長澤健一の発言 (経済産業委員会)
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○長澤参考人 御質問ありがとうございました。
確かに、先ほどちょっと時間がなくて、余り話ができなかった面がありますけれども、これは、もともと旧法でもそれほど大きな問題にはなっていなかったことだと思うんですね。ところが、あるときに、やはり非常に大きな裁判があって、非常に多額の発明対価が認められた事件から、会社の中で、ああいうことができるんだ、ああいうふうにすれば何百億もしくは何億なんというお金が入るんだという、ざわざわという動きが始まりました。
それで、その後、幾つか事件がございまして、例えば、弊社も、最初に訴訟を受けた件の請求額は四百五十二億円という額でした。結果としては、一億円行かない額で終わっているわけなんですが、それに使った弁護士費用が三億、四億かかってしまいます。
その中で一番困っているのは、発明自体は本当は、もうこれは公知だなというふうに私は解釈していて、例えば、その特許をどう使うかというと、私自身が外国に行って、ある会社と交渉して、あなたはこれを侵害していますよねと。当然、彼らの反論は、その特許は無効ですよ、もしくは、侵害していません。非侵害性というのと無効性というのが必ず交渉の中では争われます。もちろん、ポートフォリオの数というものも交渉の中では大きく意味を持ちますけれども、口論になったときにどちらがそこで言い勝てるかというのが非常に大きなファクターになっていまして、言い勝てる特許、リーズナブルに私の方がアメリカの某社に対して言い勝てるなと思ったものにはたくさんお金を差し上げたいと思いますし、それなりの評価がつきます。
ただ、発明者自身は広い特許が取れたというふうに理解しているものでも、実際は、先行技術と照らしてみると、これはほとんど使えないなと思うものでも、権利自体は広く読めますから、発明者としては高い請求額を要求してくるということはしばしばございます。そこを理解してもらうというのが、またこれが非常に難しい話でして、知財の専門家から見て、これは裁判に行ったら負けるであろう、これは裁判に行ったら五分五分であろう。
難しいのは、知財というのは真っ白、真っ黒というのがほとんどございませんで、特に特許は、一〇〇%勝てる特許、一〇〇%負ける特許というのはあり得ないんですね。無効理由というのは何だかんだつけられますし、これは使っていないと言いわけも何だかんだできるわけです。
ただ、それは裁判に行ったときの話でして、権利行使の九〇%以上は、外国であっても交渉になります。交渉になったときに、どちらがリーズナブルな話をしているかというのが非常に重要になってまいります。そこの駆け引きとかノウハウというのは、実際に交渉をやってみないとわからないところもあって、新規性のグレード、有効性のグレード、それから信頼性のグレードというものを発明者に説明して、これを理解していただくというのが非常に苦労しているところの一つでございます。
やはり、過去の引例で、これだけもらった人がいるということをリファレンスにされることも非常に多うございます。私は、知財の責任者として、あなたの発明の評価はこれで、これだけのお金を払いますよと。いや、お金は全部裁判所が決めることなんですという反論も受けます。あなたが決めることではございませんということもございます。それは、新法、十六年法になってかなり緩和されたはずなんですが、実際は、新法の発明についても同じように、相当の対価というのは裁判所で争いたいと思っていますということで会社をやめていかれる方、定年を迎えられる方というのがいまだに後を絶っていないというのが悩みの種でございます。