの、そんなことを私は聞いたことがあるんですけれども、その事業を継承していくためには、まずは特許があるんですか、ないんですかというところも興味を持っていない。そういったレベルなので、今、中小企業の特許を日本全国に浸透させるというのは非常に難しいと思います。ただ親会社から言われたものをつくっていればいい、そういう会社にとっては、特許なんかどうでもいい、そういったところも大変多いと思います。
 ですけれども、技術を継承していくためには、またその後に継ぐためには、続いていかなきゃいけませんが、どうしてもそれが、技術がどんどんばらばらに出ていってしまうと、将来性が非常に問題であります。これは国にとっても大きな問題だと私は思っております。
 ただ、このルールづくり、どのようにつくるかというのは、これは私は大変難しいと思います。いろいろなところがありますので、いろいろな意見を調整しながらやっていくのがいいかなとは思いますけれども、私としましては、先ほどの、特許を発言できない、言えない、そういった人たちが報いられるような制度、これはまたちょっと違った雰囲気かもしれませんけれども、そこがうまくいきませんと、発明する人たち、そういったところが報いられることはどういうことだということになりますので、もう一度経営者が、特許とは何だ、どれほど重要なのか、そういった、成功した一例じゃありませんが、何かわかりやすいような環境で実際に話をする。その話をするのはどこからが一番早いかといったら、私は、中小企業は毎月銀行に行きますので、まず銀行、お金とアイデアがつながるところ、そこがきちんと理解されないと、なかなか難しいような気もします。
 そこにどういうアイデアがあるかどうか、私も一生懸命考えますけれども、皆さんもひとつ考えていただきたいなというのが、ちょっとそんな感じを受けるところであります。
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黄川田仁志#16
○黄川田(仁)委員 ありがとうございました。
 次に、アインゼル参考人にお聞きしたいと思います。
 我が国を知財立国にするためには、海外からの優秀な研究者に日本で働いていただきたいなというふうに思っております。また、優秀な企業が海外進出を果たして、海外の研究者たちも知的財産権について争うことなくやってもらわなければいけないと考えております。
 そこで、日本の特許法及び本改正の流れについて、国際的に見てどう評価するか、教えていただきたいと思います。
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アインゼル・フェリックス=ラインハルト#17
○アインゼル参考人 これは、非常に日本における移民政策ともいろいろかかわってくる問題なので、ここでこういうことを言うのが適当なのかどうかわからないですけれども、基本的には、やはり日本で今後労働力というものを考えたときに、多分二者択一だと思うんですよね。女性なのか、外国からの移民なのか、多分この二者択一しかないんですよ。でも、日本が単一民族だということを考えたときは、恐らく女性の方に行くだろう。だけれども、外国からの労働力というのも必要だと思うんですね。
 そのときに、僕の一つの提案として、僕は今そういう活動を少しやらせていただいているんですけれども、もう既に日本にいる優秀な、例えば僕みたいに日本で生まれて育った外国人というのはいっぱいいるんですよ。その人たちというのは、社会に対して別に何の脅威も構成しているわけではなくて、そういう意味では、そういう人たちをどういうふうに積極的に、恐らく、僕なんかもそうなんですけれども、日本で外国の学校に行って、外国の大学に行って、日本に戻ってくる、だから、生活の本拠はこっちにあるわけですよ。そういう人たちをどれだけ技術者の中でもそれ以外の専門家の中でも登用できるかというのは、今後の課題だと僕は思います。
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黄川田仁志#18
○黄川田(仁)委員 ありがとうございます。
 あと時間も少しなんですけれども、川島参考人にお聞きしていなかったので、お聞きしたいと思います。
 先ほどは使用者側の意見をちょっと聞いてきたんですけれども、本改正において、同じ質問になりますが、やはりまだまだ心配なところがあると思うんですよ。
 四点、先ほどこの法改正についての注文をしていただいたと思うんですけれども、従業者の権利について、それを守っていく上でさらに御提言というかおっしゃりたいことがあったら言っていただきたいと思います。
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川島千裕#19
○川島参考人 どうもありがとうございました。
 先ほどの四点でかなり言い尽くしたところはあるんですが、きょう余り議論にならなかった点で、オープン・クローズ戦略の中で、知的財産、特許化をしオープンにするのか、あるいは営業秘密としてこれを秘匿するのかという二つの中で、本日の議論は、特許化した場合にどのように扱うのかという議論が中心でありました。
 当然、特許化しない場合に、営業秘密の管理を行っていくということとあわせて、その発明をした担い手に対しての処遇も適切に行われなくてはならないというように思っております。今回の特許法の改正をめぐる議論、その中での従業者のインセンティブの確保、そうしたものが幅広く企業において運用されていくことが重要だと思っておりますので、今国会で不正競争防止法の改正も議論されておりますが、そうした議論とあわせて、国会審議の中で御検討いただけたらと思っております。
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黄川田仁志#20
○黄川田(仁)委員 どうもありがとうございました。
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江田康幸#21
○江田委員長 次に、國重徹君。
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國重徹#22
○國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。
 きょうは、御多用な中、四名の参考人の皆様に当委員会までお出ましいただきまして貴重な御意見を賜りましたこと、心より感謝と御礼を申し上げます。
 早速質問に入らせていただきます。
 今回の改正法案は、特許を受ける権利自体の帰属を変えるといった意味で、特許法の基本構造を大きく変える改正法案だと思っております。
 先ほど来るる御意見がございましたけれども、現行法は、特許を受ける権利は発明者に帰属させた上で、それを使用者等に譲渡した場合にはその対価を請求できる権利を有するということになっておりますけれども、先ほど長澤参考人の方から、今の現行法の課題として、今の現行法であれば、相当の対価ということの算定が難しいとかいったことで、非常に無用な抗争がさまざま起きているというようなお話がございました。
 先ほどは、時間が限られておりましたので、表面的なことしか触れられなかったかもしれませんけれども、今の現行法上の課題、特に、相当の対価の算出等に当たって御苦労されている点、また不合理と感じる点について、先ほどお話しされた内容に加えてお話しされることがもしあれば教えていただきたいと思います。
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長澤健一#23
○長澤参考人 御質問ありがとうございました。
 確かに、先ほどちょっと時間がなくて、余り話ができなかった面がありますけれども、これは、もともと旧法でもそれほど大きな問題にはなっていなかったことだと思うんですね。ところが、あるときに、やはり非常に大きな裁判があって、非常に多額の発明対価が認められた事件から、会社の中で、ああいうことができるんだ、ああいうふうにすれば何百億もしくは何億なんというお金が入るんだという、ざわざわという動きが始まりました。
 それで、その後、幾つか事件がございまして、例えば、弊社も、最初に訴訟を受けた件の請求額は四百五十二億円という額でした。結果としては、一億円行かない額で終わっているわけなんですが、それに使った弁護士費用が三億、四億かかってしまいます。
 その中で一番困っているのは、発明自体は本当は、もうこれは公知だなというふうに私は解釈していて、例えば、その特許をどう使うかというと、私自身が外国に行って、ある会社と交渉して、あなたはこれを侵害していますよねと。当然、彼らの反論は、その特許は無効ですよ、もしくは、侵害していません。非侵害性というのと無効性というのが必ず交渉の中では争われます。もちろん、ポートフォリオの数というものも交渉の中では大きく意味を持ちますけれども、口論になったときにどちらがそこで言い勝てるかというのが非常に大きなファクターになっていまして、言い勝てる特許、リーズナブルに私の方がアメリカの某社に対して言い勝てるなと思ったものにはたくさんお金を差し上げたいと思いますし、それなりの評価がつきます。
 ただ、発明者自身は広い特許が取れたというふうに理解しているものでも、実際は、先行技術と照らしてみると、これはほとんど使えないなと思うものでも、権利自体は広く読めますから、発明者としては高い請求額を要求してくるということはしばしばございます。そこを理解してもらうというのが、またこれが非常に難しい話でして、知財の専門家から見て、これは裁判に行ったら負けるであろう、これは裁判に行ったら五分五分であろう。
 難しいのは、知財というのは真っ白、真っ黒というのがほとんどございませんで、特に特許は、一〇〇%勝てる特許、一〇〇%負ける特許というのはあり得ないんですね。無効理由というのは何だかんだつけられますし、これは使っていないと言いわけも何だかんだできるわけです。
 ただ、それは裁判に行ったときの話でして、権利行使の九〇%以上は、外国であっても交渉になります。交渉になったときに、どちらがリーズナブルな話をしているかというのが非常に重要になってまいります。そこの駆け引きとかノウハウというのは、実際に交渉をやってみないとわからないところもあって、新規性のグレード、有効性のグレード、それから信頼性のグレードというものを発明者に説明して、これを理解していただくというのが非常に苦労しているところの一つでございます。
 やはり、過去の引例で、これだけもらった人がいるということをリファレンスにされることも非常に多うございます。私は、知財の責任者として、あなたの発明の評価はこれで、これだけのお金を払いますよと。いや、お金は全部裁判所が決めることなんですという反論も受けます。あなたが決めることではございませんということもございます。それは、新法、十六年法になってかなり緩和されたはずなんですが、実際は、新法の発明についても同じように、相当の対価というのは裁判所で争いたいと思っていますということで会社をやめていかれる方、定年を迎えられる方というのがいまだに後を絶っていないというのが悩みの種でございます。
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國重徹#24
○國重委員 ありがとうございました。
 その前提の上で、今まで、「相当の対価」ということに法文上なっていることで、さまざまな御苦労をされてきた。まだ言い足りない点、るるあると思います。私も、事前に資料を読ませていただいて、現場の御苦労というのは大変なものだなということも感じましたけれども、今回、改正法で「相当の利益」と文言が変わることによってそれが払拭されると考えられているのかどうか、これについてお伺いします。
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長澤健一#25
○長澤参考人 「相当の対価」と「相当の利益」という言葉は、言葉だけではほとんど変わらないというふうに思っています。
 今回一番変わってほしいところは、今まで、条文の中で合理的なという言葉が使われていまして、その合理的なの中に、手続規定だけではなくて、幾ら払うかというのも合理的かどうかというのが含まれるように読めている法律だったというふうに理解しております。
 それに対して、今回の法改正は、手続規定を含んだ規程がメーンで合理的かどうかというものが判断されるということであれば、発明報奨規程をちゃんとつくって、発明表彰をして、話し合いの手続が合理的で、必ず従業員の意見を酌み上げているということさえしっかりしていれば、訴訟は起きにくくなった。完全になくなるとは思いませんが、起きにくくなったであろうということは想像できます。
 それからもう一つは、今まで、裁判で争ったときに、やはり金銭で幾ら出しているかということを勘定に入れていただいていましたが、例えば、発明表彰式をやりました、皆さんの前で表彰しました、実験器具を新しくその人のために買いました、それからメダルを上げました、そういうことは全然裁判所ではカウントしてもらえなかったのが事実でして、「相当の利益」にすることによって、そういうこともカウントしてもらえるのではないかという期待はございます。
 我々の中でも、さっき言った、発明者以外の方にも報いたいので、表彰式で、例えば百人を同時に表彰して、あなた方はいい活動をやった、それで二百万円差し上げるからというような賞もあるんです。そうすると、彼らは結局飲みに行くだけということになるわけなんですが、そこで祝勝会みたいなものをやるわけなんですね。
 そういった金銭でないインセンティブ、それから祝勝会の場をつくってあげるとか、そういうインセンティブを苦労してやっていますので、それが、対価という言葉は何となく現金というイメージが強かったものが、「相当の利益」という表現にしていただいたことで、そこの部分はカウントしていただけるのではないかというふうには期待しております。
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國重徹#26
○國重委員 改正法では、「相当の金銭その他の経済上の利益」ということになっておりますけれども、今の御意見を聞いて、川島参考人も思われるところがあるかもしれません。
 従業員側、発明者側として、今回の改正によって、かえって発明者の権利、また対価請求権、もとあったものが切り下げられるようなことがあってはならないというふうに従業員側の代表として思われるかと思うんですけれども、今の長澤参考人の御意見を聞かれて、どう思われるのか。今回の「相当の対価」というものから「相当の金銭その他の経済上の利益」というのは、実質的に同等なんだということが前提としてあるかと思いますけれども、御意見があればよろしくお願いします。
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川島千裕#27
○川島参考人 お答えします。
 まず、二つのことを申し上げます。
 一つは、改正法の条文の中身が、言葉遣いは違っていたとしても、構造としては現行法と改正法には変わりがない、ほぼ同じ内容だというふうに思っております。したがいまして、インセンティブが切り下げられるのかどうなのかという点については、ニュートラルなのではないのかと思っております。
 ただ、法律をどう運用するのかというのは、それぞれの企業においてさまざま幅が出てくることだと思いますので、そういった意味で、本日冒頭に申し上げました、今回の改正が実際どのような影響を及ぼすのか、これについては、事後の調査、検証が必要だというように思っております。
 それともう一点、先ほどの長澤さんのお話を伺いまして、対価であったものが、金銭以外のものも含むということによって、争いがふえるのかふえないのかという点についてであります。
 私は、現行法も改正法も、相当の利益であれ対価であれ、その内容が合理的であるかどうなのかというのは、ひとえに、社内規程を策定したプロセス、すなわち、従業者と使用者との間できっちり協議を行って、双方納得できるようなものになっているのか、また、決めたものが職場において広く開示されているのかどうなのかというところにあると思っています。
 したがいまして、金銭であるなしにかかわらず、例えば一〇〇%金銭であったとしても、あるいは、今回の見直しによって、それを五〇%、五〇%、金銭とそれ以外にしたとしても、そう決めたことが納得的なものであれば、私は、紛争は起きないのではないのか、あるいは減少するのではないのかというように思っております。
 そうした意味で、本改正の意味としては、むしろ、ガイドラインを策定することを法で定めました。特に中小企業において規程の整備が進んでいないということもありますので、こうしたガイドラインが定められて、それぞれの企業において職務発明に関する規程の整備がされていく、そのことによって、従業員、使用者とも納得できるようなルールができる、このことが訴訟リスクを低下させることにつながると思いますし、そのことが明らかになれば、訴訟をされる側も、これは勝てないな、では、やめておこうかということにつながるのではないかと思っております。
 以上です。
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國重徹#28
○國重委員 ありがとうございました。
 では、アインゼル参考人にお伺いいたします。
 今、現場の声として、現行法の「相当の対価」、また改正法の「相当の金銭その他の経済上の利益」等についての話がございました。
 ドイツとかフランス等では、こういった争いに関しては、使用者、発明者の紛争に関する特別な仲裁機関があるというふうに、私もいろいろ資料を読んで知りましたけれども、アインゼル参考人が、もしそのあたりのところを御存じで、日本にもぜひこういったものを導入すべきだというような御意見等を持たれていましたら、お話を聞かせていただければと思います。
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アインゼル・フェリックス=ラインハルト#29
○アインゼル参考人 ドイツの法律のことをちょっと申し上げますと、あの法律というのは、実はドイツでは物すごく悪名高い法律なんです。それはなぜかというと、まず、できた時期が問題なんです。あれは、実はナチス・ドイツがつくった法律をそのまま継承しているという経緯があるんですね。
 高度の予見可能性が保たれているという意味では非常にいいんです。なぜかというと、まず、従業者発明法という一つの法体系があって、それに基づくガイドラインというのがある。詳細に規定されているわけですよ。だから、問題の起きるケースというのは思ったよりも少ない。これは、今回、日本でもやろうとしていることなんですよね。要するに、ガイドラインをつくろうと。
 ただ、僕がちょっと今見ていてあれっというふうに思ったのは、手続的なガイドライン、手続上のガイドラインというのはつくるんだ、だけれども、実体上のガイドラインについては、これは実体がやはり一番問題なんですよ、実体上のガイドラインも入るというようなニュアンスのことは書いてあるんだけれども、でも、実際そういうふうになるのかどうか。
 具体的に言うと、例えば、発明の価値というのは何なんだ、従業者の貢献度が何%だったのか、そういうものについてのガイドラインというものを本来だったら、そこにあれば、紛争というのは事前に相当少なくできるんじゃないのかなというふうには考えています。
 ドイツがやろうとしていたこと、今はガイドラインでやっているんですけれども、先ほど調停機関のことをおっしゃいましたけれども、あれは特許庁の中にある機関でして、年間七十件ぐらいの調停の申し立てがございます。そのうち大体七割が、そこでガイドラインに基づいて合意をしている。そこであぶれてしまった三〇%が訴訟になるわけですよね。
 ガイドラインなので、これは当然、調停機関も裁判所も法的には拘束されないわけですよ。だけれども、一般論として言われているのは、事実上の拘束力はあると。だから、そういう意味では、それに基づいて判断しているということは言えるかなというふうには思います。
 ドイツが導入をしようとして実は頓挫した制度というのがありまして、それがまさにインセンティブ制度なんですね。
 日本のいろいろなところの企業さんの職務発明についての決め事、勤務規則とかを見てみると、大体、出願時、登録時に幾ら幾ら払う、決まった金額で、上限があるんです。
 特許権の存続期間は、今ちょっと日本は平均どのぐらいなのかわからないんですけれども、毎年年金を払っていくわけですよ。最大、出願日から二十年あるんですよね。
 ドイツでは、今、大体八年ちょっとぐらいが平均的な存続期間。だから、八年ちょっとのところで、さっき言った出願時と登録時、あと平均的な存続期間満了時に一番最後の支払いを、要するに、三回やることによって、手続的負担というものを極力限定することができるんじゃないのか。それを要するに法律化することができれば、ガイドラインは実はもう必要ないんですよ、法律の中に規定してしまったら。だから、これはイーザー・オアの選択なんですね。
 ドイツは、実はこれを法律化することに失敗したんです。その失敗した理由というのは、労働者側が、一番最初の議論の出発点を、相当の対価というのは最低このぐらいだと引き上げてしまって、企業側が、日本でいう経団連に相当する機関なんですけれども、そこが、これではもう話にならぬということで、そこで打ち切りにしてしまって、結局ガイドラインに今落ちついたということです。
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