福田富一の発言 (厚生労働委員会)
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○参考人(福田富一君) 私は、全国知事会社会保障常任委員長を務めております栃木県知事の福田でございます。
本日は、全国知事会を代表しまして、持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律案に対しまして意見を述べさせていただく機会を与えてくださいまして、誠にありがとうございます。本法案に賛成の立場から意見を申し上げます。
さて、皆様御案内のとおり、我が国の医療保険制度は、昭和三十六年に国民健康保険が全国に普及し、国民皆保険が達成されましたが、それ以来五十年以上、国保はその最後のセーフティーネットとしての役割を果たしてまいりました。この間にも、高齢化の進展、高度な医療の普及等による医療費の増加に対応するため、高齢者医療制度の創設など様々な改革が行われてきたところでございます。
しかしながら、皆保険を支える現在の国保の世帯主の内訳は、年金生活者等の無職者や非正規の被用者などが約七割を占め、かつて中心だった自営業者、農林水産業者は一五%程度であることから、一つ目に、年齢構成が高く、一人当たりの医療費が非常に高い。二つ目に、低所得者の方が多く、結果として所得に対する保険料負担率も重くなっている。三つ目に、このため財政基盤が脆弱で、市町村は一般会計から多額の決算補填等を目的とした繰入れを行わざるを得ない状況であります。四つ目に、加えて、一人当たりの保険料等の都道府県内市町村間格差や都道府県間格差も大きいなどの構造的な課題を抱えております。
また、被保険者の保険料負担率につきましては、被用者保険と比べ非常に高い水準にあり、その格差は極めて大きくなっております。
今後も高齢化が進行し、医療費の増大が見込まれる中、このままでは、被保険者も保険者である市町村もその負担に耐えられる限度を超え、最後のセーフティーネットである国保制度は破綻するおそれがございます。これを回避するため、将来的に持続可能な制度を構築することは国の大きな責務であると考えております。
我々知事会といたしましては、従前から、国保の構造的な問題が解決され、持続可能な制度が構築されるならば、市町村とともに積極的に責任を担う覚悟であると申し上げてきたところでございます。
私は、全国知事会の社会保障常任委員長として、各都道府県と情報共有を図り、様々な意見を丁寧に集約しながら、それらを踏まえて、国民健康保険制度の基盤強化に関する国と地方の協議等におきまして、国や市長会、町村会と長きにわたり議論を重ねてまいりました。
今回の改革の大きな論点は、次の二点でございます。
一点目は、財政上の構造問題の解決に向けた方策についてでありますが、知事会からは国に対しまして、国民の保険料負担の公平の観点から、更なる公費の投入によって抜本的な財政基盤の強化を図ること、また、今後も医療費の増大が見込まれる中、将来にわたり持続可能な制度とするため、法案に、国の財政支援の在り方について検討し、必要な財政上の措置を講ずる旨を明記するよう強く要請してきたところでございます。
本法案は、こうした議論を踏まえ、公費拡充により一定の国保の財政基盤の強化を図ろうとするものでありますが、法律附則の内容は、法施行後においても、医療保険制度間における公平に留意しつつ検討を加え、必要な措置を講ずるとの表現にとどまりました。しかしながら、この点につきましては、塩崎大臣から、知事会の指摘を十分踏まえてしっかりと取り組むとの力強い御発言をいただいております。
二点目は、都道府県と市町村の役割分担の在り方についてでありますが、知事会からは、被保険者である地域住民と最も身近な関係にある市町村が、資格管理、保険給付、保険料の賦課徴収、保健事業等を一体的に担うことにより、医療費適正化や保険料収納に対するインセンティブ、さらに、被保険者の利便性や制度の安定性、連続性が確保され、制度の持続可能性も担保されることから、従来どおり市町村に担っていただきたいと申し上げてまいりました。
これにつきましては、国保制度の安定化を図るため、都道府県が財政運営の責任主体となるなど、国保運営に中心的な役割を担い、市町村は、資格管理、保険給付等を引き続き担うという役割分担が示されたところでございます。
以上のような点から、知事会といたしましても、持続可能な制度の構築に向けて一定の前進があったと捉えまして、地方自治法第二百六十三条の三第二項の規定に基づく意見は提出しないことといたしました。
法案の成立後は、国、市町村と連携を図りながら、新たな国保制度への移行に向けまして準備作業を進めてまいる所存でありますが、本日は、国保の財政運営等を担うこととなる立場から、今後の制度の具体化におきまして考慮願いたい事項等について意見を申し上げます。
最初は、法案の早期成立でございます。
都道府県におきまして、平成三十年度から新たに国保運営の責任の一翼を担うことになりますが、新制度の詳細な内容や運用方法は、法案成立後、政省令等で定められることとなっておりますので、法案の早期成立を要望いたします。
また、政府におかれましては、政省令の制定を始め運用に関するガイドライン等の決定に当たって、引き続き地方と協議し、地方の意見を十分反映させるとともに、できる限り十分な準備期間を確保することができるよう、速やかに御提示願いたいと考えております。
なお、この度の制度改革は、国民皆保険を達成して以来の大きな改革となります。新たな制度が国民の理解の下で円滑に実施できるよう、法律の施行に当たりましては、国民に対し的確に周知を図るとともに、地方に対しましても丁寧な説明をお願いいたします。
次に、制度の運用等に当たりまして、今後留意していただきたい点について申し上げます。
まず、更なる財政基盤の強化についてでございます。
この度の改革で、国保に対しまして毎年三千四百億円の公費による財政支援が実施されるとともに、都道府県が財政運営の主体を担うこととなりましたが、これだけでは安定的な財政運営はできません。
国におきましては、持続可能な制度の堅持に最終的な責任を持つ立場から、財政運営の全体像を早期に明らかにするとともに、都道府県ごとの財政運営の見通しをお示し願いたいと考えております。
また、改革後におきましても、持続可能な制度の確立と国民の保険料負担の格差是正に向けて様々な財政支援の方策を講じ、今後の医療費の増大に耐え得る財政基盤の確立を図っていただくことが必要と考えております。
その際は、子供に係る均等割保険料の軽減措置の導入や地方単独事業に係る国庫負担金調整措置の廃止といった、国保基盤強化協議会で都道府県が提案した方策につきましても、実施に向けて御検討願いたいと思います。
次に、運営の在り方の見直しについて申し上げます。
改革後は、都道府県と市町村がそれぞれの役割分担の下で互いに協力し新制度を運営することとなりますが、都道府県が中心的な役割を担うこととなる財政運営等につきましては、国保運営方針や市町村ごとに決定する国保事業費納付金、標準保険料率の算定などにつきまして、政省令やガイドライン等にできる限り具体的に明記していただきたいと考えております。
結びに、本日、国保制度の安定化のため知事会を代表いたしまして意見を申し上げましたが、法施行までの短い期間ではありますけれども、都道府県といたしましても、本法案の目的であります持続可能な医療保険制度を構築するため、国、市町村と連携を図りながら、円滑な制度の実施に向け準備を進めてまいる所存でございます。
以上で私の意見陳述を終わります。