国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会

2015-04-15 参議院 全88発言

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会議録情報#0
平成二十七年四月十五日(水曜日)
   午後一時開会
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   委員の異動
 三月四日
    辞任         補欠選任
     難波 奨二君     江崎  孝君
     大門実紀史君     辰巳孝太郎君
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  出席者は左のとおり。
    会 長         鴻池 祥肇君
    理 事
                大野 泰正君
                舞立 昇治君
                森 まさこ君
                尾立 源幸君
                平木 大作君
                藤巻 健史君
                辰巳孝太郎君
    委 員
                金子原二郎君
                関口 昌一君
                鶴保 庸介君
                西田 昌司君
                宮本 周司君
                山田 俊男君
                山本 順三君
                吉川ゆうみ君
                石上 俊雄君
                礒崎 哲史君
                江崎  孝君
                広田  一君
                安井美沙子君
                魚住裕一郎君
                中山 恭子君
                中西 健治君
                吉田 忠智君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        山内 一宏君
   参考人
       慶應義塾大学経
       済学部教授    井手 英策君
       政策研究大学院
       大学教授     井堀 利宏君
       嘉悦大学ビジネ
       ス創造学部教授  高橋 洋一君
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  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関
 する調査
 (「デフレからの脱却と財政再建の在り方など
 経済状況について」のうち、経済の再生と財政
 再建の在り方(我が国の財政事情と財政再建へ
 の取組)について)
    ─────────────
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鴻池祥肇#1
○会長(鴻池祥肇君) ただいまから国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月四日、大門実紀史君及び難波奨二君が委員を辞任され、その補欠として辰巳孝太郎君及び江崎孝君が選任されました。
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鴻池祥肇#2
○会長(鴻池祥肇君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
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鴻池祥肇#3
○会長(鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に辰巳孝太郎君を指名いたします。
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鴻池祥肇#4
○会長(鴻池祥肇君) 国民生活のためのデフレ脱却及び財政再建に関する調査を議題といたします。
 本日は、「デフレからの脱却と財政再建の在り方など経済状況について」のうち、「経済の再生と財政再建の在り方」に関し、我が国の財政事情と財政再建への取組について、参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 御出席いただいております参考人は、慶應義塾大学経済学部教授井手英策参考人、政策研究大学院大学教授井堀利宏参考人及び嘉悦大学ビジネス創造学部教授高橋洋一参考人でございます。
 この際、参考人の方々に一言御挨拶申し上げます。
 先生方には、御多忙の中、本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は、皆様方からの忌憚のない御意見を頂戴をいたしまして、今後の調査の参考にしてまいりたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず、井手参考人、井堀参考人、高橋参考人の順でお一人二十分程度御意見をお述べいただいた後、午後四時頃までをめどに質疑を行いますので、御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。
 なお、発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、井手参考人の御発言をお願い申し上げます。井手参考人。
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井手英策#5
○参考人(井手英策君) 慶應義塾大学の井手でございます。本日は、意見陳述の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。
 本日は財政再建の方向性についてお話をさせていただこうと思うのですが、結論と申しますか、私が一番今日申し上げたいことを先に申し上げますと、財政再建と申しましたときに、立ち所に、歳出を削減するという見解と、あとは歳入を増やす、つまり増税をするという見解とが鋭く対立するようになってまいります。しかしながら、今日申し上げたいと思っておりますのは、その歳出と歳入の関係を考えなければ本当の意味での財政再建は可能ではないのではないかということでございます。
 早速でございますが、中身に入らせていただきます。
 まず最初に、このスライドを御覧ください。(資料映写)これは、X軸の方に労働者の中で公務員が占める割合を示しております。Y軸の方が一般政府、つまり政府の歳出の規模を見たものでございます。一目見て御覧いただけるかと思うのですが、公務員の割合で見ても政府の規模で見ても、日本というのは実は非常に小さな政府であるということをまず御確認いただきたいと思います。
 これまで、財政の議論では必ず、何が無駄か、何を節約するかということを議論してきたわけでありますけれども、そもそも削る余地というのが非常に小さいということ、歳出削減だけで本当に財政再建ができるかということを考えなければならないということをここで指摘したいと思います。その上で、いわゆるワニの口と呼ばれる図で皆さん御存じのとおりだと思いますが、決定的に不足しているのは税収であるということ、したがいまして財政の規模を考えるのと同時に税収が小さいということを考えなければならない、こう思うわけであります。
 それと、日本の増税の歴史を簡単に振り返ってみたいと思います。
 これは大変驚くべき事実なんでありますけれども、実は日本の増税というのは必ず減税とセットにして実施されてきました。つまり、減税を実施するためにはお金が必要で、そのお金を求めるために増税をするという組合せをやってきたのであります。言わば減税のために増税をするという非常に不思議な国でありまして、この始まりは七四年の二兆円減税なのですが、このときは法人税の増税とセットになっております。少し飛ばしまして八四年、この所得税の減税も法人税の増税とセットになっております。八九年、消費税の導入も所得税、法人税の減税とセットでありました。九七年の消費税増税がございましたが、これは九四年以降の所得税減税の代替財源でありました。
 したがいまして、基幹税、法人税、所得税、消費税の中のこの三つの税の純増税ですね、いわゆる増税を実施したのは八一年ということでありまして、実は今回の消費税の増税は三十数年ぶりの増税であったということであります。
 これほどまでに増税ができない国で財政が健全化するわけがそもそもないわけです。とするならば、私たちはそもそもの問いを変えなければいけないのではないかと思います。何が無駄か、何を節約するかということではなくて、なぜ日本ではこんなに増税が難しいのかということを考えなければならないと思うわけであります。
 増税のできない社会について、少し考えてみたいと思います。
 国民が増税を受け入れるとするならば、私は三つの条件が必要になるのではないかと思います。一つ目、他の納税者が自分と同様に納税義務をきちんと果たしているという信頼、つまりほかの人もちゃんと税金を払っているという信頼ですね。そして二つ目に、政府は責任を持ってきちんと税を集め、かつこれを適切に使用しているという政府への信頼。そして三つ目に、過去の人、例えば高齢者世代なんかがそうだと思いますけれども、過去の人たちはきちんと意味のある正しい借金をしてきたという信頼。このような信頼がなければ、人々は増税に対してノーと答えるのではないかと思います。
 したがいまして、租税抵抗が強い、税に対して反対する人が多い社会というのは、そもそも社会や政府に対する信頼感が弱いのではないのかということが予想されるわけであります。
 そういうことを頭に置きまして実際のデータを見てまいりますと、これはピュー・グローバル・アティチュード・サーベイというものから引っ張ってきたんですが、右側の、何色というんですかね、桃色というか、その色が付いている右側の色の方が人間は信頼できると答えた人の割合になります。
 実は、これ地域ごとに分かれていますが、アジアの中で最も社会に対する信頼度が低いのは日本であります。この四三という数字を御記憶いただきたいのですが、例えば他の先進国、カナダであれば七一、アメリカであれば五八、下に行きまして、ヨーロッパ、スウェーデンが七八ですかね、イギリスが六五、ドイツ五六、フランス四五、そして日本と同じ四三、スペインと来ます。そして、唯一日本より低いのがイタリアということであります。
 一つ面白いと思いますのは、この社会を信頼しない人々の多い三つの国、日本、スペイン、イタリアはいずれも財政赤字に苦しんでいる国だということであります。
 異なったデータを見てみましょう。次のスライドを御覧ください。
 これは別のデータからまた持ってきたものですが、社会の人々は信頼できますかという問いに対して、信頼できると答えた人の割合を示しておりますけれども、いわゆる先進国の中で日本は最も、信頼できると答えた人々の割合が少ない国であります。
 ここで、試みにX軸の方に信頼できると答えた人の割合を取ってみまして、Y軸の方に税収がGDPに占める割合を取ってみました。この図が意味しているのは、明らかな右上がりの関係があるということであります。すなわち、信頼度が高い国ではたくさんの税を集めることができ、信頼度の低い国では余り多くの税を集めることができないという関係があるということであります。
 それともう一つ、税を集められない国というのは、当然のように小さな政府になってまいります。財政の規模が小さくなってまいりますが、その小さな政府であるということは、すなわち格差の大きな社会であるということをこの図は示しております。X軸の方に不平等の改善度を取り、Y軸の方に政府の財政規模を取るわけですけれども、この中でこれまた右上がりの関係が出てくる。すなわち、政府が大きければ格差は当然ながら改善されると。
 ですので、予想されることは、信頼が低い社会というのは、税収が少なく、かつそのことによって政府規模が小さくなり、そして格差も大きくなるのではないのかということであります。
 これを念頭に、日本の財政がOECDの中でどういう位置にあるかというものを見てみたいと思います。
 左側、これは給付、支出を通じた格差の是正効果を見ております。右側は、税を通じた格差の是正効果を見ております。左側は、貧しい低所得層に対して給付をしていけば格差が小さくできるという財政の役割でありまして、右側は、富裕層に税を重たく掛けることによって格差を小さくしていくということを示すものであります。この左と右の二つの図を御覧いただいて分かることは、日本の財政というのは極めて再分配の効果が弱いということであります。
 私たちはなぜこんなに再分配の弱い財政をつくってしまったのか、このことについて考えなければいけないと思うのですが、そのことを考える上での大きなヒントが、先ほど申し上げた人間に対する信頼度であります。
 例えば、低所得層に対して手厚い給付を出したときに、その人たちが無駄遣いをする、あるいは本来の趣旨とは違う使い方をするという不信感を持っている社会であれば、当然のことながら低所得層に対して給付を行うことに反対するのではないでしょうか。あるいは、税も同じです。人々が脱税をする、人間は正しく税を納めないと考えるような社会であれば、あらゆる人々がフラットに税を払い、誰もが逃れることのできないような消費税のような税を求めるかもしれません。いずれにせよ、信頼が弱いということとこのような財政をつくったということの関係というのは、私たちは真面目に考えなければいけない問題だというふうに私は思っております。
 では、更に問いを先に進めていきたいと思います。
 なぜ、私たちの社会はこれほどまでに信頼度が低いのか。今日はたまたま社会に対する信頼度をお示ししましたが、政府に対する信頼度というのもあります。ちなみに、この政府に対する信頼度も先進国で最低なのが日本であります。
 このように人を疑うことが合理的な社会、それはどこからきているのか、私は三つあると思っています。
 一つは、皆さん御存じのような雇用の不安定化、所得の歴史的な低下によって中間層の平均所得が下がっていき、この中で低所得層に対する寛大さが失われていっている中で、なるべく低所得層に対する給付を減らしたいという人々の気持ちが低所得層に対する批判につながっているという側面があるのではないのかと思います。
 二つ目、これは後で具体的な数字をお示ししますが、財政が個別に利益が分断されておりまして、それぞれの既得権益が明確なため、自分の予算を削る前に人の予算を削れというようなプレッシャーが加わる。したがって、人を疑うことが合理的な財政になっているのではないのか。
 そして三つ目、財政ニーズが満たされておらず十分な受益感がないために、そのことによって人々を疑い、自分の取り分を増やそうとすることがあるのではないのかと。
 こういうふうな仮説のようなものを立てながらデータを見ていきたいと思います。
 所得水準の低下というのは、もう皆さん御存じのとおりです。ピーク時の九六年と比較しますと、世帯所得が約百十万円程度下落しております。平均的な世帯所得が百十万円落ちるだけではなく、加えて、専業主婦世帯と共稼ぎ世帯、共働き世帯の比率が逆転しておりますので、二人の人が働きに行くようになる中で所得が二割近く落ちてしまったというのがこれまでの経緯ではないかと思います。
 消費税の前回の増税の先送りをめぐっていろんな議論がありましたけれども、名目雇用者報酬が増えているか、いやいや、そうではなくて実質で見ると減っているではないかというような様々な議論がありましたが、数%所得が増えたということでは取り返しが付かないぐらい、二割に近い大きな所得の下落が、落ちているということを考えなければいけないと思います。
 この中で、中間層がそもそも低所得層に対して寛容ではいられない社会、まずは自分のことを考えなければいけないような社会が生み出されているということが一つあるのかと思います。
 二つ目、これは意外と言われないことでありますが、日本の財政ほど個別の誰かの利益になっている財政というのはございません。
 これ、意味がちょっと分かりにくいかもしれませんが、例えば公共事業といった瞬間に、地方や低所得層の利益だと人々は考えます。あるいは、障害者医療といえば当然障害者。中等・高等教育というふうに、高校、大学の教育といったときに、授業料が免除されるのは貧しい人だけだ。あるいは、育児、保育も、都市の共稼ぎ世帯の場合は入れてもらえるんだけれども、専業主婦だと保育所に入れてもらえない。生活保護や児童手当、障害児福祉手当など、これはもう当然低所得層の利益になっており、中小企業金融やあるいは農家に対する所得補償やという形で、日本の財政というのは全てが分断され、個別の誰かの利益になっております。
 例えば医療費がただであるといったときには、それはあらゆる国民にとって利益になるわけです。大学の授業料が無償化されるというときには、例えばあらゆる国民の利益になるわけです。しかし、そうではなく、日本の財政の場合は個別の誰かの利益になっておりますので、その中で財政赤字が大きくなる文脈の中では、誰が無駄遣いをしているのか、どの給付が不必要なのか、そのようなことを暴露し合うような、むしろ人間の不信を助長するような政治が主流になっていくということではないのかと思います。
 財政ニーズの問題ですが、近年、日本の社会保障は少しずつGDPに対する割合を上げてきております。しかしながら、この赤丸で囲まれている部分、すなわち高齢者のメリットとなるようなサービスと、青の丸、現役世代がメリットを受けるようなサービスの間に大きな差が出ております。この違いというのは極めて決定的な違いになっておりまして、今の日本の社会支出は、主な受益者たる高齢者とほとんど受益感のない現役世代の間で対立を深めるような形になっています。このことも社会の不信感につながっていくものと思います。
 やや難しい図なのですが、これは青と赤、この青と赤は国民の負担率を示しております。この国民の負担率から、私は試しに医療や教育、社会的保護というような、あらゆる人々が必要とするサービスの受益を引いてみました。負担から受益を引きますと、純粋な負担率というものが見えてくるかと思います。これを見て驚きますのは、日本と北欧諸国はほとんど純負担率が変わらないということです。すなわち、非常に大きな税負担にややもすれば苦しんでいると言われる北欧諸国でありますが、同時に、極めて受益感が大きいために、かつあらゆる人々が必要とするような受益感が大きいために、実質的な負担率は低くなっているということでございます。
 その結果、どうなるかといいますと、次のスライドを御覧ください。中間層の税負担をどう思いますかという質問に対して、日本よりもスウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク、いわゆる高福祉高負担の国々の方が税を軽いと思っている人々の割合が大きいということになってまいります。すなわち、日本人の強い租税抵抗の理由の一つというのは、受益感に乏しいこと。しかも、それは個別の利害ではなく、あらゆる人々が必要とするであろう利益が少ないということによって説明できるのではないかと思います。
 その典型が今回の消費税論議でありました。平成二十六年度の予算で約五兆円の財源が新しくあったというふうに言われましたけれども、その中で新しく社会保障が充実されたのは僅か〇・五兆円であります。〇・五兆円の社会保障のために五兆円を取られたということ、このことに対する国民の租税抵抗が今回の増税の先送りの理由の一つではないか、こういった議論がほとんどなされなかったことに対して私はやや違和感を覚えております。
 実は、格差を是正するというときに、大きく言って二つの方向があるということが意外と知られておりません。私たちが普通、格差を是正するといいますと、まず所得制限を付けて、そして貧しい人にお金をあげる。これをもって格差が是正できると私たちは考えがちなのではないでしょうか。しかし、実はもう一つ再分配の方法があります。それは何か。所得制限を付けずに、あらゆる人々に対して現物給付を与えるという方法であります。実はこういった再分配の方法があるということを日本の中では余り議論されません。
 その中で、しかし、これは二つとも再分配の効果を持つのですが、重要な違いがあります。前者は特定の人々を受益者とし、中間層以上を負担者としてしまうために所得階層間の強い対立を生み、中間層の租税抵抗を生むということであります。一方で、後者はあらゆる人々が受益者となりますので、中間層が低所得層や他の人々を批判する必要がなくなります。
 したがいまして、信頼が高い、人々を信頼する国というのは、この所得制限を伴わない現物給付の領域が広いということになります。言わば、やや象徴的に申し上げれば、誰かの利益ではなく、人々が必要とする人間の利益について考えていかなければならないということであります。
 これちょっと英語で申し訳ありません、口頭で申し上げますが、実は現物給付、これ、上の方のQ1、Q2というのは所得階層を示していまして、Q1、Q2の方が貧しい人々の層ということになります。現物給付をあまねく人々に提供しますと何が起きるか。一番上のエデュケーション、その下のヘルスケア、つまり、教育や医療を幅広く人々に提供していくと非常に大きな格差の是正効果があるということがこのデータによって分かります。それと、赤では囲っておりませんが、もう一つ、ECECという、これ就学前の教育、育児、保育ですね、ここをあまねく人々に提供していくことによって大きな格差是正効果を持つことも知られております。
 次のグラフは、X軸の右に行けば行くほど今申し上げた現物給付、人々に現物給付、サービスを提供する割合が大きくなることを示しております。そうすると、先ほどの表を証明するかのように、明確に所得格差は是正されてまいります。
 そしてもう一つ、現役世代と高齢者の間の受益のギャップが大きいということを申し上げましたが、X軸、これは現役世代向けの社会保障を示しておりますけれども、今の現役世代に対する社会保障が薄い国は貧困率が高いというデータも出ております。
 したがいまして、日本というのは、まさに、税が少なく人々をなかなか信頼できることのできない国であり、かつ給付面でも、高齢者に対して手厚く現役層に対して手薄い、その結果として、格差も大きくなり貧困率も大きくなっているという現状がおおよそ説明できるのではないかと思います。
 財政再建をどうすればよいのかということを考えるときに、歳出を削ればよい、あるいは歳入を増やせばよいというふうに議論するのではなく、歳出の中身を組み替えていくことによって中間層と低所得層の対立をなくし、現役世代と高齢者の対立をなくしていくことができます。そうすることによって、社会への信頼度を高めていく中で増税への合意形成を図るということが大事なのではないかと思います。
 最後に一点だけ、このように申し上げたときに必ず出てくるであろう反論が、政府の規模が大きくなれば財政赤字が大きくなるのではないのかという心配であります。それが最後の図でありまして、X軸に一般政府の歳出の規模を取り、つまり財政の大きさを取り、Y軸に借金の大きさを取っております。この双方には何の関係もないということが統計的な結果であります。
 したがいまして、政府を大きくすれば財政赤字が大きくなるということでは決してない。むしろ、その中で人々の信頼を育み、租税への合意を整えていく中で増税の可能性を強め、そして財政を再建していくというのがあるべき方向性ではないのかと私は考えております。
 以上でございます。
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鴻池祥肇#6
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、井堀参考人にお願いいたします。井堀参考人。
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井堀利宏#7
○参考人(井堀利宏君) 政策研究大学院大学の井堀です。よろしくお願いします。
 それで、私のレジュメは財政健全化と世代間公平ということでして、主に世代間公平の話を中心にさせていただきます。(資料映写)
 それで、参議院は、やっぱり衆議院と違って中長期の視点で議論ができるところだと思いますので、解散もないし、任期も六年ですから。私の今日の話というのは、今の日本の財政健全化のシナリオというのは、二〇二〇年にプライマリーバランス、基礎的財政収支の黒字化、均衡化を目指しているわけですけれども、それを実現するのもなかなか大変だということなんですが、問題は、やはり二〇二〇年以降、二〇二〇年を超えたもう少し中長期の視点で日本の財政健全化なり世代間の公平の話を考えないと将来大変なことになるので、そういった問題は早めに手を打たないと、二〇二〇年を過ぎて非常にその状況が厳しくなってから慌てて対応するのでは間に合いませんので、今からきちんとした対応が必要なのではないかと、そういう視点で、少し中長期の話を中心にさせていただければと思います。
 それで、内閣府が出された、御存じのように、二月に出された試算では、二〇一五年の基礎的財政収支半減、それから二〇二〇年の均衡化自体も自然体でいくとなかなか大変だという議論は出ておりますし、その背景には、生産年齢人口の減少あるいは経済成長率がだんだんと低下しているということがあるわけですね。一方で社会保障需要が増えるということなんですけれども。
 それで、この図は、経済同友会が最近試算した図、試算ですけれども、このAというのが、二〇二〇年でプライマリーバランスの黒字化を達成するのにどの程度経済成長率が必要で、かつ社会保障の削減がどのくらい必要かという、そういうシナリオですね。Aが一番厳しくて、経済成長率が高くてそれから社会保障を抑制できれば何とかなるというのがAで、CとかDというのは、経済成長率がそれほど高くなくて社会保障の抑制が進まない場合はどうなるかという、そういうシナリオなんですが。
 この四つのシナリオ、どれを見ても基本的に、要するに経済成長率が相当高くてかつ社会保障を自然増に比べてかなり切り込んでいくと、やっとその二〇二〇年の段階でプライマリーバランスがまあ均衡する、あるいは対GDP比で見た公債残高は減少するという、そういう話なんですけれども。
 これは公債残高の増加の図ですが、これで一番下のところの減少しているのは、基本的にかなり厳しく財政を締めて、財政ということは社会保障です、社会保障を締めて、かつ経済成長率が高い、そうでない場合は発散するという、こういうシナリオなんですが。
 ただ、いずれにしても、これは、シナリオ自体はどのくらいの経済成長率を見込むか、それからどの程度歳出削減できるかということに関しては幾つかの想定を置けばこういう計算はできるんですが、問題は、こういった計算は基本的に二〇二〇年の政府の今の目標、二〇二〇年の段階で基礎的財政収支の要するに均衡を目指すのにどのくらい大変か、あるいはどの程度の経済成長率が必要かということを計算しているわけですね。常識的に考えると、経済成長率が三%ぐらいの高めの成長率でも、消費税が今のままで、八あるいは一〇のままだとなかなか大変だというグラフなんですけれども。
 問題は、やはり二〇二〇年以降の方がもっと厳しいんじゃないかと。何が重要かというと、やはり二〇二〇年というのは御存じの東京オリンピックが開催されますので、東京オリンピックが開催されるということは、それまでは何とか日本社会も頑張れるんじゃないかと思うんですよね。問題は、大きなイベントが起きるということは、それが起きた後その達成感が、終わった後はその反動が来ますので、そうすると、二〇二〇年、東京オリンピックが開催された後は、結構消費意欲とかいろいろなその経済活動の意欲も反動が来てマイナスになる可能性があると思うんですね。
 ギリシャが経済危機に直面したのは実はギリシャがオリンピックを開催した後なんですよね。大きなイベントの後というのはどうしても国民全体が疲れますから、そこでの反動が結構厳しいと。それから、それを差し引いても、経済成長率の中長期的なトレンドで考えますと、やはり生産年齢人口がこれから減少してきますので、日本の貯蓄率も下がりますから、日本の技術進歩が相当これから増えない限りは、自然体で計算すると、二〇二〇年代になると日本の経済成長率はマイナスになる可能性が高いと思います。
 これは、どのくらいそのイノベーションで、その日本の労働人口の減少あるいは資本蓄積の減少をイノベーションでどのくらいカバーできるかということなんですけれども、これは常識的に考えると、今のアメリカのアップルとかそういった先端的な企業がいろんなイノベーションを出していますけれども、そういったものを上回るようなイノベーションが日本で二〇二〇年代に出てくればまだ希望はあるんですけれども、客観的に見てこれは非常に厳しい状況ですよね。
 そう考えると、日本の経済成長率が中期的にマイナスになるとすれば、これは、現在の日本の政府の試算というのは、同友会もそうなんですけれども、プラスの経済成長率で伸ばしている試算しかやっていませんが、二〇二〇年まではそれで何とかなるかもしれませんけど、二〇二〇年を超えるとそこは結構厳しいんじゃないかと、そこの心配があります。
 それから、もう一つは社会保障需要ですけれども、今、団塊の世代が六十代後半ですから、七十代後半になるのが今から十年後なんですね。二〇二〇年代の中盤というのは、その団塊の世代が七十五歳を超えていわゆる後期高齢者になります。後期高齢者になると、御存じのように医療費が急増します。医療費の急増というのはこれからの日本の社会保障の需要では大きな問題で、医療は、これはその人の健康なり生命に懸かっていますし、これなかなか切るのが難しい、御存じのように。医療費の削減は年金の削減以上に困難ですけれども、これが二〇二〇年代の中盤には非常に大きな問題として掛かってきます。これをどうするか。
 それから、社会資本の維持更新も、これはもう御存じのように、東京オリンピックのときに整備した社会資本が五十年たってだんだんと更新の時期を迎えますので、社会資本ストック全てを更新する必要はないにしても、当然これは更新需要がこれから増えてこざるを得ないと。
 それから、最後の、エネルギー資源も、これは福島の例もありますが、いずれにしても、原子力をどのくらい利用するかということは一つの大きなイシューですけれども、日本のエネルギー資源、これから安定的に供給できるためにかなり厳しい状況がこれからあるわけですね。最近ですとCO2削減でいろんなキャップがこれから掛かりますけれども、これを日本が再生可能エネルギーだけで達成できるかどうか。これは非常にコストが掛かりますし、現在はたまたま原油価格が下がっていますからエネルギーのコスト面での制約は余り表面化していませんが、ずっと石油価格が低位で安定するとは限りませんから、いろんな中東情勢もありますし。その意味では、エネルギー資源の安定供給あるいはコスト面からの制約というのも非常に中期的には無視できない。
 そうすると、二〇二〇年以降どうするのかというのが大きな課題になります。これは、要するに財政再建を、あるいは財政健全化を進めるときの一つの価値判断として、現在の財政状況、あるいは現在の経済状況、あるいは現在の人々の生活環境と、二〇二〇年以降の将来の人の経済環境、あるいは生活環境、どちらが良くなるのかという価値判断だと思うんですね。
 今よりも将来の方が経済環境が良くなるんだったら、まあ今からそんなにぎりぎり財政再建する必要はないわけですね。要するに、将来の方が良くなるんだったら今はむしろ借金した方がいい。これは、昔も高度成長期に日本が借金をして、いろんな社会資本、有益な社会資本を整備して高度成長をしてきたということはあるわけですけれども。いずれにしても、将来の方が良くなるんだったら無理に財政再建する必要はないんですけれども、逆に今よりも将来の方が厳しくなるんだったら早めに財政再建をしないと将来の人が苦しくなるだけなんですね。
 だから、その財政再建をどのくらいやるかどうかというのは、現在と将来の経済環境のどちらがよりいいのか悪いのかという価値判断に懸かってきているので、ここの評価が重要だと思います。私は、もう現在よりも将来の方が、特に二〇二〇年代以降の方が厳しくなると思っていますので、その意味でも早めに財政再建に手を着けた方がいい。
 この問題は、将来が良くなるということは、常に政治の世界では将来に対して明るい展望を描かないとこれは政策できませんから明るい展望を描くんですけれども、それが楽観的過ぎると結果としてこれは失敗するわけですね。アベノミクスは楽観的過ぎる期待をより現実に合わせようとして今頑張っているわけですけれども、そうはいっても、これがうまくいくかどうかというのは中長期的視点ではなかなか分からないと。今、金融政策にちょっと偏り過ぎていますので、成長戦略がうまくいくかどうかというのは今後の課題だと思います。
 このときも、問題はやはり情報の非対称性で、幾ら政府、あるいは財務省、あるいは国会の皆さんの方で財政再建の必要性を言っても、国民の方がそれをなかなか信じてもらえなければ、先ほどの井手さんの話じゃないですけど、増税の国民の合意も出てこない。ただ、これは三党合意と政権交代を受けて、かなりの程度、財政状況の深刻さに関しては国民に共有できていると思います。ただ、まだ完全ではないと思いますけれども。
 問題は、そのときに、やはり受益と負担の乖離が起きて、特に将来への負担の転嫁というのが起きていますので、将来世代は政治的な決定に参加できないので、どうしても現実の政治の世界では政策決定の視野が短期化すると。特に、衆議院は二年で選挙やっていますからどうしても短期化するわけですが、参議院は六年ありますのでやはり中長期的な視点で議論できるのではないか。
 それから、消費税の話なんですけれども、消費税の増税自体はメリットとデメリットが当然あって、増税自体はその時点で負担増なんですね。問題は、消費税というのは駆け込み需要とその反動減があって、これが一番大きくて、特に耐久消費財の住宅とか車は消費税のコストが大きいわけですから、消費税が引き上げる前に駆け込み需要があって、それが終わると反動があるわけですね。こういった駆け込み需要と反動というのは経済に対する攪乱効果なので、これは非常にまずいので、なるべくそれを平準化する必要があるんですけれども。
 それを平準化したとして、消費税自体は現在の増税なんですが、消費税を増税するとすると、ほかの条件は一定であって消費税を増税すれば、その分だけ財政状況は良くなるわけです、消費税増税しない場合に比べると。ということは、将来の増税圧力を小さくするわけですね。だから、現在の消費税の増税というのは、将来世代から見るとプラスになるわけですね。逆に言うと、現在の消費税を増税しなくて、その分、仮に消費税を将来増税するとなると、消費税は将来の人にとって大きな負担となるので、要するに、現在の増税と将来の増税の負担のどちらがいいかという話で、これは現在と将来のマクロ環境のどちらが厳しいかという話なんですね。
 だから、現在の消費税を上げることが非常に大変だということであってそれを先送りするということであれば、むしろ将来消費税を上げることが、いずれにしても消費税を上げるのは負担ですから、将来の消費税を上げることに関して、これ非常にその負担が大きいということをどう配慮するか。要するに、現在と将来のマクロ環境がどっちが厳しいかに応じてどちらを重視するかというのが決まってくるんだろうと思います。
 もう一つは、二〇二〇年代に財政状況が厳しいと言ったんですけれども、財政状況は、仮に持続可能であって、つまり財政状況が、基礎的財政収支が二〇一〇年代以降になってある程度黒字化されたとしても、だからといって、実は社会保障制度の面での世代間の不公平は残ります。
 これは何かというと、賦課方式だからですね。賦課方式というのは現役世代が将来世代を支えるわけですけれども、そこでの収益率は人口成長率ですから、人口が減少している世界で賃金が上がらない世界では、財政が均衡しても若い世代ほど損をするわけですね。要するに、若い世代というのは、人口は減っていますから、一人当たりがたくさんの負担をして、自分が高齢になったときに若い世代が更に減っていますから、負担が増えないとすると自分が高齢になったときに給付が増えない。ということは、若い世代ほど財政が均衡化しても賦課方式というのは実は問題が大きくて、そこを何とかしないと日本の社会全体の安定感というのは維持できないと思います。
 これは、社会保障給付の既得権への対応で、いわゆる中高年世代の既得権を削減するしかない。これ早めに削減しないと意味がないんですけれども、問題は、特に年金がそうなんですけれども、受給は権利なので、権利であるとその削減は非常に困難なわけですね。要するに、高齢者は年金を払っていますから、若いときに。そうすると年金をもらう権利があるので、その年金の給付を削減するというのは御存じのように政治的には非常に難しい。そこを、ただ、克服しないと日本の財政の健全化は中長期的には無理です。
 どう克服するかなんですけれども、これは難しいんですが、理想の方法はやはり個人勘定の積立方式を早めに入れる必要があると思います。今、NISA等でいろいろ入っていますけれども、やはり若いときから自分の老後の年金を個人勘定できちんと積み立てて、それを老後の年金や自分の生活に充てると。ただ、八十を過ぎて生存のリスク、自分がどのくらい長生きするか分からないということに関してはきちんと賦課方式の公的年金でカバーすると。ただ、それまでの元気な六十代から八十代ぐらいの前期高齢者の方については、自分の自助努力でやる部分をこれから増やしていく、いきなり変えるのは難しいですけれども、その方向に踏み出していかないともたないだろうと思います。
 要するに、個人勘定の積立てを入れるというのは、医療の場合もそうなんですけれども、やはり若いときから積立ての資源を準備しておくということが必要だと思います。
 それから、これはある程度、ちょっと絵に描いた餅のような話なんですけれども、個人勘定の積立方式に移行するのが非常に難しいとすると、私が個人的に主張しているのは、賦課方式で個人勘定を入れると。これはどういうことかというと、年金でやると、報酬比例部分に関してもう個人勘定化して、要するに、勤労世代が払う保険料が直に自分の親に行くような、そういう形にするということです。これはどういうことかというと、親と子の間のトランスファーという形で世代間の再分配ができれば、親と子の関係に関しては、お互いに経済状況はよく分かっていますから世代間の対立が余りぎすぎすしないんですね。
 今の公的年金というものは、若い世代から政府を通して、それから高齢者に一律に配っていますから、もらう方は政府からもらうのでとにかくたくさん欲しいと、出す方は政府に出すのはもう嫌だといって、そこで世代間が対立するわけですけれども、基本的には若い世代が自分の親を支えているわけですから、自分の子供が自分の親をというミクロの関係でリンクしているような形にすると、お互いにぎすぎすしなくなって世代間も克服されると、これが個人勘定賦課方式です。
 そうすると、要するに、親から見ると、自分の子供がちゃんと稼がないと年金が入ってこないので、自分の子供をちゃんと育てるインセンティブがあると。これは、ある意味で子の虐待対策あるいは少子化対策にもつながるわけですよね。子供をきちんと育てて、ちゃんと子供が収益を上げれば親はそれを回収できると。
 今の世代間の大きな問題というのは、親が子供をちゃんと教育してもその対価を回収できないんですね、社会保障で全部やっていますから。その対価をある程度回収できるような、そういうミクロのリンクを付けるということで、結果として少子化対策にもと。これは医療にもある程度適用できて、医療の場合、例えば高齢者の医療費を一割から三割に上げるのは非常に抵抗あるわけですけれども、その上げる二割の分を、例えばそれを自分の子供の方に払う形に変えていくと、これは親子間でシェアする形で高齢者の負担が対応できるようになります。
 そのためには、やはり歳出効率化の環境整備が必要で、イデオロギー対立がなくなり、かつ社会保障が争点になる場合はなかなか難しいわけですね。特に、これから高齢者の方が、今もそうですけれども、政治の交渉力の中心、いわゆる中位投票者になりますから、そうするとますます高齢者の既得権を削減するような対策はできないので、若い人は投票しませんし、それからこの前の地方選挙でも若い人の投票率が下がっていますから、若い人がやはり投票に行く、あるいは若い人が政治に参加できる、そういう機会を増やすことによってより若い人の意見が反映されれば、より歳出効率化の環境整備ができます。
 それから、参政権が今度十八に下がりますけれども、これは非常に有益な話で、若い人の投票率を上げる、あるいはもっと選挙制度を抜本的に変えて、定数是正も含めて、やはり若い人の意向がより政治の世界に反映されるような政治になってくると歳出効率化への環境も整備されますし、あるいは若い世代とそれから中高年世代との政治的な対立もより緩和される方向に行くのではないかと思います。
 以上です。どうも御清聴ありがとうございました。
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鴻池祥肇#8
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 次に、高橋参考人、お願いをいたします。高橋参考人。
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高橋洋一#9
○参考人(高橋洋一君) 嘉悦大学の高橋でございます。
 本日、こうした機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
 私は、デフレ脱却と財政再建ということで、今はインフレ目標二%、それと、あと量的緩和という効果が、就業者数の増加とかGDPの増加などで、消費増税の悪影響を除けばそれなりに効果が出ていると思いますので、それを前提としまして、主として財政再建の話について意見を述べたいと思います。
 私は元役人でして、小泉政権と第一次安倍政権のときに官邸などで経済運営を担当してきましたけど、今日の話というのはそのときの経験に基づくものが多いと思います。
 まず指摘したいのは、私がいたそのときの時代なんですけれど、増税なしでほぼ財政再建ができた、できていたという事実です。その成果を達成するためにどのような考え方があったのかを明らかにしたいと思いますが、ちょっと具体的に言いますと、二〇〇〇年のときに二〇一〇年のプライマリーバランスの回復という目標を立てました。一〇年ですけれど、実際は二〇〇八年に、これは政府で諮問会議に出した資料なんかを見ていただくと分かるんですが、私も作った記憶があるんですが、二〇〇八年に実は財政再建ができていたということです。ただ、その後、リーマン・ショックがあって、結果的にはできなかった。ですから、その意味で、私が言う増税なしでほぼ財政再建というのはこういう意味でございます。
 それでは、ちょっとこの資料に沿って話します。(資料映写)
 財政再建の方法で、二ページ、このページですけれど、簡単に書きました。一番目がデフレ脱却と、あと名目経済成長、二番目が不公正の是正、歳入庁、三番目は常識的な意味での歳出カット、それと四番目は資産売却とか埋蔵金の話です。五番目は増税と書いたんですけれど、これは一から四の後、まあなければないで別に構わないし、実はなしでやったというのは私の経験であります。
 ただ、正直に小泉政権と第一次安倍政権のときの話をしますと、一番目は、正直言って不完全でした。量的緩和はしたんですけどここまでいかない、余りうまくできなかったです。二番目は、実はこれはやろうと思っていたんですけど全くできなかったです。三番目は、これもかなり不完全、これはまあ不完全というか結構常識的な意味での歳出カットで、骨太二〇〇六なんか結構できたので、ここは結構そこそこにはできたかもしれません。四番目が、これは結構できましたね。二十兆以上たしか生み出していると思います。それで五番目は、さっき言いましたように基本的にはやりませんでした。これは、小泉さんが最初に増税なしと、消費税は自分のときは上げないと言い切っちゃったんですけれど、それの結果です。ただし、その結果でもほぼ財政再建はできております。
 結論的に言いますと、一番は、一のその名目経済成長率がもうちょっと高ければもっと簡単に、完璧にもっと前にできただろうと。先ほど二〇〇〇年で目標を立てて二〇一〇年と言いましたけれど、これ、もうちょっと名目成長率が高ければ多分二〇〇六年とかそこの辺りにできたような私の印象であります。
 次に、順次進めていきますけれど、最初に、まず日本の財政状況というのをちょっと把握しておこうと思います。私の把握の仕方はちょっとマーケットからなので違うので、ある意味で、財政当局が財政状況を悪いと言うのとは全く違う答えをちょっと用意しておりますけれど。正直申しますと、十年ぐらいのスパンで財政再建する必要性というのは私もいつも認めておりますけれど、それを急に行おうとするとかえって財政再建自体ができなくなるという話をしてみたいと思います。
 この数字は、これクレジット・デフォルト・スワップというんですけれど、これは先進各国で財政状況がどのようなものかということを実は表しておりますが、これの数字が一つの参考になります。これは、各国政府が発行している国債がありますよね。それが、それで政府が破綻したときに国債の損失をどのようにカバーするかというための保険料であります。ですから、その意味で、この保険料が高いところは危ない。これは危険度に応じて実はマーケットで取引されていますので、ある意味で危険度をよく表しています。格付なんかよりはるかにこちらの方が信用性があります。
 この数字をちょっと見ますと、ギリシャ、これは二七%です。私、二年ちょっと前にここに、ギリシャのときは、実際破綻しているときはこれは実は一〇〇%ぐらいになりました。これは、その意味では結構数字は正直であります。これ、それぞれマーケットの取引ですから、保険の受け手と出し手で両方でネゴしてやりますから、そんなにでたらめな数字はできません。ただし、数年間で大きく動くという可能性はあります。
 次見てみますと、G7の方であって、次にイタリア、これは一・〇、ちょっと落ち着いています。ちょっと前までは、一、二年前まではもう六%とかそのぐらいまで行っていましたけど、今は落ち着いておりますね。フランス、〇・三九、これもちょっと落ち着いています。ちょっと前は二%ぐらいまで行っていたんですかね。日本、これは〇・三五、これ実は結構ずっと落ち着いているんです。一時、大震災のときに高くなるんじゃないかと言われていたんですけど、ほんのちょっと高くなってすぐ戻っちゃう。すごく高くなっても一%を超えるというのは余りないですね。ドイツが〇・一七、イギリスが〇・二一、それとあとアメリカが〇・一八という感じになっています。
 ちなみに、ギリシャというのはよく破綻する国です。過去二百年間を見ると、百年間デフォルトだったという。ですから、そういう意味では破綻常習国です。ですから、その上で、これは、そういう意味ではよくもうそれを反映していると。過去のトラックレコードなんかを反映したりしてこの数字も決まってくるというところもあります。
 この数字を、ちょっと数字を言ってもイメージがしにくいと思うんですけど、これは本当は、正確に言うと、結構細かい話が出てくるんですけど、ちょっとアバウトなイメージであります。この数字を見ますと、先進国では多分百年から二百年で一回程度のデフォルトというレベルです。その意味では非常に確率は低いというところであります。
 この数字を見る限り、日本の財政状況というのは、日本経済の潜在成長率とか今までの破綻しなかったという歴史とか、それとあと、後で述べます政府資産の話とかそういうのがあるので、それほど深刻ではない。少なくとも先進国の中でまあ真ん中ぐらいです。悪い方ではないです。ですから、このレベルの話で、こういうふうなファクトというか、に基づいて財政再建を実は私は考えているというところであります。
 一番目のデフレと名目経済成長率の話をちょっとしたいんですけれど、財政再建というのは実は名目経済成長率が高くないと基本的にはうまくいきません。一九六〇年代からOECDの加盟国で、財政再建の成功事例というのはいろんなところで研究をしておりまして、失敗事例も研究しておりますけど、そのときに見ると、ほとんど例外なく名目経済成長率が高い方が圧倒的に成功します。小泉政権と第一次安倍政権のときには、実は経済成長によって、ほんのちょっと歳出削減しましたけど、プライマリー収支というのを大幅に改善しております。
 これがちょっとそれの表しているやつなんですけれども、これ、過去、一九八二年からずっと見ているんですけど、これ何を表しているかというと、右軸の方が実はこれは一年前の、一年前です、一年前の名目経済成長率、それで左の軸の方がこれはプライマリー収支のGDPの比です。これそっくり重なっていますね。これ何を意味しているかというと、一年前の名目経済成長率高めればプライマリー収支は何とかなるという話です。
 ですから、それをちょっと使っているだけなんですけれど、こうした事情というのは実は日本だけじゃないです。もちろん国によって、日本はかなり一年できれいにずれているんですけど、次の五ページ目、これはアメリカですね。アメリカの場合ですと、税収の入りとかそういうのがちょっと違って、ちょこっとずれちゃうときがあるんですけど。それと、次がイギリス、結構似ている感じがあります。いずれにしても、名目経済成長率が高くなれば、少なくともプライマリー収支は結構何とかなるという話です。
 それで、最初の日本にちょっと戻ってもらいますと、これ本当は、もうちょっと経済学者でしたらきちんとしたモデルでやるんですけれど、これはただ単に数字だけでぼんとやっているだけなんでちょっと不確かがあるんですけど、大体アバウトに言うと四、五%の名目経済成長率が出て、あと歳出削減は今までどおりぐらいですね、そのぐらいで実はプライマリーバランスというのは結構達成ができるという話になっております。
 今の現状は、実はアベノミクスの中でインフレ目標二%というのはきっちりしました。これ、もうちょっときっちりさせるためには日銀法改正か何かした方がいいんですけれど、今それ、取りあえずはきっちりしていますね。そこがきっちりしていれば、今の足下は、たまたま消費増税しちゃったんで、ちょっと需要が落ちちゃって物価上昇率は下がっているんですけれど、その話は後でしますけど、そういうのがなければ多分名目経済成長四%というのはそれほど難しくはないと思います。
 ただし、ここで一つ注意をしておかなきゃいけないのは、財政当局の方、中期財政試算というのがあるんですけど、その試算の中身にはちょっと問題があります。どういう問題があるかというと、実は、日本のCPI、消費者物価の上昇率とGDPデフレーターというのがありまして、二つ物価があるようなことなんですけど、実はその間には一%の差があると。要するに、インフレ目標の消費者物価の上昇率は二%だけど、デフレーターは一%だと、そういう前提でやっています。
 ですから、そういう意味で、それがあるので、インフレ目標二%でも、政府の方の中の文書をいろいろ見てみますと、実は実質経済成長率は二%、ただしデフレーターが一%で、名目三%でほとんど計算しています。最近は、この中期財政試算をちょこちょこ改訂しているときに、ちょこっとずつ上に、上方修正ちょっとしているんですけど、基本的な考え方としては名目三%というのをやっています。ですから、この中期財政試算の数字を見たりして政府から出てくる試算を見ると、なかなか財政再建はできないようになっています。
 ただし、あれは四%ちょっとでやるとかなりできちゃって、二〇二〇年ぐらいではかなりできちゃいます。そういう意味では、それはちょっと不都合な事実らしいので、四%という計算は絶対にしないです。これは、私が政府の中にいたときも、これずっとおかしいんじゃないかと言っているんですけど、絶対に直さなかったですね。ここの前提がかなり問題だと思います。
 ちなみに、ちょっと数字だけを言いますけれど、一九八一年から二〇一三年までのデータで、先進国で見ますと、消費者物価の上昇率とデフレーターの上昇率はほとんど同じです。その意味ではデフレーターは二%にしなきゃいけないと思います。
 これが財政再建が後から出てくるという話なんですけど、しばしば財政再建のためには増税が必要だという話があるんですが、これは多分間違っております。増収を狙うのが実は正しいです。増収を狙うためには、実は経済成長以外にもちょっとありまして、それが不公平の是正とか歳入庁の話であります。これは税制というよりかは執行の話なんで、法律改正とかそういうのが必要なくてできるんで結構簡単にできる話なんですけど、実は今やっていないということであります。
 七ページの方を見ますと、これで不公平の是正にもなるんですけど、実は余り取り扱っていないです。ただ、この点においては、ナンバー制の話が出ましたので、ここは私は期待をしております。ナンバー制はこのための一歩です。それにさらに歳入庁をやるとかなり良くなる。ただし、歳入庁の話になるとこれは非常に大変ですね。実は、私が第一次安倍政権のときにこれをやろうとしたら、もうはっきり言えば財務省から潰されました。
 それで、これやったら、番号と歳入庁やればどのぐらい増えるかというのは、簡単な推計ですけど、多分保険料で十兆円、それであとクロヨン関係で五兆円で、あと実は消費税のインボイスというのも重要なんですけれども、これをやると三兆円ぐらいで、これで結構な毎年税収が上がってくると思います。
 歳入庁の話は、これは世界で当たり前、八ページ、当たり前の話なんですけど、なかなか実は行われていません。これはちょっと大変でして、ほかの国ではほとんどやっています、こんなの。アメリカ、カナダ、アイルランド、イギリス、オランダ、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ハンガリー、アイスランド、ノルウェーなんかと、これはもうアメリカのホームページ見てもらいますといろんなところでやっているとすぐ分かります。これは世界で、税と保険料が一体的に取り扱うという意味では、結構世界の潮流で東ヨーロッパなんかでもやっています。ただし、これはなかなかやらなくて、財務省が都合が悪いという話があります。
 国税庁というのは財務省の実は植民地になっていまして、その国税徴収権力というのを財務省が手放さないというのが一番大きな理由です。私が、さっきも言いました、第一次安倍政権のときにこれをやろうとしましたときには猛烈に反対を受けました。
 あとは、三番目の、特別というか、常識的な歳出カットの話、あと資産売却の話をちょっとやってみたいと思います。
 これは常識的な話なんでそんなに難しくないんですけど、意外に特別会計はできていないです。実は、これは特別会計の埋蔵金と指摘したのは私が役人のときだったのですけど、諮問会議の方に出しまして、そのとき法律、行革推進法というのを出してもらって、そのときにいろいろな特別会計の改革をやった人から見ると、まだ余りやっていないのかなという感じがあります。
 ちなみに、その行革推進法では、さっきちょっと言いましたけれども、二十兆円ぐらいのお金を出すとか、そういう話は実は書いてあります。そういう話はその後余り行われていないという感じでありまして、特に今、外為特会、これが円安になっていますので物すごくもうかっています。円安ですので、円安で日本で一番の利益の享受者は日本政府だと思います。だから、結構苦しんでいる人がいるのに、何で政府でため込んでいるのかと、そういう話であります。
 あともう一個、労働保険、これは実は失業率が下がっております。失業率が下がっているんですけれども保険料率は前と一緒なので、かなり割高になっています。これは、私は実は年金の数理の専門でもあるんですけど、それから見ても高いです。ですから、どんどんどんどんお金がたまっていく状況です。ここは放っておくと、もういろんな無駄遣いしています。かつて、前の政権のときも随分ここで無駄遣いをしていたというところがありました。ですから、こういう話はちゃんとやらないと、増税の話にはまず行き着かないんじゃないかなというふうに私は思います。
 私、小泉政権のとき、小泉総理の方から言われたのは、増税は国民から求められるくらいになったらやればいいと言われたんですね。ちょっと意味が分からなかったですね。意味が分からなかったんですけど、今考えてみますと、ほかのことをきちんとやれということですね。今、もうちょっと思いますと、これは勝手に私が思っているんですけど、景気が良くなり過ぎて増税の冷や水をくれと国民が求めるぐらいからやった方がいいと。だから、その意味で、さっきの名目経済成長率をきちんと高めるというのが多分正しいんじゃないかと今は勝手に思っております。
 ちなみに、日本の資産、これは突出して出ます。先ほど日本の政府はちっちゃいという話だったんですけれども、資産規模で見ると物すごくでかいです。ですから、とてつもなくでかいので、ここはほとんど金融資産で、実は特殊法人なんかの話なんですけど、民営化すればどんどんどんどん実は減らすことができるし、これはどんどんやった方がいいんじゃないかと思います。どこの国でも、財政再建が大変になるというときには、実は民営化とか政府資産の売却なんかは普通、当たり前です。当たり前ですけれども、実は世界から見ていると、日本はこういうのをやらないからまだ大丈夫でしょうと実は思われているような感じであります。
 最後に、消費税の話、ちょっと時間もなくなっちゃったんで簡単にいきますけれども、消費税の増税について本当に迷言が多かったと思います。実は消費税が軽微であるとか、国際公約に反するとか、消費増税しなかったら暴落するとか、財政再建のために必要だとか、国際的に二〇%、たくさん言われましたけれども、ほとんど当たっていませんね。
 それで、ここではちょっと二点だけ述べますけど、消費税が社会保障目的税ということになっていますけど、これは世界標準からかなりずれています。その前に、消費税の影響は甚大だったということを実はこれは表しているのはこの図です。いいところ行って、ほとんど需給ギャップがなくなるところまで行ったんですけど、消費増税でがたんとおっこってしまいまして、需給ギャップは今十三兆円ほど開いております。これで軽微なはずないです。
 それで、実はこの理由について反動減だという人もいましたけど、反動減と駆け込み需要は実は推測できます。大体GDPの〇・七%ぐらいですけど、今回これで二%ぐらいおっこっていますから全く違いますね。要するに、普通の経済理論ですとこのくらいの予測はできるんですけれど、なぜあれだけ予測が外れちゃったのかと、これは実は議会の方でもきちんと検証した方がいいと私は思うくらいであります。
 消費税の話。
 これは、一番最後に書いてありますけど、社会保障目的税にしている国なんて聞いたことないです。私はこれ経緯をちょっと知っていますけれど、実はこれ社会保障目的税にしようと思って、それは財務省の方で言って、これは最初に、一九九八年の自自公連立のときですけれど、そのときに予算総則に書いていまして、このときは実は小沢一郎さんに話しかけて書いたという経緯がありますけれど、実はそのときに、平成十二年の税制改正答申、これも私も多少関わっていましたけど、そこに書いた文言がこれで、諸外国において消費税を目的税としている国は見当たらないということです。
 実は、普通の理論で考えると、社会保障にするというのはあり得ないです。普通は社会保障は年金で賄うもの、お金の払えない人は実は年金保険料払えません、社会保障の保険料払えませんね。それですから、その人は実は高額所得者から所得税取って穴埋めると、それが原理です。ですから、その意味で消費税が出てくる余地はほとんどなくて、消費税が出てくるのは、安定財源ですから、大体地方の財源であると、地方若しくはそういうふうなところでよくやるというようなパターンが多いです。
 例えばオーストラリアとか、ほかの国なんかでもドイツ、オーストリアなんかで、国、地方というものが消費税を共同税としているとか、そういうのがあります。カナダなんかでは両方、国とその上に地方で消費税を上乗せしていると。アメリカなんかでは、実は国は消費税はなしで地方しかないと。
 そういうことなので、結構分権度が高い国はほとんどが実は消費税というのを地方の安定財源に回しているというところだと思いまして、それは実は、社会保障に回すという形になると国税化になるんですよね。これはもちろん国税化にしたいがゆえに社会保障目的税と言っているんですけど、それはちょっと財政、年金とか社会保障の理論からもちょっと逸脱した話だと思います。
 最後に、消費税の正しい理解を言いますけれど、実は影響は甚大でした。よく考えてくださいということです。
 このときに、これは影響が、私は実は、消費増税したら二〇一四年度の経済成長率はマイナスになるということはきちんと言っていますけど、それがどうして言えなかったのか。普通の経済モデルを使うと、この辺りは簡単に言えます。というか、それがなかったというのが非常におかしいというふうに思います。
 あと国際公約、これはもう安倍さんが答弁しましたけど、全く関係ありません。国債暴落も全然しません。それと、先ほどのCDSのレートでもほとんど上がっていません。実は何にも起こらなかったというのが現状です。
 それとあと、よく二〇%と言われるんですけど、環太平洋の国で見てもらったら、そんなに高い国は余りないです。ヨーロッパは特に高い。ヨーロッパが特に高いのは、いろんな事情があります。
 ということで、時間だと思いますのでこれで話を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
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鴻池祥肇#10
○会長(鴻池祥肇君) ありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 本日の質疑はあらかじめ質疑者を定めずに行います。
 まず、各会派一名ずつ指名させていただき、その後は、会派にかかわらず発言いただけるように整理をしていきたいと思います。
 質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って御発言くださいますようにお願いいたします。
 質疑及び答弁は着席のまま行い、質疑の際はその都度答弁者を明示していただきますようお願いをいたします。
 なお、できるだけ多くの委員が発言の機会が得られますように、答弁を含めた時間がお一人十分以内となるように御協力をお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手を願います。
 西田昌司君。
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西
西田昌司#11
○西田昌司君 自民党の西田でございます。
 三人の先生方、ありがとうございました。
 それで、まず井手先生にお伺いしますが、お話しになったこと、ほぼ私も賛成でして、取って使えと、税と予算の所得再配分機能をもっとやるべきだと、そうすると全体の貧困もなくなるし、経済も安定してきて財政も良くなると、こういうことだと思うんですね。そのとおりだと思うんですが、そのときに、ですから、消費税を上げていくという話もあるんですけれども、私は、そういう再配分ということを考えると、もう少し累進の税率、所得の方ですよね、法人税も含めてやるべきだと思うんですけれども、先生の考えておられるその負担率を上げる場合は、どういう税の、どういう形で上げるべきと考えられているかということを教えていただきたい。
 それともう一点は、先ほど、一番初めのワニの口の絵があったんですけれども、この絵の中で書いていただきたかったのは、実はGDPがこの二十年ずっと上がっていませんよね、リーマンのときは物すごく落ちましたけれども。ですから、財政再建の一番の問題は、実は、その負担率が減ったと、上げなかったということもあるんですけど、もう片っ方、経済政策が間違っていたと。だからGDPが増えなかったと。その一つが、今の要するに給料がどんどん減ってきたということもあると思うんですけれども、その辺の経済政策の誤りを正していかないと、GDP上げないと財政再建もできないと思うんですけれども、過去二十年間のこのGDP上がらなかった理由は、どういう経済政策が間違っていたと考えておられるかということを教えていただきたいと思います。
 それと、高橋先生には、同じ質問なんですけど、まさに小泉政権のときにおられたんですけど、私はどちらかというとあの時代がまずかったと思っているんですね。つまり、GDPが伸びなかったと。実質GDPは伸びたとか言っているんですけれども、結局は名目は伸びなかったし、個人の国民所得自体は給料を中心に減りましたよね。大企業の方にどんどんお金がたまって、それが内部留保でお金が回らない、GDPが伸びなくて、しかも海外に投資を増やしたので雇用も減っちゃうという、いろんな理由があったと思うんですけれどもね。ですから、今考えると、やっぱりあそこの時代にもう少し経済政策として違うことをやるべきじゃなかったのかなというのがあるんですけれども、そこの辺りのことをお聞かせいただきたい。
 それともう一点は、消費税、地方税をおっしゃるんですけど、私はそれちょっと疑問でして、地方税やっちゃうと、要するに東京都にどんどんお金行くんですよね。過疎県には全然お金行かなくなるんですよ。だから、やっぱりそれはちょっと違って、国税で吸い上げて、目的税化するかどうかは別として、交付税の、地方に対する要するに所得再配分ですよね、そういうこともやるべきではないかと思いますが、その辺の御意見。
 それから、井堀先生にはこの個人勘定のやつですね、年金の。それは子供のいない人には年金与えられなくなっちゃうんではないんですかね。その辺のちょっとお考えをお聞かせいただきたい。
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井手英策#12
○参考人(井手英策君) どうもありがとうございます。
 御指摘のとおりで、税をどのように上げるかということを国税と地方税というふうに分けて考えないといけないと思うんですね。そのときに、国税というのは、つまり国の仕事のための税ですから、基本的には生存保障を行っていると思います。それは、困っている人や貧しい人を助ける、そういう視点からは累進性をどんどん強くしていく、国税の中でも累進性を強くしていって、困っている人を助けるという税でいいと思います。
 ただ、他方で、地方の方は生存の保障ではなく人間の生活を保障しているわけですね。であるとするならば、その生活はあらゆる人々にとって必要な生活を保障していくわけですから、累進的にやっていく合理性を失ってしまうわけですね。その意味で、あらゆる人々にフラットに、みんなが払えるような税をつくっていくのがよいと。ですから、ただ、今後は、恐らく人々の生活を豊かにするという領域の方が大きくなっていくと思いますので、ウエートとしては地方税の方が大きくなっていくというふうに私は考えております。
 それと、二つ目の御質問ですが、経済政策の失敗というのは、恐らく今の御質問とは違った意味で私は失敗だというふうに思っています。
 一つは、人々の社会へのニーズが変わっていく中で、財政もそれに合わせるように、例えば教育であれ医療であれ、育児、保育であれ養老、介護であれ、人々の必要に見合ったサービスを出していくべきだったと私は思っています。しかし、そのことが本来であれば実は雇用を生んだはずなのに、ここに十分に対応できなかったことがそういった意味での雇用を生み出せなかったと。そういう意味で問題があったと思うのが一つであります。
 それともう一つ、今教育のことを申し上げましたけれども、そもそも、最近、OECDやIMFのペーパーが明らかにしていることなんですが、成長させるために何が重要かというと、子供への教育投資なんですね。このことが将来の成長率を高めるという研究が次々に出ています。しかしながら、九〇年代以降、教育費というのはほぼ事実上横ばいで来ていると。たまに増えたと思うと、これ公共事業的な意味で増えるんですね。だから、そうではなくて、もっと積極的な教育投資をやって、特に子供に向けてですね、成長率を高めていくという施策が必要だったと思っています。
 ただ、究極的には、人々の生活を財政が保障するということの意味は、成長率が鈍化しても何とか人々が生きていける社会をつくるということであって、成長が停滞するとたちまち人々の生活が危機に陥るような財政になっているという、ここが本質的な問題じゃないかと私は思っています。
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高橋洋一#13
○参考人(高橋洋一君) 一つは、小泉政権のときの話ですけど、量的緩和がはっきり言えば不徹底でありました。二〇〇六年に、まだ物価が上がる前に解除もしてしまったくらいなんで、あれは痛恨の極みでありまして、あのときにもっと徹底してやればと。ただし、そのときに日本銀行と大分やったんですけど、初めてだったので全くできなかった。ですから、その後、全く前に戻っちゃった形になって、その政権以降はもっとひどい緊縮になったと思います。
 それで、結果的に為替は小泉政権のとき百二十円でしたから、その意味では国外に余り投資がしなくて国内の雇用は結構守れたとは思います。
 それからあと、二番目の消費税の話ですけど、私は、地方税にしてそれで共同税にするという話で、共同税の話をちょっと省いてしまったので変な話になってしまったんですけど、一応全部消費税は地方税にして、あと共同税にして配分したらいいと。東京なんかは実はそういう問題がありますので、基本的に配分なしということであります。
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井堀利宏#14
○参考人(井堀利宏君) 個人勘定賦課方式の話なんですが、要するに、基礎年金は全ての人をカバーするんですけれども、上乗せの報酬比例に関しては、それを個人勘定に移行すれば、おっしゃるように、子供がない親はその分での年金はなしという、こういう世界です。そういうことがあるので、ちゃんと子供を産んで育てましょうというインセンティブができると。中長期的にはそれがむしろ効くのじゃないかという、そういう話です。
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西
西田昌司#15
○西田昌司君 ありがとうございました。
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鴻池祥肇#16
○会長(鴻池祥肇君) 続いて、安井美沙子君。
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安井美沙子#17
○安井美沙子君 民主党・新緑風会の安井美沙子でございます。
 今日は参考人の先生方、どうもありがとうございました。
 財政再建のためには社会や政府への信頼感がやはり必要であること、今は中間層が低所得者に寛容でいられない社会になっていること、非常に勉強になりました。それから、北欧で痛税感が意外と低いということも驚きでありました。そういうことを伺った上で、現在、給付付き税額控除というものに対する検討が政府の方で滞っていることが気になっておりまして、このことについてお三人に伺いたいと思っています。
 たまたま、消費税一〇%増税時の低所得者対策として、軽減税率と給付付き税額控除というのを同時に検討すべきである、しなさいということが法定化されているにもかかわらず、低所得者対策として軽減税率を優先的に政府が今検討しているという現状がありまして、一方で、給付付き税額控除というのは、低所得者対策のみならず、先ほどの不公平感を解消するとか、そういった意味でも非常に意義があると思っておりまして、マイナンバー制度の来年の使用開始とともに、もっともっと有効活用しなくてはいけないと思っています。
 特に、先ほど個人勘定の賦課方式なんというものが出てきますと、ますます所得の捕捉とか全ての情報の透明化というものが必要になってきますし、世帯収入の合算ということも今行われておりませんで、例えば新児童手当なども、主に世帯収入を担っている人の収入だけで所得制限が掛かるなど、大変不公平感の多い制度がございます。
 こういったことに鑑みて、給付付き税額控除の検討が現在停滞していることに非常に問題意識を持っておりますが、お三人の意見をお聞かせいただければと思います。
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井手英策#18
○参考人(井手英策君) 今の御指摘は私も全く同意見でありますが、一点だけ注意しないといけないことがあると思っています。ただ、このことはちょっと後でお話しします。
 まず、軽減税率との関係で考えたときに、軽減税率の第一の目標は格差を是正することだと思うんですね。しかしながら、もう既にこれはいろんな指摘があるように、まずそもそも税収の漏れが大きくなり過ぎる。これはもう、ヨーロッパが今一番苦しんでいるのは本来入ってくる税収が入ってこないということですね、軽減税率を設けることによって。それともう一つ、本来であれば軽減税率によって格差を是正できるはずなのに、現実には、軽減税率は、中間層や富裕層も含めて、裕福な人々も含めてその人たちがメリットを享受してしまうという問題がある。ですので、これよく言われることですが、実は言われるほど格差の是正効果は大きくないんだと。
 その意味において、給付付き税額控除に進めていくという方向性は全く正しいと思いますし、軽減税率に偏った議論というのはもっと慎重であるべきだと私も思っています。
 ただ、一点だけ、税を通じて格差を是正するという議論も重要なんですが、ただ、税だけではなくて、税が例えば不平等なものであったとしても、給付を適切に行っていくことによって総合的に格差を是正することは可能ですね。したがって、出すべきものを出すという話と、取るべきものを取るという話を組み合わせた議論というのをもうちょっとしっかりやることが大事だと本質的には思っています。
 以上でございます。
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井堀利宏#19
○参考人(井堀利宏君) 消費税の逆進性対策として今軽減税率の話が出て、それへのもう一つの議論としての給付付き税額控除の話だと思うんですけれども、私も先ほどの井手さんと同じように、軽減税率で消費税の逆進性対策をするのはやはり限界があって、これ自体は、軽減税率を掛けると全ての人にメリットが及びますから必ずしも逆進性対策としてはそれほど効果がない、むしろ給付付き税額控除で対象を絞って弱者の人に集中的に給付をした方が逆進性対策は有効だと思います。
 ただ、これはある意味で原則論なんですけれども、そうはいっても、国民の間で軽減税率に対する評価が税額控除よりも高いのはなぜかと考えてみると、やはりこれは政府なり税務当局に対する信頼の問題だと思うんですよね、井手さんの今日の話じゃないですけど。やはり、政府が税金を取ってそれで給付するということで、ちゃんと弱者に給付が行くのかどうか、むしろそうじゃない人に行くかもしれないと。軽減税率だと全ての人がメリットを受けるので、弱者の人もメリットを受けると。
 だから、これはある意味で逆説的なんですけれども、政府がきちんと情報を管理できて、あるいは誰がどのくらい、所得なり資産の情報をきちんと、マイナンバー制度にしろ、きちんと情報を捕捉できれば、北欧諸国のように全てのプライバシーが政府にオープンになっていれば、これは税額控除の方がはるかに逆進性に対して有効なんですけれども。そうでない状況だと、逆進性対策で税額控除やっても、むしろそれが変な方向に使われるんじゃないかという危惧を国民が持っているとすれば、セカンドベストとして軽減税率でもしようがないのかなという具合に思ってしまうので、これはある意味で、税あるいは政府の予算の、取って使うことに関する信頼度、透明度の問題、あるいはプライバシーをどのくらい国民が政府のために開示すべきかという、その問題とのトレードオフの関係だろうと思います。
 それからもう一つ、軽減税率は本来、軽減税率をやるとすれば、逆進性対策じゃなくて、むしろ駆け込み需要とその反動への備えとして軽減税率は使われるべきで、要するに、逆進性対策だったら税額控除、駆け込み需要とその反動への対策だったら軽減税率、要するに耐久消費財ですね。要するに、住宅や車に対する消費税というのは非常に攪乱効果大きいので、そこに対して軽減税率というのはあり得ると思うんですけれども、軽減税率を逆進性対策として使うというのは本来は望ましくないんですが、問題は、どういう制約の下で議論するかでこれは変わってくると思います。
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高橋洋一#20
○参考人(高橋洋一君) 最初に、軽減税率は、井堀さんと井手さんと同じでして、これははっきり言ってえこひいきの塊ですから、米、みそ、しょうゆ、新聞なんて訳分かんない話になっていますけれど、こんなえこひいきな話するんだったら給付付き税額控除の方がはるかに望ましいというのはそのとおりです。
 ただし、その給付付き税額控除をやるための社会インフラというのをちょっと申し上げたいと思うんですけど、私思うところに実は三つほどありまして、一つは個人勘定、それとあと番号制、それとあと歳入庁だと思います。私は、実はこの個人勘定なんかは二〇〇一年のときから諮問会議の方でずっと提案していたんですけど、ずっと駄目だったんですよね。やっぱり最終的には歳入庁のところに全部行き着いちゃうんですけれど、そこで駄目になるから、そこに行き着く話はほとんど駄目になっていたというのが今までの経験だと思います。
 それで、社会保障の一体改革では歳入庁の話書いてあるんですから、それを多分やるのが一番手っ取り早くていい方向に行くんじゃないかなと思います。こういう形にしますと、あと個人勘定なんか入れると比較的みんなよく分かってくるんじゃないかなというふうに思いますので、何か手順としては、いきなり給付付き税額控除というんではなくて、実は歳入庁の話とか番号制の話、それとあと個人勘定の方からじわりじわりやっていけばおのずとそこに行き着くし、実はそういう制度がないと給付付き税額控除って言ったってなかなかできないですね、これは。
 言ってもなかなかできない制度というのは実はうまくいかないわけなんで、何かをやりたいときにはその周りのインフラというか必要条件というのを固めていくというのが先決じゃないかなと思います。特に、番号まで行ったんですから歳入庁まで、これは合意にある話なんで、そこを進めていって、その中で個人勘定の話なんかとかそういうのを整備していくと、その先に給付付き税額控除というのはおのずと自然の発想として出てくるいい政策だと思います。
 ですから、今の段階でその給付付き税額控除の話ししますと、いろいろ空理空論があるんですね。でも、これははっきり言えば、いろんなやっている国があるので、そのときに何が必要かと調べると、私さっき言ったような本物とそれに類するものが必要だってすぐ分かると思いますよ。
 ですから、それを、番号とか歳入庁とか個人勘定みたいな、これは制度とちょっと関係ない話なんですね、税制と関係ない話。そういうところできちんとやっていって、そういうのができて運用していくと政府の信頼度というのは実は高まると思いますから、そういうのをやってから最後の、最後というか、その次に給付付き税額控除みたいなのに進んだら一番ベストじゃないかなというふうに思います。
 やれることを先にやって、手順がちょっと違っているような感じが私にはすごくするんですけれど。こういうふうな、できることは何か、それで何からやるかというのは、そういう戦略的にちょっとやっていただけたらいいなと思っております。
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安井美沙子#21
○安井美沙子君 一分しか残っていませんので、井手参考人に一言お伺いします。
 不公平感の是正という中の一つで、配偶者控除の廃止というのを私は希望しているんですけれども、今まで専業主婦の内助の功に光を当てるというふうに言われていたんですが、兼業主婦も内助の功というのはあるんですね。ですから、これは完全に不公平だと思いますし、女性の中立的な働きを後押しするという意味でも、これは即刻廃止すべきだと思いますが、いかがでしょうか。
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井手英策#22
○参考人(井手英策君) 私も同じ考えです。おっしゃるように、内助の功なのかどうかはちょっと分かりませんけれども、そもそも、もうその女性とか男性というような差別、差別というか区別をしていくことですね、そのことがそれぞれの対立を生んでいくということにもっと目を向けるべきだと思うんですね。だから、そうではなくて、やっぱり基本的な人間として扱っていく。だから、基礎控除ということであれば、それは人間として扱うわけですね。しかしながら、今のような話だと男性と女性を区別する。
 そういうものは可能な限りなくしていった方がいいと思うことと、あとは、自助、共助、公助というときのいわゆる自助の部分。これは、もう前提にされているのが専業主婦なんですね。しかしながら、もうこれが破綻していて自助が成り立たないような状況が現実にある。しかしながら、その自助が前提になっていたような税制が今あって、だから、この税の部分も社会の変化に応じて変えていくべきだと私も思っています。
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安井美沙子#23
○安井美沙子君 ありがとうございました。
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鴻池祥肇#24
○会長(鴻池祥肇君) 次に、平木大作君。
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平木大作#25
○平木大作君 今日は、三人の参考人の先生方、本当にありがとうございました。公明党の平木大作でございます。
 時間も限られておりますので、早速質問に移りたいんですが、まず井堀先生にお伺いしたいと思います。
 私、今から十八年前、平成九年、一九九七年に先生の財政学の講義を受講しておりまして、いい成績を取った記憶はないんですけれども、そのときに、このままだとやはり財政的に本当に大変だという先生の壇上からのお訴えを覚えておりまして、大学時代のノートも探したら出てまいりました。
 見ましたら、ちょうど講義の初日、これは日本経済新聞の九七年四月八日付けの「経済教室」が出てきまして、そこで先生がおっしゃっていることをなぞってみますと、財政再建とは利益団体の既得権を消滅する試みなんだと。そこに合意を持っていくためのインセンティブをちゃんとつくらなきゃいけませんよと。その方途として、公債を含めた歳出全体にしっかりシーリングを設定しなけりゃいけない、あと既得権に関する情報を広く国民に開示して議論を進めていかなきゃいけない、三つ目に、財政再建計画にはあらかじめ拘束力のある枠組みをはめなければいけないと、こういう論調でありまして、今読んでもそのとおりだなというふうに改めて思った次第です。
 ちょっと、今日、まず、この論考から十八年たってみて、一方で財政の状況自体がもう大きく悪化してしまっているという中において、先ほども先生、少し消費税に言及されたんですけれども、スタンスとしては、やはりこの財政再建というのは、いわゆるどう支出、歳出をコントロールしていくのかということだというスタンスだとは思うんですけれども、一方で、増税、歳入について、今どういう優先度で、あるいはどういうスパンで、今御提言等もしあったらお聞きしたいというのが一点と。
 それから、いわゆる合意をつくっていく上で、やっぱり国民の皆様になるべく情報を開示した方がいいという中において、これまでのこの、それこそ十八年、二十年余りの取組をどう評価されているのか。もし、ここも、いわゆる負担と受益の在り方みたいなものを示せと言われてもなかなかちょっと難しいなというところもあるかと思うんですが、具体的にこういうものを示した方がより議論が進むんじゃないかというものがありましたら御提示いただきたいんですが、よろしくお願いいたします。
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井堀利宏#26
○参考人(井堀利宏君) どうもありがとうございます。十八年前の話、どうもありがとうございます。
 それで、今日の話というのは、確かに歳出削減と増税の、消費税の話を少しお話ししたんですけれども、今日の最初でちょっと触れたように、財政再建なり財政健全化をする場合にとってのスピード感をどうするかというのがやはり重要で、やはり十八年前と今との大きな違いというのは、いわゆる団塊の世代が十八年前はまだ働いて元気で、ちゃんと保険料なり税金を納めた時代でしたわけですね。それがもう既に引退して社会保障の受給世代になって、これからその受給額が、個人ベースでもそれからトータルとしてもどんどん拡大していく時代に二〇二〇年代に入っていくと。
 それから、昔と比べると日本の全体のやっぱり潜在的な成長率は落ちていると思うんですよね。だから、これから一〇%ぐらいの名目成長率が実現していけばこれはある意味で問題ないかもしれませんけれども、やはり二〇二〇年代以降を考えますと、これがかなり厳しくなってマイナスになるかもしれないと。そうなってくると、早めにやはり財政再建のめどを付けた方がいいと思うんですね。
 そのためには何が必要かというと、歳出削減なり増税にしても、やっぱり早めにしておくと。ただ、消費税を上げるのであれば、二〇%まで上げる必要はないと思うんですけれども、一〇で、私は一五ぐらいまではしようがないのかと思いますけれども、早めに一五に上げて、その後はもう上げないで、なるべく歳出削減の方で頑張ると。
 だから、その歳出削減の一つとして社会保障の歳出を、毎年の自然増をどこを削ってどうするかということをやっていくとどうしても微調整に終わってしまいますので、抜本的な社会保障制度の改革、医療、年金制度の改革、特に個人勘定を早めに医療にしても年金にしても入れることが重要で。
 例えば、今日の話では余り医療の話をしなかったんですけれども、医療も年金と同じように賦課方式でやっていますので、これから十年先は相当医療費の負担も増えますし、それを現役世代が今のように保険料なりそれから国庫負担という形でカバーするのはほぼ難しくなってきますので、それが分かっている以上は、早めに医療費の積立部分を入れておいて、要するに、将来、医療費が大変になるんだったら今からそれに備えて基金をつくっておく必要があると思うんですね。それを国の段階でまとめてつくるのか、個人ベースで、それぞれの個人が自分の老後に備えて早めに個人勘定の医療基金をつくっておいて、自分の老後の医療費のある部分はもう早めに自分で備えておくと。しかも、それをちゃんと老後の医療費に備えておいた人は何らかのインセンティブを与えて、例えば生活習慣病がこれから大きな医療となるわけですから、それに対する備えもインセンティブを付けるとか。
 あるいは、終末医療に関してもう少し、これはなかなか政治的にも国民感情としても難しいわけですけれども、終末医療に対する、安楽死とまではいきませんけれども、ある程度の割り切りを出しておかないとこれは非常に大変になりますから、その辺りの準備を早めにして、医療費がこれから増えていくときに、必要な医療費が増えるのは当然ですけれども、それに対する備えをそのときの若い世代に賦課方式で全部かぶせるんじゃなくて、年取っていく人がそれなりに負担もちゃんと準備しておくような制度に変えていくと。これは年金でも医療でも今からやらないと間に合わない、かなり今でも遅いんですけれども、早めにやっておかないと、本当にその後期高齢者の方が増えたときに、それへの備えがなくなってしまうのは大変だと思います。
 それから、情報の観点からいえば、やはり三党合意は非常に重要だったと思うんですね。要するに、与党と野党が一緒になって、増税という痛みを伴う、かつ社会保障の一体改革も含めて国民に打って出て、しかも選挙でそれが支持されたわけですから、そういう意味で、与党野党を問わず、社会保障あるいは財政健全化も含めて、議論に関しては痛みも含めて情報を開示していろいろと議論をして、そこで政治的な合意を経る努力というのは、特に今後、例えば年金改革とか医療制度改革では与野党合意が非常に重要になるので、この前の一体改革というのはその一つのいい教訓にはなったと思います。
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平木大作#27
○平木大作君 もう一問だけ、今度は井手参考人にお伺いしたいと思います。
 信頼なき社会だから増税が難しいと、大変説得力のある議論だなと思ってお伺いしていました。この誰かの利益、要はどこかの利益団体なり既得権益なりの利益ではなくて、人々の、人間の利益に変えていくんだというお話もとってもすとんと落ちたんですけれども、この全体の利益、人間の利益というところに持っていくときに、若干、ちょっと私、よく議論に付いていけなかったのがいわゆる世代間の格差の部分。
 例えば、医療費と聞くと我々の頭には高齢者かなと思い浮かぶ。大学の学費と聞くと高齢者の皆様には恐らく若い世代のと浮かぶと。この辺を、いわゆるどう全体の人間の利益というふうに捉えていくのかという点をちょっと詳しく教えていただけたらと思うんですが。
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井手英策#28
○参考人(井手英策君) 二つあると思うんですね。
 一つは、今日お話を申し上げたように、まず特定の誰かを受益者にしないようにしましょうと。ですから、出すときには所得制限を付けずにあらゆる人々に出していくという方向性をまず考える。これは恐らく世代内の対立を弱めていくと思うんですね。つまり、ある世代の中で、ある人は受益者である人は負担者になっていくということを弱めていくと思います。
 まずこれが大きな方向性としてありながら、もう一つが今おっしゃった世代間格差の問題で、この世代間格差の場合、先ほど井堀先生おっしゃっていた社会保障・税一体改革というのは非常にいいヒントを我々に与えてくれているわけですね。というのは、元々あのときの議論は社会保障三経費でやっていて、これで慌てて社会保障四経費に変わったと。つまり、元々は医療や年金や介護という高齢者向けのサービスがターゲットになっていたのに対して、ようやく四番目に滑り込むように子育てが入ってくると。
 実は、増税の議論をするときに受益が何かということを考えなければいけないわけですが、その受益について、これは高齢者の例えば利益、これは現役世代の利益ということをパッケージで出していかないといけないということですよね。それが社会保障・税改革の我々に対する示唆だったと思うんです。ただ、それをパッケージで出すだけでは不十分で、可能な限り所得制限を付けない形で世代内の対立も緩和しようじゃないかというのが今日申し上げた趣旨になります。
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平木大作#29
○平木大作君 ありがとうございます。
 終わります。
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