森田朗の発言 (国の統治機構に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(森田朗君) 地方自治と格差の問題というのが両立するのはある意味で難しいのかもしれません。
 私もかつてアメリカに短期ですが住んでいたことがありますけれども、そのときに、ある町は非常に町がきれいでサービスもいい、しかし他方は、道路は穴ぼこだらけだし、ごみだらけだと。しかし、周りの人に聞いてみると、後者の方がいいと言う人もいると。なぜか。税金が非常に安いからと。
 低い負担で低いサービスと高い負担で高いサービス、それをどちらか選べる、それが、ある意味でいいますと自治の問題であり、それを格差と言うかどうかはこれは評価によるところだと思います。そうではなくて、絶対的な意味での格差があるとしたら、これはそのまま放置することは非常に難しいというふうに思います。
 我が国の場合に、そうした、サービスを落として税金が安い、そしてその逆という、そうした選択を地方がすることは非常に難しいのが現在の自治体だと思います。といいますのは、多くの事務が、社会保障が中心ですけれども、国の制度でもって維持されている。したがって、ある部分だけ税金を安くするということは非常に難しいし、それに対して他方で税金を高く取るということも難しいと。その意味でいいますと、ある程度の必要な財源というものは、そこに税金が、税収が入るかどうかにかかわらず保障せざるを得ないと、これが財政調整の必要なところだと思います。
 したがいまして、税源移譲というものはどういうことかといいますと、それぞれの自治体でより多くの税金、課税をすることができるという権利だと思いますけれども、税源を移譲したときに何が問題かといいますと、確かに課税をして税収が増えるところはそれは望ましいのかもしれませんけれども、我が国の多くの自治体の場合には、仮に税源を移譲したとしても、それほど税収が増えないと思います。したがいまして、税源移譲をした場合には、増えるところはもっと豊かになるかもしれませんけれども、そうでないところはやはり国からの財源の移転にかなり依存せざるを得なくなってくる。
 その意味でいいますと、我が国の場合にいわゆる税源移譲、課税権だけではなしにその税収の移転も含めてですけれども、それをすることが望ましいかといいますと、むしろ格差の増大に結び付く可能性が高いのではないかなと思います。
 その意味でいいますと、できるだけ地域の方に、住んでいらっしゃる方にサービスをきちっと提供するための財政措置というものは講じざるを得ないでしょうと。それが、ある意味でいいますと自治権の制約になるという部分がないとは言えないかと思いますけれども、これは私自身の考えでは、住民の方にサービスを保障するためにはある程度は受け入れざるを得ない、そういう状態ではないかなと思います。

発言情報

speech_id: 118914290X00420150513_095

発言者: 森田朗

speaker_id: 4956

日付: 2015-05-13

院: 参議院

会議名: 国の統治機構に関する調査会