小川和久の発言 (沖縄及び北方問題に関する特別委員会)

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○参考人(小川和久君) ありがとうございます。御紹介いただきました小川でございます。
 本日は、意見陳述の機会をいただきまして、誠に光栄に存じます。
 私自身は、一九九六年四月の普天間飛行場返還合意のときの自民党側の当事者の一人でございます。それ以来、折に触れて直接実務に関わってまいりまして、それなりの考えを提示してまいりました。ただ、今日は十分間という意見陳述の時間ですので、お手元にお配りしたレジュメのうちの、与野党を挙げて確認をしていただきたいことについてのみ、まず申し上げたいと思います。
 このレジュメの(2)、政府と与野党が取り組むべき問題解決の手順の1)、原点に戻り、直ちに普天間の危険性を除去する、これをやれば、とにかく国会に対する沖縄県民の信頼は相当回復されると思います。しかし、私自身が関わってとにかく十九年、本当に危険の除去と言いながら何も行われていない、こんなばかなことがあるかというのが私の率直な気持ちであります。
 移設先が決まり、その飛行場ができ上がったら普天間を閉じるなんて、そんなばかなことはないんです。私も、軍事専門家の一員ですし、元々陸上自衛隊のヘリコプターの部隊出身ですし、米軍の第一〇一空中強襲師団のパイロットたちとも話をしても、こんなもの簡単にできなくて国なんか守れないよというレベルの話なんです。それを何にもやっていない。だから、これは辺野古になろうとどこになろうと構わないんですが、これをやるということが原点に戻るということであるということを与野党を挙げて確認をしていただきたい。それがないところでは、やはり、これは机上の空論ばかりにすぎないということを申し上げざるを得ないわけであります。
 それから、これは(2)の3)、沖縄県民と以下の二点について確認を行うことと書いていますが、これは二つの点について、はっきりみんなで確認をしようよということをやらなきゃいけない。この①でありますが、沖縄県民が米軍基地問題から解放されるための選択肢、これについて確認をするという話なんです。分離独立をする、あるいはアメリカの一部に沖縄県が自らなっていくという選択肢も理屈の上では成り立ちます。三つ目は、日本国沖縄県としてベストの答案を書いていくという選択肢であります。
 一、二については、これはリアリティーがありません。大田昌秀さんが現職の知事当時、私、よく話をしていたんですが、やっぱり沖縄の県民にはとにかく血を流す勇気がなかったという言い方を大田さんはされた。とにかく、分離独立といっても、独立宣言をすれば済むというわけじゃなくて、場合によっては内戦だって独立戦争だってあるということを前提にしなきゃいけない。リスクが大き過ぎる、だから選ばなかったということなんです。残ってくる選択肢は、日本国沖縄県としてベストの答案を書くことしかないじゃないですか。ところが、ほかに何かいい選択肢があるかのような明確でない前提で議論が行われている。非常におかしいということなんです。
 それから、いま一つ、3)の②でありますが、日本国沖縄県としての立場を選んで、それを受けて、日米同盟か武装中立かということを確認しなきゃいけないという話なんです。日本国の安全を保つための選択肢は二つしかありません。一つは、今のように強力な同盟国の力を活用しながら費用対効果に優れた安全策を講じること。いま一つは、これはどこの国とも組まない、自らの軍事力によって一定水準の安全を確保する道、武装中立であります。どっちなのですかという話なんです。非武装中立というのは、これは実務家としてはあり得ない話だということを申し上げざるを得ない。
 日米同盟を選んでいるということは、五兆円以内の防衛費の範囲内で世界最高レベルの安全が確保されているという意味で費用対効果に優れている。アメリカの属国のように見られているというのは、ひとえに日本側に国際政治を歩んでいくための取組がない結果であるということなんです。ですから、そこのところをちゃんとしていく。
 どこの国とも組まない、武装中立をやるのであれば、それなりの負担に耐える覚悟があるのかという話なんです。これは私が勝手に言っているんじゃないです。防衛大学校の二人の教授が三年前に日米同盟のコストについて試算をしました。これは本になって出ておりますが、今のレベルの安全を独力で保とうとすると、年間の防衛費は二十三兆円レベル。これも一年じゃ済まない、十年か二十年続けてやっと防衛費を圧縮できるかどうかという段階です。その間、その負担に耐える覚悟が日本人にあるのか、そこから入っていく。
 沖縄の基地問題もそうであります。ですから、やはり日本国沖縄県としてベストの答案を書く。日米同盟を選択しながら、そこで生ずる問題を全て日本国民を挙げてゼロに近づけていく、また沖縄県民の負担というものを日本国民がひとしく分担をする、それをやらなければならないだろうということなんです。
 これに関連する確認事項としてはあと二つありますけれども、一つは、整理、統合、縮小が可能な米軍基地、これについてやはりちゃんと整理をする。また、沖縄から動かせない米軍基地についても整理をして確認をするということなんです。何でもかんでもどこかに持っていけると思っているようじゃ、これは平和を実現していくために自ら軍事問題をコントロールするという姿勢に欠けます。
 それからもう一つ確認しなきゃいけないというのは、海兵隊の地上部隊の抑止効果を認識するということなんです。日本の議論というのは、海兵隊は外国に出ていって戦う部隊だから日本の安全のために役に立っていないとか、たわ言みたいな話ばかりですが、抑止力というのは、日米同盟がすなわち日本にとっての抑止力なんです。日本列島に何か所米軍基地があるんですか。八十四か所です。これ全部公表されているんですよ。国会議員、全部メモなしでしゃべれなきゃいけない話ですから。あと、日米共同使用施設(b)になっているのが五十か所ある。百三十四か所が米軍基地であると言ってもいいぐらいです。これを日本列島に乗せて、その日本列島から米軍はアフリカ南端の喜望峰までの範囲で展開していっている。これを支えられる国はほかにないんです。その中で日本の抑止力について語ることができる。
 これは、ほかの国が支えることのできない、提供することのできない戦略的根拠地であり、アメリカ本土に近い位置付けにある。これに手を出せばアメリカのげきりんに触れるということは、これは中国もロシアもみんな分かっている。だから日本の安全が確保されるという話なんです。そういう中で、陸軍、海軍、海兵隊、空軍、それぞれが基地を置き、抑止力を発揮している。
 沖縄の海兵隊について言いますと、特に地上部隊はウエートでいうと七割から八割を台湾海峡と日本の尖閣諸島辺りに置いております。中国が台湾を武力で解放する選択肢というのはほとんどないんです。アメリカ国防総省の報告書にも出ている。
 ただ、最後まで油断できないのは中国が斬首戦と呼んでいる選択肢、首を斬り落とす戦い。これは、弾道ミサイルなどで台湾の政治、経済、軍事の中枢をたたき、半日とか一日の短い時間の間にかいらい政権を樹立する。中国が国連安保理の常任理事国である関係で国際社会が介入できない間にどんどんそれが既成事実化していく。これが一番アメリカにとってもリアリティーを感じざるを得ない選択肢であります。
 ただ、その中国の斬首戦に対して唯一の抑止力として有効性を持っているのが沖縄の海兵隊地上部隊なんです。沖縄の海兵隊の地上部隊は、台湾海峡の紛争において投入できる部隊は一回に一千人にすぎませんが、この一千人と衝突することはアメリカ合衆国との全面戦争を意味する。だから中国はためらわざるを得ない。ためらわせるから抑止力なんです。そういう議論すら整理できていない日本の議論というのは、これは国際的に通用しないという話なんですね。
 ですから、とにかく、集団的自衛権の議論もまさにそうでありますが、賛成ですか、反対ですかから入る国なんて日本ぐらいしかないですよ。何のために集団的自衛権を議論するのかというところが明確にならなきゃいけない。それにおいても、やはり、日米同盟なのか、独自の軍事力を持つのか、どっちなんですかというところから国民に問いかけなきゃいけない。その中で、同盟関係を選択するのであれば、相互防衛が前提ですから集団的自衛権の行使はまた前提条件になる、それはちゃんとしなきゃいけない。その上で、日本の原理原則に沿った平和主義をどのように構築していくかという話じゃないですか。
 沖縄の問題にも、まさに日本的な議論の欠陥というものが表れている。その辺は与野党を挙げてこれからお話を詰めていただきたいと思います。
 時間になりましたので、これで終わります。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 小川和久

speaker_id: 17213

日付: 2015-06-17

院: 参議院

会議名: 沖縄及び北方問題に関する特別委員会