中村勝重の発言 (経済産業委員会)

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○中村参考人 三鷹光器株式会社代表取締役、中村勝重です。よろしくお願いいたします。
 当会社はもともとアイデア会社なので、自分のやってきたことをものづくり中小企業の立場でお話ししたいと思います。
 当会社は東京は三鷹市にありまして、おやじが、麻布から三鷹に天文台を移した、今の国立天文台でありますが、そこに関与していましたので、兄と私はその隣で工場を建てた。そして、四十九年目を迎えております。来年、五十年になります。
 アイデアでものづくり五十年というのはなかなか大変です。ネットで調べたら、〇・七%しかない。そういうところでどうやって生き抜いてきたか、それをお話しするのがちょうどわかりやすいんじゃないか、そう思いますので、お話ししたいと思います。
 東京・三鷹はだんだん発展してきまして、天文学者は空が明るくなってどうにもならない。結局、ロケットで、衛星で空に飛びはねるしかありません。私はそういったところにいろいろなアイデアを駆使して出したんですけれども、特許は出しておりません。そういった衛星なんというのは特別な機関ですから、あのようにして解決してあげた、そんなことを幾ら書いても、ただそれだけのことよということであります。特許も出していいものとそうでないものがあります。
 そんなわけで、ただ、ロケットの中でいろいろやりました。皆さんの中では、南極のオゾンホールを御存じだと思うんですが、実はあれを発見した装置は当社がつくったんです。また、宇宙にブラックホールという何でも吸い込んでしまう場所がある、そこを発見した、はくちょう座X1から強烈なエックス線が来たというエックス線望遠鏡は実は当社がつくったんです。そういったようなものを特許を出して世界に知らしめるなんということは、日本の博士たちに失礼だ。ですから、そういったことは秘密にしておきます。
 衛星ですと十六プロジェクトに私は参加しました。そこで、動くようなもの、失敗がすぐわかるようなものは大手は手を出しません。そういった嫌なところを私はずっとやってきました。また、衛星、十六のプロジェクト、車でいえばカーナビ、今どこにいるんだろう、星座で見なきゃいけません。ところが、太陽という強烈な光があります。めくらで見えなくなる。だけれども、どうしてあのエックス線天文学を日本はどんどんやるんだろうと。NASAの方々は三鷹光器の装置をスペースシャトル・コロンビアに搭載することを、日本には大手メーカーがいろいろありますけれども、NASAは、三鷹の案を五分で聞いて、これはすごいということで一発で決めました。そういうことであります。
 ところが、これだけいろいろなことをやっていても、なかなか評価されません。何でアイデアが評価されないんだということで、今から三十年前、兄から、今度医療機器に参入したい、この技術をそちらに使いたいと。大体、医療機器といいますと、こういったピラミッドの頂点のところ、ここのところで手術顕微鏡は、ピーポーピーポーで生きるか死ぬかの世界であります。これぞ日本の技術が発揮できる場所だ、こういうことであります。
 中小企業が大手、また外国に勝つためにはどうしたらいいかということになります。ただ、三鷹光器なんという会社は、世界は何も知りません。ドイツのライカという会社はカメラで有名な会社であります。私は、そこと手を組もう、そう考えたわけであります。一年間、日本の市場でいろいろやりました。特許は現場にあり、設計図は現場にあり、現場の苦しみから出てきたアイデアを特許化したいわけであります。絶対いける、兄貴、これをやりたい、こういうことがあります。
 そんなようなことで、世界展開に行ったんですが、私は、特許を使って有利な契約をする、そういうことであります。一年間数百台注文してください、そして私の銀行に直接振り込んでください。
 ただ、私の弱点は何か。世界に知られていない。ライカ・ブランドはどこも知られておりますので、売った後のアフター、そういったところもできない、そこのところをカバーしてくれないか、そのかわり、私のこの特許をOEMで供給するから、我々の製造のところは紳士的にやってほしいと。ドイツは特許のそういったところは非常にしっかりした国であります。そこでいろいろやりました。
 そういったところでどんどん、その当時ライカはわずか一%しかない市場が、今現在では五〇%行っております。これは、もし特許がなかったら、そんな交渉はできなかった、私はそう思います。
 ところが、そういういいことばかりじゃありません。それを潰そうという競合が出てまいります。もっと大きな、ライカは数万人です、今度は数十万人の大きな会社は、三鷹の特許を潰せば大丈夫だ、こういうことになります。つまり、無効にしてしまう異議申し立てをして、各国からいろいろな声が審理するときに出てまいりました。ちょうど参考人で呼んでおります小野村とそういったところに出向きまして、現場に行きまして、特にミュンヘンで、ドイツで裁判を起こされているわけですけれども、たった五人ぐらいで行きまして、そして、孫子の兵法じゃないが、百戦百勝、ずっと勝ってまいりました。
 もうそれで、特許で負けたら今の私の会社はなかったと思います。それほど知財というのは大事なんです。経営者がまずこの特許というものをいかに理解するか。中小企業の社長はほとんど、まあ特許なんてと、大体そんな雰囲気がありますけれども、私はその環境を、もっと別の方向に行きたい。
 そういった意味で、食堂に、職務発明規程、そういうものをつくりまして、そして、アルバイトでもパートでも誰でもいい、案が出たら私に言いなさい、私がいなかったら小野村が特許、知財を担当しているからそっちへ言いなさい、そんなことでモチベーションを上げているわけですが、とにかく、案を出したら、文書を書かなくてもいい、ポンチ絵でいい、そういうことであります。
 これでちょっと一例をお話ししたいと思います。
 パートで入った女性がいました。ボール盤という、穴をあけるんですけれども、ばんと私に物が飛んできた。そして、しばらくしたら、ポンチ絵で、社長、あのカバーが、一部が透明で中が見えたら私はあんなことをしなかったかもしれないと。我々男は、そういうのをやっていて、そんな不便を全然感じていなかった。パートで働く場は日本全国にいっぱいあります。こういったことがいろいろあるんだな、ああ、女性だから出たアイデア、これはおもしろい、小野村、これをすぐ文書とセットにして出しなさい、そういうことがあります。
 ところが、発明して一万円、それが通って二万円、実績を上げたらそれに対する報酬、そういうふうに考えてはいるんですけれども、部屋の中でこっそり渡しても何ら意味はありません。私は、一年間の間に忘年会をやります。そのときに呼びます。今は三十人から百人近くあるんですが、大抵三百人ぐらい呼びます。これはアルバイトやパートであっても、トイレの掃除屋さんも全部呼びまして、もちろん社員は全員呼ぶんですが、あと協力会社、ものづくり、結構いろいろなアイデアを出す社長もいますので、そういった人も呼んで、それから、大事な私の取引銀行、支店長も全部呼びます。
 何が言いたいか。特許というのは何が有利で、それをやると世の中にどれほど貢献するか、そこが言いたいわけでありますから、それに興味がないという銀行の支店長は、その銀行は取引中止、私はそのくらいの勢いでやっております。また、この忘年会に出席していなかったら、もうこれはしようがありません、だったらもう即ほかの会社に行きなさいという勢いでやっております。
 そのときに、知財部長にちょっと出して、呼んで、私から、何子さん、来てください、あなたはことし、こんなこと、こんなことを考えたよね、そして、発明報奨金として渡すわけであります。みんなの前で渡すんです。そうすると、あれっと、そういうふうにわかります。そうやってモチベーションを持ち上げる。
 中小企業は経営者と社員が密接な関係にあります。そこが大事であります。特に今回、会社帰属、特許は会社が権利を持つんだ、私はそのようにやってきた。それはどうしてかといいますと、これは私の会社だからということはあるかもしれませんけれども、現場の声として言いたい。社長、実はこういった特許を持っているんだけれども、それがもし社員の権利だとしたら、おまえ、これは仕事中考えたのか、そういうことになります。だから、非常に言いにくい話です。
 また、特許を持っていても、そこで社長とバッティングしたらもうやめるしかない。社長の方も、せっかく考えてくれたというのがあっても。ところが、今度、会社が権利を持っているとなると、社員も言いやすい、そういうことであります。
 ただ、そのルールというかガイドライン、それが問題です。
 社長、こんなことを考えた、きょう営業で行ったんだけれどもこんなことを言われた、それを改善するとこれだけよくなるんだけれども、よし、それでいこう。そういうことがあります。顕微鏡とスタンドを開発するのに、顕微鏡一億五千、スタンド一億五千、三億円も投資するのに、その権利が社員にあったとしたら、私は誰とサインするんだ、契約するんだ、そういうことになります。
 そういったようなところで、社員のモチベーションを上げながら、その気持ちも共有できるような、そういう環境が必要だと私は思います。
 また、不正競争防止法。
 昨今、先ほどの手術顕微鏡ですけれども、大きな装置は左か右に置くんですが、これは邪魔なので、私は、背後から、上から来るような方式の特許を出したわけであります。そうしたら、特許は取ったはいいんですけれども、ある限界があります。それの似通った、あの雰囲気でつくれば売れるんだなと、OH3は、それをまねたもの、模造品が出てまいります。これを停止させるには、不正競争防止法しかありません。そういうわけであります。
 最後でありますけれども、中小企業が大企業または他の国に勝つためには、特許と不正競争防止法、これが、中小企業が大手、他国に勝つ唯一の武器であります。
 これから日本が海外に進出していくのに、価値観でいくしかありません。私がこのピラミッドの頂点を狙ったのは、中小企業は数はたくさんつくれません。下を狙うと、すぐ大手さんは安く大量につくってしまいますから、そういったようなところと競う時代はもう終わったんじゃないだろうか。
 日本の技術を世界に展開というのは、どうしてもこの二つの法律は大事であります。ぜひ皆さん、その辺のところを考えていただきたいと思います。
 以上であります。(拍手)

発言情報

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発言者: 中村勝重

speaker_id: 12824

日付: 2015-05-29

院: 衆議院

会議名: 経済産業委員会