岩田一政の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○参考人(岩田一政君) 二つ御質問ありまして、法人税と消費税についてどう考えるかと、一言で言えばそういうことだと思います。私、ですから、日本にとって最も望ましい租税の体系というのはどういう姿であるべきかという、根本論でいうとそこまで戻る話だと思っています。
 それで、消費税というのは、淵源をたどりますと、付加価値税というのはフランスですけど、戦後間もなく労働党のブレーンをしていたカルドアという、ニコラス・カルドアというこれは労働党のブレーンでありまして、ケインジアンでも左派の方であります。その方が所得税体系よりも支出税体系の方がより合理性がありますという実は説を展開されまして、現実に、当時のイギリスですね、植民地の関係のあったような国で支出税体系をカルドアが言っているような形で入れようとした国がございます。
 私は、ですから、こういう抜本的な税体系というときに、人が稼いだときに税金を払う仕組みがいいのか、人が支出したときに税金を払う仕組みがいいのかという根本問題があって、投資ですとか貯蓄の行動に対してより中立的なのは私は支出税の方だと考えています。ですから、日本の税体系は、所得税ともちろん消費税入っていますのでハイブリッド型になっているわけですが、将来望ましい姿はどちらに行くべきなんですかという議論がその前にあるべきだと思っていまして、私自身はどちらかというと支出税体系の方に少しずつ近づけていく。
 そして、その効率的な税体系ということを考えますと、どちらかといいますと、国際的に移動してしまうような生産資源があったとして、そこが収益を生んだときに重税を課すというような、重い税を課すというのは、実は国際的には余り効率的でない。法人税というのは、企業はどちらかといいますと、人はなかなか移動しませんけど、資本はかなり自由にどこの国にも動きます。資本の供給というようなことを考えてみますと、それはどちらかというと、資本に対する課税というのは低い方がどちらかというと効率的な税体系であると、こういうことも同時にあるのではないかというふうに思っています。
 そういうことで、法人税ということについて言うと、今もう既にお話がありましたけど、私は先ほど、成長戦略でもって強い経済にすることが必要だと、強い経済ってどういうことなんだと、三つ手段がありますと申し上げました。人口減少に歯止め、それからイノベーションを促進する、三番目は第三の開国ということなんですね。第三の開国の中でやっぱり重要なのは、日本の場合、直接投資残高ですね、外国の企業が日本で直接投資している残高とGDPの比率はたしか三%程度でありまして、北朝鮮より低いんですよね。北朝鮮より低いと内閣府のシンポジウムで言ったら、一緒のパネリストのスティグリッツさんが笑っていて、日本はそんなに低いんですかと。それで、成長戦略の中でこれを倍増するという目標が掲げられていますけど、倍増してもまだまだグローバルに見ますと実は開国が非常に遅れた段階にあると思います。
 法人税というのは一つの要因ですけど、外国の企業がどこに立地しようと、例えばアジアのどこの都市に立地しようかというときに、一つの決定要因で全部を決めるというふうに思いません。言語が違うとか、いろいろ制度が違う、労働市場の具合が違う、こういうこともみんな関係しますが、税もやはり影響を与えると思います。現在の水準は多少下げましたけれども、私は二五%まで下げていくことが望ましいんじゃないかというふうに思っています。
 それからもう一つ、消費税ですけど、確かに消費税が上がると、私、マイナスが明らかになる、これは消費税であろうがほかの所得増税であろうが、財政政策、強い政策取れば経済はそれなりに反応するというのが今回の一つのレッスンだったんじゃないかというふうに思っています。
 ただ、消費税の上昇でいいますと、私どもは以前から、三%一遍にやるのは負担が多いと、一%ずつ、少しずつ実行すると。しかも、一%でもマイナスの効果が起こり得ますので、これを、マイナスをなるたけ相殺するような措置を同時に実行する。例えば、消費税増税の場合だったら、消費増税一%やるんだったら、そのときは法人税を下げるというような、これは現実にドイツで取られた政策でありまして、同時に実行したら実は経済にはそれほどマイナスの影響が生じなかったと、これは事例でそういったこともございます。
 私は、税・社会保障制度の抜本改革というときに、ですから、消費税だけを取り出して、これだけ増税増税と言うのは正しくない。ある種の組合せ、今ある所得税ですとかあるいは社会保障制度との組合せ、例えば人口減少の問題があるときに、先ほど、子育て、出生率一・八に高めるなら八兆円必要だと、どうやって出すんですかというようなお話を申し上げましたけど、何らかの子育ての支援の措置というのは必要なんですよね。財政支援、必要なんですね。そういうのを、つまり組合せでやっていくということが、やはり税・社会保障制度の抜本改革と、私はそれをまとめて言っていることに意味があると思っているんですね。税だけいじる、一つだけ取り出してこれだけやりましょうというのは、全体としてバランスが余り取れていない。
 日本の政策の議論で非常に不幸だと思うのは、十年後、二十年後を見て、日本の租税体系はどういう姿が一番望ましいんですかというところから出発をしないで、消費税を二%上げましょう、三%上げましょうと。そうすると、話はやっぱり収束しないんですよ。二十年後、三十年後の望ましい租税体系はこういうことじゃないですかということをしっかり議論して、じゃ、それを実現するのに今年はここまでやりましょう、そこまでやりましょうと。
 ドイツの場合は税の中期計画、長期計画というのがはっきりできているんですよね。そのスケジュールに乗って消費税も上げるし法人税も下げる、あるいはほかの所得税の減税も組み合わせてやるというようなことが可能になるんですけど、個別に消費税だけはどうしても五%とか、あるいは法人税だけは一〇%だけ、こうやってばらばらにすること自体が、ばらばらにして議論すること自体が非常に非生産的で結果も良くないんじゃないかと思います。

発言情報

speech_id: 118914332X00120150225_048

発言者: 岩田一政

speaker_id: 27201

日付: 2015-02-25

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会