井堀利宏の発言 (国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会)

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○参考人(井堀利宏君) ドイツの例ですけれども、やはり一つドイツの特徴的なことというのは、リーマン・ショックの後、要するにマクロ経済環境が悪いときに、どこまで財政面から手当てするかに関して、ドイツは、先進国の中では一番ある意味では消極的といいますか、いわゆるケインズ的な、財政赤字を出して公共投資なり減税でマクロ経済を支えるという政策を相対的に取らなかった国だと思いますね。
 だから、ドイツというのは、どちらかというと、ケインズ的な、マクロ経済環境が悪いときに財政面から手当てをするという政策を余りやらなかったと。むしろ、マクロ経済に対する財政面からの調整よりは財政収支の均衡の方を相対的に重視したことの結果として、財政状況を重視していると。
 それはなぜかというと、やはりEUの中でドイツが中心的な役割なので、ドイツが財政面からある意味でルーズな対応を取ると、ほかの国に対するコミットメントの面で非常にまずいと。要するに、ギリシャとかスペインとかいろいろな国で、財政状況が悪くなっている国を結果としてドイツが支える状況になりますから、EU全体として財政規律がきちんとしてくれないと、最終的にドイツ国民がいろんな意味でギリシャに支援することに関する非常に反発が大きくなってしまいますから、そういう意味で、EU全体の財政規律を重視するという観点からいうと、ドイツ自体が財政規律をきちんとするということを示さざるを得ないと。ドイツの国民も財政規律に関しては非常に敏感になっていると。そのことの結果として、余り経済環境が、マクロ経済環境が悪いときにケインズ的な対応を取らなかったということが結果として財政収支の相対的な均衡に効いているのかなと思います。だから、これはある意味でドイツがEUの中心であると。
 もちろん、それから、先ほど井手さんが言われたように、ドイツがEUの中で相対的に経済状況がいいということも当然同時に寄与していて、余り財政面から手当てをする必要がなかったということもあるかと思います。
 それから、日本の税制のあるべき姿なんですが、これはもちろん地方税と国税では当然対応が違いますし、地方税では、井手さんがおっしゃられたように、やはり応益原則で、住民税なりあるいは固定資産税なり消費税で受益を持っている住民が広く薄く負担するというのは筋だと思いますので、その意味では、住民税をもう少し均等割を増やすとかいろんな形の対応は必要で、私は均等割は一桁、もう一桁増やしてもいいんじゃないかと、一人五万とか十万に上げてもいいんじゃないかと思うんですが。
 ただ同時に、国税レベルでのいわゆる応能原則ですよね、所得再分配を含めた機能をどう考えるかという、ここがもう一つの論点で、これに関しては、消費税は確かにそういった機能がないので、相続税なり所得税で累進的なところを効かせるというのは必要なんですけれども、ただ問題は、そのときに相続税の累進度を上げてしまいますと、相続税というのは所得税と違って納める時期が限られますから、要するに脱税、節税のインセンティブが働きやすいわけですね。しかも、その限界税率が高いと、所得の高い人ほど、資産が高い人ほど脱税、節税するインセンティブが高くなりますから、相続税はよほど徴税体制がしっかりできないといろんな面でなかなか難しい。
 その意味で、所得税の方が、フローの所得ベースの方が所得再分配機能としては効くと思うんですが、ただ問題は、日本の場合、アメリカの、ピケティの本、さっきちょっと出ましたけれども、要するに極端な所得を稼いでいる人というのは余りいないわけですね。要するに、課税ベースで見て、あるいは所得ベースで〇・一%の上の層がどんどん増えているのがアメリカですけれども、日本はそうじゃないという状況で、極端な累進的な税制を所得税で掛けることがどのくらい意味があるのか。むしろ、中間の所得階層が余り所得税を払っていないというのが日本の所得税の大きな問題で、日本は平均的なサラリーマンが余り所得税払っていないわけですよね。消費税も払っていないけれども所得税も払っていない、結果として租税負担率が先進国の中で低いという状況ですから、これはやはり、ある意味で所得再分配機能は確かに重要なんだけれども、同時に、普通の方がより、もう少し、消費税でなくても所得税も含めてきちんと払えるような、そういう税制にしていく必要があると思います。
 もう一つの法人税なんですが、これは私は法人税に関してはむしろ下げる方が望ましいと思っています。これは、法人というのは、まあ擬制説を取るかどうかという議論はあるんですけれども、法人自体は人じゃないので、選挙権もないし法人というのが何か御飯食べているわけじゃないので、その背後には人がいるわけですね。だから、基本的には法人が稼いだ所得というのは株主なり企業の経営者の所得の形をしていって、そこに累進的な所得税を掛けるのが筋で、法人ベースで掛けるというのは、あくまでも擬制的な段階で掛けるので、本来であれば法人税というのは、それもなるべくスリムな形で減らした方が国際的な競争力の面でも企業にとってはプラスになるんですね。
 問題は、その法人段階で掛けられなくて、掛けないとすると、個人ベースで株主とかあるいは経営者でかなりの所得を稼いでいる人にきちんと税金を掛けられるかどうか、そこの問題があると思うんですけれども、それは所得税の徴税体制の強化の話で、だから、法人税に関しては、所得税とは別の観点として、やはり下げる方向で議論するのが望ましいかなと思います。
 以上です。

発言情報

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発言者: 井堀利宏

speaker_id: 34508

日付: 2015-04-15

院: 参議院

会議名: 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会