松原宏の発言 (地方創生に関する特別委員会)

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○松原参考人 東京大学の駒場キャンパスにおります、人文地理学教室で教員をしております松原宏と申します。
 このたびは、地方創生に関する特別委員会にお呼びいただき、感謝申し上げます。
 お手元に配付いたしました資料に従いまして説明をさせていただきます。
 私の専門は、経済地理学といいまして、産業立地と地域経済に関する理論、実態、政策を研究しております。
 お手元の図の一では、三角形の中を三つの産業部門、とりわけ、左上にあります、域外から所得を得てくる域外市場部門、これが地域経済の非常に重要な産業部門になるわけですけれども、そういうものを中心にしまして、三つの産業部門、これが循環することで地域経済が成り立っていることを示しております。
 しかしながら、黒い矢印で示しましたように、グローバル競争の激化や少子高齢化、人口減少などにより、地域経済を縮小させる外側からの力が働いてきております。これをはね返す政策の方向性を白い矢印で示しております。
 次の図の二ですけれども、地域経済に関してはさまざまなアプローチがありますが、私どものアプローチは、地域構造論といいまして、二つの点を特徴としております。
 一つは、日本経済全体というマクロ的な視点から地域と地域との関係を捉え、そこから東京一極集中のような問題を摘出し、政策的課題を考えていくという接近方法をとっております。
 お手元の図の二の上の太い四角では、少し網がかかっておりますけれども、太平洋ベルトのような産業地帯、関東や東北、九州などの円で示しております経済圏、そして、東京から名古屋、大阪にかけての太い軸を示しておりますけれども、そういう太い軸や、東京と、右上、札幌を意図しておりますけれども、東京と札幌や、あるいは左上の方にあります福岡などとの線で示される都市間の関係、これを都市システムと呼んでおりますけれども、こうした、産業地帯、経済圏、都市システムの三つの切り口から、国民経済における地域的分業の仕組みを考えてまいりました。
 もう一つの特徴は、図の二の下に示しましたように、日常生活圏、広域経済圏、国民経済といった大きさの異なる圏域によって重層的に構成されるものとして地域経済を捉えるという点にあります。
 以上の二つの視点、マクロ的な視点と重層的な視点は、地方創生を考えていく上で不可欠なのではないかと思います。
 そこで、本日は、図一のような三角形を単体で見るのではなく、三角形を、地域経済を三角形と言っておりますけれども、そういうものをどう組み合わせるのか、日本全体から見た地域と地域との関係、とりわけ東京と地方との関係はどうあるべきか、こうした点に焦点を置きたいと思います。
 この間の地方創生の議論、そして、今回の法改正の議論の中心には東京一極集中問題がありますが、東京集中の程度はどのように変化し、何が問題の核心なのか、この点についてまず確認しておくことが重要だと考えます。
 いろいろな指標で東京、大阪、名古屋の三大都市圏と地方圏の対全国比を比べてみました。
 お手元の図の三では、トレンドの異なる四つを示しております。それぞれの図の下のところに太い矢印で示しております。
 図三の一の左側は人口を示しておりますけれども、東京一極集中が長期にわたり進んでおります。ただし、こうした図が多いかというと、そうではありません。
 図の三の一の右側をごらんいただきますと、製造業の出荷額を示しておりますけれども、東京圏は黒く塗り潰しているものでありますけれども、そのシェアは徐々に下がってきております。むしろ、三大都市圏でいいますと、名古屋圏の方が上回っております。それとともに、白抜きで示しておりますけれども、地方圏での工業化が着実に進展していることが特徴的に見られるかと思います。
 図の三の二をごらんいただきますと、左側では、情報サービス業と広告業の従業者数を見ておりますけれども、ちょっと細かくて申しわけありませんが、一九八六年から九六年にかけて、黒く塗り潰しました東京圏のシェアが一度低下いたします。これで東京一極集中は弱まったかと思っておりましたら、二〇〇〇年代に入りまして、東京の再集中と言っていいかと思いますけれども、最近では、東京のシェアが再び上がってきております。これと同様のトレンドは、ここには示しておりませんけれども、卸売業の販売額等でも見られます。
 右側の図の三の二、これは学術、開発研究機関の従業者数を示しておりますけれども、地方圏でのシェアが上昇してきております。似たようなトレンドは全国銀行貸出残高や外国法人数でも見られます。
 ところで、今回の改正の焦点の一つは東京への本社集中ですけれども、なかなか本社の集中というのは見つけるのが難しいんですが、図の四では、オフィス人口という形でここで示しております。
 図の四で見ますと、東京一極集中といったような傾向はあるわけですけれども、その集中自体は最近は下がってきていることが見てとれるかと思います。三大都市圏と、それから地方の札幌等を挙げておりますけれども、桁が違っておりまして、ここにも大きな差が見てとれます。
 次に、産業の構造がどう変わってきているかということですが、時間が余りないので急ぎますけれども、言いたいことをはしょって言いますが、今、本社の話だったんですけれども、東京の内部の産業構造も変わってきております。
 一言で言いますと、サービス業が、特定の区、図の六に示しましたような港区、渋谷区、こういったようなところで、とりわけ情報サービス業であるとか図の七に示しました広告産業、若い人に非常に人気のあるそういうような雇用の場というのが東京でむしろふえている。ここにもメスを入れていく。こういったようなクリエーティブ産業の地方での創生といったようなものを非常に重視していく必要があるかと思います。
 図の八、文化産業が非常に東京に集中しているのがわかるかと思います。
 最後になりますけれども、図の九、図の十に示しましたように、今まではサービス業であるとか本社の話をいたしましたけれども、工業に関してもいろいろ変わってきております。
 地域イノベーションが非常に重要でありますし、図の十に示しておりますけれども、日本の企業の立地変化を見ていきますと、第一期から第四期、時計回りに見ていただきますと、今、第四期の中の二番目の同心円でいいますと、国内の地方が工場閉鎖であるとか非常に苦しんでいる部分はあるんですけれども、太い線で囲みましたように、本改正案の狙いになるかと思いますけれども、地方の工場のマザー工場化、本社の移転、そして地域イノベーション、こういったようなものをいかに生かしていくかということが重要だと思っています。とりわけ、地方の工場に開発機能を持たせていく、こういうことが地方創生にとっても非常に重要だと思っております。
 私の主張は以上であります。
 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 松原宏

speaker_id: 13582

日付: 2015-05-29

院: 衆議院

会議名: 地方創生に関する特別委員会