相澤英孝の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(相澤英孝君) 本日は、先生方の貴重な御時間をいただきまして、参議院経済産業委員会で参考人として意見を述べさせていただく機会を与えていただき、ありがとうございます。
 特許法改正案及び不正競争防止法改正案について若干の意見を述べさせていただきます。
 特許法改正案は、職務発明に関する特許法第三十五条の改正案と、特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約の加入に伴う国内法的整備を含んでおります。特許法条約及び商標法に関するシンガポール条約につきましては、グローバル化した現代における多数国による特許権の取得等の特許権及び商標権の管理というものが向上すると考えられますので、これについては異議のないところだというふうに理解をしております。
 そこで、職務発明に関しまして意見を述べさせていただきたいと思います。
 現在の特許法第三十五条は、従業員の職務上の発明につきまして、使用者である企業等に勤務規則等の使用者の決定により特許権を取得させるということを認めつつ、使用者にその対価を従業者に支払う義務を課しております。これは、従業者の発明に関して、その発明からの利益を踏まえた対価を支払うとするいわゆる成果主義的なものが採用されているものでありまして、通常の従業者の職務の成果に関する一般的な取扱いとは異なっているものであります。
 その理由は発明の奨励にあるわけでありますが、企業その他の研究開発組織におきまして技術開発がなされる過程は多種多様にわたっております。一義的に成果主義、結果を伴う報酬を求めることが妥当しない場合があるのではないかというふうに考えております。円滑に研究開発が行われるためには、それぞれの企業や研究組織が自らの研究開発投資を踏まえて、職務発明の取扱いについて自由に決めて研究開発を促進するということが究極としての研究開発の促進につながるというふうに考えております。
 改正案は、従業員等の発明者が引き続き相当の経済的利益を受ける権利を有するとすることで、これまでの職務発明規程を踏襲しながら、相当の利益の決定について、より柔軟な取扱いを可能とすることを目的とするものと理解されます。これによりまして、使用者である企業その他の研究組織と発明者との協調により円滑に技術開発を進めるという日本の課題解決についての改正であるというふうに理解することができると思います。
 なお、今回の改正では、現在の特許制度が抱えている大きな課題であります特許権の侵害に対する救済のための制度的な整備については含まれておりません。今後、技術開発の成果を十分に保護し、知的財産の価値を高めていくためには、知的財産制度の国際的な整備による日本産業の国際的展開という目的を踏まえ、国際的な交渉の基礎となる日本の特許制度の保護を充実させていくための紛争処理システム、その改善をしていかなければならないというふうに考えております。
 そのための手段としましては、例えば侵害者に偏在する証拠を開示させ、侵害に関する事実を隠蔽することを阻止するための制度を充実させること、侵害者に侵害による利得を保持させず、むしろ侵害をすることによって損失を受けるような、侵害を抑制する賠償制度のような法制度を整備を急がなければいけないという状況にあるものと考えております。
 次に、不正競争防止法の改正案について若干申し上げさせていただきます。
 近年、日本企業の営業秘密が国外において不正に使用され生産された製品が各国を流通するという状況が明らかになっていることは先生方御了知のところであると思います。グローバル化した現代社会において、国際的に活動する日本企業の技術開発の成果であります技術が十分に保護されなければ、技術開発投資からの収益が得られないことになり、日本の経済発展にも影響を及ぼすおそれがあります。
 技術開発投資を保護するためには、特許権の保護のみならず、営業秘密の保護を含めた知的財産の全般にわたる保護が重要であります。知的財産の侵害の立証では、一般に証拠が侵害者側に偏在するということがあります。特に営業秘密に関しましては、製造方法等の侵害過程は侵害者によって隠されるということが多いので、その場合には不正使用者に証拠があることから立証ができない、したがって営業秘密の侵害が認められないというおそれがあります。したがいまして、この立証の困難を除去することが重要になるというふうに考えます。
 また、営業秘密の不正使用によって生産された製品の流通を放置すれば、不正使用者はそこでその流通によって利益を得ることになります。この利益を得ることを阻止するために、不正使用によって生産された製品の流通を抑止することも必要です。さらに、不正使用によって得た利益を剥奪し、不正使用によって利益は得られず、かえって損失を受けるかもしれないということが、そういう賠償制度ができることによって営業秘密の不正使用を抑止することができると思います。
 改正案は、不正使用に関する推定規定を設けることによって、権利者の立証負担を一定程度軽減し、不正使用者による証拠の不提出による侵害の不成立ということを和らげる効果を有しています。また、不正使用によって生産された製品の輸入を阻止するために、不正競争の範囲を拡大させることも含んでおります。さらに、インターネット等を使った産業スパイ等、言わば新しい時代の情報環境における営業秘密の保護というものも踏まえた刑事罰規定の整備なども盛り込んだものとなっておりまして、現代における営業秘密の保護に関して意義のあるものであるというふうに考えております。
 今後、侵害の立証のための証拠の提出義務を拡大する制度等の充実、今回の改正で侵害とされた、外国において不正使用により生産された製品の輸入を税関で阻止するための関税法の改正、不正使用により利得を得られない賠償制度などの制度整備が進められるべきものであるというふうに考えております。
 知的財産の改革は、今回の特許法の改正案、不正競争の改正案で完結しているものではないと考えております。今後の日本の成長を支える知的財産の価値を高めていくためには、先生方のお力によりまして、更に知的財産の保護を充実させるための紛争処理システムの整備、更にグローバル化時代に即した日本による通商交渉等が進められることが必要であるというふうに考えております。どうかよろしくお願いいたします。
 私の意見はここまでです。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 相澤英孝

speaker_id: 31239

日付: 2015-06-19

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会