岩田一政の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○参考人(岩田一政君) そうですね、マクロプルーデンスにつきましては、私、いろいろ先進国の事例を見てるんですけど、制度的に最も整備されているのはやっぱりイギリスなんじゃないかと思うんですね。
 イギリスの場合には、リーマン・ショックがありまして、その後これまでのプルーデンス政策の体制を含めてどうもうまくいかなかった。結局、バブルがあれだけ膨らんで、それが破綻して金融機関がこれだけ傷ついてしまった。それを繰り返してはならないと、そのためにどうしたらいいんですかということで、現在はどうなっているかというと、バンク・オブ・イングランドが基本的には金融政策はもちろんやるんで、マネタリー・ポリシー・コミッティーというのがあるんですけれども、そのマクロプルーデンスを議論する場としてファイナンシャル・ポリシー・コミッティーというのを一昨年の四月から発足しているんですね。
 このファイナンシャル・ポリシー・コミッティーというのは、議長は同じくバンク・オブ・イングランドの総裁なんですね。メンバーが若干、バンク・オブ・イングランドの方が二、三名ですか、入っているんですが、同時にマイクロのプルーデンスですね、日本でいうと金融庁に当たる、そこのマイクロのプルーデンスをやっている方の代表が入っている。それから、有識者が入っている。一人の有識者は前の連邦準備制度理事会の副議長のコーンさんですけど、海外の有識者も入れて、そこがマクロプルーデンスに関する政策決定までできると。
 こういうふうに、マクロのシステミックリスクがありそうな金融市場のいろいろな問題が出てきたと思えば、例えば、銀行は貸し過ぎになっているといったらそれを何か抑える、あるいは住宅ローンが不健全なほど、余り頭金等がそろっていないのに貸し込みをやっているというようなことがあった場合には、そういうことに対してローン・バリュー・レシオを上限を決めるとか、その利子の支払分が余りに大き過ぎるような、年収と比べてですね、そのような場合にはやはり注意を、そうならないように、そういうところには余り貸さないようにというようなですね、そういう指令もできる仕組みを実は設けておりまして、つまり、ミクロのプルーデンスとマクロのプルーデンスはもうそこで一緒になる。しかも、金融政策のフィードバックがその二つの、ファイナンシャル・ポリシー・コミッティーとマネタリー・ポリシー・コミッティーが同時に議長が兼任するという形で、金融政策運営上もそういうことを配慮しながら、例えば利上げをする場合にも、それはどういうスピードで上げたらいいのか、どのくらい上げたらいいのか、マクロプルーデンスの観点を入れながらやるという、これを両刀遣いと言う方がいますが、二刀流で、一刀流では駄目ですよと、物価安定だけでは駄目ですよと。
 私、全体として、リーマン・ショックの後の一つの大きなレッスンは、やはりマクロプルーデンスということに関して金融政策はきちっとそれを一つの柱として位置付けるということが必要なんじゃないかと思います。これが一点目で。
 二点目は、石油価格が上昇したときどうするんだと。おっしゃるとおりで、私自身は、物価指数の中からエネルギーと食料を除いた、アメリカ型コア指数と言われておりますが、それを使う方が望ましいというふうにこれは前から思っています。
 それはなぜかと言えば、エネルギー価格というのは日本の中央銀行がどんな政策を取っても影響を与えることがほとんど不可能なんですね。影響を与えることが不可能な物価の上昇率まで中央銀行が責任を持つべきかと、私は必ずしもそうではないと思います。というので、エネルギー、これはアメリカの場合は既に、個人消費デフレーターなんですけれども、現実にエネルギーと食料を除いたベースで、コアPCEと呼んでいますが、それを基準にして運営していると。もちろん、中長期といった場合は両方の区別が余りなくなってしまいますですね。平均してしまいますと両方余り変わりません。しかし、今回の場合のように、特に二年以内にとか期限を区切って達成しようと思うときには、やはりそういうのは除いた方が私はいいと思います。
 それから、石油価格が上がって物価が上がったときどうすべきかと。これは下がったときと全く同じでありまして、物価が上がったといっても、それは二%を超えて上がればマイナス要因といいますか目標から離れますので、乖離した分はやっぱりマイナスに勘定するんですね。
 GDPギャップの方はどうかということですけど、GDPギャップは、石油価格が上がりますと実質所得が目減りをするんですね。そうしますと、GDPギャップはやっぱりデフレギャップが拡大してしまうわけですね。一年後に例えばそれがどちらが大きいですかということを考えて、仮にまだ二%達成していない、そうしたらそれはプラスに勘定できるわけですよね、近づいたんだと、目標に。だけども、GDPギャップの方が広がってしまいましたと、これはマイナスの方に評価するわけですね。
 それで、そのプラスマイナスあるときに、そのプラスマイナスの大きさを比べて、大体打ち消し合うぐらいの効果ですということであれば何も政策する必要がない、プラスの方が大きければ少し引き締める場合もあるし、マイナスの方が大きければ拡大する場合もあるという、それが、私の理解する柔軟なインフレターゲティングポリシーというのは、一年後の経済で物価の上昇率が目標値からどのくらい離れるのか、GDPギャップが、望ましいのはゼロだと私思いますけれども、そこからその離れる度合いを最小化するように最小化するようにやればよろしい、原理はそういうことだと思います。

発言情報

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発言者: 岩田一政

speaker_id: 27201

日付: 2015-02-25

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会