武藤貴也の発言 (予算委員会第三分科会)

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○武藤(貴)分科員 自民党滋賀四区、武藤貴也でございます。
 質疑の時間を与えていただきまして、ありがとうございます。
 本日は、来年度予算案について、特に対外発信、従軍慰安婦と言われる問題についての、外務省や内閣府が恐らく担当になると思いますけれども、対外発信の内容について質疑を行わせていただきたいと思います。
 御存じのように、一九九三年に日本政府が、河野談話と言われるもので軍の関与というものを認めて、謝罪とおわびを行いました。それを皮切りに、何度も日本政府は、謝罪とおわび、それと償い事業と言われるものを、これは間接的な支援でありますけれども、アジア女性基金というものをつくって行ってきた。恐らく、政治的に、そういう誠意ある対応をしていれば収束するだろう、慰安婦問題は終わりに向かっていくだろうという読みが当時あったんだと思います。
 その後、一九九三年に河野談話が出された後、三年後に、国連の人権委員会においてクマラスワミ報告と言われるものが出されました。これは、御存じのとおり、昨年朝日新聞が誤報だということを認めた吉田証言が証拠として採用されたものでありまして、これをつぶさに読みますと、内容がひどいところがたくさんあります。
 例えば、仲間の慰安婦をリンチして首を切り落としてゆでて無理やり食べさせられたとか、こんなことは到底日本人が行いそうにない、想像してもあり得ない内容。例えば、数十人の女性を山奥に連れていって、穴を掘って水を入れて、そこに毒蛇を放して、慰安婦を裸にして放り投げて毒蛇にかませて死なせたとか、あるいは、板にくぎをあちこち打ちつけて、そこを肉が血みどろになって破片になるまで転がして、そして最後に切断をしたとか、こういうようなものが勇気ある証言として称賛される。証拠の全くないものをそのまま、証言を事実のように受け取って、報告書の証拠に添付をしたものであります。
 これに基づいて、今度はその二年後、一九九八年に、さらにエスカレートさせたマクドゥーガル報告というものがあります。
 これも国連の人権委員会に出された報告ですけれども、これにはさらに、慰安所はレイプセンターだ、訳せば強姦所というのかな、レイプセンターであって、ここで初めて国連の文書の中で人数が登場するんです、慰安婦は二十万人だったという人数が出てきます、このうち十四万人以上の朝鮮人慰安婦が死亡したというふうに書かれています。ひどい、誤報とも到底言えないような、捏造というか、歴史の歪曲とかいうレベルだと思います。例えば、日本の研究者である秦郁彦先生は、数万人の慰安婦がいたと言っていますけれども、そのうち六割は日本人だったという統計上のデータを「慰安婦と戦場の性」という本の中で示しています。
 国連の人権委員会に、二つの報告、それ以降も十以上の報告が出されているんですけれども、この二つが一番有名なものであります。
 その後、しばらくたって、二〇〇七年に米国下院で、今度は、日系三世の方だそうですけれども、マイク・ホンダさんという下院議員の主導によって、日本を糾弾する決議が可決をされました。
 この文書の中にも、かつてないほどの残虐さと規模であった二十世紀最大の人身売買の一つという断定が行われて、性奴隷にされた慰安婦とされる女性たちへの公式な謝罪、歴史的責任、あらゆる異論に対する明確な論破及び将来にわたって教育することを日本政府に要求するというふうになっています。
 NGOとか民間団体がこういう決議を行うならいざ知らず、アメリカの連邦議会の下院でこういう日本政府を非難、糾弾する決議が出されたということは非常に重く受けとめなければいけないと思いますし、これに対して、日本政府は、どのように今後、これは事実じゃないということを対外発信して、日本の名誉、私たちの先人たちの名誉を回復していかなければいけないか、本当に真剣に考えていかなければいけないと思います。
 その後、今日でも、アメリカだけではなく、これはオランダの議会でも可決して、アメリカでは、それぞれの州議会でも上院、下院で可決し、それから今は慰安婦の銅像や石碑、広告が次々になされて、最近では高校の世界史の教科書でも教育の一環としてなされるようになった。どんどん広がっているというふうに考えられると思うんですね。
 ですから、私たちが行ってきた日本外交は過ちであったということをまず認めて、それを今後訂正して、どのように対外発信をしなきゃいけないのかというのを見直すことが私は必要だと思います。
 そんな中、ここは予算委員会の分科会ですから予算の話をさせていただきたいんですけれども、来年度予算では七百億円の対外発信に関する予算が、これは外務省所管でありますけれども、つけられた。これは、戦略的対外発信七百億円、補正予算が三百五億円入ってですけれども、この一番最初に、ジャパン・ハウスをフルに活用しつつ、以下の施策を強力に推進します。その一番目に、領土保全、歴史認識等の重要課題について、対外発信を抜本的に強化し、国際社会の正しい理解を獲得するという大項目が書かれています。抜本的に強化をして国際社会の正しい理解を獲得するために、では、どういうことを行うのか。
 今のこれは外務省のペーパーですけれども、もう一つ、内閣府が三十六億円という予算をつけて、内閣府大臣官房政府広報室だと思いますけれども、同じような対外発信の予算がつけられている。
 これらについて、やはり国民は、有効に活用して、日本の名誉、先人たちの名誉を回復するための対外発信であってほしいと。私も一国民であります、そういうふうに思う次第であります。
 しかし、今、外務省の姿勢というか、この予算の具体的対外発信の内容について党の部会やあるいは個別に外務省の方々と協議をさせていただく中で、方向性が間違っているんじゃないかと。外務省はこれまで、何度も謝罪をしてきました、過ちを認めて謝罪をしてきました、償い事業もやってきましたと。こういうことを七百億円かけて、まあ七百億円全部じゃないですけれども、対外発信の予算をかけて海外に発信するという姿勢に終始しているというふうに私は受けとめます。
 例えば、外務省のホームページを見ますと、「歴史認識」という項目があります。その中に、「慰安婦問題に対する日本政府のこれまでの施策」というものがありますけれども、これも、河野談話から始まって謝罪の歴史、そしてアジア女性基金をつくった。
 アジア女性基金というのは四十八億円を数年で支出したということですけれども、これは、日本政府が正式に強制連行に関与したことを認めないので、証拠はないので当然認めないわけですけれども、だから、何についての謝罪なのかは河野談話のところはよく書かれていないんです、軍の関与というだけで。いずれにせよ、第三者機関であるアジア女性基金というところに、四十八億円のうち、寄附だと言っていたんですけれども、政府から四十億円ぐらいが出されているんです、税金を使って。それを使って、償い金を、一人三百万ぐらい、慰安婦と名乗り出た女性に配る。あるいは、わび状ですね。おわび状と言われる総理の手紙というのを手渡す。それから、後でこれは質問をしたいんですけれども、フィリピン、韓国、台湾、それからインドネシア、オランダ等で、償い事業と言われる、福祉施設をインドネシアで六十九カ所つくっていますね、オランダでは、七十九人の方に、慰安婦の特定をせずに、名乗り出た方だと思うんですけれども、お金を渡すという事業をやってきた。これが全てなんですよ、外務省のホームページに出ている慰安婦に対する施策というのは。
 例えば、今回、アメリカの教科書で間違った記述があるからそれに対して抗議を行ったということでありますけれども、これは政府として公式にやったことなんですけれども、こういうことはホームページに出ていない。
 あるいはクマラスワミ報告に対する反論ですね。かつて、きちんと外務省が公式に作成した文書があって、国連にも提出したわけですけれども、これは認められないという国が幾つかあって、撤回をして、謝罪をしているので許してくださいというような文書に差しかえになったわけです。こういう過去の、幻の反論文書と言われていますけれども、クマラスワミ報告に対する日本政府の反論文書は公開を今されていない。まあ、公開するかどうかを検討するということでありますけれども。
 こういう、謝っています、何度も謝罪していますということばかりをつらつらホームページや、あるいは公式にも言って、それに今回の対外発信の予算も費やされるんじゃないかという危惧を私はしています。
 例えば、今回、アメリカで、二十世紀最大の人身売買ということが、下院決議が出されたわけでありますけれども、通過されるときに当時の加藤大使が、下院議員幾人かに書簡を送っているんですね。二〇〇七年二月十五日付で、原文もありますけれども、日本政府は既に慰安婦問題の責任を認めて謝罪済みだということ、慰安婦への補償に当たるアジア女性基金に政府は四千万ドル相当を拠出した、三番目、ポイントだけですけれども、学校教科書など多くの出版物が慰安婦問題を明記しているなどと日本政府の対応を説明した。下院でさっき言った決議が通過される反論として、これしか言っていないんですよ。事実関係に踏み込んだ反論は全くない。これだけ謝罪していますということを繰り返し言っているだけなんですね。
 もう一回、六月二十二日にも書簡を送っているということなんですけれども、これも、採択される直前に、決議案が採択されれば日米両国の友好関係に長く害を及ぼすことはほぼ間違いないというような内容、それと、一九九三年以降全ての首相が元慰安婦に対しておわびの気持ちをあらわしてきたということ以外、事実に踏み込んだ反論なしで、語られていないんですよ。
 今回の対外発信の予算をたくさん使って、こんなに謝っています、事業もしていますということを言い続けるだけでは、私たちの誇りや尊厳、先人たちの名誉を回復するということには決してならないというふうに私は思います。恐らく国民の皆さんもそう思っていると思いますよ。
 お伺いしたいんですけれども、私は、過去、クマラスワミ報告が出たときの反論文というものを全文見させていただきました。これは昨年産経新聞が特集を組んでいますので、それに掲載されているんですけれども、外務省もその文書の存在はもちろん認めていますし、今後公開するかどうかを検討するという答弁なんですけれども、ずっと検討しているんですよね。
 この反論文、外務省がつくってくれた反論文は、事実関係に対する反論、これもきちんと書かれています。それと、国際法に対する反論もきちんと書かれている。あれはアラビア語まで翻訳されて、国連に提出された文書でありますけれども、こういうものをしっかりホームページにアップするなり、あるいは公式文書として大使を通じて各議員に配付するなりして、日本の明確な立場というものを対外発信していただきたい。
 これをしっかり検討していただけないかということをまず最初に御質問させていただきたいと思います。

発言情報

speech_id: 118905268X00120150310_228

発言者: 武藤貴也

speaker_id: 25310

日付: 2015-03-10

院: 衆議院

会議名: 予算委員会第三分科会