深山卓也の発言 (法務委員会)
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○政府参考人(深山卓也君) 今幾つかお尋ねがあった点について順次御説明いたしますが、まず、被害者がどの国の裁判所で損害賠償請求訴訟を提起することができるのかという国際裁判管轄に関しましては、諸外国の法制の内容は様々です。
我が国においては、契約において定められた債務の履行地、あるいは差し押さえることができる被告の財産の所在地、不法行為があった地などの属する国の裁判所に損害賠償請求の訴えを提起できるというのが民事訴訟法の建前でございます。
この考え方によりますと、日本の領海内で船舶が沈没したという場合であれば、被害者は我が国の裁判所に損害賠償請求等々の訴えを提起することができますが、公海上又は他の国の領海内で船舶が沈没した場合には、契約上の債務の履行地が我が国に属するといった特殊な事情がないと我が国の裁判所に損害賠償請求訴訟を提起することはできないということになります。
また、どの国の法律に従って責任が認められるかという、いわゆる準拠法の問題ですが、準拠法を決める国際私法というのも各国それぞればらばらでございます。我が国の国際私法、これは、法律の名前は法の適用に関する通則法という法律ですが、これによりますと、運送契約に基づく損害賠償請求権の成立等の準拠法は、当事者が運送契約の当時に選択した地の法によるというルールになっておりまして、そういった選択がない場合にはその運送契約に最も密接な関連がある地の法によるということとされております。
また、不法行為に基づく損害賠償請求権の成立等の準拠法ですけれども、基本的には加害行為の結果が発生した地の法律によると。最も、加害行為が行われた地や、密接な関係がある地の法によることもあり得るというルールになっております。
この考え方によりますと、日本の領海内で船舶が沈没した場合には、船主に対する損害賠償請求について日本法が準拠法となります。また、公海上あるいは他の国の領海内で船舶が沈没した場合も、その船の船籍、あるいは当事者の住所、あるいは船舶の出港地や目的港その他の事情に照らして、その事故が我が国に密接に関係していると認められるときは日本法が準拠法になると思われます。そして、日本法が準拠法になる場合には、船主は、故意又は過失があれば損害賠償責任を負いますけれども、事故が想定外の天災などによる場合には過失が認められないということになって、損害賠償責任を負わないということになります。
最後に、船主責任制限手続自体の国際裁判管轄に関しましては、国際条約は存在しておらず、我が国の法律にも明文の規定はございませんので、解釈論ということになっております。解釈上は、日本籍船が責任を制限する場合、あるいは日本の領海内で事故が起こった場合などに我が国の裁判所で責任制限手続を取ることができるという考え方が一般的に取られておりまして、我が国の実務もこうした考え方に基づいて行われております。
この考え方によりますと、日本籍船が沈没した場合、これは場所を問いませんが、あるいは日本の領海内で船舶が沈没した場合、これは船籍を問いませんけれども、こういった場合には、我が国の裁判所で船主責任制限手続を取ることができるということになります。