大野元裕の発言 (本会議)

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○大野元裕君 民主党・新緑風会の大野元裕でございます。
 私は、会派を代表して、ただいま議題となりました中谷元国務大臣問責決議案について、提案理由の説明を行います。
 まず、決議案の案文を朗読いたします。
  本院は、国務大臣中谷元君を問責する。
   右決議する。
 本決議案の提案理由を申し上げる前に、一言申し上げます。
 本日、鴻池安保特委員長の不信任動議が同委員会において否決された直後、委員外の与党議員が突然委員長を取り囲み、それに端を発して議事が騒然といたしました。与党委員は、その際に安保法制が可決されたなどと称しているようですが、我々野党議員の表決権は奪われ、無効な採決が行われたにすぎません。野党議員が委員長を取り囲む場合とは異なり、与党の委員外議員が委員長席を取り囲むことによって、野党議員は、委員長が何を話し、何をしようとしていたのか全く推量不可能となりました。
 委員長は国会法四十八条に基づき議事整理権を有していますが、委員の表決権を奪う権利はありません。したがって、野党議員が表決権を行使できなかった今回の採決は当然無効であります。また、上述のような瑕疵のある表決が行われた疑義があることから、本案採決のためにセットされた本会議も同様に無効です。
 言論を力で封殺し、民主主義を圧殺したいのならば、それは自民党内だけにとどめていただきたい。国民に対する説明責任を放棄し、マスコミに圧力を掛けて言論を封殺してきた与党は、今回、丸裸の暴力により、国民により選ばれた我々の表決権行使の権利すら奪ったのです。そして、今回問責を受ける中谷国務大臣の発言や行動は、このような暴政、圧制の自公政権の行動の延長線上にあるのではないでしょうか。
 本決議案提案の第一の理由は、安全保障法制を担当する中谷国務大臣が、恣意的、便宜的に憲法を解釈し、憲法擁護義務と法的安定性をないがしろにした本案を策定し、国会に提出した点にあります。
 安倍政権は、昨年七月一日、戦後七十年間、憲法の下で培われてきた憲法解釈を変更する閣議決定を行いました。国民への説明も国会審議もおろそかにした憲法解釈の閣議決定は受け入れ難く、民主党は撤回を求めました。
 しかし、安倍政権はこの閣議決定に対する批判を無視し、中谷大臣は閣議決定に基づく法案の策定を進めました。政府が与党協議を経て安保法制を国会に提出したのは、通常国会の会期が十分に残されていない五月十五日のことでありました。政府案は、自衛隊法、周辺事態法、PKO法等の主要な法律の改正十本を束ねたものと他国軍隊への後方支援に関する恒久支援、合わせて十一本を提出しました。本来なら、それぞれの法案が一国会では審議が終わらない、それほど慎重な審議を要する内容ですが、それらを一つにまとめた形式にしたことは、論点を掘り下げにくくし、国民への説明責任を当初から放棄する無責任な手法でした。
 中谷大臣の憲法観は衆議院特別委員会において明白になりました。集団的自衛権の行使を認める閣議決定について問われ、現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのかという議論を踏まえて閣議決定を行った。言語道断です。これは単なる言い違いではありません。政府を拘束するものである憲法は、国民との約束です。その憲法をないがしろにした発言であり、決して見逃すことはできません。
 そして、二つ目の理由は、自衛官の命を預かる大臣として、海外に派遣される隊員のリスクについての認識が極めて甘く、自衛官を守る責任を放棄していることです。
 中谷大臣は委員会の審議で、政府案により海外で活動する自衛隊のリスク、危険性が高まることをなかなか認めようとしませんでした。正確にリスクを求めることが彼らの安全確保につながるのではなかったんでしょうか。それどころか、後方支援を行う自衛隊員への安全配慮義務については、明文で貫徹されているとの答弁は虚偽であることが明らかになりました。
 大臣は、今でも自衛隊員が国際支援や災害現場で懸命に働き、危険と隣り合わせの任務を全うしている、危険を回避するための安全確保対策を進めると繰り返し答弁されました。しかしながら、実際に派遣される自衛隊員を待ち受けるリスクを回避する義務すら理解せず、法案には書き込まず、いかにして部隊に派遣命令を出すのでしょうか。
 中谷大臣、私は一人の私人として、あなたの率直で優しい人柄が大好きです。党こそ異なれ、あなたと様々な機会に御一緒できることをうれしく思ってきました。しかしながら、今回の安保法制で私が最も残念に思っていたのは、新たな法律が自衛官を犯罪人にしてしまう可能性があるのに、自衛隊を守るという重大な責任を放棄していることです。
 月曜日に私が行わせていただいた委員会の質疑では、PKOで派遣される自衛官が武器を使用する際、刑法三十五条に基づき違法性が阻却される、それを尋ねました。PKO法改正により治安維持業務が追加された自衛隊は、国連が掲げるミッションの不偏性に基づき武器使用を行う可能性があります。この不偏性は新たなPKO法には書かれていません。したがって、この原則にのっとり武器使用を行う自衛隊員は国内法で有罪となる可能性があるんです。懸命に任務を果たす自衛官が、法律の瑕疵によって罪人となる可能性を受け入れさせるということで、本当に大臣、いいんでしょうか。
 自衛隊は法律に基づき行動する部隊であり、きちんとした法律を制定してからその任務を果たすことが、政治家に課せられた責任です。自衛隊員の違法性を判断するのは、政府お得意の総合判断ではありません。最終的には司法なんです。だからこそ、法律には書いていないのに、司法が違法性を阻却することをどう担保するのかを私がただしても、大臣は明確にはお答えになられませんでしたね。当然です。なぜならば、政府は、本件について内閣法制局にすら審査依頼していないんです。そうであれば、元自衛官として、大臣として、自衛官を守るために身を挺して法律を見直していただきたい、私はこのようにお願いをし、良心に訴えかけをいたしました。しかし、それは残念ながら無視をされました。
 あなたには国会の外のデモの声は届かないのかもしれない、国民の八割がまだまだ時期尚早である、この声は届かないのかもしれない。しかし、あなたは、大臣としてただ一人、自衛官を守れる立場のお方です。そして、自衛官に対し、命を懸けろと命令をされる、そういう立場ではないですか。だからこそ、私が尊敬する先輩ではありますが、自衛官の命すら守らない、そして自衛官が政府の不作為と怠慢で犯罪者になることから守らないのであれば、大臣でいる資格はないと言わざるを得ません。
 第三の理由は、法案担当大臣であるにもかかわらず、国会審議の場において、大臣として法案に関するまともな説明を行えず、支離滅裂で、それどころか、法案すら理解していないそぶりが見えたことであります。これは、日本の安全保障と未来、そして国民と自衛官の命に対する冒涜です。
 中谷大臣は、残念ながら大臣としての資質を欠いていると言わざるを得ません。中谷大臣の答弁はほぼ毎日二転三転をし、この法案が万が一成立すれば将来に大きな影響がある可能性が高いにもかかわらず、立法者の意思すら明確に表明されておりません。それどころか、質問者がいかに平易な質問を行っても、答弁に困ると直接関係のない新三要件の説明を延々と朗読をし、質問時間の浪費を続けました。
 この本会議では、中谷大臣の長々とした答弁の議事録を是非逐一読ませていただこうと思いましたが、先ほどの言論封殺の御提案もあり、それは忍び難いところではございますが、控えさせていただきたいと思っております。
 しかし、ここでは、日本の未来に影響を与えるこの重要な法案を国民に説明する、そのような能力を欠く、その責任を放棄した、そういう大臣では、我々は、その期待を裏切ったと言わざるを得ません。このようなていたらくの挙げ句、時の政権の裁量に全てを委ねてほしいと繰り返しても、国民が納得するはずはありません。
 また、中谷大臣が何度も繰り返した、法理上はできても政策的な判断でやらないという発言は、大臣が未来永劫大臣の職にあられるのであればともかく、条文上定めがなければ歯止めになりません。中谷大臣には未来の予知能力がおありになるのか、その非すら認めようとしていません。
 さらには、法案の基本的な部分に答えることすらできず、例えば、法律上はできるがやらないという策源地攻撃能力について、御本人の答弁であるにもかかわらず、法律上はできるのにやらないのか、それとも能力がないのか、それについて聞いても、答えは二転三転、迷走を繰り返し、いまだに答えは霧の中です。
 このような答弁の繰り返しは、衆議院より短い審議時間、かつ野党の質問時間が大きく減らされたにもかかわらず……

発言情報

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発言者: 大野元裕

speaker_id: 21489

日付: 2015-09-18

院: 参議院

会議名: 本会議