百地章の発言 (憲法審査会)

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○参考人(百地章君) どうも御質問ありがとうございます。
 初めに、憲法尊重擁護義務との関係で十二条のお話が出ました。最初にその憲法尊重擁護義務のことですが、憲法九十九条は、天皇、摂政、それから国務大臣、国会議員等限られて、公務員、特別公務員を含めた公務員だけに義務を課していると。したがって、一般国民はその尊重義務はないんだという議論は、これは当たり前のことだからむしろ書いていないということでありまして、そのことは先ほど「註解日本国憲法」を御紹介したとおりであります。
 ちなみに、憲法には当たり前のこと、必要ないことは書かない。したがいまして、例えば愛国心なんというのは当たり前です。我が国が言わば非常にちょっと変わった国でありまして、まともに愛国心が論じられていない。愛国心なんて当たり前ですから憲法に書く必要がない。分かりやすい例を挙げますと、例えば、日本国における公用語は何語でしょうか。当然日本語でございまして、どこにも書いてありませんね。だからといって、日本の公用語は何かということを争う人はいないと思います。これは不文の法でもあり、あるいは当然のことだから書かない、そういう文脈があると思いますので。
 そこで、憲法十二条ですけれども、これはまさに、憲法は権力を単に縛るだけじゃなくて、憲法を守る努力によって初めて憲法というのは守られていくんだと。これは為政者も含めた国民全てがこの憲法をしっかり維持していく必要があるんだということを言っているわけでありまして、ここにも、憲法は単に権力を縛るだけのものではないということがうかがわれるんじゃないかと思っております。
 それから、硬性憲法の問題ですけれども、確かにこの三分の二衆参両院で取るというのはもう至難の業というよりも、これまで一度もなかったわけですし、現在、私は潜在的には参議院にも三分の二の改憲勢力があるという報道を信じておりまして、期待しているわけでありますけれども、まあそれは余談としまして、選挙制度と密接な関わりがあることは間違いないと思います。
 衆議院でも、かつての中選挙区制度の下では、分かりやすく言えば、三議席のところ、定員三人のところでは、そのうち一議席を護憲派が占めればこれによって憲法改正は阻止できるといった戦略があったというふうに聞いておりますし、そういうことを考えますと、まさに選挙制度、そのような選挙制度の下では三分の二というのはほとんど不可能であった。現在の制度との関係、厳密な議論はちょっとできませんけれども、密接な関係があることは事実だと思います。
 そもそも、この三分の二という数字ですけれども、これはGHQがこのような憲法を我が国に押し付けておいて、しかもそれを勝手に変えさせないようにしたという背景がありまして、実は三分の二のまず発議した上で、さらに四分の三の賛成を求めるといった、そういった成立過程においてはもっと厳しい条件も課されていたようでありますけれども、それが多少緩められてここまで来たところでありまして、元々GHQの憲法改正を簡単にさせないという意図がここに、背景にあったから、それが一つだろうと思います。
 したがいまして、先ほどもちょっと触れましたが、国民の意識、憲法意識、憲法というのは手に触れてはいけないとか、あるいは不磨の大典意識とかいった、そういったいろんな国民の意識もありますけれども、やはりこの改正手続条項が余りにも厳しいがためにその改正ができなかったというのが一番分かりやすい理由だろうと私は思っております。

発言情報

speech_id: 118914183X00220150304_061

発言者: 百地章

speaker_id: 18602

日付: 2015-03-04

院: 参議院

会議名: 憲法審査会