アインゼル・フェリックス=ラインハルトの発言 (経済産業委員会)
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○アインゼル参考人 ドイツの法律のことをちょっと申し上げますと、あの法律というのは、実はドイツでは物すごく悪名高い法律なんです。それはなぜかというと、まず、できた時期が問題なんです。あれは、実はナチス・ドイツがつくった法律をそのまま継承しているという経緯があるんですね。
高度の予見可能性が保たれているという意味では非常にいいんです。なぜかというと、まず、従業者発明法という一つの法体系があって、それに基づくガイドラインというのがある。詳細に規定されているわけですよ。だから、問題の起きるケースというのは思ったよりも少ない。これは、今回、日本でもやろうとしていることなんですよね。要するに、ガイドラインをつくろうと。
ただ、僕がちょっと今見ていてあれっというふうに思ったのは、手続的なガイドライン、手続上のガイドラインというのはつくるんだ、だけれども、実体上のガイドラインについては、これは実体がやはり一番問題なんですよ、実体上のガイドラインも入るというようなニュアンスのことは書いてあるんだけれども、でも、実際そういうふうになるのかどうか。
具体的に言うと、例えば、発明の価値というのは何なんだ、従業者の貢献度が何%だったのか、そういうものについてのガイドラインというものを本来だったら、そこにあれば、紛争というのは事前に相当少なくできるんじゃないのかなというふうには考えています。
ドイツがやろうとしていたこと、今はガイドラインでやっているんですけれども、先ほど調停機関のことをおっしゃいましたけれども、あれは特許庁の中にある機関でして、年間七十件ぐらいの調停の申し立てがございます。そのうち大体七割が、そこでガイドラインに基づいて合意をしている。そこであぶれてしまった三〇%が訴訟になるわけですよね。
ガイドラインなので、これは当然、調停機関も裁判所も法的には拘束されないわけですよ。だけれども、一般論として言われているのは、事実上の拘束力はあると。だから、そういう意味では、それに基づいて判断しているということは言えるかなというふうには思います。
ドイツが導入をしようとして実は頓挫した制度というのがありまして、それがまさにインセンティブ制度なんですね。
日本のいろいろなところの企業さんの職務発明についての決め事、勤務規則とかを見てみると、大体、出願時、登録時に幾ら幾ら払う、決まった金額で、上限があるんです。
特許権の存続期間は、今ちょっと日本は平均どのぐらいなのかわからないんですけれども、毎年年金を払っていくわけですよ。最大、出願日から二十年あるんですよね。
ドイツでは、今、大体八年ちょっとぐらいが平均的な存続期間。だから、八年ちょっとのところで、さっき言った出願時と登録時、あと平均的な存続期間満了時に一番最後の支払いを、要するに、三回やることによって、手続的負担というものを極力限定することができるんじゃないのか。それを要するに法律化することができれば、ガイドラインは実はもう必要ないんですよ、法律の中に規定してしまったら。だから、これはイーザー・オアの選択なんですね。
ドイツは、実はこれを法律化することに失敗したんです。その失敗した理由というのは、労働者側が、一番最初の議論の出発点を、相当の対価というのは最低このぐらいだと引き上げてしまって、企業側が、日本でいう経団連に相当する機関なんですけれども、そこが、これではもう話にならぬということで、そこで打ち切りにしてしまって、結局ガイドラインに今落ちついたということです。