岩田一政の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○参考人(岩田一政君) 格差の問題ですけれども、最近、ピケティという方が、高位所得者が多くの所得をみんな経済の中で奪ってしまっていると。先行き見ると成長率が下がっていって、しかも資本の収益率が余り変わらないとすれば、これから極度な格差社会になるんじゃないかという、そういう予言まで、あの厚い本を読みますと、最後の方は予言だと思いますが、そういうことをお書きになって、大変ですねと、こういう議論があるわけですね。
 日本の場合に、しかしながら、それでは高位所得者が、例えば〇・一%の高位所得者というのは、年収でいうと税務統計では三千万から五千万ですね。トップ四百というか、四百人、アメリカは七・七億ドルだそうですが、平均年収が、日本は六千万円で、ゼロが一つか二つ、三つか違いまして。
 つまり、ピケティさんが問題にしているのは、高位所得者のところが何か所得をたくさん取り過ぎている、ゆがんでいると、正規分布から比べるとすごいゆがんだ形していますね、それが格差の大問題だと、日本もそうでしょうとおっしゃっているんだと思いますが、残念ながら、日本は、それほどこっちはゆがんでいないんですが、低所得の方が実はゆがんでおりまして、これは三本の矢というよりは、私の理解では、先ほど申し上げましたが、人口構造の大変化ですね。半ばから生産年齢人口がマイナスになり、働く人と退職世代の比率が大きく変動する。その中で企業はこれまでの雇用制度を維持できない。
 これまでの制度というのは、若いときに、生産性と比べればもしかすると少し低い賃金で働いて、しかしだんだんランクが上がっていって、年取ったときはそれほど生産性高くないかもしれないけどそれなりの報酬があるという。言ってみると、その働いている人は、自分の企業のために株の投資を同時にやりながら、企業が成長すれば自分も成長する、そういうモデルで、それが高度成長は非常にうまく回ったんですね。
 ところが、その人口構造のピラミッドが逆さまになりまして、その仕組みが維持できないんですよね。その結果、企業は非正規雇用を増やさないと間に合わないと。特に九〇年代半ばというのは、私は九〇年代半ばからデフレが始まったと思っていますが、先ほど申し上げました為替レートが九五年の四月に八十円切ったんですよ。あのときも、やっぱり相当優良な企業でも生き残れない、為替レートがそんな高いところになったらあらゆるコストを削減しないといけない、人件費も削減しましょうということで、九七年以降は名目賃金も実質賃金もトレンドとしてはずっとマイナスなんですよ。特にそういうマイナスになった一つの大きい要因が非正規化という、全体としてコストが下がればいいので、ということで名目賃金も実質賃金も上がらないという状況が続いてきた。
 そういうことが続いてきたのであって、アベノミクスがあったから、あるいは小泉改革があったからというよりは、日本の大きな経済構造、人口構造の大きな変動に対して日本経済がうまく適応し切れていない。それでしわが低所得層に行っていると。中所得が減って低所得の人がどんどん増えている。
 ですから、相対的貧困層というOECDの概念があるわけですね。これはどういうのかというと、所得分布取ると、メディアンという中位値ですね、取ってやって、それの半分以下の層を相対的貧困層というんですが、これ日本は今OECDで二番目に悪い。前は第五位だった、五番目に悪かったんですがというぐらい、つまり低所得層のところの分布が非常に膨らんでいるという、そういうことが起こっていて、それが私、日本の格差の問題の一番大きい点じゃないか。
 もちろん、これ増えている理由には、高齢者の方が、働いていたけど定年になって辞めたけれども再雇用でまた働きますというと、もちろん賃金は、年収は何分の一かになるわけです。そういう方はある程度やむを得ないと私は思うんですが、若い方が最初から正規に就けなくて非正規だと、それこそ年収の平均が今四百万程度あるんですかね、三百五十万から四百万ぐらいだと思うんですけど、それの半分以下というようなことですと結局結婚もできない。若い方が非正規のまま終わるというような社会、これは社会保障制度も最終的にはもたないわけですよね。
 というので、私の格差問題に関する基本的な考え方は、そういう日本の大きな人口構造の変化に対して、これは企業もそうだし、それからいろいろな政府の制度ですね、社会保障制度の在り方とかそういうものが全てうまく適応していない、そこを何か抜本的に変えていかない限りはなくならないと思います。

発言情報

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発言者: 岩田一政

speaker_id: 27201

日付: 2015-02-25

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会