安倍晋三の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(安倍晋三君) 井上哲士議員にお答えいたします。
政策実行に係る政治姿勢についてお尋ねがありました。
我が自民党は、できることしか約束しない、約束したことは必ず実行する政党であります。それなくして政治への国民の信頼はありません。
総選挙は、それぞれの政党が公約を掲げ、それを踏まえ国民が政権選択をした結果であります。であるならば、政権与党はその国民への約束を一つ一つ実現していかなければならない、その大きな責任があると考えます。それは白紙委任とは全く違います。
私たち自民党は、御指摘のあった消費税、安全保障政策、エネルギー政策についてその考え方を公約に明確に掲げております。これらについて、今後も国会審議などを通じ、国民の皆さんに丁寧に説明し、御理解を得る努力を続けながら確実に実現してまいりたいと考えております。
沖縄における選挙の結果及び普天間の辺野古への移設についてお尋ねがありました。
選挙の結果については、いずれも真摯に受け止めたいと思います。最も大切なことは、住宅や学校に囲まれ、市街地の真ん中にある普天間の固定化は絶対に避けなければならないということであります。これが大前提であり、かつ政府と地元の皆様との共通認識であると思います。辺野古への移設は、米軍の抑止力の維持と普天間の危険性除去を考え合わせたとき、唯一の解決策です。この考え方に変わりはありません。
これは、現在の普天間を単純に辺野古へと移す計画ではありません。普天間が有する三つの機能のうち、辺野古に移るのはオスプレイなどの運用機能のみです。空中給油機は既に全機、山口県岩国基地へ移りました。緊急時の航空機受入れ機能も本土へ移します。また、オスプレイの県外訓練等も着実に進めています。埋立面積は全面返還される普天間飛行場の三分の一以下です。飛行経路は市街地の上空から海上へと変更されます。これにより、住宅防音が必要な一万以上の世帯数がゼロとなります。
このように、辺野古への移設は沖縄の負担軽減に十分資するものであります。負担軽減に取り組む政府の姿勢が民主主義に反するとは考えていません。沖縄県による第三者委員会の設置については、詳細を承知していないのでコメントは差し控えたいと思います。
政府としては、地元の皆様の御理解を得ながら、普天間の一日も早い返還に向け、安全に留意しながら着実に移設を進めてまいります。
消費税率引上げについてのお尋ねがありました。
消費税率の引上げは、国の信認を確保するとともに、社会保障制度をしっかりと次世代に引き渡し、子育て支援を充実していくためのものです。その増収分は、医療、年金、介護といった社会保障の給付や子育て支援の充実に充てられ、特に、所得の低い方々に対しては、国民健康保険料等の保険料軽減の拡充などを講じております。
他方、昨年四月の消費税率引上げが個人消費に影響を及ぼしたのも事実であり、アベノミクスの成功を確かなものとするため、一〇%への引上げを十八か月延期することとしました。平成二十九年四月の一〇%への引上げを確実に実施するため、経済運営に万全を期し、経済再生と財政健全化の両立を目指してまいります。
景気の国民の実感についてお尋ねがありました。
政権交代以来、三本の矢の政策を進めた結果、有効求人倍率は二十二年ぶりの高水準、賃上げは平均二%以上のアップと十五年で最高、企業の経常利益は過去最高水準、企業倒産件数は二十四年ぶりに一万件を下回るなど、確実に経済の好循環は生まれ始めています。
しかしながら、景気回復の実感が地方に暮らす方々や中小・小規模事業者の方々に届いていないのも事実です。今般の経済対策は個人消費のてこ入れと地方経済の底上げを図るものであり、これにより全国津々浦々にアベノミクスの成果を届けてまいりたいと考えています。
また、さきの政労使会議で、経済界の皆さんが昨年に引き続き今年の賃上げにも最大限の努力を行うことを約束してくれました。今年も来年も再来年もしっかりと所得を増やしていけば、全国の方々に景気回復を実感していただくことができると考えています。
所得格差と経済成長に関するお尋ねがありました。
安倍政権では、経済再生に取り組む中で雇用環境の改善と社会保障や税制の見直しを行ってきているところです。特に、雇用環境については、二年連続で最低賃金の大幅引上げを実施し、パートタイム労働者について正社員との均等・均衡待遇を推進してきたところです。さらに、昨年末に取りまとめた政労使の三者の共通認識において、非正規雇用労働者のキャリアアップや処遇改善に向けた取組を今後も進めていくこととしています。このような施策を通じて、経済成長の成果が広く国民に行き渡るような取組を行ってまいります。
なお、今回の法人税改革は、経済の好循環の定着に向けて、企業が収益力を高め、より積極的に賃上げに取り組むよう促す観点から行うものであり、格差を拡大し、経済効果もない改革であるとの御指摘は全く当たりません。
二十六年度補正予算案における防衛関係費についてお尋ねがありました。
二十六年度補正予算案における防衛関係費については、自衛隊の活動に必要な経費に加え、緊急経済対策として、昨年末の閣議決定に基づき、多発する自然災害や一層厳しさを増す我が国周辺の安全保障環境を踏まえ、円滑な社会活動、経済活動の基盤となる安全、安心な社会を実現するために緊急に必要な経費を計上するものであります。
さらに、防衛装備品の取得や防衛施設の整備に当たっては、一般に、主契約企業を通じて地方に所在する多数の下請企業に資金が流れるため、需要を押し上げる効果も有するものであり、実効的な経済対策になるものと考えています。
なお、補正予算を含め、一般会計及び復興特別会計に計上した防衛関係費の合計については、二十四年度と二十五年度は五兆円に達しておらず、三年連続で五兆円を超えているとの事実はありません。
我が国の平和国家としての歩み及び安全保障法制に関する閣議決定についてお尋ねがありました。
我が国の平和国家としての歩みは、これからも決して変わることはありません。新たな防衛装備の調達は、専守防衛の下、あくまでも我が国の防衛に不可欠な防衛力を整備するためのものであります。自衛隊を海外派兵型につくり替えるとの御指摘は全く当たりません。
防衛装備移転三原則は、防衛装備の海外移転に係る手続や歯止めをこれまで以上に明確化したものです。新たな開発協力大綱案は、非軍事的協力による平和と繁栄への貢献を基本方針として掲げています。また、昨年七月の閣議決定は、合理的な解釈の限界を超えるような憲法解釈の変更ではなく、政府としては、閣議決定で示された基本方針の下、切れ目のない安全保障法制の整備を進めてまいります。
核兵器をめぐる我が国の立場についてお尋ねがありました。
我が国としては、悲惨な惨禍をもたらす核兵器は二度と使用されるようなことがあってはならないとの立場です。核兵器の使用は、その絶大な破壊力、殺傷力のゆえに、国際法の思想的基盤にある人道主義の精神に合致していないと考えます。他方で、核兵器禁止のための国際約束を作成することについては、現時点で核兵器国を含む多くの国が受け入れておらず、直ちに交渉を開始することができる状況にはないものと認識しています。
いずれにせよ、我が国は、唯一の被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて、今後とも現実的かつ実践的な取組を通じて最大限努力をしていく考えであります。(拍手)