百地章の発言 (憲法審査会)

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○参考人(百地章君) 御質問ありがとうございます。それでは、二点の問題についてお答えさせていただきます。
 まず第一点の権利と義務の問題でございますけれども、確かに、明治憲法制定会議におきまして伊藤博文が、憲法において、権利を定め権力の行使を制限せざるして何で憲法を制定する必要があるのかという意味のことを述べております。したがいまして、立憲主義の立場からすれば、権利をまず保障するということが当然であります。
 しかし、一方で、例えばフランス革命で人権宣言が初めて発せられたわけですけれども、あそこで発せられた人権宣言が何をもたらしたかと。つまり、言わば無制限であるかのような人権宣言が発せられたために、あれが一つのああいった暴走を生み出したという見方もあるわけであります。そして、現にその人権宣言が出されて、その後の反省に立って、実はフランスでは、フランス国民の権利と義務の章典というのも作られているんですね。これは人権が、ちょっと正確な表現ではなかったかもしれませんが、そういうのがあります。そこでは権利と義務が同じように数限られているといったこともありまして、おのずから権利と義務についてはバランスとかそういったものが必要であろうというふうに私は考えております。
 また、常識で考えれば、権利と義務は当然セットであるというふうに考えておりまして、したがいまして、御質問のありましたように、権利と義務についてのバランスといいますか、そういった発想は私も賛成であります。
 ただ、義務については、当たり前のことは憲法に書かないということもありますから、したがって、先ほどの水島参考人のお話の中では、義務なんて掲げていない国も多いんだという話もありましたけれども、それは当たり前であって書かないという場合もありますから、必ずしも条文にこだわる必要はないと思います。
 それから、二番目の住民基本条例あるいは住民投票条例の問題ですけれども、これは私もやはり御意見に基本的に賛成でございまして、まず住民基本条例、その条例そのものが果たして憲法上どういうふうに位置付けられるのかと。つまり、地方自治というのは間接民主制を旨としているわけですね。ところが、議会が、与那国島であれば自衛隊の配備を、これを議決したにもかかわらず、仮に住民投票でこれが否決される結果が出たらどうなのかと。つまり、それに従ってその配備が否定されれば、これは言わば住民自治の否定、憲法の間接民主主義の否定につながります。したがって、憲法上の疑義が出てくるという問題。
 それから、そもそも防衛とか安全保障といった問題が地方自治の対象となり得るのかと。これはもう国政上の問題でありますから、そもそもそういったことを地方自治のレベルで論ずること自体が私は無理があると考えます。
 それから、あの与那国島の場合には外国人と未成年者にまで与えておりましたけれども、この外国人の問題につきましては参政権、広い意味での参政権、これが住民投票であると考えれば、参政権は国民固有の権利であるとした憲法の趣旨からしても、あるいは国民主権の原理からしても許されないと思われますし、また、未成年者については公職選挙法でも未成年者を投票活動等に、選挙運動に参加させることを禁止しておりまして、また、未成年者にそもそも判断能力が十分あるのかと。様々な点から見まして、やはり外国人、未成年者にまで住民投票を与えたのは非常に問題があるというふうに考えております。

発言情報

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発言者: 百地章

speaker_id: 18602

日付: 2015-03-04

院: 参議院

会議名: 憲法審査会