前泊博盛の発言 (沖縄及び北方問題に関する特別委員会)

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○参考人(前泊博盛君) よろしくお願いします。
 樋口先生から沖縄経済については非常に詳細な報告をいただいているので、私、資料をお配りしてありますが、その中に今お話をいただいた部分もデータとして入れてあると思いますので、後ほど御参考にしていただければというふうに思っています。
 今、格差社会という問題もありますけれども、沖縄振興計画において、この中でも、私も十五年ほど前にも参考人として発言をしたことがありますけれども、そのときにも課題として提案をしましたけれども、沖縄振興策で皆さんがこの政治の世界で一生懸命つくられた制度が果たして本当に生きているのかどうか、活用されているのかどうかというのが大きな問題だと思っています。
 今おっしゃったように、十兆円という話もありましたけれども、トータルで大体十五兆円ぐらいのお金が沖縄に投入をされました。これは復帰四十年ぐらいの間ですけれども、その間に十五兆円のうちどれぐらいのお金が本当に波及効果に使われたかというところですけれども、沖縄の場合は、大体人口比で予算を配分しているのか、それとも面積比で配分をしているのか、その辺りの数字がよく見えてこないんですが、沖縄振興の場合には、よくお金をもらい過ぎている、あるいは基地があるからお金が入ってきているんだという話もされますけれども、これは内閣府の担当調整官をなさった方の試算でありますけれども、復帰後投入されたお金、この十五兆八千億円のうち、実は、日本全体の予算が同時期に二千四百六十九兆円ですから、大体〇・六%ぐらいが沖縄に投入をされたという数字が出ています。
 そうすると、沖縄の面積に適用するような形の沖縄予算が投入されたという話ですけれども、これは逆に、復帰前は、じゃ、どれぐらい投入されたかというと、ほとんど投入されていないんですね。米軍統治時代にあって、六三年からようやく沖縄振興のお金は出るようにはなりました。七二年までで一千二百三十二億円です。全体の予算の〇・二%にすぎないということで、この分のスタートラインがかなり遅れているんですね。米軍統治時代のものがスタートが遅れて、そして復帰から本格的に日本の振興政策が展開をされるんですが、それでも投入されている額は〇・六%、面積に当たるというんですが、その数字を見ると、そのうちの〇・二%は防衛関係、基地関係の予算で出ています。ですから、実質的な民生部門に投入されたのは〇・四%ということになります。
 沖縄に投入される予算が多い少ないという議論でいうと、トータルでいうと約八兆円ぐらい人口比でいうと少なかったということになります、八兆八千億円ですね。額的なもので多い少ないという議論が何度もされるんですが、実はそういうことはないというのを言わざるを得ないと思います。
 それから、基地関係の予算で落ちてきているわけですから、これがどれだけ振興策に役に立ったかというところも課題だと思います。
 今日、追加資料でお配りをした、数字に見る沖縄の実態について皆さんにお届けをしてありますけれども、この数字の中でいうと、先ほど樋口参考人からもあったと思いますけれども、格差が非常に大きくなっています。失業率も高い、それから雇用についても非常に質が悪くなっているというのがあります。
 中にグラフを入れてありますけれども、沖縄振興策が展開される中で何が起こったかというと、復帰前、一次産業、二次産業、三次産業、この比率の中で特に二次産業を強化するというのがこの振興策の中でポイントになっていたはずなんですが、いつの間にか忘れられてしまって、そして結果としては、二次産業も一次産業も衰退して、第三次産業が九〇%ぐらい占めるような割合で物すごい肥大をしてきました。これは東京に次ぐぐらいのサービス産業に特化した沖縄県がつくり上げられてきています。
 その結果、何が起こったか。グラフの中にもう一つ付けてありますけれども、雇用の質がかなり低下しています。観光業については基幹産業と言われていますけれども、このグラフを見てびっくりするかもしれませんが、雇用で年収百万円を切る人たちが一万二千人ほどいます。年収です、月収ではありません。百万円を切るその仕事が何かというと、実は観光業です。観光業は、私も厳しい言い方をしますと、最初の頃は、観光植民地じゃないかという指摘、厳しい指摘までしましたけれども、それに当たるようなほど低賃金労働を強いられています。観光の華やかなイメージとは裏腹に、実は百万円を切るような年収の中できゅうきゅうとして転職をせざるを得ないというようなホテル従業員の声もたくさん出てきます。転職率の高さも非常に大きいです。結局は低賃金労働の中で耐えられないということで辞めていかざるを得ないようなところもあるということですね。
 沖縄振興策については、これからもどんな振興策が出てくるか期待をされているところでありますけれども、これまでに出た、例えばIT特区ですね、それから金融特区、観光特区、物流特区、たくさんの特区をつくっていただいたんですが、成果がどれぐらい出ているかという検証が全くなされていないというのがこの委員会の限界のような気がします。
 例えば、金融特区に至っては、二件ほどが立地したと言われていましたけれども、調べてみたらほとんどが撤退して、おりません。活用されていないんです、使いにくいんです。最初の入ってくる段階で、四十人の雇用を実現しろとか、あるいは二十人をと、立ち上げの段階で高い給料のそれだけの人間を雇えば立地ができないということになりますから、使えない制度。あるいは、観光特区、観光業を振興するためにと言いながら、投資減税の対象からホテルが除かれていたりする。あるいは、それを追加して入れたら、今度は利益を上げないホテルに限るというような意味不明な振興策が展開をされたりしてきました。
 こういう振興策は、本当に自分たちでできる、あるいは発展をさせるための振興策かどうかというところでいうと、沖縄を発展させないための振興策ではないかというふうな、逆読みをするとほぼその理由が分かると言われるぐらい矛盾したものが出てきています。
 新しい振興策について、じゃ、どういうものがあるかというところで、もちろん観光についても今後伸びてくる可能性ありますけれども、例えば、医療ツーリズムとかエコツーリズム、グリーンツーリズム、ブルーツーリズム、いろんなツーリズムが出てきています。その可能性が伸びてくる。それから、観光以外にも、基地ですね、基地経済、依存経済と言われてきましたけれども、基地からむしろ入ってくるお金よりも、基地を返して跡利用をする方がもうかるという話になってきています。
 前回の知事選で実は翁長さんという方が、那覇市長が当選をしました。このときに経済界の中からも、もう基地は要らないという人たちがその勢力としてバックアップをしました。その理由、例えばキャンプ・シュワブに新しい基地を造ろうとしていますけれども、その基地を造ることよりも、返還をして観光で使った方がもうけがあると。あるいは、雇用効果、今二百人が、返されて私に預けてくれればと観光業界は言います。四千人の雇用が実現できますということを言います。
 同じように、先ほど佐喜眞参考人からもありましたけれども、普天間基地も、フェンスの内側から軍用地料を含めて関連資金が入ってきますけれども、トータルで一ヘクタール当たり二千万円ぐらいです。ところが、フェンスの外側の宜野湾市の一ヘクタール当たりの上がりは、経済効果はどれぐらいかというと、八千万円を超しています。つまり、四倍ぐらいの差が出てきていると。
 基地があることが不経済だということが言われています。安全保障上の重要性はいろいろ議論されるんですけれども、沖縄からすれば、基地があるために経済の阻害要因になっている。これは前知事の仲井眞さんも同じように指摘をしていたところです。こういう経済問題からすると、基地の不経済をどうするかという、あるいは発展そのものを阻害している基地をどけてほしいという、従来の反軍とかあるいは安保に対する批判というようなところから、経済の部分からの成長、発展を考えて基地に反対するという声が非常に高まってきています。
 こういう経済安保の視点からしても、例えば中国と対立をする話がよく出てきますけれども、日本と中国、あるいは日本とアメリカの貿易額を見ると、アメリカは二十兆円、中国は三十兆円です。どの国を取るかという選択を迫ること自体がナンセンスな話でありまして、両方、この一位、二位の貿易相手国をどちらも取るというところでいかないと、この国は成り立たない。
 その辺りを、防衛だけではなくて、経済の部分の安全保障についてもしっかりと議論をしていただいて、沖縄の問題についても、基地があるから振興策をあげるという体制から、基地がなくてもやっていける、そして日本経済の起爆剤として発展する、それを牽引する場所として沖縄地域の地理的なポテンシャルを改めて再評価をしていただければというふうに思っています。
 時間がありますので、また質疑があればその中でお答えできればと思っています。
 ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 前泊博盛

speaker_id: 12559

日付: 2015-06-17

院: 参議院

会議名: 沖縄及び北方問題に関する特別委員会