川島千裕の発言 (経済産業委員会)

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○参考人(川島千裕君) ただいま御指名いただきました連合の川島と申します。
 本日は、私たち連合の意見を表明する機会をいただきまして、まず感謝を申し上げます。
 特許法等改正法案の中の職務発明制度の見直し及び不正競争防止法改正法案について、働く者の立場から意見を述べさせていただきます。
 本日は、お手元に発言要旨をA4一枚お配りしておりますので、この内容に沿って御説明を申し上げます。
 まずは、特許法改正法案に対する受け止めについてであります。
 職務発明制度の見直しについては、連合も参加しました産業構造審議会特許制度小委員会において、立場の異なる委員による様々な議論の積み重ねを経て報告書が取りまとめられました。本法案は、小委員会で確認された報告書の内容を適切に反映したものであり、また、その中で連合の意見も反映されていることから、妥当な内容であると受け止めております。小委員会での議論経過や報告書の趣旨が十分反映された法律となるよう、国会での審議においてこれらの趣旨が確認されることを強く求めるものでございます。
 また、今回の法改正は、我が国における職務発明の促進、産業の発展につながることが重要でありますので、法改正後の運用についてもしっかりと調査、検証が行われる必要があると考えております。
 次に、国会で御審議、確認いただきたい事項として四点申し述べます。
 一点目は、職務発明に関する権利の帰属に関してであります。
 法案では、職務発明に関する特許を受ける権利を初めから法人帰属とすることを可能としております。この法人帰属化については、マスコミなどでも大きく取り上げられたところでもありますし、研究者の関心も高い論点であります。
 法案では、法人帰属とするためには、契約、勤務規則等であらかじめ定めることを要件としております。したがいまして、契約、勤務規則等で法人帰属とすることを定めない会社については従業者帰属のままであり、現行法と変化はありません。また、現行法の下で、大企業のほとんどは職務発明に関する規程を設け、その中の多くの企業は規程において特許を受ける権利を従業者から承継するようにしております。
 小委員会の報告書の段階では、この法人帰属とする際の前提条件が必ずしも明確にはなっておりませんでした。どのような法案になるのか若干心配をしておりましたが、特許を受ける権利の取扱いについての変更は実質的には小幅にとどまるものと受け止めております。
 いずれにしましても、国会審議において、特許を受ける権利の帰属を見直すべきとした立法事実、法人帰属を可能とすることの意義、さらには、これが従業者のインセンティブ確保にどのように寄与するのかという点について確認をお願いしたいと思います。また、職務発明は全て無条件に法人帰属となるといった誤ったメッセージが伝わらないようにする必要があると考えております。
 二つ目は、相当の利益を受ける権利に関してであります。
 従業者に対し、相当の金銭その他の経済上の利益を受ける権利を法定化することは、初めから法人帰属とした場合でも従来の法定対価請求権に相当する従業者のインセンティブを確保するものであり、妥当と考えます。
 小委員会の報告書には、これにより、従業者には現行の職務発明制度における法定対価請求権と実質的に同等の権利が保障されることとなる旨が記載されております。従業者のインセンティブがそがれることがないよう、この趣旨を十分に踏まえた法律、運用となるよう確認をお願いしたいと思います。
 三点目は、指針の策定に関してであります。
 法改正後、相当の利益の内容を決定するための手続の指針が策定をされます。現在でも特許庁において手続事例集はありますが、今回、法により指針を定めることが明記されたことを評価しております。
 指針の具体的な中身は産業構造審議会で検討されることとなっておりますが、検討に当たっての留意点として三点申し上げます。
 一つ目は、相当の利益を定める際に、従業者の関与の必要性をより重視するような手続ルール、また苦情処理の在り方について指針に盛り込むという点であります。
 相当の利益の内容は、使用者と従業者の協議や意見聴取などが適切に行われ、その結果を十分に踏まえたものでなくてはなりません。また、社内に苦情、異議申立ての仕組みや相談窓口、問題解決を行う場を設けること、その場には労働者代表や研究者代表を含めた形で構成するなど、より従業者の納得性を高めるような内容が盛り込まれることが重要であります。
 二つ目は、相当の利益の内容に対する考え方を指針に盛り込むべきという点であります。
 法案では、相当の金銭その他の経済上の利益と定めておりますが、金銭以外にどのようなインセンティブがふさわしいのかなど具体例を示し、インセンティブの切下げにならないことを担保する必要があると考えます。
 三つ目は、現在、職務発明に関する規則がない企業に対して、規則制定の促進となるような指針とすべきであるという点であります。
 特に、中小企業の規則制定を促進するための一助となるような工夫を凝らす、分かりやすく実効性のある指針となることを求めます。
 そして四点目は、法改正後の調査、検証についてであります。
 今回の法改正が今後従業者のインセンティブにどのような影響を与えるのかは現時点では分かりません。法改正前後で企業の職務発明規則が変わったのかどうか、変わったとすればどのように変わったのか、従業者のインセンティブに変化があったのかなど、法改正後の運用に対する調査、検証を行うべきと考えます。
 次に、不正競争防止法改正法案について説明をいたします。
 不正競争防止法の見直しについては、連合も参加しました産業構造審議会の下での営業秘密の保護・活用に関する小委員会において働く者の立場から意見を述べてまいりました。
 連合としても、営業秘密の漏えいが後を絶たないことを大きな問題だと捉えております。企業及び労働者の努力の結晶とも言える技術情報などが不当な形で窃取、使用され、結果として企業の健全な発展や労働者の雇用、労働条件に悪影響を及ぼすようなことがあってはならないと考えております。
 今回の改正案の内容は、営業秘密の侵害に対する抑止力の強化や処罰範囲の整備など、罰則強化を含めた法整備を講ずるというものであり、評価をしております。
 続いて、国会で御審議、御確認いただきたい事項として二点申し上げます。
 一点目は、事業者、労働者への周知徹底についてであります。
 不正競争防止法の保護対象である営業秘密と、企業が自社で定め運用している機密情報の関係性が不明確なケースも多いと思われます。労働者の萎縮防止の観点からも、悪意のない労働者が罪に問われることがないよう、業務を遂行する上で何が営業秘密に当たるのか、労働者における正しい理解と納得が必要不可欠であると考えております。
 そのためにも、処罰範囲の拡大などの法改正点、また営業秘密管理指針について、事業者、労働者に周知徹底を図るとともに、刑事罰の対象となる具体的な行為類型を明確にし、周知することが必要であると考えます。また、企業内における営業秘密の取扱いに関する規程などについての労使協議を促すことが重要だと考えます。
 二点目は、発明、技術を営業秘密としてクローズした場合における研究者に対する適正な処遇についてであります。
 営業秘密漏えいの原因の一つに、研究者の処遇への不満があるということも聞くところであります。営業秘密漏えいに対する抑止力の強化も重要でありますが、同時に、研究者の適正な処遇の確保に向けた取組も必要であります。
 発明、技術をオープンにするのかクローズにするのかは企業が戦略的に判断することではありますが、どちらの場合においても、企業がその発明者たる研究者に対して適正な処遇を行うことが重要であると考えます。今後策定される職務発明制度に関する指針や営業秘密管理マニュアルなどにおいてこのことを明確に示し、実効性のあるものとする必要があると考えます。
 以上、これらの点についての御審議、御確認をお願い申し上げ、発言といたします。

発言情報

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発言者: 川島千裕

speaker_id: 11039

日付: 2015-06-19

院: 参議院

会議名: 経済産業委員会