海渡雄一の発言 (法務委員会)

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○参考人(海渡雄一君) お答えいたします。
 名古屋刑務所事件、徳島刑務所事件の最大の反省というのは、刑務所医療というものがこういう事態を防ぐための警報装置として働くのではなく、むしろ刑務所側の隠蔽工作の下で全く機能しなかった。刑務所の医師も、医師であるからには、拷問的な行為が行われていることを見たときにはそれを進んで明らかにしていく医師としての倫理上の義務を負っていたはずなんですが、それが果たされなかったという点ではないかと思います。
 フランスで刑務所医療を一般の医療に変換していくということが起こったのは、一九九〇年代にフランスのサンテ刑務所という刑務所で働いていた女性医師が、フランスにおける刑務所医療が余りにもひどいということを内部告発する本を書きました。この本が大変な衝撃を与えて、これに対する対応として制度改革が実現していったという経緯がございます。
 そういう観点で、やはり今後の刑事施設の医療の改革を考えるときに最も重要な点は、外部医療機関との連携を強めていく、取りあえずは連携を強めていくということが重要だと思いますが、最終的には、今、月形刑務所やPFIの刑務所でやっているような外部委託、さらには医師の守秘義務をきちんと課した上で一定の保安上のセキュリティー上の情報は刑務所当局と共有する、非常に独立しているけれども共同するようなそういう関係を刑務所医療側と保安当局側が保つ。それが現実にフランスでは実行されていて、お互いに独立して尊敬し合いながら医療と保安が共同している姿というのを昨年四月、日弁連でフランスに行って見てきたわけですけれども、その報告書をお手元にお配りしていると思いますが。
 こういうものを見習って、この改革は実はイギリスでも実施されていますし、ノルウェーやオーストラリアなどでも実行されているんですが、同じような勧告が、二〇〇七年の拷問禁止委員会の日本政府に対する勧告の中でも、刑務所医療の独立性の確保、そして厚生労働省所管への移管を前向きに検討せよということが日本政府に対して求められています。
 今回のこの法律案自身については日弁連も賛同するわけですけれども、次のステップとして、そういうことのための勉強会からまず始めるのがいいのではないかと思うんですが、今日も厚生省も来ていただいているということですが、法務省の矯正局と厚労省の医政局、そういったところで日弁連もオブザーバーで入れていただいて勉強会などが始められる、そしてイギリスやフランスの実情をもう一度きちっと見てくるというような形をすれば、日本の刑務所医療、どんどん若い、有為なすばらしいお医者さんが来るような、そういう世界になるんじゃないか。
 フランスに行ったときに、フランスの刑務所医療で働いている若い、本当に優秀そうなお医者様がたくさんいて、刑務所医療は本当にやりがいがありますかと聞くと、非常にやりがいがあると。我々は元々の病院にいながらここに、刑務所医療にルーチンで来ているんだと、こんなに症例が豊富でやりがいのある職場はない、本当にこの職場に就かせてもらってよかったというふうにおっしゃっている若手の有為なお医者さんの話も聞きました。そういう改革が日本でも実行可能だと思います。
 多少、少しお金は掛かるということは先ほど来の審議の中でも出ていましたけれども、でも社会一般の水準の医療を提供するということが法律で決められているわけですから、そういう改革を実現していただきたいと思います。

発言情報

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発言者: 海渡雄一

speaker_id: 33618

日付: 2015-04-16

院: 参議院

会議名: 法務委員会